貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ガーネット名前大杉

2021-11-21 13:46:33 | 単品

「ガーネットなんて石はない(キリッ」
と通の人は言う。
まあトルマリンなんかもそうですけど、グループ名で、入っている金属が違うと名前も違う。(まためんどくさい話になりそう)

代表的なのは四種。(4つもあるのかよ)
 ・アルマンディン Fe3Al2(SiO4)3 鉄 赤系~黒
 ・スペサルティン Mn3Al2(SiO4)3 マンガン  オレンジ・赤系
 ・グロッシュラー Ca3Al2(SiO4)3 カルシウム  いろいろ
 ・パイロープ   Mg3Al2(SiO4)3 マグネシウム   赤系 あんまりない。
共通部分はAl2(SiO4)3という所ですね。けどこれがアルミノケイ酸塩ではないというんだからわけわからん。SiとAlの規則的置き換わりがないということかな。(まあ素人なんだから流しておきなさい)
与党単独派(ネソ)で、SiO4 が独立している。単独派にはほかにカイヤナイト三姉妹とその従姉トパーズ、ペリドットなどがいる。何かあんまり共通性がないね。よくわからん。(わからんことを書くからよけい混乱するんだよ)

四種は和名だとそれぞれ
  鉄礬柘榴石
  満礬柘榴石
  灰礬柘榴石
  苦礬柘榴石
頭痛くなりそうな表記ですね。礬(ばん)はアルミのことを指す。
しかしこの礬という字、パソコン閉じてはい書きなさいと言われたら絶対書けない。つか、画面でも何が書いてあるのか見えない。(老眼乙)鬱病の鬱に似ているね。(だいぶ違うと思う)
でも礬は共通なんだからいちいち言う必要はないだろうに。いっそ鉄ガーネット、マンガンガーネット、カルシウムガーネット、マグネシウムガーネットと言ったほうがわかりやすい。そう書いているサイトもある。頭来たんだろう。(そうじゃないと思う)

ところがところが。(何だよ) ほかに、
  アンドラダイト Ca3Fe3+2(SiO4)3  (灰鉄柘榴石)
  ウバロバイト  Ca3Cr2(SiO4)3   (灰クロム柘榴石)
なんてものもあって、あれ? これ、まじゃっちゃってるじゃん。いや、そもそも礬(アルミ)がねえじゃん。
じゃあガーネットの定義とは何ぞやとなると、よくわからない。こういう「素人には定義不明」のものが鉱物学にはいっぱいある。
このアンドラ君もウバロ君もグロシュラー(カルシウム柘榴石)の変種らしい。どうもこのグロシュラーというやつ、曲者。グロい。(いやグロくはないだろ)
ウバロ君は緑色だけど、アンドラ君にはいろいろな色があって、緑はデマントイド、黄色はトパゾライト、黒色はメラナイト、表面が七色に輝くのはレインボーガーネットと名付けられている。おいおい。

こういうふうにさらに色で呼び名を付けるから、混乱はさらに増す。
グロシュラーの中で緑のものがツァボライト、オレンジ色のものがヘソナイト、ラズベリー色がロゾライト。

まだまだ混乱のネタは続く。(やれやれ)
アルマンディン(鉄)とパイロープ(マグネ)の中間種で赤紫色のものがロードライト。
スペサルティン(マンガン)とパイロープ(マグネ)の中間種には「カラーチェンジ・ガーネット」なるものもある。(別項

って、これもうお手上げ。何度読んでもわからない。覚えられない。自分で書き直したら覚えるかと思ったけど、だめ。もう知るか。全部まとめてガーネットじゃい。

「柘榴石(ざくろいし)」というのが和名ですけど、これもなんか変。ザクロ自体が石のような果物だということでこんな漢字がつけられているのでしょうけど、今度は石がザクロのようだというので石がダブルになっている。「石のような果物のような石」。なんだよこれ。

  *  *  *(休憩)

ガーネットは深い赤が一番ポピュラーですけど、深すぎて普通に見ると真っ黒に近い。強い光を照らすとすごく美しい赤が見えるのだけれど。だからもう一つ人気が出ないみたい。
これはガーネットさざれ石。少し後ろから光を当ててもこんなもの。普通にしてると暗い。(君みたいじゃないかな)

そこでだ、もう少し色の薄いものが出回る。これはピンク(ラズベリーという表現もあるらしい)のグロシュラー(カルシウム)ガーネット。ミニ標本だけどかわいい。後ろ二つはスぺサルティン(マンガン)のピンク。これは四街道さんのおまけ。なんかあんまり変わらない。グロ君(それやめろ)はもう少し紫なんだけど。(君の写真技術がいかんのではないか)

いやいや、ガーネットは赤ばかりじゃない。緑のきれいなのもある。となってさらにそれに別の名前が付く。グロシュラーの緑は「ツァボライト」。グロシュラーの一種のアンドラ君(灰鉄)の緑は「デマントイド」。グロシュラーの別の一種(灰クロム)の緑は「ウバロバイト」。
もうわけわからん。要するに緑ガーネットは3種で、みんなグロシュラー系。ツァボライト、デマントイド、ウバロバイト。いや、覚えられない。

ウバロバイト(灰クロム柘榴石)はかなり鮮やかな緑。珍しいらしく普通は高いけれど、何と学習用鉱物標本がメインの東京サイエンスさんで1000円ちょいで売っていた。大きな結晶にはめったにならないらしい。
こういう小さい結晶がきらきらしているのは、子供が騒いでいるような感じで楽しい。

これはツァボライト。

いいものはえらく高いけれど、これは単結晶でなくいくつかの結晶が合体したもの。だから割と安い。あくまで「割と」であってあちきにとっては高い。実に美しいライトグリーン。あちきの貧しい結晶コレクションの中では出色の色彩の一つ。
複合結晶だと、それぞれの結晶の色合いや表情が変わるし、結晶の間の界面の表情も加わるしで、返って単結晶より面白い気がする。(ちょと負け惜しみっぽくね?)

デマントイドは高くて買えない。そのうち宝くじでも当たったら(君、そもそも宝くじ買わないだろ)

天川産のレインボーガーネット(アンドラちゃん)は、安いものなのでそれほどきらきらしてない。おまけに虹色は写真に写らないみたい。天川は行ったことがあるんですけど、ちょっと変な土地です。

まあ、難儀なものです、ガーネット。

つか、ぶちぶち言いながらちょこちょこ持ってますね。たぶん好きなんですね。ごちゃごちゃも含めて。(いや君、ごちゃごちゃ好きだろ)


ベリル

2021-11-20 19:50:31 | 単品

ベリル(Beryl 緑柱石) Be3Al2Si6O18 サイクロケイ酸塩鉱物
なんて言うと、まあ普通の人は知らない。
アクアマリン、エメラルドというと、ああ宝石ね、となる。そして
「え? アクアマリンとエメラルドって同じ石なの?」となる。
あちきもそうでした。何だよそれ。
柱石(スキャポライト)は別物。柱石で検索するとよく緑柱石が出てくるので困る。紅柱石も別。それはアンダルサイトでカイヤナイトの妹。

ベリルは美しい石が多い。ベリル、ベリービューティフル、なんちって。(ひどい)
美しいから色ごとに名前をもらった。

・青=アクアマリン  二価鉄含有
・緑=エメラルド  クロム含有
・ピンク=モルガナイト  マンガン含有
・黄金色=ヘリオドール  三価鉄含有
・無色=ゴシェナイト
・赤=レッドベリル(ビクスバイト、レッドエメラルド) マンガン含有

へえ、と思いましたね。ピンクも赤もあるのかよ、と。
ちなみに、二価鉄と三価鉄の両方を含んだ黄緑のグリーンベリル/ミントベリル/ライムベリルというのもあるが、だいたい加熱処理してアクアマリンにしてしまうらしい。もったいなくね?
レッドベリルは、採掘元だかがレッドエメラルドと呼ぶことを提唱したけれど、「エメラルドはもう色の名前になっているからあかん」と却下され、じゃあと、「ビクスバイト」にしようとしたら、すでにあるビクスビアイト(ビクスビー鉱)と紛らわしいとこれも非難囂々になって、結局レッドベリルのまま落ち着いたとか。そう言えば五反田で母岩に超ミニサイズの結晶がついたものが800円で売っていたな。でも老眼には小さくて無理ぽ。

ベリルというのは、ベリリウムを含んでいる。
これも、最初は希少金属かと思いましたが(文系頭w)、そうではない。
Be 原子番号4。4だぜ4。4番目に単純。さぞやいっぱいあるのかと思いきや、案外少ない。地殻中では10億分の5くらい。けど、「ベリリウムは約4000種類の既知の鉱石のうち、約100種類の鉱石において主成分となって」いるとのこと(ウィキ)。何だよそれ。変じゃね?
ベリリウムは「アルカリ土類金属」に含まれたり含まれなかったり。金属なのか何なのかよくわからない。「ベリリウム・マグネシウム・カルシウム・ストロンチウム・バリウム・ラジウム」が「第2族元素」で一族らしい。要するにマグネシウムの弟分みたいなものか? カルシウムは金属じゃない感じだけど、後は金属と言われればそんな感じもする。ほんとにわけわからん。
宇宙船の構造部材を始め、非常に様々な工業的用途がある。一方、単体では人体に対する毒性もある。単体での話であって、アクアマリンを粉にして飲んでも死なない。
ふーん。よくわからん。この世にはいろんなテクノロジーがあるのだなあ、と少し茫然。
しかしベリルを調べなかったらこんなことを知ることもなかった。これも石好きの功徳で、ありがたいこと、かな。(まあジジイが知ってもどうということもないけどね)

ベリリウムを含んだ鉱物で有名どころでは、
・フェナカイト(Phenakite フェナス石)Be2SiO4(単独派=ネソ) アルミなし
・クリソベリル(Chrysoberyl 金緑石) BeAl2O4 (アレキサンドライト)(酸化)
・ユークレース(Euclase) BeAl(SiO4)(OH)(単独派)
などがあります。どれもきれいな石。そして高い。
ま、要するに、ベリリウム鉱物は美しいものが多い、ということ――と思いきや、100種もあるんだったらそうでないものも多いということかな。どうもよくわからない。

アクアマリンというのは、宝石質の透明なものだとあんまり澄んでいて、淡い青で、ちょっと頼りないというか、面白みに欠けるというか。宝石としても高い部類ではないようで。
むしろ、透明度のない、青のはっきりした石のほうが、味わいがある感じ。「ミルキーアクアマリン」ね。むしろそう言って売り出せばいいのにと思う。
とはいえどちらも人気があるらしく高い。高級品はやはりすごく美しいけれど、お手頃値段品でも美しいです。結晶とミルキーのタンブル。両方とも Stone of Wakou 産で千円台。控えめに小さく。

アクアマリンの安ブレスレットについては別項で扱いましたが、別にアクアマリンのさらに安いブレスレットがあって(何でそんなに買う?)、それ、シラー(内包された層の輝き)が出るんですよね。おい、アクアマリンにシラーなんて出るか?
何やらインド産アクアマリンには、サンストーン混じりのものがあるとかいう話がある。え? アクアマリンとサンストーンは混じるか? ようわからん。
ま、それはそれで美しいのでよしとするか。
【追記】「アベンチュリン・アクアマリン」というラメの光るアクアマリンがあるようです。ラメがあるから「サンストーン」と形容したので、長石ということではなさそうです。

こちらは前にも書いたモルガナイトの原石。これも Wakou 産だな。

モルガナイトの透明なものは宝石クラスで、ファンが多いのか、モルガナイト専門店という石屋さんもある。びっくり。

エメラルドは四大宝石の一つということもあってやはり高い。で、「ミルキーエメラルド」(笑い)の安ブレスレットで楽しんでおります。白濁していても、いい色。ほわあっとなります。安いからちょっと黒い混ざり物がありますけれど。

ヘリオドールは稀少なせいかえらく高い。で、ミネラルフェアで見つけた1000円の小さな結晶。少し色は薄くて姿も素っ気ないけど、ヘリオドールの黄金の雰囲気は味わえる。(お手頃品ばっかだな)

ゴシェナイトは、うーむ、透明な石でもっと特色のある石は多いし、そもそも高いし。

ベリルのいろいろな色を並べてみたいけど、まあ無理ですな。

ベリルおよびベリリウム鉱物は美しく悩ましいのであります。


アンダルサイトのカラーチェンジ

2021-11-19 20:29:00 | 単品

アンダルサイトは、半額セールのルースと2個で450円の原石で満足していたのですけど、エヌズミネラルさんの25%オフでいろいろ見ていて(またですか)、透明性のある「結晶」がお手頃価格で出ていたので、また血迷ってぽちっと。(血迷いすぎw)

通常の反射光だと、うーん、ちいと地味。

しかし光に透かすと、オレンジっぽい色がきらめく。
ん? これは、と思って、例の「下から照明」で見てみた。
で、仰天。
オレンジはもちろん、紫、黄、緑など様々な輝きが……

動画はこちら。まあ写真も動画も実際の色は撮れないのが残念。
アイオライト丸玉ほどドラマチックではないにしても、すごい。

よかったですねえ。アンダルサイトを追っかけてきて。


クロコアイト

2021-11-18 20:10:10 | 単品

赤い石については前に書いているけど、
クロコアイトというのを買った。鮮やかに赤い。



クロコアイト(Crocoite 紅鉛鉱 PbCrO4)は数少ないクロム酸塩鉱物の一つ。
クロム元素はこの石から発見されたとか。

これは、ホリミネラロジーさん供給で、どこかのコレクターのコレクションだったものを、別の石屋さんがコレクションごと買い取って、ミネラルマルシェで売っていたもの(ややこしい)。
この石はそれほど高いものではなかったけど、ほかにいい石がたくさんあって(あちきには手が出ない)、なかなかのコレクションだった模様。
コレクターがコレクションして、その人が死ぬとコレクションはまた市場に出て誰かのコレクションになる。もちろんものがいいものならばの話。いいものが世に回るのはいいことだ。まああちきの場合いいものなんてほとんどないから……どうなるのかな。知らん。

泣く子も黙る(黙らんと思う)ホリミネラロジー産だけあって、鮮やかな赤が美しい。クロコアイトは時々重たい赤になってしまうけれど、これは濁りがない。

つらつら思うに、これが最初に買われた時期は、たぶん数十年前。
時折、「昔はもっときれいな石があった」という声を聞くけれど、クロコアイトもそうなのだろうか。
掘り尽くしたのか、それとも新興の某大国が買い占めているからか。
噂によると、その某大国は、ちまちま選ばないで「こっからここまで全部」、あるいは「山ごと」買い付ける。後から行ってもいいものは残っていないし、残っていても値をつり上げられる。厳しい時代になったよ、と。
あくまで噂。しかしまあ、商売というのはそういうところもあるものなのでしょう。バブル時代の日本だって、当時の古い先進国民から見れば、「新興のやつが買い占めおって」と思われたかもしれない。

それはともかく。
このクロコアイトは、古きよき時代の面影を湛えて、あちきの赤い石のコレクションの中で、たぶん一番鮮やかで強い赤を見せるものとなっているのです。


ピンクの石?

2021-11-17 21:02:04 | 漫筆

ピンク色。桃色。金色銀色(やめなさい。だいたい古い)
石がピンクだなんて、おかしいだろ。(そう言われても……)

いやそもそもピンク色とは何だ?
赤が白くなったもの? 確かに絵具では赤に白を混ぜる。
青が白くなっても青。緑が(略)。黄色が(略)。他の色にはならない。赤だけ、白くなるとピンクになる。これ変じゃね? いや、透明でもピンクというのはある。あれ、白混じってない。ピンクというのは何だ?わからん。(うざい)

ピンクの石はそれほど多くない。
ローズクォーツ、モルガナイト、クンツァイト、ピンクアメジスト、ピンクオパール、ピンクトルマリン、ピンクガーネット。ロードクロサイトやロードナイトもピンクに近くなることがある。
どれもけっこう人気がある。でもやっぱり鉱物とピンクはそぐわない感が残る。(しつこい)

*ちなみにローズクォーツとピンクアメジストの違いは何か。ローズクォーツは微量のアルミニウム、チタンを含む(チタンの効果で「スター」が出ることもある)。ピンクアメジストは2017年にパタゴニアで発見された新鉱物で(それ以前からアメジストでピンクがかったものはあった)、こちらは鉄分を含む。ローズクォーツはめったに結晶にならないが、ピンクアメジストは「ジオード」(晶洞)の形で産出し、その内部に結晶が群生する。こちらで割ったまんま売ってる。ううむ、ちょっとほしいかな。

ピンクは女の色、と相場が決まっている。
赤は男が身につけられないことはないけど、ピンクはちょっとねえ。
なんでだろう? ま、余計な想像はしないこと。
けれど、ピンクというのが人間にとって少し特殊な色であることは確かなことだろう。いや、民族が違うと違うのかな? ちなみに「肌色」という言葉はもう使ってはいけないらしい。むにゃむにゃ。
まあ、ジジイが石で持っている分には、別に取り締まりの対象にはならない。
あちきはこのミルキークンツァイトの安ブレスレットの色が好きでして。

何とも言えない、派手ではない柔らかい美しさがある。
カミさんは「もう年だからさすがにこういうものは付けられない」(あくまで要約。実際はもっと回りくどい表現)と言っている。「むしろオジイサンがすればいいんじゃない?」(こちらはそのまま)などと勧める。
してみようかしら。(よしなさい)

こちらはクンツァイトの原石。透明なものもあるけれど、こういう不透明も美しい。

こちらはモルガナイトの原石。



透明度はないけど、柔らかく繊細な、いい色。やさしい女性のようだけれどもやさしい女性というのはどこにいるのか。あ、いや、ごめん。そこにいますね。はいはい。(はいは一回でよろしい)
時々にぎにぎしていますけど、別にやさしい女性(もううるさい)

まあしかし、しつこいようだけれど、ピンク色の鉱物がある、ということ自体が、不思議と言えば不思議のような気がするんですよねえ。
つらつら考えるに、石というのは、非生命のもの。生命的でも生物的でも人間的でもない、そこに石の美の特質がある。それがピンクだと、妙に生命的になるから、ということかもしれない。
(おかしいとか言ってるくせにピンクの石けっこう持ってるじゃん)