貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

白雪石、じゃとお?

2023-05-21 13:08:11 | 単品


(騒がしいタイトルをつけるでない)
何ちう名前や。そんな名前の石あるん?(何か変な方言になってないか)
と、エヌズさんのサイトを見て唖然としたのでした。
「氷晶石/白雪石」とある。
《グリーンランド特産の往年の氷晶石と白雪石が混在した標本です。原産地標本。Ivigtut Cryolite Deposit, Ivittuut, Arsuk Fjord, Sermersooq, Greenland, Denmark.》
ネットで調べてみると、氷晶石とほぼ同じ成分の石らしい。ちなみに現代中国の画家に同じ漢字の人物がいる。何ちう名前や。「しらゆきいし」。(訓読みするな)

《氷晶石に似た白色の鉱物で、氷晶石と同じ元素で構成されるフルオロアルミン酸ナトリウムの一種である。イヒドゥートでは氷晶石、Cryolithionite(クリオリチオナイト/氷鱗雲母)とこの白雪石とが、初生フッ化鉱物として産した。……ふつうは自形単結晶を示さず、塊状の氷晶石中に脈状または斑塊状となって見い出される。》鉱物たちの庭
Ivigtut イヴィクドゥートは現イヒドゥート Ivittuut の旧称とのこと。(細かい)

つまり、
 氷晶石(クリオライト Cryolite)        Na2NaAlF6
 白雪石(キオライト Chiolite)         Na5Al3F14
 氷鱗雲母(クリオリチオナイト Cryolithionite) Na3Al2(LiF4)3

ほお。氷晶石のほうが結晶しやすいということかな。
氷鱗雲母は雲母ではなくガーネット・スーパーグループに属するらしい。は? この化学式でガーネット?

氷晶石は一つ持ってる。クリワさんで割合お安くでていたもの。記事も書いた。こちら
エヌズさんの商品写真と比べて、どこがどう違うかわからない。クリワさんは白雪石を表示しなかっただけか。
どうも気になって、あまり高くないのでポチッた。



とても美しい。基本的には前の石と同じだけど、氷晶石の結晶の輝きと白雪石の粉雪っぽい感じがよく出ているかな。「しらゆきいし」の命名もあながち不当というわけではない。そして名前を表示したほうが、あちきのようなロマンチスト(はあ?) が手を伸ばすからいいような気がする。

しかし、こんな美しい石が、アルミだかを採るためにガンガン掘られて取り尽くされたというのは、悲しいことではある。やっぱ人間というのは罪深いのかもしれない。


小さな国産水晶

2023-05-19 22:38:32 | 国産鉱物

国産鉱物というのは、まだよく知りません。なんか、混合岩石の表面に小さな赤い矢印が貼ってあって、「あ、そっちですか」みたいなのが多いイメージ。(こらw) 往年は輝安鉱など世界的な美石もあったとか聞くけど。
詳しい人は詳しいですね。(当たり前だ) 自ら採集する人もけっこういる。
持ってるのは、天川のレインボー・ガーネット玉川温泉の北投石京都の桜石生駒山鳴石然別湖のオパール黒部の孔雀石荒川鉱山の緑水晶黒曜石がいくつか、くらいかな。たまたま目について、有名だったり美しかったりしたから買っただけ。いかにもビギナーですな。

最近驚いたのが、アクチノライト。ツイッターですごく美しい国産標本を見てびっくりした。そしてこの前のフリマで似たのを探してみようかと思い、出会ったのが前記事のもの。いやあ、こんなものがあるんですねえ、という感じ。
知らないだけで、いろいろすごいものがあるのかもしれない。

     *     *     *

今回のフリマは、そんなわけで国産鉱物のブースを覗いてみた。
これは荒川鉱山の紫水晶。すごく小さいけど、形も色も美しい。この微妙にオレンジを含んだ紫はなかなかないような。なんかとても可愛らしいのですねえ。(オジジが使う表現ではないぞ)

前に買った荒川鉱山の緑水晶も淡い微妙な色がとてもお気に入り。荒川鉱山、いいですね。



それから甲武信鉱山の緑水晶。甲武信岳は昔々登ったことがあるので懐かしい。少し青みがかっている。クローライトですかね。素朴で清楚でこれも愛らしい。

どちらもとてもお安い。ネットで国産鉱物を見ると、だいたいけっこう高い。フリマは趣味人が出品しているから安いのでしょうかね。

     *     *     *

ついでに。もっと安かったのがこれ。オンファス輝石。300円。(安さ自慢をするなと)

糸魚川で翡翠と一緒に出る。地元では油石と言うらしい。翡翠じゃないねと放り出されることが多いけど、実はけっこう美しい。なにせ輝石ですし。

しかし国産鉱物はやっぱ難しいですね。自分で鑑別できる目を持たないと、よくわからない。まあ目についたものをぽつりぽつりとという感じで行くしかないかな。


アクチノライト 浅草石フリマにて

2023-05-14 21:48:28 | 国産鉱物

いい歳してと言われるだろうけど、どうもああいう人が多くて、物が多い場所というのは苦手なんですねえ。アワアワとなって、過緊張になってしまう。(ヘタレだねえw)
浅草石フリマです。去年も行って大ドジをやった。違う催事の列に並ぶし買った石の名前は忘れるし。
今回も出掛ける前はある出展者さんのブースに行くつもりだったのだけど、会場に着いたら完璧に忘れていた。今思い出してあきれているところ。
どうも大展示即売会というのは苦手。もう行くのはやめようかなと思う。(ほんとか?w)

でも、アワアワしつつ、いいものには出会った。
今回は国産もの中心にするつもりで2つほど探していたものがあり、その1つ。
アクチノライト。よく混合鉱物の中に地味ーに登場する石で、前に200円で買ったものがある。

ところが、少し前ツイッターで、針状結晶の美しい標本の写真を見た。「そういうのないかなあ」と探っていたら、これ。



雲母的な輝きを放つ放射状結晶。ちょっとセラフィナイトみたい。
裏。

きらきらとして美しい。すごくもろくて端っこがぼろぼろと崩れるけど。
愛媛県四国中央市関川産。

アクチノライトは、緑閃石、アクチノ閃石とも言い、カルシウム角閃石の一種。トレモライト(透閃石)の仲間。
こんなふうに美しい姿を取るとは思いませんでした。
ほかにも二、三、小さな国産ものをゲットしたのですが、それはまた。


ヘデンバージャイト(ヘデンベルグ輝石、灰鉄輝石)

2023-05-13 20:41:32 | ややレア

輝石というのはいい石です。翡翠、エンスタタイト、クンツァイトなどなど。前にもダイオプサイドのところで書きました。
橄欖石と一緒にマントルを形成する、基本中の基本の石。だけど変成作用を経て独立すると多彩になって美しい。
ヘデンバージャイトは、その中ではかなり地味系。あまり商品にはならない。でも輝石好きとしては一つは欲しい。とかねがね思っていたら、エヌズミネラルさんのヤフオクでお安めのが出ていたので。(またですか)





アップの写真だとド迫力に見えますけど、実は小さい。高さ2センチ。老眼にはちょっときつい。でもカクカクしていて黒光りしていて、とても美しい。透明度はないですけど。

組成は CaFe2+Si2O6。文字通り灰鉄輝石。しかしこの名前は橄欖石の一種ハルツバージャイトとこんがらかりますな。
mindat には「変成鉄層、Fe-Mnスカルン、アルカリ性花崗岩、キンバーライトのゼノリス」に産するとある。キンバーライトの中で見つかるんだ。
別のところには
《通常、透輝石と固溶体をなしており、Ca(Fe,Mg)Si2O6と書くことも多い。灰鉄輝石の色は緑色、濃緑色、緑褐色、褐色、灰緑色など。硬度5.5~6.5、比重3.65。主にスカルンに産する他、縞状鉄鉱のような鉄に富んだ堆積岩が広域変成作用や接触変成作用を受けることで生じるものや、アルカリ火成岩内に生じるものなどがある。》(鉱物岩石詳細図鑑

輝石のうちの「カルシウム輝石」には
 ダイオプサイド(透輝石)     CaMgSi2O6
 ヘデンバージャイト(灰鉄輝石)  CaFe2+Si2O6
 オージャイト(普通輝石)     (Ca,Mg,Fe)2Si2O6
 ヨハンセナイト(ヨハンセン輝石) CaMnSi2O6
などがある。ダイオプサイドとヘデンバージャイトがまじゃっちゃってよくわからんのがオージャイトっつうことかな。
しかし、ピジョナイト(ピジョン輝石)(Mg,Fe,Ca)2Si2O6 というオージャイトとほとんど同じのがあってヘデンと固溶体を作るとされているけど、なぜかそれはエンスタタイト(頑火輝石)Mg2Si2O6 と同じ「苦鉄輝石」に入っている。なんかよくわからん。

これでうちには、頑火輝石、透輝石、灰鉄輝石、普通輝石、オンファス輝石、翡翠輝石、エジリン輝石コスモクロア輝石、リチア輝石、が揃ったことになる。
ただし普通輝石はアウインの母岩として。

オンファス輝石はエクロジャイトとして。緑のやつ。

こうなったらヨハンセン輝石、ピジョン輝石も探してみるかな。


パーガサイト・イン・マーブル

2023-05-07 11:52:21 | 単品

ワンコイン・ミネラル。はっきりした結晶は見えないけど、淡い緑が大理石の清らかな白ににじんでいて、とても美しい。

パーガサイト(Pargasite、パルガサイト、パーガス閃石)は、NaCa2(Mg4Al)(Si6Al2)O22(OH)2。角閃石の一種。名前はフィンランドの地名から。
大きな結晶とかルースとかはレアものとしてえらく高価で出ているけれど、鉱物自体は非常に一般的な角閃石で、他の角閃石と固溶体を作る。mindat には次のようにある。
《「角閃石」標本の大部分は、おそらくマグネシオ角閃石またはパーガサイトのいずれかです。……角閃石では、角閃石はしばしばアクチノライト-マグネシオ角閃石-パーガサイト系列にあります。火山岩の巨晶では、角閃石はヘイスティングサイト、パーガサイト、ケルスタイトの中間であることが多い。エクロジャイトやその他の高グレードの苦鉄質岩では、角閃石はパーガサイトと Na-Ca角閃石の中間である可能性があります。》
角閃石というのはあちこちに顔を出す、鉱物の基本中の基本みたいな石ですね。石綿なんかも含んでいる。巨大でよくわからない。

パーガサイトは古くから知られている鉱物だけれど、1990年代からあちこちで美結晶が採られるようになったとか。エメラルドに似たグリーンが多いけれど、ルースなんかでは赤褐色のものもある。

大きな美結晶もほしいと言えばほしいですけど、これはまた別物として、とても味わいのある石だと思うのです。
ちなみに淡い青緑に蛍光もします。