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 小学校でオモチャを身近な材料で作っています。また、最近プログラミングで学校支援アプリを制作しています。

地域の皆さんが学校教育活動に参加する仕組み〔「学校へ行こう」のすすめⅥ〕

2021-05-27 13:24:00 | 社会に開かれた学校
 先の記事でコミュニティ・スクールを紹介しましたが、その対となるのがこの仕組みです。
 コミュニティ・スクールは、学校経営・運営に関わり協議する仕組みです。つまり学校の中でも“知恵”を出してもらうところです。しかし、学校の課題を解決する協議をしても、そこから先は「学校にお任せ」というわけにはいかないですね。実際、コミュニティ・スクールの委員が身近な人々に声をかけて、学校とともに活動するのが一般的です。文部科学省では熟議:協働:マネジメントを掲げていて、ボランティアで協働することを推奨しています。このような状況では、委員の人間関係でつながった限られた人にお願いすることになりますので、後から問題が起こる場合が多くあります。委員に任命された職務以外がいっぱいあったり、友人に協力を何度も依頼することで人間関係を壊してしまうこともあります。軌道に乗り成果が出るまでにはいくつもの山を乗り越えなければなりません。

 学校では、日頃の授業で地域の皆さんに参画してもらう動きがあることを紹介しましたね。これについては、一部の学校ですが〈〇〇学校応援団〉というのが、平成10年代後半から始まってきました。校長先生がPTA会長さんに「〇〇〇の授業を手伝う人はいませんか?」と相談するところから始まって、協力していただける方が膨らんでできたものです。文部科学省でもその重要性から[学校支援地域本部]という学校応援団を規定にしたがって充実させたものを提案したのが平成18年ごろからでした。
 
 どうして、地域の皆さんが学校教育活動に参加してもらうための仕組みが必要なのでしょうか。
 これからの学校教育には“地域との連携・協働”が必要だということは、これまでの〔学校へ行こう〕で紹介しましたが、もう一つ懸念するのが〔学校の多忙さ〕です。学校はブラック企業とも言われるほどです。新しいことを始めるに当たって、学校の負担を軽減するためにも何らかの仕組みが必要になってきます。

 もし、地域の皆さんが学校の教育活動に参加する仕組みがなかったら、



 学校の授業に地域人材を呼ぶ計画をした場合には、学校の先生が地域から探して、お願いして、断られて、また探して、・・・・・お願いして来てもらうことになります。地域のことを知らない学校の先生ですから、PTA役員の皆さんにも相談しなければ探せません。学校はその計画をすればするほど“忙しくなる”というわけです。

 そこで、仕組みがあった場合には、



 学校は計画を提示するだけで、地域住民の皆さんがやってくることになります。こんな仕組みがあるといいですね。

 そこで、学校応援団や学校支援地域本部では〔地域コーディネーター〕という人を置きました。現在は、法制化(社会教育法)されたので〔地域学校協働活動推進員〕と定められました。
 地域の皆さんが学校教育活動に参加する活動も、法制化されて〔地域学校協働活動〕と定められました。

※ 法律に定めるときにはカタカナは使えないそうです。そうゆうことで 地域学校協働活動 地域学校協働活動推進員 と漢字になったそうです。
 



 地域学校協働活動推進員(以下:推進員と記述)は、学校を所管する教育委員会が委嘱します。

 その配置と役割は次のように定められています。



 実際、どのように機能するかです。



 学校は「〇〇の時間に◇◇の人に学校に来てほしい」と推進員に依頼します。推進員は該当する人を探して連れてきます。これで大丈夫!・・・・。
 しかし、私が“学校支援”に関わった中でも問題がいっぱいありました。推進員の力量が大きく左右します。誰にもできる仕事ではありません。人と関わる仕事ですから、うれしいこともありますが悔しい悲しい思いもいっぱいあります。時間が迫ってくると一人で思い悩み解決できないこともあります。

 そこで、希望者を募って人材名簿を作成したりもしましたが、そこでも、「希望してもお呼びがなかった。」とか、お願いしても断ってばかりの人もおられます。

 そこで、これらを改善する仕組み①です。


 学校は地域学校協働活動の年間計画を作ります。一年分でなくても次のひと月分の計画でもいいです。計画を推進員に渡すと、推進員は、あらかじめ登録された皆さんにメールや手紙、ホームページなどで、それぞれの教育活動に参加できるかを問います。登録者は、例えば 〇参加する。×参加できない。△困ったときには相談に応じます。として答えます。返事を集計して、それぞれの教育活動別に参加者を決定します。決定できないところがあれば△者に相談して決定します。全て決定したら、決定者全員に知らせます。教育活動別に支援者のリーダーをお願いして、その方から連絡してもらってもいいですね。リーダーを決めておくと、活動前の事前連絡や相談などもやりやすいですね。
 この仕組みは、希望した個人支援者の集まりのようなイメージとして受け止められたと思います。平成20年代前半の仕組みはこのようなものでした。

 次は改善の仕組み②です。

 この新しい教育は、将来の日本で人が生きていくためには、人づくりだけ教育したのでは豊かな暮らしはできないのではないか、人と人とがつながった中で生きていくことを視野に入れた地域づくりも加味した社会を創造していくことが必要ではないかということが議論されての教育改革です。

 ちょっと詳しく話すと、小家族や一人暮らしが増えて“孤立化”が進んできました。頼るのは自分と行政だけになってしまっている社会となってきました。しかし、今各地で頻発している自然災害(地震や風水害など)が起こった時に頼りになるのが隣にいる人々であることに気づきました。日頃から人と人のつながりを大切にしようということです。人と人のつながりは地域づくりの基礎ともいうものです。地域に根差した人づくりが、将来の豊かな生活を約束してくれると気づきました。

 そこで、できるだけたくさんの多様な皆さんを巻き込んだ仕組みにしようしたのがこの仕組みです。



 黄色の丸で現したのが、地域の団体・会社・官公庁・組合・NPO・各個人などの人の集まりです。説明会や戸別訪問をして、できるだけたくさんの多様な人々に参画を呼び掛けます。集まった皆さんを、主体性を尊重して、人づくり・地域づくりの目標でつながった緩やかなネットワークでまとまった仕組みとします。これを文部科学省では〔地域学校協働本部〕と呼んでいます。ここの中心にいるのが推進員です。仕組み①に比べると、推進員の仕事を大いに助けてくれる人々が増えたということです。
 ここからは、熊本県で勧めているものです。黄色の〇で示した団体の代表に集まってもらいます。そこに推進員と学校担当者が地域学校協働活動年間計画を提示して、項目別に「この〇〇教育活動に参加してくれる人はいませんか?」と希望を募ります。「私たちが行きます。」と決めていきます。この会議をコーディネート会議と呼んでいます。この会議を毎月開ければいいですが、少なくとも学期に2回は開くといいのではないかと思います。このような仕組みにするとたくさんの地域学校協働活動に対応することができますから、学校は気兼ね無く地域学校協働活動を計画することができますし、たくさんの地域人材を活用することで、この事業の理解も進みますし、参画者同士のつながりにも有益なものとなります。推進員の仕事も①と比べたら違ってきます。人探しは会議で済みますので、この機能がスムーズに進むように配慮することが仕事になります。例えば、推進員は活動の一週間前に準備の状況を聞きますが、その時思うように人が集まっていなかった場合には、他の団体に協力を求めたりします。仕組みを作っただけでは動きません。そこには生じた課題に対応する人がいて動くようになります。それが推進員の仕事になります。

 これが地域学校協働本部です。



この仕組みを作るのは学校を設置する教育委員会の仕事と規定されています。

 社会教育法第5条2項抜粋「市町村教育委員会は地域住民その他の関係者が学校と協働して行うもの(以下「地域学校協働活動」という。)の機会を提供する事業を実施するに当たっては、地域住民等の積極的な参加を得て当該地域学校協働活動が学校との適切な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるよう、地域住民等と学校との連携協力体制の整備、地域学校協働活動に関する普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。」

 これまでをまとめると



 学校運営協議会は絵の左側にある方形のテーブルで表現されています。学校経営の一端を地域の皆さんが担います。学校経営の方針や運営、課題に対する解決の方法を協議するところです。知恵を出してもらうところです。絵の右側が地域学校協働本部です。学校の教育活動に地域住民が参画する仕組みです。ここでは大人がこれまで生活や仕事で身に着けたスキルを発揮してもらいます。汗を流してもらうところです。

 この二つを両輪として、学校づくりと地域づくりを推進していきます。基本的には学校は人づくりですから、地域づくりの成果が見えるようになるのは子どもたちが大人になって社会の中心として働くときです。10歳の子どもが働き盛りの40歳になる30年後ほどではないかと思います。

 最後に〔地域学校協働活動〕について紹介します。時間がありましたら読んでください。










 最後まで読んでいただいてありがとうございました。内容については次の冊子を参考にしました。






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