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2022年は客観的な予想を心がけます。

フェブラリーS(GI)回顧

2008-02-26 15:36:30 | 回顧
【馬場】天候:晴、ダート:良。風が強い。

12.4 - 10.9 - 11.5 - 11.9 - 12.4 - 12.4 - 11.7 - 12.1=1:35.3

【展開】ヴィクトリーがハナ。2ハロン目を10秒9と飛ばし、半マイル通過46秒7の緩みない流れ。底力を要求され、これを正攻法の競馬からラスト1Fを12秒1でまとめた勝ち馬はお見事。

 もはや国内に敵はなし。ヴァーミリアンがGⅠ4連勝を飾り、ドバイ遠征に向けて弾みをつけた。この中間は一頓挫あって川崎記念を自重。厳寒期に調教を休んだとあってこの日は7キロ増。トモの踏み込みは迫力満点だったが、腹回りの締まりは今ひとつだった。課題だった発馬を決めると、15番枠から少し気合いを付けて好位へ。懸念された追走に戸惑うどころか、掛かるくらいの行きっぷりで絶好の手応え。流れの緩んだ4角でスーッと持ったままの手応えで進出。抜群の脚力で持ったまま坂上から先頭に並びかけ、残り300㍍地点でスパート開始。他馬をアッという間に置き去りにし、グングン加速。正攻法の競馬でラスト1Fを12秒1でまとめる強さで圧勝した。勝ち時計1分35秒3はパサパサの馬場を考えれば優秀。本調子にないなかでこの強さ。昨秋の快進撃は伊達ではなかった。

 古豪ブルーコンコルドが得意のマイルで変わった。好発を決め、テンは自らハミを取るやる気を見せて好位追走。行きたがることなくスムーズな競馬。懸念された3,4角で内へモタれることなく真っ直ぐ走れた。珍しく直線入り口では持ったままの手応え。直線入り口でビッググラスに被されて内へ押し込まれたために、狙っていたデアリングの外の進路を取れず。一瞬の加速力がないために外からどんどんと来られて位置取りを落とす。幸が懸命に手綱をしごき左ステッキも入る。残り300㍍を切ったあたりから、早めに抜け出したヴァーミリアンの進路を通る。エンジンの掛かったラスト1Fからはパワフルなフットワークでグイグイと伸びる。最後は勝ち馬を凌ぐ脚色だった。相変わらずエンジンの掛かりが遅く、本来はインを通って成功するタイプではない。今回はヴァーミリアンの強さに〝恩恵〟を受けた形。最後の脚は本物だし、好調時と何ら変わらないもの。左回りのマイルが合っている。

 大外枠発走のワイルドワンダー。発馬地点だと不思議と出遅れない。グリップが利いているのか。道中は前のヴァーミリアンをマークする形で、中団の外めを追走。ハミをグッと噛んで顎を下げる。岩田が手綱を引っ張り懸命になだめる。力んで走っているために知らず知らずのうちにスタミナを消耗する。4角から直線入り口にかけて痺れる手応えでヴァーミリアンに並びかける。この時点では勝利を意識するほどのもの。だが、残り2Fから追い出されると、思ったほど弾けず突き放されてしまった。現時点での力差と言うなら簡単に説明がつく。だが、敗因ははっきりしている。展望から何度も言っているように、道中の行きっぷりの良さに問題がある。ハミを噛んで前へ前へと気持ちが行くために力んで体力を消耗。絶好の手応えに見えて伸び切れないのはそこに原因がある。距離云々ではなく、これを解消しない限りにはもう1つ上のステージには進めない。

 ロングプライドは発馬で行き脚がつかず。テンに追っ付けて後方馬群まで取り付く。ここでかなりの脚を使ってしまう。4角から直線にかけて大外を通って絶好の手応え。前のヴァーミリアン、ワイルドワンダーを射程圏に入れる。だが、追ってからの伸び脚は案外で、最後まで同じ脚色で4着を死守するのが精一杯だった。テンに脚を使わされたのも響いたが、距離も忙しかったか。

 リミットレスビッドは短期放牧明けで追い不足だった前走を叩かれ、この中間は攻めを強化。デキがグンと上向いていた。道中は中団馬群のなかで脚をタメる作戦。抑え切れない感じの手応えだったが、何とかなだめられる。4角から直線にかけて持ったままの絶好の手応え。ギリギリまで追い出しを我慢し、残り2Fを切ったところでスパート開始。だが、残り150㍍地点で前が壁になる不利があった。そこで一旦手綱を引っ張って後退する場面がなければ3着はあったかもしれない。3連単馬券を握っていただけに悔しい。デキと折り合い次第でマイルも守備範囲。

 ドラゴンファイヤーはマイルの速い流れに戸惑った感じだ。3歳時はマイル戦線で活躍してきたが、一線級相手だったジャパンCダート、平安Sではズブさを見せてスピード不足の印象だった。時計の掛かる中距離で渋太く差す競馬が合っている。上がりが掛かる意味では、直線に坂のある阪神、中山向き。

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京都記念(GⅡ)回顧

2008-02-26 15:34:39 | 回顧
【馬場】Cコース。野芝約8~10cm、洋芝約10~14cm。内が荒れてパワーを要する馬場。

12.9 - 11.3 - 12.5 - 12.4 - 12.6 - 12.6 - 12.3 - 11.7 - 11.3 - 11.9 - 12.1=2:13.6

【展開】シルクフェイマスがハナ。1角から3角までの4ハロンが50秒1という緩い流れ。後続は横一線の瞬発力勝負。外を通った馬有利。

 牝馬に2度は負けられない。昨年のダービー3着馬アドマイヤオーラが約1年ぶりの勝利を手にした。下見どころからキビキビとした歩様で、柔らかい身のこなし。抜群の気配だ。道中は中団より後ろめのポディションからの追走。折り合いもスムーズでしっかりと脚をタメる。向こう正面中盤から馬場の良い外めに出す。緩い流れにも慌てずジックリ。残り600㍍を切ったところから抜群の手応えのまま、馬群の外めを通ってジワッと進出。4角から直線入り口にかけてスーッと加速。ノーステッキのまま、一瞬の脚力の違いでグンと加速。一気に先団に取り付き、残り1ハロン手前から左ステッキ2発が入る。重心をグッと沈め、ステッキに対してモタれることなく真っ直ぐ駆けて差し切った。凄い脚力でGI級の決め手。ゆったり追走できるこの距離が合っているか。あとは折り合いだけ。

 アドマイヤフジは20㌔増。入念に乗り込まれていただけにそれほど気にしなくてよかったか。返し馬で多少フットワークが硬かったのは気になった。好発を決めてスッと先団を伺うも、スローで馬群が固まり、1,2角では馬群の外めを通らされてロスが大きかった。向こう正面からは無理することなく好位の後ろまでポディションを下げる。前に馬を置き、しっかりと脚をタメる。直線入り口での手応えが悪く、勝ち馬には一瞬の脚の差で引き離される。一完歩毎にジワジワと脚を使って確実に追い込んだ。決め手で勝ち馬に劣るも、時計を要す条件で。広くて2400㍍くらいの距離が合っている。

 シルクフェイマスはポンとハナへ。他馬の競り合いもなく1角から息を入れ、3角までの4ハロンを50秒1という超スローに落としての逃げ。にもかかわらず3角では5,6馬身の差があり、下り坂からジワッとペースを上げて更に差を広げる。前半にたっぷりと貯金していたために4角では11秒3と速い脚を使って一気にスパート。直線入り口ではセーフティリードと思える差。ラスト1Fで捕まった。ペースを考えれば不満の残る内容だが、長期休養明けの叩き2走目の9歳馬を考えれば頑張っている。

 ドリームパスポートは道中、中団馬群のインに潜り込む。鞍上が抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。3角の坂を慎重に下るも、ハミを噛んでしまう。テンから余分なスタミナを消費。直線でインから馬場の3分どころへ持ち出す時に一瞬は手綱を引っ張るシーンがあったものの、気にならない程度。狭いところを割って伸びてきたが、外差し馬場で苦しかった。5番枠発走で折り合いに難があり、競馬内容に制限があった。突き抜けてもおかしくない力の持ち主だが、何かもどかしい。現時点ではもっと流れるレースがベスト。絞れつつか。

 トウショウナイトは無理することなく、ジワッと好位の真ん中。特に早めに動くこともなく直線入り口を向いての横一線の追い比べ。残念だったのは直線のコース取り。武士沢騎手は右手綱を引いてインに突っ込んだ。2連続開催の最終週の馬場状態を考えれば、センカクの外めに誘導すべきだった。ナイト自身にはそれだけの脚が残っていたし、できる場面はあった。一完歩毎にジリジリと差を詰めていたものの、外めを通った馬とは勢いに違いがあった。着差が着差だけに悔しい。

 ウオッカは久々でも好仕上がり。16番枠から発馬で隣馬のステッキに過敏に反応して外に膨れる。その後はガッチリ手綱を抑えて、ポツンと離れた後方2番手からの追走。行きたがる面は相変わらずで、折り合いを欠く。向こう正面中盤ではガツンと掛かって一瞬はアドマイヤオーラの後ろまでポディションを上げる。そこからまら手綱を抑えて下げる。慎重に坂を下って大外へ。直線入り口での加速力は今ひとつで、ジリジリとしか伸びなかった。上がり3F33秒8だが、インパクトは薄かった。56㌔を背負い、折り合いを欠き、パワーを要する馬場で右回りと悪条件が重なった。

 ダークメッセージは道中から手綱が動き通しで脚をタメる場面がなかったし、4角でペースが上がった時にはズブさを見せて置かれてしまう。直線で手前をキッチリ替えたものの、弾けるシーンはなかった。2200㍍は距離不足。

 トウカイトリックは発馬で手綱を押して前へ。1角からはスンナリと好位の外めで流れに乗れた。前走に続いて2200㍍だから追走に苦労することはなかった。4角でズブさを見せたものの、直線はジワジワと脚を使った。勝ち馬からコンマ4秒差なら悪くない。距離が伸びれば更に。

 フサイチホウオーは返し馬からハミを噛んで精神的なモロさを見せた。レースでも前捌きが硬く、フットワークがバラバラ。全く見せ場がなかった。皐月賞3着が1年も経たないうちに急激に力を落とすことは考えづらく、精神的なもの。鞍上によれば息遣いも今ひとつとのこと。