1979年に国鉄へ就職し、柳井保線支区で軌道掛として働き始めました。
秋から冬にかけてはレール交換のシーズン、1時間の保守間合いで作業しました。
上りは12時台、下りは14時台でしたが、下りの保守間合いの始まりを告げる列車が、西のゴハチの重連…末期はEF61の重連で有名だった、あの「荷37レ」なのです!
レール交換直前なので、既に下準備として枕木との固定ボルトが半分以上外してありました…そこを豪快に進んで行く重連の機関車…今回の競作は、その頃の光景を思い出しながら製作しました。
台枠は、集積材で作り築堤とするため薄く作っています。当然、これまでのモジュールと高さは合わせてあります。
50Nレールを表現するため、下り線はPECOのコンクリート枕木に、シノハラ製のコード83レールを差し込んでいます。上り線は、ユニトラックコンクリート枕木線路を使用しました。
一方、交換用のレールは60Nレールを表現するため、シノハラのコード100レールを赤錆色に塗った後、踏面を磨いています。そして、ある“小物”を表現…
バラストは、ウッドランドシーニックを使用し、築堤を覆う草は枯れススキを表現し、田んぼは稲刈り後を表現するため麻ひもをプラスターに植え、翌日の乾燥後に刈り取って表現しました。
レール間には、枕木とレールの間に挟むレールパットを、枕木の数×レールの本数だけの枚数を置きました。外したボルトを再現したかったのですが、本数が多すぎて断念してしまいました…
バールやレンチは真鍮線から、黄色いレール山越機はアングル材から製作しています。
架線柱は、KATO製で、通信ケーブルを再現してみました。
ところで、レールに表現した、ある“小物”…
それは、ある年の冬…ロングレール交換のため作業の準備を行っていたときのことでした。
荷37レの1本前の普通列車から徐行がかかっており、その普通列車(153系電車)が目の前をゆっくりと通過していきました・・・が、その車端部のトイレ流し管から、“思い出”の詰まった黄色い「お土産」が新品のレールの上に!! 山越機担当だった私を含めた3人は
『えぇ~!』
この“思い出”の詰まった『お土産』をどうするのか? 水で流したいがバケツは何処か? 37レはもうすぐやって来る…
現場の副作業長と、やってきた助役とで出た結論は…
『超勤1時間で…』との、大人の対応でした(笑)
無事に交換を終えた後は近くの川で、工具に付いた“思い出”を水に流しました。
今なら、O157が…と問題になるでしょうね…それより、あの普通列車に徐行がかかってなかったら『お土産』の行方はどうだったのでしょうか…?