よしーの世界

好きな神社仏閣巡り、音楽、本、アートイベント情報を中心にアップします。

だめだし日本語論   橋本治+橋爪大三郎

2020-08-03 07:18:41 | 
外国人は日本語が難しいという。確かに漢字とひらがなとカタカナがあるし、同じ音でも虫、蒸し、無視、無私

と全く違う意味の言葉があり、一つの表現でも私、自分、僕、俺、あたし、うちのように無数にある。さらに敬語

もあり、時代によって言葉が変化し、外来語のように元々の国の人には全く通用しない言葉がある。世代や住

んでいる地域、環境によって違うということも含めれば、どれだけ勉強すればいいのだと途方に暮れるだろう。

国会中継を観ていても何を言いたいのだろうと訝しみ、役所言葉の難解さは尋常ではない。


本書で橋本氏が展開する日本語論ではそもそも文字を持たなかった日本人が、いい加減に漢字を使うところ

から始まったと言う。そして日本語には、これが正しい日本語だという検証をすることがなく、最初から「複数の

もの(流れ)がある」と理解したうえで始めないとわかるものもわからなくなってしまう。なるほどそれが本質か

と思えば大きく頷くことが出来る。


日本語は日本人の思考に大きく影響を与える。複雑な人間関係にも、言葉の通じない歯がゆさも日本人同士

でさえ感じる。故に日本人の多様性もある。議論が苦手なのも、同調圧力に従いがちな傾向も日本語の面倒

臭さにあると言える。


それだけに日本語の面白さがあると思える。特に個人主義に走りがちな欧米人が、日本語を取得すると謙虚

さが先に出るのは日本語の特性によるものだと思え、それを美徳ととらえる外国人も多い。日本語を学習し語

彙を増やしていく事で、多様な人間関係にも対応が可能だ。本を読み、他人とのコミュニケーションをとること

を続けていけば生活に潤いが出ていくだろう。


だめだし日本語論    橋本治+橋爪大三郎      太田出版
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする