世界の中の日本を考えていくと最終的にモヤモヤ~っとしたところに行きつくが、それは太平洋戦争の
片を私たちがキチンと付けていないという事に思い当たる。最近読んでいる本には、その指摘が多く見
られる。本書も正しくそうで、いずれ読もうと思っていた「東京プリズン」を書いた赤坂真理氏の著作
だ。
冒頭の「人が電気で死ぬところを見たことがある」という書き出しにもショックを受けたが、例えば「
憲法」について、憲って何?という問い(私は考えたこともない)を著者は20人に聞いているが、最後
に答えてくれた仏文学者が「『憲』は、おきてという意味だから、憲も法も同じようなことを言ってい
ることになりますね」と答えてくれている。私たちが何となく、こういうものかと認識している言葉を
著者が明らかにしてくれた。
本文中の「大日本帝国軍は大局的な作戦を立てず、希望的な観測に基づき戦略を立て(同盟国のナチス
・ドイツが勝つことを前提として、とか)陸海軍統合作戦本部を持たず、嘘の大本営発表を報道し、国
際法を現場に徹底させず、多くの戦線で戦死者より餓死者と病死者を多く出し、命令で自爆攻撃を行わ
せた、世界で唯一の正規軍なのである」という記述は物凄いし、著者は「それは、正規軍と言える質だ
ったのだろうか?」と問うている。
学生時代に日本史では太平洋戦争を詳しく勉強していないし、卒業し調べようとすると曖昧な表現が多
いと感じていた。しかし最近の本では作戦の首謀者の名前もしっかり出ており、何が間違っていたのか
検証に耐えうるものが増えている気がする。
本書では太平洋戦争だけを取り上げているわけではない、日本語の曖昧表現、安保闘争、オウム、著者
が参加した地域会議等々、「総括されないものは繰り返される」と著者は指摘する。そして日本人は総
括が大の苦手だ。著者が英語と日本語の間で葛藤し、悩み苦しんだ過程を私たちも知らなければ、いく
つかの問題について、しっかり議論出来ない。沢山の人に読んでほしい本だ。
愛と暴力と戦後とその後 赤坂真理 講談社現代新書
片を私たちがキチンと付けていないという事に思い当たる。最近読んでいる本には、その指摘が多く見
られる。本書も正しくそうで、いずれ読もうと思っていた「東京プリズン」を書いた赤坂真理氏の著作
だ。
冒頭の「人が電気で死ぬところを見たことがある」という書き出しにもショックを受けたが、例えば「
憲法」について、憲って何?という問い(私は考えたこともない)を著者は20人に聞いているが、最後
に答えてくれた仏文学者が「『憲』は、おきてという意味だから、憲も法も同じようなことを言ってい
ることになりますね」と答えてくれている。私たちが何となく、こういうものかと認識している言葉を
著者が明らかにしてくれた。
本文中の「大日本帝国軍は大局的な作戦を立てず、希望的な観測に基づき戦略を立て(同盟国のナチス
・ドイツが勝つことを前提として、とか)陸海軍統合作戦本部を持たず、嘘の大本営発表を報道し、国
際法を現場に徹底させず、多くの戦線で戦死者より餓死者と病死者を多く出し、命令で自爆攻撃を行わ
せた、世界で唯一の正規軍なのである」という記述は物凄いし、著者は「それは、正規軍と言える質だ
ったのだろうか?」と問うている。
学生時代に日本史では太平洋戦争を詳しく勉強していないし、卒業し調べようとすると曖昧な表現が多
いと感じていた。しかし最近の本では作戦の首謀者の名前もしっかり出ており、何が間違っていたのか
検証に耐えうるものが増えている気がする。
本書では太平洋戦争だけを取り上げているわけではない、日本語の曖昧表現、安保闘争、オウム、著者
が参加した地域会議等々、「総括されないものは繰り返される」と著者は指摘する。そして日本人は総
括が大の苦手だ。著者が英語と日本語の間で葛藤し、悩み苦しんだ過程を私たちも知らなければ、いく
つかの問題について、しっかり議論出来ない。沢山の人に読んでほしい本だ。
愛と暴力と戦後とその後 赤坂真理 講談社現代新書