これは本当にスゴイ作品です!文庫版は上下巻で800ページを超える長編ですが、その展開の凄ま
じさにページをめくる手が止まらず、アッという間に読んでしまった感があります。何しろ犯人は情
報を操ることが出来る、ほぼ神。現代社会では神と言って差し支えないでしょう。ライムを始めサッ
クス、ロン・セリットー、プラスキーといったおなじみの面々が完全に翻弄され、窮地に落とされま
す。
シリーズもここまで来るとメンツが揃った時にホッとする空気が流れ、ユーモアたっぷりに描かれる
情景(メル・クーパーのタクシード、プラスキーの派手なアロハは嬉しくなってしまう)に和んでしま
いますが、そこからの犯人の怒涛の反撃に空恐ろしさを覚えました。普段カードを使い、電車に乗り、
防犯カメラに顔をさらし、ネットで買い物をする自分が投影されて、その無防備さに慄然とする。
ライムのいとこの登場は全く唐突でサックスでさえ、その存在を聞いたことが無いのに、物語の中で
ライムが今まで話さなかった事がよく、よーく分かります。というか本シリーズは人物描写が見事す
ぎるのです。「ボーン・コレクター」から読むとライムの心境の変化やサックスの自己確立する過程
が素晴らしく、プラスキーを筆頭に周囲の個々の人物たちも実に丁寧に描かれている。高校生のパム
も「ボーン・コレクター」「ウォッチ・メーカー」を先に読んでおくとサックスとの関係性がよく分
かるようになっています。
巻末に著者あとがきと著者と児玉清氏の対談が掲載されていますが、これが本当に面白い。著者は勿
論膨大な取材をしますが、梗概(小説・戯曲などの大要を短くまとめたもの、あらすじ)を書くのに
朝から夕方までフルタイムで働いて7カ月にも及ぶという。納得の出来だ。ワクワクしながら読み終
えることが出来て、読後に心に残るモノがある、お勧めの本です。
ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋
じさにページをめくる手が止まらず、アッという間に読んでしまった感があります。何しろ犯人は情
報を操ることが出来る、ほぼ神。現代社会では神と言って差し支えないでしょう。ライムを始めサッ
クス、ロン・セリットー、プラスキーといったおなじみの面々が完全に翻弄され、窮地に落とされま
す。
シリーズもここまで来るとメンツが揃った時にホッとする空気が流れ、ユーモアたっぷりに描かれる
情景(メル・クーパーのタクシード、プラスキーの派手なアロハは嬉しくなってしまう)に和んでしま
いますが、そこからの犯人の怒涛の反撃に空恐ろしさを覚えました。普段カードを使い、電車に乗り、
防犯カメラに顔をさらし、ネットで買い物をする自分が投影されて、その無防備さに慄然とする。
ライムのいとこの登場は全く唐突でサックスでさえ、その存在を聞いたことが無いのに、物語の中で
ライムが今まで話さなかった事がよく、よーく分かります。というか本シリーズは人物描写が見事す
ぎるのです。「ボーン・コレクター」から読むとライムの心境の変化やサックスの自己確立する過程
が素晴らしく、プラスキーを筆頭に周囲の個々の人物たちも実に丁寧に描かれている。高校生のパム
も「ボーン・コレクター」「ウォッチ・メーカー」を先に読んでおくとサックスとの関係性がよく分
かるようになっています。
巻末に著者あとがきと著者と児玉清氏の対談が掲載されていますが、これが本当に面白い。著者は勿
論膨大な取材をしますが、梗概(小説・戯曲などの大要を短くまとめたもの、あらすじ)を書くのに
朝から夕方までフルタイムで働いて7カ月にも及ぶという。納得の出来だ。ワクワクしながら読み終
えることが出来て、読後に心に残るモノがある、お勧めの本です。
ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋