本書の帯には「こんな住職のいるお寺とは縁を切るべし!」として、以下の項目を挙げている。
◯お墓を移るとき、お布施を請求された
◯やたら「いまの日本人は信仰心が薄くなった」という
◯高級車に乗っている
◯いつもゴルフの話
◯将来に跡を継ぐ住職の息子が、学校でビリの成績
◯宗教が税金を払ったら負けだと考えている
私は宗教に関心があり、関連本も読んでいるし、各地の寺を訪ねるのも好きだ。しかし、葬式等で
接する住職たちには失望することが多く、観光寺院の拝観料にも疑問を持っている。著者自身「私
の知る住職たちは、高級車に乗っているし、ギャンブルやゴルフに没頭している」という声に、そ
れは事実だと肯定している。
現役の住職である著者による仏教におけるお金と制度の問題提起は有意義である。内部から変わり、
現代社会と宗教との関りも変化があってしかるべきと思う。
著者が若かりし頃に留学し、体験したロサンゼルスの寺院では、葬式や法事は勿論、同時に地域の
コミュニティスペースとして、茶道、華道、武道、書道、太鼓の会があり、公文式の勉強を教え、
お盆には焼きそば、たこ焼きをふるまい、正月にはアメリカナイズされたおせち料理を作っていた
という。これこそが、今の日本の寺院に最も必要とされるものと感じた。
お寺の収支報告書 橋本英樹 祥伝社新書