本書は突撃シリーズ第一弾!「さいはての中国」の続編です。第一弾では「中国のシリコンバレ
ーをさまようネトゲ廃人(深圳)「広州に出現したアフリカ人村」「内モンゴルの超弩弓ゴース
トタウン」などなどとても面白そうですが残念ながら私は未読です。それにしても中国のスケー
ルは国の広さや人口の多さだけではなく、実にワールドワイドです。
今回も著者はアフリカ内陸部の小国ルワンダに飛んでいます。ルワンダは1994年の内戦で有名
ですが、カガメ大統領のもとで経済復興が進み、「アフリカのシンガポール」を合言葉にスマー
ト国家への脱皮が図られています。著者の宿泊したホテルの経営母体は中華財閥、そこは中国人
の出張族であふれかえり、アフリカに特化した中華系ケータイが幅を利かせています。そして著
者をガイドした地元のエリートは「ルワンダがモデルにするべき国家は中国だ。政治的安定、経
済発展、イノベーションを実現するには中国みたいな体制が必要なんだ」と言い切る。
さらにカナダでは秘密結社「洪門(ホンメン)」に突撃取材し、北京の中国地質大学で、今世界
の恐竜研究で最もホットな国の有名な若き恐竜研究者と盛り上がり、タイではアジア潜行2000日
のツワモノ民主活動家と密会し、ニューヨークに赴き裸一貫から政商に成り上り、ユーチューブ
で中国政府要人の暴露ショーで国際指名手配をうけている人物の話を聞きます。
著者の行動力と取材力にも驚かされますが、強大な権力を持つ国の内外でしたたかに生き抜く中
国系の人々のバイタリティーは凄まじいものがあります。日本も世界と対峙し、世界を知り、世
界を相手に(中国とは異なる)様々な活動をすべきと実感しました。
もっとさいはての中国 安田峰俊