ニニギノミコト様
天照大御神さまの孫で
初代神武天皇陛下の曽祖父
である。
ある日、ニニギノミコトが、気持ちよく散歩をしていた時のことです。
それはそれは美しい姫に出会いました。
「あなたはまるで可憐(かれん)な花のように清らかで、何とお美しいのでしょう」
ニニギノミコトさまはひと目でその娘に恋をしてしまいました。
「あなたのお名前は?」
「私は山の神オオヤマツミの娘で、コノハナサクヤヒメと申します」
「あなたに兄弟はいらっしゃいますか?」
「はい、イワナガヒメという姉がおります」
名前のとおりに、まるで花が咲いたように美しいコノハナサクヤヒメに、
ニニギノミコトさまはすぐに結婚を申し込みました。
コノハナサクヤヒメにしてみれば、
ニニギノミコトさまは何といっても天つ神の皇子でりっぱな若者。
しかも自分に好意を持ってくれることをとてもうれしく思いました。
そこで、コノハナサクヤヒメは
「私もあなたと結婚したいと思っています。
ですが、何しろ突然のことですので今すぐお返事をするわけにはまいりません。
一度家に帰って父のオオヤマツミに相談いたします。そのあと父がお答えするでしょう」
と、自分の家へ帰ってゆきました。
ニニギノミコトはさっそくオオヤマツミのもとに使いの者を送り、
コノハナサクヤヒメと結婚したい気持ちを伝えました。
娘のコノハナサクヤヒメがニニギノミコトから結婚を申し込まれたことを知ったオオヤマツミは、大喜びです。
「これはこれはめでたいことだ。
娘を嫁(よめ)に出すときには、ニニギノミコトさまのこれからの
幸せを祈(いの)って、たくさんの贈り物をしよう」
そして、山ほどの贈り物を
コノハナサクヤヒメに持たせ
なぜか、
姉のイワナガヒメも一緒に
ニニギノミコトのもとに嫁(とつ)がせました。
コノハナサクヤヒメ
を迎(むか)えたニニギノミコトは幸せいっぱいでした。
ふと見ると一緒に
姉のイワナガヒメも来ているではありませんか。
木の花のようにサヤサヤと美しいコノハナサクヤヒメ。
反対に姉のイワナガヒメはというと、岩のようにゴツゴツとしたみにくい顔です。
ニニギノミコトさまはひと目見るなりこわくなってしまいました。
「私と一緒に姉を嫁がせたのは、
あなたのためを思った父の心づかいなのです」
コノハナサクヤヒメが
いくら言ってもニニギノミコトさまは聞き入れず、
とうとうイワナガヒメをオオヤマツミの元へ返してしまいました。
イワナガヒメが帰されたことにおどろいたオオヤマツミは
「私が二人の娘を嫁がせたのには意味があるのです。
コノハナサクヤヒメを妻にすれば木の花の咲くようにお栄えになったでしょう。
また、イワナガヒメを妻にすれば岩のようにビクともしない永遠の命を持つことができたでしょうに。
こうしてイワナガヒメだけ返したことで、ニニギノミコトの命は、いつの日か花のようにはかなく散ってしまうでしょう」
とニニギノミコトさまを呪(のろ)いました。
さて、イワナガヒメはというと、
毎日毎日鏡をのぞいては、
自分が美人に生まれなかったことを嘆(なげ)き悲しんでいました。
そんなある日、いつものように鏡をのぞいてみると、
そこには竜のように恐(おそ)ろしい顔が映(うつ)っているではありませんか。
おどろいたイワナガヒメは後ろ向きに鏡を放り投げてしまいました。
その鏡は遠くの山まで飛んでいき、ふもとの村をいつまでも明るく照らしたということです。
ニニギノミコトさまは嫁の姉とは結婚できないとを返したのです。
悠久なるわが国ますます繁栄
天照大御神さまの孫で
初代神武天皇陛下の曽祖父
である。
ある日、ニニギノミコトが、気持ちよく散歩をしていた時のことです。
それはそれは美しい姫に出会いました。
「あなたはまるで可憐(かれん)な花のように清らかで、何とお美しいのでしょう」
ニニギノミコトさまはひと目でその娘に恋をしてしまいました。
「あなたのお名前は?」
「私は山の神オオヤマツミの娘で、コノハナサクヤヒメと申します」
「あなたに兄弟はいらっしゃいますか?」
「はい、イワナガヒメという姉がおります」
名前のとおりに、まるで花が咲いたように美しいコノハナサクヤヒメに、
ニニギノミコトさまはすぐに結婚を申し込みました。
コノハナサクヤヒメにしてみれば、
ニニギノミコトさまは何といっても天つ神の皇子でりっぱな若者。
しかも自分に好意を持ってくれることをとてもうれしく思いました。
そこで、コノハナサクヤヒメは
「私もあなたと結婚したいと思っています。
ですが、何しろ突然のことですので今すぐお返事をするわけにはまいりません。
一度家に帰って父のオオヤマツミに相談いたします。そのあと父がお答えするでしょう」
と、自分の家へ帰ってゆきました。
ニニギノミコトはさっそくオオヤマツミのもとに使いの者を送り、
コノハナサクヤヒメと結婚したい気持ちを伝えました。
娘のコノハナサクヤヒメがニニギノミコトから結婚を申し込まれたことを知ったオオヤマツミは、大喜びです。
「これはこれはめでたいことだ。
娘を嫁(よめ)に出すときには、ニニギノミコトさまのこれからの
幸せを祈(いの)って、たくさんの贈り物をしよう」
そして、山ほどの贈り物を
コノハナサクヤヒメに持たせ
なぜか、
姉のイワナガヒメも一緒に
ニニギノミコトのもとに嫁(とつ)がせました。
コノハナサクヤヒメ
を迎(むか)えたニニギノミコトは幸せいっぱいでした。
ふと見ると一緒に
姉のイワナガヒメも来ているではありませんか。
木の花のようにサヤサヤと美しいコノハナサクヤヒメ。
反対に姉のイワナガヒメはというと、岩のようにゴツゴツとしたみにくい顔です。
ニニギノミコトさまはひと目見るなりこわくなってしまいました。
「私と一緒に姉を嫁がせたのは、
あなたのためを思った父の心づかいなのです」
コノハナサクヤヒメが
いくら言ってもニニギノミコトさまは聞き入れず、
とうとうイワナガヒメをオオヤマツミの元へ返してしまいました。
イワナガヒメが帰されたことにおどろいたオオヤマツミは
「私が二人の娘を嫁がせたのには意味があるのです。
コノハナサクヤヒメを妻にすれば木の花の咲くようにお栄えになったでしょう。
また、イワナガヒメを妻にすれば岩のようにビクともしない永遠の命を持つことができたでしょうに。
こうしてイワナガヒメだけ返したことで、ニニギノミコトの命は、いつの日か花のようにはかなく散ってしまうでしょう」
とニニギノミコトさまを呪(のろ)いました。
さて、イワナガヒメはというと、
毎日毎日鏡をのぞいては、
自分が美人に生まれなかったことを嘆(なげ)き悲しんでいました。
そんなある日、いつものように鏡をのぞいてみると、
そこには竜のように恐(おそ)ろしい顔が映(うつ)っているではありませんか。
おどろいたイワナガヒメは後ろ向きに鏡を放り投げてしまいました。
その鏡は遠くの山まで飛んでいき、ふもとの村をいつまでも明るく照らしたということです。
ニニギノミコトさまは嫁の姉とは結婚できないとを返したのです。
悠久なるわが国ますます繁栄