跡形も無いに違いない
草を刈る老人 犬を引く少年 疲れた若い母親 壊れた古い自販機 時を打つ時計 車椅子の男...
夢の向こうの少女
鼻を突く嫌な臭いが 排気ガスに隠れてく 息の出来ない川面に 集まる魚は何も無い 瀕死の...
夏のきらめきのワルツ
新しくなった海沿いのカフェ サーフ・ボードを抱えた 小麦色の肌の彼氏彼女 カフェオレの...
早い秋の手紙
どんな言葉を 交わしただろう どんな思いを 残しただろう ゆっくり色を 落とし始めた 木...
ネジがひとつ落ちた
人身事故のため遅れますと 冷たい声のアナウンス響く またかと嘆く誰かの舌打ち 伝言ゲー...
コンビニのピラフと報復のニュースの後味
瞬きのうちに砕けた窓では片目をえぐられた赤ん坊 母親は熱い音と光の中で瓦礫の中に掻き消...
渚
砂浜に 落としたピアス 「もう探せないから構わない」 あの頃は ふとした歌が 運命の...
太陽の幻影の零時
何かが壊れる音には ある種の予感があるから 壁の時計が告げる零時 窓に映る実像を見て...
イズム・ダンス
壊れてゆくのさ 時が回るたび 歪んでゆくのさ 軸がふらついて 虚ろな世界 放り出さ...
輪舞曲(ロンド)
水に落ちたトーン 空に跳ねた魚 うつりゆくからこそ 知りえるのだと知る 傷は華やかに ...