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米食品医薬品局(FDA)のEmpowered Diagnostics社製 CovClear Rapid抗原検査キットおよびImmunoPass 中和抗体Rapid検査キットの使用中止推奨通知の意義

2022-01-31 14:25:57 | 新型コロナウイルス対策

 

 2022年1月28日、筆者の手元に米国連邦保健福祉省・食品医薬品局(FDA)は、Empowered Diagnostics LLC社(米国:テキサス州)製「CovClear COVID-19 Rapid抗原検査(Empowered Diagnostics CovClear COVID-19 Rapid ANTIGEN TEST)」(以下、“CovClear”という)(注1) (注2)と「ImmunoPass COVID-19 中和抗体Rapid検査キット(NEUTRALIZING ANTIBODY RAPID TEST)」(以下、” ImmunoPass”という)の使用を中止するよう人々に警告した旨の通知が届いた。

 これらの検査キットは、FDAによって承認されていることを示すラベル付けで配布されたが、どちらの検査キットも米国での配布または使用のためにFDAによって承認(authorized)、審査をパス(cleared)、または認可(approved)されていない。FDA は、これら不正なテスト・キットを使用する場合、誤った結果の潜在的に高いリスクを懸念しているという内容である。

 また、Empowered Diagnostics LLC社は、“CovClear” と“ImmunoPass”をすでに「リコール」しており、FDAはこの問題を最も深刻なタイプのリコールである「クラスIリコール(注3)として特定したという内容である。

  ところで、筆者はEmpowered Diagnostics LLC社のサイトでこの2つの検査キットに関する説明内容をあらためて読み直してみた。そこで新たな疑問がわいた。米国のFDAがリコールⅠである一方で、CovClearは自宅および他の非実験室サイトでOTCの使用(over-the-counter:〔薬が〕処方箋なしで購入できる、店頭販売の、市販の)のためにカナダで承認されており(注4)、またCovClearは、診療医療現場での使用(Point-of-Care Use)(注3)のための欧州連合でCEマーキング(注2)を持っているという説明内容である。

  このいずれが正しいのか、今回のブログはFDAの通達を中心に紹介し、日本の消費者はこの点をどのように理解すべきか、専門家の意見を聞きたいという意味で専門外ではあるがあえて取り上げた次第である。

 なお、わが国の問題として2021年11月4日、国民生活センター「新型コロナウイルス感染症の検査キットでのトラブル-事前に注意事項をよく確認し、目的に合わせ、適切に利用しましょう-」を読んでおくべきである。すなわち、

「新型コロナウイルス感染症を診断するための検査には、PCR検査、抗原検査(定性・定量)等があり、これらの検査キットのうち、消費者が入手できる、国の承認を受けているものは、「体外診断用医薬品」として販売されている一部の抗原検査キットのみである。

 なお、「体外診断用医薬品」の抗原検査キットは、セルフチェック用として使用するもので、その結果であっても診断にはならない。診断には医療機関への受診が必要である。

 また、抗体検査は、過去に新型コロナウイルス感染症にかかったことがあるかを調べるものであるため、検査を受ける時点で感染しているかを調べる目的に使うことはできない。(以下、略す)」点をあらためて強調したい。

1.FDAの推奨事項

 Empowered Diagnostics製 “CovClear”および“ImmunoPass”は使用しないでください。

2.CovClear COVID-19 ラピッド抗原検査

(1)テストユーザーと介護者向け:CovClear でテストを受け、テスト結果について懸念がある場合は、医療機関にご相談ください。

(2)医療機関とテスト・プログラム主催者向け:抗原検査が2週間も前に行われた場合、不正確な結果が疑われる場合は、FDA認可の「SARS-CoV-2 ラピッド抗原テスト(SARS-CoV-2 diagnostic test)」(注6)を使用して患者の再検査を検討してください。検査が2週間以上前に行われ、現在のSARS-CoV-2感染を疑う理由がない場合は、再テストする必要はない。

また、CovClear 検査で発生した問題をFDAに報告してください。テストに関する問題の報告ひな型を参照してください。

3.ImmunoPass COVID-19 中和抗体ラピッドテスト

(1)テストユーザーと介護者向け:ImmunoPass COVID-19 中和抗体ラピッドテストでテストされ、テスト結果について懸念がある場合は、医療機関に相談してください。

(2)医療機関とテストプログラム主催者向け:最近または以前のCOVID-19感染が疑われる場合は、FDA認定SARS-CoV-2 ラピッド抗原テストを使用して患者を再検査することを検討してください。

 ImmunoPass テストで発生した問題をFDAに報告してください。テストに関する問題の報告ひな型を参照してください。

4.具体的なテスト方法の説明

(1) CovClear COVID-19 Rapid抗原検査では、鼻棒サンプルを使用して、COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2から抗原と呼ばれるタンパク質を検出する。

(2) ImmunoPass COVID-19 中和抗体Rapid検査は、指刺し血液サンプルを使用して、SARS-CoV-2に応答して人の免疫系によって産生される抗体を検出する。テストが抗体を検出した場合、それは、その人が以前にSARS-CoV-2ウイルスに感染していた可能性があることを意味する。抗体検査は、COVID-19の能動感染の診断や除外には使用しないでください。

5.これらの偽の検査結果による具体的リスク

(1)  CovClear COVID-19 Rapid抗原検査:

 偽の性抗原検査結果は、その人がCOVID-19を持っていないが、その人が実際に感染しているとテスト結果がいっていることを意味する。偽の陰性結果は、SARS-CoV-2による診断の遅れや不適切な治療を引き起こし、重篤な病気や死亡を含む人々に危害を加える可能性がある。また、偽の陰性結果は、これらの偽の検査結果に基づいて人々がヘルスケア、介護、および他の施設に一緒に収容されている場合を含むSARS-CoV-2ウイルスのさらなる広がりにつながる可能性がある。さらに偽の陰性の検査結果を受け取った場合、感染者への感染を制限するアクション(人の隔離、家族や友人との接触の制限、勤務先へのアクセスの制限など)が行われなくなる可能性がある。

 他方、偽の陽性抗原検査結果は、検査でその人がCOVID-19を持っていると言うことを意味するが、実際には感染していないのである。偽の陽性結果は、人の病気の実際の原因に対する正しい診断と適切な治療の両方の遅れにつながる可能性があり、COVID-19ではない別の生命を脅かす病気である可能性がある。また、偽の陽性結果は、陽性者が一緒に収容されていると推測される場合、SARS-CoV-2ウイルスのさらなる広がりにつながる可能性がある。

(2) ImmunoPass COVID-19 中和抗体Rapid検査:

 偽の陰性抗体検査結果は、実際に抗体を持っているときに、その人がSARS-CoV-2ウイルスに対する抗体を持っていないとテスト結果がいうことを意味する。偽の陰性の結果は、テストがアクティブな感染がないことを示す証拠として不適切に使用された場合、感染の拡散を防ぐためのテストユーザーに予防措置を少なくする可能性がある。

 他方、偽の陽性抗体検査結果は、その人が実際にSARS-CoV-2ウイルスに対する抗体を持っていないときに、その人がSARS-CoV-2ウイルスに対する抗体を持っているとテスト結果がいうことを意味する。偽の陽性結果は、テスト結果が以前のSARS-CoV-2感染を有したことを意味すると解釈された場合、将来のSARS-CoV-2感染から身を守るための予防措置を減らすことにつながる可能性がある。

6.FDA がとる行動

FDAは、これらのテストのリコールを、最も深刻なタイプのリコールであるクラスIリコールとして分類した。FDA は、これらの問題を解決するために、Empowered Diagnostics社と協力しおり、FDAは、重要な新しい情報を一般の人々に知らせ続ける。

7.テストに関する問題の報告

FDA認定SARS-CoV-2 ラピッド抗原テストに問題があったと思う場合は、FDAはMedWatch自主報告フォームを通じて問題を報告するよう奨励している。また、FDAのユーザー施設報告要件の対象となる施設で雇用されている医療従事者は、施設によって確立された報告手順に従う必要がある。

8.筆者の補足

 カナダの医薬品のネット販売サイト「aurora :オーロラバイオメッド株式会社」の以下の解説が参考となろう。

①使用する手順に従わないと、テストのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性がある。

②抗原検査の結果は、SARS-CoV-2感染を診断または排除する、または感染状態を判定するための唯一の基礎として使用すべきではない。

③SARS-CoV-2ヌクレオキャプシド抗原の検出は、適切な試料採取、取り扱い、貯蔵、および調製に依存する。これらの手順のいずれかで適切な手順を守らないと、誤った結果が生じる可能性がある。

④デバイスからの結果は、臨床歴、疫学的データおよび利用可能な他のデータと相関する必要がある。

⑤臨床検体中の標的抗原の濃度が装置の検出限界を下回った場合に、偽陰性の結果が生じることがある。

⑥家庭使用試験では、実験室ベースの分子試験よりも偽陰性の結果が得られる可能性が高くなる。これは、COVID-19を使用している場合、このテストが否定的な結果をもたらす可能性が高いことを意味する。

⑦この装置の性能はCOVID-19に対してワクチン接種された人々では評価されていない。

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(注1) 以下、Empowered Diagnostics 社のCovClear Rapid Antigenテストにつき自動翻訳で見ておく。なお、注書きとともに原文を適宜補完した。

 CovClearは、自宅および他の非実験室サイトでOTCの使用(over-the-counter:〔薬が〕処方箋なしで購入できる、店頭販売の、市販の)のためにカナダ(https://3imoap12d0wm1tgyyn3fhxrl-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/CovClearCanada_IFUQRG_Print_Rev0-1.pdf)で承認されている。CovClearは、診療医療現場での使用(Point-of-Care Use)のための欧州連合でCEマーキング(注2)(https://3imoap12d0wm1tgyyn3fhxrl-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/CovClear-Test-Kit-Insert-LIT900-147-Rev-1.pdf)を持っている。

CovClear は、米国での販売または配布には使用できない。

CovClearはCovClear COVID-19 Rapid Antigen Testは、COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2からヌクレオカプシド・タンパク質抗原(nucleocapsid protein antigen)を検出することを目的とした下部鼻腔スワブ検査である。

・簡単な操作で、3~20分で結果が得られる

・高感度・高特異度 - 他の抗原検査よりも優れている

・安全性 - 密封されたバイアル瓶が生きたウイルスから検体を守る

・検査時にリーダー不要-コスト削減

・カセットが不要-廃棄物の削減

・早期発見と感染の低減

・米国での研究、開発、製造

 同検査は、1988年臨床検査改善法(CLIA)合衆国法典第42編第263a条(Clinical Laboratory Improvement Amendments of 1988 (CLIA), 42 U.S.C. §263a)に基づいて認定された検査で、高難易度の検査を実施するための要件を満たし、かつポイント・オブ・ケア(POC)検査(注3)、すなわち高難易度のCLIA認定書(CLIA Certificate)に基づいて運営されている患者ケアの現場に限定される。結果は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質抗原の同定に関するものである。この抗原は通常、感染の急性期に鼻腔ぬぐい液から検出される。陽性の場合はウイルス抗原の存在を示すが、感染状態を判断するには、患者の病歴や他の診断情報との臨床的な相関関係が必要である。陽性であっても、細菌感染や他のウイルスとの同時感染を否定するものではない。また、検出された病原体が病気の決定的な原因ではない場合もある。(https://www.medicalexpo.com/ja/prod/empowered-diagnostics/product-301026-1006770.htmlを一部抜粋、仮訳。

(注2) CE=フランス語のCommunauté Européenne(欧州連合の前身である欧州共同体)やConformité Européenneに由来する。EU 域内へ装置や製品を輸出するときに、安全基準を満たしていることを証明するのが CE マークである。

EU 加盟国およびその他対象国内で製品を流通させるためには、製品に該当する欧州指令全てに適合して、製造メーカーによる適合宣言(自己宣言書)を準備して、製品に CE マークを表示することが義務付けられている。

CE マークが表示されない製品は、欧州域内での流通はできない。

対象国は、主に EU 加盟国ですが、ノルウェー、アイスランド、(スイス)、リヒテンシュタインなどの欧州自由貿易連合 (EFTA)、およびトルコなどである。(2021 年 8 月現在)

(国際規格対応製品ガイド(https://www.smcworld.com/overseas/international/ja-jp/ce/ce01.html)から一部抜粋)。

(注3) ポイント・オブ・ケア(POC)検査は、実験室の外で行われる医療検査である。POC検査は、ベッドサイドテスト、患者近傍試験、遠隔検査、モバイル・テスト、迅速診断としても知られている。一般に、この用語は、アドホックに与えられ、迅速な結果を提供する任意の患者の医療検査を包含することができる。ほとんどのPOC試験装置は、ハンドヘルドエレクトロニクスまたは分子回収ツールである。POC検査ツールの一般的な例には、血糖値モニター、温度計、自宅妊娠検査、および迅速なストレップ検査が含まれる。

 直ちに医療上の懸念に対処するために、POC検査は薬局、診療所、救急車、事故現場、ケア施設および家庭の最初の応答者、放射線科医、看護師および他の医療提供者によって様々な場所で行うことができる。遠隔で採用されたPOC検査装置により、医師は遠隔患者モニタリングと呼ばれる患者に関する重要な情報をほぼリアルタイムで見ることができる。以下、略す。(https://searchhealthit.techtarget.com/definition/point-of-care-POC-testing#:~:text=Point%20of%20care%20%28POC%29%20testing%20is%20medical%20testing,is%20given%20ad%20hoc%20and%20provides%20quick%20results.から抜粋、仮訳。

(注4) FDA のリコール区分は、3 つのクラスに分類されます。クラス I リコール:予想されるように重大な健康問題あるいは死に至る事がある、危険あるいは欠陥製品のリコールです。このカテゴリーに分類される製品の例は、無申告のアレルゲンを備えたボツリヌス菌の毒素を含むと分かった食品(複数可)、人命救助薬の上のラベル混乱あるいは不完全な人工心臓バルブです。(http://effective-navi.jp/_src/44407313/FDA%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8C%BA%E5%88%86.pdf?v=1599467628158)から抜粋。

(注5) カナダ政府「COVID-19関連用途の認定医療機器:認定試験装置の一覧」(https://www.canada.ca/en/health-canada/services/drugs-health-products/covid19-industry/medical-devices/authorized/list.html)のうち

Covclear COVID-19 Rapid Antigen Testに関する部分を抜粋

 (注6) SARS-CoV-2 ラピッド抗原テスト(SARS-CoV-2 diagnostic test)

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Copyright ©2006-2022 芦田勝(Masaru Ashida).All RightsReserved.You may reproduce materials available at this site for your own personal use and for non-commercial distribution.

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CDCが中等度から重度の免疫不全者に対するCOVID-19ワクチンの3回目接種について声明

2021-08-17 11:04:46 | 新型コロナウイルス対策

 筆者の手元にCDCからの8月16日付け声明が届いた「中等度から重度の免疫不全者に対するCOVID-19ワクチンの3回目接種について」である。

 筆者が3回目接種問題に強い関心を持ったのは、わが国のメデイア記事新型コロナウイルスのワクチン接種、一定の間隔を空けて2回接種することになっていますが、感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」の影響で、追加の3回目の接種を始めた国も出てきました。・・・・中東のイスラエルでは、60歳以上の人たちを対象に3回目の接種を始めました。感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」の影響で新型コロナウイルスの感染者が再び増加しているためです。」等である。

 果たして、先進国の感染症専門家はいかなる解析を行っているのであろうか。今回のCDCの声明は決して無視しえない重要な意味を持っていると思う。

 筆者は専門外であるが、CDCからの最新情報を得ていることは間違いない。あえてその概要を仮訳ながら、補足説明を試みた。

【CDCの注意書】:CDCは現在、免疫系が中程度から重度に侵害された人々は、最初の2回の投与後にmRNA COVID-19ワクチンの追加用量を受け取ることを推奨している。広範囲にわたるワクチン接種は、パンデミックを止めるための重要なツールである。CDC のメデイア向け声明を読まれたい。

 (1)知っておくべき重要なこと

 中等度から重度の免疫不全の人は、重篤で長期にわたる病気のリスクが高いため、特にCOVID-19に対して脆弱である。

 免疫システムを侵害した人は、COVID-19に対して十分な保護を確保するために追加用量の恩恵を受ける可能性がある。

 CDCは、中等度から重度の免疫不全である人は、最初の2回の接種後にmRNA COVID-19ワクチンの追加用量を受け取るべきであることを推奨する。

 CDCは、中程度から重度の免疫系を有する人々は、ファイザー-BioNTech COVID-19ワクチンまたはモデルナCOVID-19ワクチンの2回目の投与後、少なくとも28日後にmRNA COVID-19ワクチンの追加用量を受けることを推奨する。

 CDC は、この追加の用量や追加接種(booster shots)をこの時点でこれら中等度から重度の免疫不全のに該当しない他の集団の接種は勧めない。

 (2)免疫不全者の免疫反応の低下に関するデータ

 中等度から重度の免疫不全の人は成人人口の約3%を占めており、重篤で長期にわたる病気のリスクが高いため、特にCOVID-19に対して脆弱である。

 CDCの研究では、一部の免疫不全の人々が非免疫不全の人々が行う方法でワクチン接種後に免疫の同じレベルを構築するとは限らないことを示し、COVID-19に対する適切な保護を確保するために追加用量の恩恵を受ける可能性がある。で小さな研究pdf アイコン[2 MB、36ページ]、完全にワクチン接種された免疫不全の人々は、入院した「画期的な症例(breakthrough cases)」の大部分を占めており、免疫不全の人々が家庭の連絡先にウイルスを伝染させる可能性が高いことを示唆している。

(3)誰が追加のCOVID-19ワクチンを必要とするか?

 現在、CDCは、中程度から重度の免疫不全の人々が追加の用量を受けることを推奨している。これには、次のユーザーが含まれる。

①腫瘍や血液の癌に対する活動的な癌治療を受けている人。

②臓器移植を受け、免疫系を抑制する薬を服用している人。

③過去2年以内に幹細胞移植を受けたか、免疫系を抑制するための薬を服用している人。

④中等度または重度の原発性免疫不全(例えばディジョージ症候群(注1)、ウィスコット・アルドリッチ症候群(注2)など)

⑤高度または未治療のHIV感染者。

⑥高用量コルチコステロイドまたは免疫応答を抑制する他の薬物による積極的な治療を受けている人。

 以上のほかの人々は、彼らの病状について、そして追加の用量を得ることは彼らのために適切であるかどうかについて、彼らの医療提供者に話す必要がある。

(4)COVID-19ワクチン接種場所を見つける方法は?

 COVID-19ワクチンを見つける:vaccines.gov検索、郵便番号にテキストを入力して438829するか、1-800-232-0233に電話して近くの場所を検索する。

 予防接種のウォークインや予約が利用可能かどうかを確認するために、お住いの地域の薬局のウェブサイトを確認されたい。

詳細については、州または地域の保健局にお問い合わせされたい。

(5)よく寄せられる質問

①最初のCOVID-19ワクチンを接種してからどのくらい後に追加の用量を得ることはできるか?

  CDCは、mRNA COVID-19ワクチンの追加用量を、ファイザー-BioNTech COVID-19ワクチンまたはモデルナCOVID-19ワクチンの2回目の投与後少なくとも4週間後に投与することを推奨する。

 ②あなたはワクチンを混ぜて追加容量を受けられるか?

 ファイザー-BioNTech またはモデルナのCOVID-19ワクチンシリーズのいずれかを受けた人のために、同じmRNAワクチンの第三の用量を使用する必要がある。人は3回以上mRNAワクチン投与を受けるべきではない。最初の2回の投与に対して与えられたmRNAワクチン製品が入手できないかまたは不明である場合、mRNA COVID-19ワクチン製品のいずれかが投与され得る。

③ ジョンソン・エンド・ジョンソンのヤンセンCOVID-19ワクチンを受けた免疫不全者は何をすべきか?

 米食品医薬品局 (FDA)の最近の緊急使用許可(Emergency Use Authorization:EUA)(注3)改正は、CDCの勧告と同様に、mRNA COVID-19ワクチンにのみ適用される。

 新しいデータは、mRNA COVID-19ワクチンの2回の用量に続いて低いかまったく保護されていない免疫不全の人々が、同じワクチンの追加用量の後に改善された反応を有する可能性があることを実証した。ジョンソン・エンド・ジョンソンのヤンセンCOVID-19ワクチン(Johnson & Johnson’s Janssen COVID-19 vaccine )を受けた免疫不全の人々も、同じワクチンの追加用量に続いて抗体反応が改善されているかどうかを判断するのに十分なデータは現時点ではない。

④追加のワクチン投与を受ける人々の利点は何か?

 CDCは、mRNA COVID-19ワクチンの追加用量を、ファイザー-BioNTech COVID-19ワクチンまたはモデルナCOVID-19ワクチンの2回目の投与後、少なくとも4週間(28日)後に投与することを推奨する。

⑤追加の用量で個人にワクチンを接種するリスクは何か?

 ワクチンの追加投与を受けるリスクに関する情報は限られており、免疫不全者におけるCOVID-19ワクチンの追加用量の安全性、有効性および利益は引き続き評価される。これまでのところ、3回目のmRNA投与後に報告された反応は、2回投与の系列の反応と類似していた。注射部位での疲労および痛みは最も一般的に報告された副作用であり、全体的にほとんどの症状は軽度から中等度であった。

 しかし、2回投与シリーズと同様に、重篤な副作用(serious side effects) はまれではあるが、発生する可能性はある。

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(注1) 胸腺低形成(ディ・ジョージ(DiGeorge)症候群/22q11.2欠失症候群):染色体22q11.2 の微細欠失を基盤として、胸腺低形成による細胞性免疫不全、先天性心血管系異常、副甲状腺低形成による低カルシウム血症、特徴的な口蓋顔貌異常を呈する症候群である。(日本免疫不全症研究会(https://www.shouman.jp/disease/details/10_02_019/)から一部抜粋)

(注2) ウィスコット・アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome: WAS)は、易感染性、サイズの減少を伴う血小板減少、湿疹を3主徴とし、その他にも自己免疫疾患や悪性疾患も合併する原発性免疫不全症です。遺伝形式はX連鎖性であり、X染色体上に存在するWASP 遺伝子の変異によって引き起こされます。WASP遺伝子によりコードされるWASP(WASタンパク)は細胞骨格やシグナル伝達に重要であることが明らかになっています。(国立成育医療研究センター(https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/004.html)から一部抜粋)

(注3)「緊急使用許可(Emergency Use Authorization:EUA)は、米食品医薬品局(FDA)が緊急時に未承認薬などの使用を許可したり、既承認薬の適応を拡大したりする制度のこと。連邦食品医薬品化粧品法(FDCA)の第564条(セクション564)に基づく。具体的には、FDAが、(1)生命を脅かす疾患である、(2)当該製品に関して、疾患の治療などで一定の有効性が認められる、(3)当該製品を使用した際のメリットが、製品の潜在的なリスクを上回ると判断できる、(4)当該製品以外に、疾患を診断、予防、または治療するための適当な代替品が無い──という条件を満たすと判断した場合に発行できる。(日経バイオテクから一部抜粋)。

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米国連邦保健福祉省(HHS)の疾病等対策予防管理センター(CDC)は、妊娠中等の人々のCOVID-19ワクチンの安全性に関する新しいデータを発表

2021-08-16 15:47:24 | 新型コロナウイルス対策

 米国連邦保健福祉省(HHS)の下部機関である「疾病等対策予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、妊娠中の人のCOVID-19ワクチンの安全性に関する新しいデータを発表し、同時に12歳以上のすべての人々にCOVID-19の予防接種を受けるよう推奨している。

  妊娠中の人のCOVID-19ワクチンの安全性に関する新しいデータについては、わが国の厚生労働省もすでに新型コロナワクチンQ&A「私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか」等において、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種することができる。mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はない。なお、米国では妊娠中・授乳中・妊娠を計画中の方について、各種見解やエビデンスが示されている」と説明している。

 もう一方で、筆者が強調したいのは米国の州レベルで公立学校の再開に向けた接種や検査の強化策や12歳から17歳の学生の接種率の高さである。筆者の手元に届いたカリフォルニア州やバージニア州アーリントン郡の取組内容を併せて概観する。

 1.CDCが妊娠中の人々や妊娠を考えている人々と母乳育児の人々がCOVID-19から身を守るために予防接種を受けることを奨励

 CDCのリリース仮訳し、またわが国ではまだ試行されていない「新型コロナワクチンの副反応と有害事象報告システム(VAERS:ワクチン有害事象報告システム)や「V-Safeアプリ」につき関心を寄せているわが国の医療関係者も多いので、その概要を解説する。

(1)CDCのリリースの要旨

 CDC所長のロシェル・ワレンスキー医学博士(Dr. Rochelle Walensky)は「CDCは、すべての妊娠中の人々や妊娠を考えている(preconception )人々と母乳育児の人々がCOVID-19から身を守るために予防接種を受けることを奨励している」と述べている。

Rochelle Walensky 氏

「ワクチンは安全で効果的であり、伝染性の高いデルタ変異体(デルタ株)(注1)に直面し、予防接種を受けていない妊婦の間でのCOVID-19からの重篤な結果を見るにつれて、予防接種を増やすのがこれほど緊急ではなかった。

 今回の新しい CDC 分析(V-Safe )において妊娠登録からの現在のデータの妊娠初期にワクチン接種を評価し、妊娠20週前にmRNA COVID-19ワクチンを受けた約2,500人の妊婦の間で流産のリスクが高まることは見つからなかった。流産は通常、妊娠の約11〜16%で起こり、この研究は、COVID-19ワクチンを受けた後の流産率は、一般集団の流産の予想率と同様に約13%であった。

 以前は、3つの安全監視システムからのデータでも、妊娠後期に予防接種を受けた妊婦や赤ちゃんに対する安全上の懸念を見つけられなかった。これらのデータと妊娠中のCOVID-19の既知の深刻なリスクを組み合わせることで、妊娠中の人々にCOVID-19ワクチンを受ける利点が既知または潜在的なリスクを上回ることを示している。

 臨床医は、過去数週間でCOVID-19に感染した妊婦の数が増加しているのを見てきた。伝染性の高いデルタ変異体の循環の増加、妊娠中の人々のワクチン取り込みの低さ、および妊娠中の人々の間でCOVID-19感染に関連する重篤な病気および妊娠合併症のリスクの増加は、この集団のワクチン接種をこれまで以上に緊急性を有するものである。

(2)さっぽろARTクリニック「新型コロナワクチンの副反応と有害事象について」(2021.03.27)から一部抜粋。2021.03.27 」

 ワクチン接種者は、自分のスマホでV-safeというアプリに登録、VAERS(ワクチン有害事象報告システム)により接種後一定期間フォローされる。有害事象が起こった場合には報告され、さらに通院などを必要とした場合には詳細な聴取が行われることになっている。いいシステムですね。

 このデータは、2020/12/14~2021/1/13の間に少なくとも1回の調査がワクチン接種者のうちV-safe登録者1602065人のデータの集計結果に基づいている。(注2)

 筆者なりに補足する。

① CDC解説サイト:V-safe After Vaccination Health Checker を参照。

保健福祉省のVAERSの解説サイトは以下を解説している。

VAERSは受動的な報告システムである。つまり、個人が自分の経験の報告を送信することに依存している。親や患者を含め、誰でもVAERSに報告書を提出できる。

医療提供者は、法律によりVAERSに報告することが義務付けられている。 

(3)CDCの研究基づく学術専門論文掲載支援会社.research square.comサイトの解説

「V-safe 登録者の2020年12月~2021年1月にかけてのmRNA COVID-19ワクチンの妊娠前や妊娠中の接種および自己申告による自然流産のリスク解析」仮訳する。

【要旨 】

A.調査の背景

 妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の安全性については引き続き国民の懸念がある。 mRNA COVID-19ワクチン接種(妊娠を考えている(preconception )または妊娠中)が妊娠のリスクをもたらすと予想する説得力のある生物学的理由はないが、データは限られている。しかし、妊娠中のSARS-CoV-2(新型コロナウィルス)感染は、重篤な病気と妊娠の有害な結果のリスクの増加に関連していることは十分に文書化されている。高所得国で認められている妊娠のうち、11〜16%が自然流産(SAB)で終わっている。

B.調査方法

 スマートフォンの専用アプリを利用した自主的な監視システムであるV-safeに登録し、COVID-19ワクチンの妊娠前の人または妊娠中に電話で連絡を取り、V-safe妊娠登録に登録した。累積を評価するために、mRNA COVID-19ワクチン接種を少なくとも1回受けた、または妊娠20週前に流産を報告せず、妊娠6週前に流産を報告しなかったV-safe妊娠登録参加者につき生命表法を使用した自然流産(Spontaneous Abortion:SAB)の累計リスクの調査をこの分析に含めた。

C.結果

mRNA COVID-19ワクチンの妊娠前または妊娠20週前に受けた2,456人の妊娠中の人のうち、妊娠6〜19週からのSABの累積リスクは14.1%(95%CI:12.1、16.1%)であった。選択した参照母集団に対する直接年齢標準化を使用すると、SABの年齢標準化累積リスクは12.8%(95%CI:10.8–14.8%)であった。

D.今回の結論

 認識された妊娠におけるSABの予想範囲と比較した場合、これらのデータは、mRNA COVID-19ワクチンの接種または妊娠中のSABのリスク増加とは関連がないことを示唆している。これらで明らかとなった結果は、妊娠中のmRNACOVID-19ワクチンが安全であるという証拠の蓄積に追加された。 

2.カリフォルニア州などの公立学校学校再開に向けた新型コロナ封じ込め戦略

(1)カリフォルニア州サンフランシスコ市の対応のニュース内容

「カリフォルニア州の官吏は学校が再開するときに安全性を優先する」仮訳する。

  8月16日に待望の学校再開が行われる前に、サンフランシスコの公立学校システムは、急増するデルタ変異株が当初の安全計画を混乱させたため、最終的な障害に直面した。

 これにより、教育関係者は学校の再開に向けて進むべきコースを逆にすることができなかったため、迅速に行動することを余儀なくされた。カリフォルニア州は、生徒と教育者に学校内でマスクを着用することを義務付けることで最初の一歩を踏み出したが、今週、ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom )州知事は、カリフォルニア州を教育者と学校職員にワクチンの投与または毎週のテスト面会を義務付ける国内初の州にすることで、学校の安全性をさらに高めた。 

Gavin Newsom 氏

 なお、サンフランシスコ州の12歳から17歳の住民への特別な叫び声は、市内のどの年齢層よりもワクチン接種率が95%を超えており、子供たちは大丈夫かもしれない。 

(2)2021,8,12ヴァージニア州アーリントン郡ニュース

 届いた「アーリントン郡政府とアーリントン公立学校は、すべての従業員のためのCOVID-19ワクチン委任状を実施する」仮訳する。

 アーリントン郡政府とアーリントン公立学校(APS)は、従業員に対してCOVID-19ワクチン接種義務を実施する。この共同行動は、8月30日に発効し、地域社会を安全に保つために必要なステップであり、COVID-19公衆衛生ガイダンスと一致している。このポリシーは、インターン、ボランティア、代用教員、および請負業者にも適用される。

 米国HHSの疾病予防管理センター(CDC)、バージニア州保健局(VDH)、アーリントン郡公衆衛生課によると、COVID-19は、特に完全に予防接種を受けていない個人に対して、引き続きリスクを引き起こしている。したがって、COVID-19の感染拡大を防ぎ、地域社会を守るためには、一定の安全対策が必要である。ワクチン接種は、デルタ変異種であっても、重篤な病気、入院および死亡のリスクを大幅に減らす最も効果的な方法であり続けている。これは、コミュニティだけでなく、12歳未満の子供たちを安全に保つための階層化されたアプローチの一部である。

 郡長マーク・シュワルツ(Mark Schwartz::County Manager)は「アーリントン郡は、特に地域がCOVID-19症例の増加傾向を見ているので、人々を安全に保つための最良の方法であるため、従業員に予防接種を必要としている。私たちの最優先事項は、従業員、住民、地域社会の健康と幸福です。誰かが郡政府の施設を訪問するとき、彼らは私たちがCOVID-19から彼らを守るために全力を尽くしたことを知るに値する」と述べた。

Mark Schwartz: 氏

我々のコミュニティに奉仕する

 アーリントン郡とAPSは、すべての従業員にワクチンを提供し、ワクチン接種に関するバージニア州保健局のガイダンスに従い続けている。APSは、アーリントンの学校が安全に開校し、学生の学習のために開かれたままであることを保証することにコミットしている。アーリントン郡は政府と政府のサービスの継続性を確保する義務がある。これには、地域社会の社会的、感情的、肉体的、精神的な幸福のための重要なサービスを提供することが含まれる。重要な政府や教育サービスの削減は、私たちのコミュニティの健康と幸福に劇的な影響を与える可能性がある。

 APSの最高責任者であるフランシスコ・デュラン博士(Dr. Francisco Durán)は「我々の優先事項は、8月30日に学校を開く時に、生徒と職員の健康と健康を守ることである。我々は、我々のコミュニティを保護し、私たちの学校が学生の学習のためにオープンで安全であり続けることを保証するために、階層化されたアプローチを取っている。必須のスタッフの予防接種とユニバーサルマスクの要件は、COVID-19の普及を防ぐ最も効果的な方法の2つであり、私たちはすべての人のために学校を開放し、安全に保つために取り組んでいる重要な方法である」と述べた。

Francisco Durán氏

予防接種を受けていない従業員に必須とされる検査

 予防接種を受けていない個人は、職場内および重要な郡のサービスに依存する一般の人々にCOVID-19を収縮させ、広めるリスクが高くなります。郡とAPSの従業員は、それぞれの機関にワクチンの書類を提出する必要があります。

 予防接種を受けていないすべての従業員は、労働力と地域社会での潜在的な広がりを制限するために、COVID-19について少なくとも毎週検査を受ける必要があり、その検査は従業員に無償で提供される。

アーリントン郡の12歳以上の全体的な予防接種率は71.5%である。アーリントン郡は、対象となる住民に無償かつ予約なしの予防接種と検査の機会にアクセスすることを奨励している。

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(注1) 国⽴感染症研究所感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第 10 報)」  2021 年 7 ⽉ 6 ⽇ 18:00 時点 

(注2)さっぽろARTクリニックの説明はCDCの”MMER”からデータを引用している。厚生労働省の資料でもCDC「MMWR」2021.2.14号「First Month of COVID-19 Vaccine Safety Monitoring — United States,」(December 14, 2020–January 13, 2021)を引用している。その中にV-safe登録者1,602,065人と掲載されている。なお、余談であるが筆者も専門外ではあるが、従来からCDCの”MMWR”の定期購読者である。申込方法はいたって簡単である。

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