筆者の手元にフランスの知的財産権やIT法、ビジネス法等の専門法律事務所“Dreyfus & associés”から、フランスのドメイン名にかかる法的紛争解決手続(ADR)である“Syleli”が本年11月21日から施行されるというニュースが届いた。関係機関からの情報に基づき、より正確な内容を紹介する。(注1)(注2)
わが国ではフランスIT法の専門家が少ないのか、この問題について関係立法の経緯、複雑な行政機関や規制監督機関の対応等につき個別かつ体系的に解説したものがない。筆者はフランスIT法の専門家ではないが、可能な限り原典に当たるべく調べてみた。
特に、この立法問題を立法過程を追いながら原典に即して正確に解説しているフランスの法律事務所が皆無であったことは残念である。一方、フランス議会の上院、下院議会の立法経緯情報は極めて使い勝手が良い。今後の課題は、これらの情報の統合作業といえよう。
さらに強調すべき点は、この問題は法案趣旨(Objet du texte)に記されているとおりEU加盟国全体にわたる「知的財産権」上の重要な問題として区分されていることである。
また、今回フランスのドメイン制度を整理する中でフランスの海外からの国際投資活動の積極さも理解できた。その点は適宜解説に織り込んだ。
なお、フランスのNPOドメイン名登録管理団体「フランス・インターネット・ドメイン名協議会(Association Française pour le Nommage Internet en Coopération:AFNIC)の資料は同団体の性格上やむをえないが法的な解説が不十分である。筆者なりに関係資料にあたり補足した。
本ブログにつき、誤解や引用の間違いなどがあったら個々に修正コメントをいただきたい。 (注3)
1.フランスの電子通信の監督・規制機関の概観
(1)国家中央機関は経済・財政・産業省(Ministre de l'Economie, des Finances et de l'Industrie:MINEFI)(注4)(注5)で、法律上は実際の「フランス郵便事業および電子通信法(Code des postes et des communications électroniques:CPCE)」に定める担当大臣は、同省のエネルギー・デジタル経済担当大臣のエリック・ベソン(Eric Besson)が“Syreli”の承認を行った。
(2)ドメイン名の登録に関する立法、デクレ等法制整備
フランスのドメイン名“.fr”の割当と管理制度の修正に関する郵便事業・電子通信法の改正法案等の動向についてbersay&Associés法律事務所の解説ブログを一部引用のうえ、両院の立法経緯サイトやIT専門サイト(Juriscom net)の解説等に基づく補足ならびに筆者が調べた範囲でリンク情報等を追加した。
「法案(N° 2789)は2010年9月15日に上程、2011年1月13日に下院たる国民議会(Assemblée nationale)第一読会(Première lecture)において法案(N°594)が可決、また同年2月13日に上院たる元老院(Sénat)第一読会において修正法案(N° 62)が可決された。その後、両院同数合同委員会(commission mixte paritaire)で審議後、最終案が国民議会では3月8日、元老院では3月9日に可決された。 公布は3月23日法律第302号(LOI n°2011-302 du 22 mars 2011):2011年3月23日官報(JO)第69号である。L.45-3条が12月31日に施行されるほか、その他の新規定は2011年6月30日に施行された。
法案第12条はフランスのドメイン名割当および管理制度を合憲化することを目的としている。より具体的に言うと、同制度は従来は郵便事業・電子通信法(Code des postes et des communications électroniques :「CPCE」) L.45条 (注6)により規定されていたのであるが、同条は「フランス・インターネット・アドレス規制協議会(Association Française pour le Nommage Internet en Coopération :AFNIC)」に割当と管理に関する規則設定を委託していた。このため原則は「早い者勝ち」で、ドメイン名を構成する語についてのいかなる先行権(商標、商号、社名、等)も証明する必要がないため、この制度は大変多くの「サイバー・スクワッティング(権利も利権もない者による、他人の権利を侵害するドメイン名の濫用的登録 )」を引き起こす等法的枠組みに欠けることから、国務院(le Conseil d’État)(注7)の諮問を受けた憲法院(注8)は10月6日、共和国憲法が定める権利および自由に関する定めに違反すると判断した(憲法院2010年10月6日決定(Decision)2010-45 QPC )
これらの点を受け、フィヨン内閣は改正法案第19条としてL.45条の改正法案を作成し議会に上程した。なお、CPCE L.45条の運用解釈にかかるデクレ(Décret n°2007-162 du 6 février 2007)が十分に機能していなかったことも背景となっている。
同法案は、ドメイン名登録担当機関により適用される規則を明確にするため、CPCEのL.45条を補完修正している。すなわち、L.45条を修正、またL.45-1条~L.45-9を新設した。
主要な条文の概要をまとめておく。
L.45条:今後は特定郵便事業および電子通信担当大臣が指揮する記録局(office d’enregistrement)がドメイン名を特定化および管理する。
L.45-1条:利用者がドメイン名の割当において差別なく透明性の高いシステムを確保できるよう規定する。
L.45-2条:当初、記録の禁止やドメイン名の更新については知的財産権や人格権を弱めると考え大幅な修正は行わないと考えていた。しかし、同条3項においてフランス共和国または地域集合体における適用者が合法的な利益がありかつ信義誠実であるならば同等または関連するドメイン名の登録の可能性を考える点を重要視した。それゆえに、かりにパリ氏がドメイン名“.fr”を預託しようとすれば合法的利益があるとみなされる。地域的集体において先見的または濫用しないことでは唯一の権利とはならない。
言うまでもなくこの修正はすでに預託されている共和国や地域集合体におけるドメイン名の大多数において緩和されたものとなろう。しかしながら、ドメイン名の特性は引続き「先に行った登録が優先するという原則」に従う。
L.45-3条:EU加盟国に本部を有する全ての法人におけると同様にEU域内の住所を有する自然人が“.fr”のドメイン名を登録する可能性をオープンにする。(本条のみ12月31日に施行する)
L.45-4条:ドメイン名の特定権限は、ドメイン記録局保証局(office d’enregistrement accréditeur)が認定する記録局(Office d’enregistrement)が行い、かつその管理下におかれる旨を定める。
L.45-5条:記録局は記録したドメイン名を毎日公表する旨定める。さらにそのデータベースは自然人や形式的法人のドメイン名の特定に必要なデータを作成する。そのデータベースは国家財産となり、記録局は唯一のデータベースの使用権を持つ。2007年2月8日に創設された「R20-44-48」規定は反対の立場を定める、すなわちこのデータベースの使用権者はこれらの組織が業務中断の場合に国が担うと定める。
L.45-6条:紛争解決の管理手続を定める、すなわちある者がドメイン名の使用禁止を望んだり一定の条件下でドメイン名を自らの利益のために移管したいと欲したとき、その紛争手続では2か月以内にその要求に基づき規則にのっとって記録局により開始される。この手続から得られる決定は法裁判官に持ち込まれる前に行われねばならない。
新法はこのようにしてサイバー・スクワッティングの危険を低下させることにより、知的財産権者に対する法的安全性を高めるものとなると考える。
(3)法案趣旨(Objet du texte)
議会の法案解説の冒頭に記されているとおり、フランス国民のEU加盟国から得られる義務への適合に関するものである。特に、この改正の主目的はEU市場の成長の妨げとなる法的、行政的障害を排除し、一方でホスト国の社会技術を保持せんとするものであり、とりわけEU内における中小企業の拠点設置拡大を想定したものである。
2.AFNIC等フランスのドメイン名の管理システム概要
(1)フランスのNPOドメイン名登録管理団体「フランス・インターネット・ドメイン名協議会(Association Française pour le Nommage Internet en Coopération:AFNIC)の役割の概観
“AFNIC”はドメイン名“.fr”および“.re”の登録管理を担う政府認定の非営利協会である。具体的に登録管理しているのは、次のものである。.fr(フランス)、.re(レユニオン・アイランド:Reunion Island)、.pm(セントピエール島(St.Pierre)およびミクロン島(Miquelon))、.tf(フランス領南方・南極地域 (French Southern Territories)、.wf(ワリス・フチュナ(Wallis and Futuna))、および.yt(マイヨット(Mayotte))である。インターネット上のフランス領土の継続性およびインターネットで世界中のどこからでもアクセスできることを保証する機関である。また、そこでの課題は登録を通じてトップネームドメインの地理的拡大に関する配分(例えば、“my-company.fr”や“my-family-name.wf”)もその任務である
AFNICは関係する利害関係者の決定(科学者、公的機関、フランスのインターネットにかかわる民間機関の代表)に関与することが課題である。インターネットにおけるドメイン登録サービスの主要運用者であり、またフランスのトップレベル・ドメイン(.fr TLD)」(注9)につき政府による指定された機関であり、その最終目標はインターネットの強化・弾力化拡大とインターネットコミュニティ全体の技術の促進である。
(2) AFNIC「Rules and Regulations of the Dispute Resolution System :Syreli」
全10頁で英文で用語解説を含め簡潔に纏まっている。
(3)AFNICが分析したCPCEの一部改正のドメイン管理上の影響
ドメイン管理会社ブライツコンサルティングが2011年6月22日に「フランスにおけるドメインネームに関する法律の施行に関して」と題するレポートでAFNICの解析結果を紹介している。実務的な内容で参考になる。
3.AFNICが立ち上げた新たなドメイン名紛争解決手続き(Syreli)制度の概観
(1)AFNICの解説の内容
11月3日、AFNICは“Syreli”の利用条件につきフランス官報で公表した。
①対象となるドメイン名は2011年7月1日以降に作成されたか更新されたものとする。
②当該手順は“.fr TLD”および“.re TLD”に適用から始まるが、全ドメインへのAFNICの拡大は2011年12月6日からとなる。
③AFNICは紛争の両当事者からの書面および声明のみに基づき判断を下す。
④検査手数料は250ユーロ(VATを除く)で申立人により支払われる。
⑤申立人に以下の点につき立証責任がある。
○行動を行うべき法的に有効な利益があること。
○紛争の対象となるドメイン名
・公共の秩序や道徳およびフランス共和国憲法が保証する権利を侵害するもの。
・知的財産権や人権を侵害し、かつドメインの所有者が合法的利益を持たずさらに悪意をもって行動したもの。
・フランス共和国、地方自治体または地方自治体が構成するグループ、地方や全国ベースの公共サービス機関そのものまたは関係するもので、ドメイン所有者が合意法的利益を持たずさらに悪意をもって行動したもの。
(2)“Syreli”手続によりどのような変化が見られるか
①AFNICは受付後、2か月以内に完全な内容の紛争解決文書を作成する。
②ドメイン保有者は、申立人の要求に応えるべく21日以内に回答する、この期間中は何時もその内容の変更は可能である。
③ドメイン保有者の同意をもって、AFNICの決定は上告期間の満了を待たずに執行できる。
④AFNICの決定に関する上告は司法裁判官に持ち込むことができる。
************************************************************************************************************
(注1) フランスのドメイン名の紛争解決手続き(ADR)については、2011年6月と10月にブライツコンサルティングが発表した「フランスにおけるドメインネームに関する法律の施行に関して」と題する解説記事が貴重といえる内容を紹介している。しかし、なお最新情報とはいいがたい部分もあるので筆者なりに調べた内容をもとに本ブログを書き上げた。
(注2) 本ブログとは直接関係しない問題ではあるが、関係サイトを調べている間に最近時のドメイン名登録管理団体における極めて重要な問題、すなわち国際犯罪の捜査や法執行機関からの登録管理機関への法執行問題につきインターネット検閲問題をめぐる最新の国際動向を概観しておく。
なお、以下の内容は2011年11月4日付けのブログサイト“Wendy.Seltzer.org”(筆者はイェール大学ロースクールの情報社会プロジェクトの2011-2012年上級特別研究員(Postdoctoral Resident Fellow :簡単にいうと博士課程修了の特別研究員)であるウェンディ・セルツァー(Wendy Seltzer)が運営しているブログ)の記事からの一部抜粋引用である(セルツァー氏の記事自体はハーバード大学ロースクールのバークマン・センター(Berkman Center for Internet & Society)の11月4日Buzz(自由な意見交換会)の紹介記事で知った)。同氏は以下述べるとおりICANNのGNSOの公益グループ代表である。
「2011年10月末にダカールで開催された第42回「ICANN(Internet Corporation For Assigned Names and Numbers: インターネットの各種資源を全世界的に調整することを目的として、 1998年10月に設立された民間の非営利法人 (本拠地は米国カリフォルニア州マリナ・デル・レイ、 その組織や機能は社団法人 日本ネットワークインフォーメーション(JPNIC)が解説している)」公開会議において「政府諮問委員会(GAC)」は「GNSO(分野別ドメイン名支持組織:Generic Names Supporting Organization」や「理事会(Board of Directors)」ならびに「コミュニケ」においてあらゆる機会に「ドメインネーム・システムを犯罪面から悪用することへの緊急行動」を訴えた。ドメイン名の濫用に関するこの主の議論は、多数の利害関係者すなわち登録業務の環境では、レジストラ(registrars:登録者からドメイン名の登録申請を受け付け、その登録データをレジストリのデータベースに登録する機関)、レジストラント(登録者)、インターネットユーザーおよび法執行機関の代表者の利害を混乱させた。すなわち、ドメイン名システム(DNS)を悪用した犯罪活動をどのように減じさせるかといった幅広い議論は、①DNSレベルでどのように犯罪活動を認識するのか、②オンライン上の意見発表者を悪態者(abusive)や誤解を持つ人(mistaken)、屈辱をあたえる者(takedowns)から保護するために適正手続(due process)を適用するか、また犯罪に無関係のユーザーのプライバシーやセキュリティをいかに保護するかという問題である。(以下省略)」
なお、余談であるが「ICANNの最新国際会議等の動向報告については、従来2011年9月に解散した「日本インターネットドメイン名協議会」が行っていた。解散に関するリリース文にはこの問題のフォローについて言及していない。調べた結果、JPNICが引き継いでいるようである。
(注3) 筆者が気になった点の1つは、AFNICの公式サイトや資料の英訳内容である。海外の投資家などを意識してのこととは思うが意訳的な部分がある。従って、本ブログでは筆者の判断で原文(仏語)に即して和訳し直した部分がある。
(注4)「 経済・財政・産業省(Ministre de l'Economie, des Finances et de l'Industrie:MINEFI )」について、国立国会図書館「フランスの官庁サイト」や総務省「世界情報通信事情」も含めわが国の多くの説明が関係機関、組織に直接リンクさせているが、いずれも2007年5月以降の組織の権限や組織名の見直し等基本的な解説が欠如している。
すなわち、「経済・産業・雇用省(Ministre de l'Economie, des l'Industrie et de l’Emploie:MEIE)」(MEIEは第3次内閣において再度MINEFIに改組されているが、国立国会図書館等はその改組を受けた変更を行っていないため、リンク先が自動変更される。)のままである。
筆者はMINEFIのサイト等で確認を試みたが、その限りにおいて2007年以降の組織改革の正確な説明は得られなかった。従って、仏語版“Wikipedia ”および「フランス国民議会(Assemblée nationale)サイトの歴代大統領、内閣閣僚名一覧」の説明を元に筆者なりに修正・補足しつつ解説を加える。
「2007年5月に発足した第1次フランソワ・フィヨン内閣(Premier Gouvernement François Fillon:17 mai 2007- 18 juin 2007)は従来、経済政策と財政の中心機関であった「経済・財政・産業省」を抜本的な組織改革を行った(フランスの財政や会計制度全体の改革にとって重要な法律は「2001年予算組織法(Loi organique n° 2001-692 du 1 août 2001 relative aux lois de finances:LOLF)」であり、同法は2006年に完全施行された。同法に関する解説として参考になるレポートとしては、平成21 年度会計検査院委託業務報告書「欧米主要国政府における内部統制の状況及びそれに対する会計検査院の関与・検査」、在日フランス大使館広報部「フランス2011 年度予算法案」、「La Documentation Française(フランスの150政府機関が発行した400冊の政府刊行物が検索可能な公的サイト)」のLOLF年表(chronologie)等がある。
旧MINEFIは2007年5月、第1次フランソワ・フィヨン内閣において従来の機能を2つの省すなわち(「経済・財政・雇用省(Ministre de l'économie, des finances et de l'emploi:MEIE)」と「予算・公会計・公共サービス省(Ministre du budget, des comptes publics et de la fonction publique:MBCFP)」に分化し、それぞれに担当大臣:MEIEはJean-Louis Borloo、MBCFPはÉric Woerthであった。
第2次フィヨン内閣(19 juin 2007 - 13 novembre 2010)では、MEIE担当大臣はChristine Lagarde、MBCFPは「予算・公会計・国家改革省(Ministre du budget, des comptes publics et de la réforme de l'État:MBCPRE)」に改組され担当大臣はフランソワ・バロワン(François Baroin)となった(フランスの「公会計(Comptes Publics)」については、専修大学商学部教授 黒川保美 「フランスにおける公会計制度の改革」会計検査研究 №28(2003.9)、富士通総研「フランスの公会計改革と公会計システム近代化の動向」等が参考になる)。
第3次フィヨン内閣(14 novembre 2010 - )では、MEIEは再度Ministre de l’économie, des finances et de l’industrie(MINEFI)の名称に戻り、担当大臣はFrançois Baroin11/10①である(なおエリック・ベソン(Eric Besson)がMINEFIを補佐すべくエネルギー・デジタル経済担当大臣となり、またフレデリック・ルフェーヴル(Frédéric Lefebvre)が補佐役として貿易・手工業・中小企業・観光・サービス・自由業・消費部門の特命担当大臣となっている)。またMBCPREの担当大臣はヴァレリー・ペクレス(Valérie Pécresse)となった。なお、MINEFIの雇用問題管轄権は「労働・雇用・厚生省(Ministre du travail, de l’emploi et de la santé)」に移管された。
最後に、MINEFIに関するジェトロの解説を一部引用する。「経済・財政・産業省は、経済・財政・産業の3省と予算、通商、商業・中小企業、工業の4庁から成り、全部で36の局(sous-direction)からなる巨大な官庁である。その他、在外公館・大使館などを通じてほぼ全世界の国々、フランスの地方都市にはりめぐらされた各局の出先機関、政府系機関としての国立統計経済研究所(INSEE)、経済計画庁、パリ国立高等鉱山学院などを抱えている。MINEFIの組織図は専用サイトがある
(注5) フランソワ・フィヨン内閣の現閣僚、担当大臣の詳細は在日フランス大使館サイトが詳しく説明している。 このサイトではフランス語氏名をクリックするとフランス政府HPの各大臣ページ(フランス語)にリンクし、カナ書き氏名をクリックすると略歴(日本語訳)のページにリンクできる。
(注6) フランス政府の法令検索専門サイト“Legifrance”については本ブログでも適宜引用してきたが、その使い勝手が良い点を今回も具体的に感じた。その1つが法改正の時期にあわせ、旧法と新法規定が即比較できることである。例えば、今回問題となった「郵便・電子通信法(CPCE)」L.45条の旧規定を意味する“Version abrogée au 30 Juin 2011”(2011年6月30日廃止)を画面左欄で指定すると赤字となって旧法規定全体が見れる。さらに現行法を意味する“Version en vigueur au 30 juin 2011(現行法)”をクリックすると赤字に変わるとともに、L.45条の内容が全て最新内容に変わる。先進的電子政府の実現を謳うフランスらしい。
(注7) フランス国務院(コンセイユ・デタ)は、行政裁判における最高裁判所としての機能と、法的問題に対する政府の諮問機関としての機能(法制局的機能)を併せ持つ機関。行政最高裁判所として機能する訴訟部と立法準備や政府による各種諮問に応じる行政部から構成される。(参議院憲法調査会サイトから引用)
(注8) フランス共和国憲法第7章は「憲法院」について定めている。同章は8条で構成されている。憲法院はドイツ等多くの国で整備されている「憲法裁判所」に相当する。パリに1庁設置されており、裁判官9 人全員の合議による審理が行われる。議会の議決後、大統領による審査・署名前の法律に対する違憲審査、大統領選挙の選挙管理、大統領および国会議員の選挙に関する裁判等を行う。司法権にも行政権にも属しない独立機関である。憲法院の任務等については自身の解説サイト(5ヶ国語で訳されている)が詳しい。
(注9) 現在使われているドメイン名をトップレベルドメイン(TLD)で分類すると、 分野別トップレベル・ドメイン(gTLD: generic TLD)と国コードトップレベル・ドメイン(ccTLD: country code TLD)に大別される。(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターの解説から一部引用)
********************************************************************************************************:
Copyright © 2006-2011 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.You may reproduce materials available at this site for your own personal use and for non-commercial distribution.