Financial and Social System of Information Security

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中国の国家開発銀行(国家开发银行)が最初となるカーボン・ニュートラル・グリーン・ボンド(約30億7000万ドル)を発行

2021-03-26 13:58:07 | グリーン・ボンド

 筆者の手元に英国のローファーム”Pinson Masons”のレポート「Chinese Development Bank issues RMB20bn green bond」が届いた。

(https://www.pinsentmasons.com/out-law/news/chinas-central-bank-to-prioritise-green-finance)が届いた。そのレポートの著者は同ファームの香港事務所の弁護士 ジョン・イープ(John Yeap )氏(筆者注1)(筆者注2)である。同氏は3月23日に「China's central bank to prioritise green finance」(https://www.pinsentmasons.com/out-law/news/chinese-development-bank-issues-rmb20bn-green-bond)も発表している。

  今回のブログは24日のレポートを仮訳するが、関心がある読者は23日のレポートも併せ読まれたいれたい。

 なお、弁護士ジョン・イープ氏はマレーシア人として多くの努力を重ねて今日の活躍の場にたっていると思われる。経歴につきやや詳しく紹介した。

【本文】

 中国の国家開発銀行(国家开发银行) (筆者注3)は、再生可能エネルギープロジェクトのための資金を調達することを目的(https://www.renewablesnow.com/news/china-development-bank-places-maiden-green-bond-of-cny-20bn-735202/)とした最初のグリーンボンド、200億人民元(30億7000万米ドル:3346億3000万円)の債券を発行した。

 これは「3年債」であり、2017年に開始された債券コネクト投資プラットフォームを通じて世界の投資家に提供された。

 これは、世界銀行の気候債券イニシアチブ(CBI) (筆者注4)によって認定された最初のカーボン・ニュートラル・グリーン・ボンド(筆者注5)(筆者注6)であり、炭素ピークおよびカーボンニュートラル目標に対処するための最大の発行済みグリーンボンドであると理解されている。

 この債券は、上海清算所(Shanghai Clearing House)のカーボンニュートラル債券指数に追加される。

 ピンセント・メイソンズのジョン・イープは、「中国の脱炭素化プログラムの規模は巨大であり、必要な資本も同様に巨大になるであろう。この結合のスケールはこれを反映している。炭素ピークとカーボンニュートラルのタイムラインを満たすためには、さらなる債券問題が必要になることが予想される。。世界的に大きな収束を含む国のグリーン分類の進歩は、これらの投資を進めるのに役立つ。」と述べた。

 中国初の6つのカーボ・ニュートラル・グリーン・ボンドの一括処理は2021年2月に発行された。すべての債券は、少なくとも2年の期間を持つ中間から長期の債券である。6つの債券の総資金調達額は6.4億人民元で、そのほとんどが風力発電、水力発電、太陽光発電、グリーン建設プロジェクトの資金調達に使用された。

 中国の中央銀行は2022年と2014年の間に2060年までに中国の目標がカーボンニュートラルに到達するのを支援するための5か年計画期間にグリーン・ファイナンスを優先すると報告されている。

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(筆者注1)本レポートの著者であるジョン・イープ(John Yeap )氏(マレーシア生まれ)は現Pinsent Masons 香港事務所の弁護士である。その経歴につき概観する。

John Yeap 氏

1985年 英国ランカスター大学で法学士、1986年マレーシアで弁護士資格取得、1987年ケンブリッジ大学で法学修士(LLM)、1987年ロンドン・香港CMS (筆者注2)でソリスター、1990年英国イングランド・ウェールズで弁護士資格所得、2008年からPinsent Masonに参加。

 なお、筆者はマレーシア語はまったくに話せない。Yeap 氏の発音は如何、google 翻訳でもマレーシア語は音声ではでない。筆者はこれをクリアすべく以下のサイト(https://ja.howtopronounce.com/yeap)で検索してみた。間違っていたらごめんなさいである。

(筆者注2) CMSは世界50位以内に入っている。司法制度改革推進本部・第2回国際化検討会での日弁連作成資料・添付2「世界の大ロー・ファームの規模(収入によるトップ50)Global 50 Rankings: Largest Revenue」

(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/kokusaika/dai2/2siryou4_1_1.html)から一部.抜粋

(筆者注3) 1994年に、これまで政策融資と商業融資の二つの役割を担ってきた四大専業銀行、すなわち中国銀行、中国農業銀行、中国人民建設銀行(現;中国建設銀行)、中国工商銀行を商業銀行業務に特化させるため、これらから政策融資を移管させ、3つの新たな政策性銀行が新たに設立された。国家開発銀行(中国開銀)は、国家重点プロジェクトへ資金供給を目的として同年3月に設立された(Wikipedia) から一部抜粋)

 2018年10月26日みずほ銀行の発表

国家開発銀行は、中国政府が100%出資する政府系金融機関であり、1994年の設立以来、主に電力、交通等インフラ関連の公共事業や基幹産業育成プロジェクト等、中国経済の発展を金融の分野でサポートしてきましたが、近年では中国国外においても、経済協力沿線諸国の経済発展をサポートすべく積極的な展開をしています。

こうした現状を踏まえ、本協定を通じ、<みずほ>は中国および第三国市場への新規進出や事業拡大を目指すお客さまに対しサービス体制の拡充を図っていきます。具体的には、国家開発銀行との協働を通じ、中国および第三国の産業発展に関わる情報交流・業務協力や、日系企業の海外進出プロジェクトの支援を強化し、プロジェクトファイナンス等、幅広い金融サービスを提供していきます。(みずほ銀行「中国 国家開発銀行(China Development Bank)との業務協力協定の締結について~一部抜粋。

 また、三井住銀行も平成24年1月11日、「国家開発銀行との日系現地中小法人向け人民元融資に関する協力覚書締結について」を公表している。

 (筆者注4) 世界銀行の気候債券イニシアチブ(CBI)を参照されたい。

(筆者注5) グリーンボンド市場に関する解説例を引用する。

(1)グリーン・ボンドとは、それにより調達した資金をもっぱら「グリーン」な事業、すなわち環境改善効果を持つ事業に充てることを前提として発行される債券である。グリーン・ボンドの歴史は比較的新しく、その草分けは、2007年にEIB(欧州投資銀行)が発行した「Climate Awareness Bond」とされる。発行主体は、当初はEIBのほか、世銀などの公的国際金融機関に限られていたが、徐々に、地方自治体、民間金融機関、エネルギー会社、さらに一般事業会社*1など多様化し、2016年12月にはポーランド政府、2017年1月にはフランス政府が、ついに「グリーン国債」を発行した。

(2)「【金融】2016年 世界グリーンボンド市場の概況 〜世界のトレンドと発行首位中国の状況〜

(筆者注6) 中国の2060年炭素中立(ネットゼロ目標)に関する解説としては次があげられる。

(1)「中国2060年炭素中立宣言についての解説」

(2)Yuzo Yamaguchi「China's 2060 carbon-neutrality goal could boost green-bond issuance」

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「欧州中央銀行(ECB)が2022年に域内16銀行による欧州独自の汎ヨーロッパ決済システム構築の開始を公表」

2021-03-24 15:37:11 | 海外の通貨・決済システム動向

2010年10月9日、筆者は「EUが2008年に新たに小口支払・決済手段の開始計画を提案」をとりあげた。

 その内容の更新を行った際、EUの主要銀行の16行がカード業界の巨人である米国の”Visa”や”Mastercard”、”PayPal”、”GAFA”や中国の”Alibaba :Alipay” (注1)等への対抗策として2022年にヨーロッパで新しい統一決済システムの稼働予という情報を得た。

 この情報自体、2020年7月2日の朝日新聞電子版ニューズウィーク日本語版が、すでにある程度詳しく報じている。

 特に後者は、キャッシュレス決済とビッグデータ、個人情報、信用情報は、密接につながっている等新たな問題である点も併せ論じている。この問題は”LINE”と同様、わが国でも本格的に論じたサイトは少ない。時間をとって改めて本格的に論じたいが、今回はヨーロッパの決済イニシアチブである欧州中央銀行(ECB)、European Payments Initiative(EPI)の内容、新戦略についてできるだけ詳しく論じたい。

 なお、元関係者として指摘しておきたいのは、EBCの新たな決済システムについてのイニシアチブをきわめて積極的、具体的にリードしているで点である。わが国の中央銀行である日本銀行にもこのようなリーダーシップを期待したい。

1.はじめに

 2020年7月2日、フランスの金融専門サイト(Money Vox)は「EUの16の銀行が2022年にヨーロッパで新しい統合汎ヨーロッパ決済システム構築を発表」を報じた。

 以下で概要を仮訳する。

1.EIP立ち上げ開始

 ヨーロッパの16の銀行は、特に”Visa”や”Mastercard”などのカード業界の巨人に代わるものを提供することを目的として、インスタント・トランザクション・テクノロジー (注2)に基づく新しい統合汎ヨーロッパ決済ソリューションを2022年までに立ち上げることなった。

  このプロジェクトの関係銀行のうちフランスの銀行は、「7月2日、5か国(ドイツ、ベルギー、スペイン、フランス、オランダ)の16の主要なヨーロッパの銀行のグループが、ヨーロッパの決済イニシアチブであるEPIの将来の立ち上げへの道を開いた」と公表した。彼らの目的は「即時支払いに基づく統一された汎ヨーロッパ支払いソリューションを作成し(...)、ヨーロッパ中の消費者と商人に銀行カード、デジタル・ウォレット、および使用可能なピア・ツー・ピア(P2P)(注3)支払いソリューションを提供する」と公表した。

 そうすることで、「このソリューションは、消費者向けソリューションに加えて、店内、オンライン、現金引き出し、P2Pなど、あらゆる種類の取引において、ヨーロッパの消費者と加盟店の新しい支払い基準になることを目指している。「国際的な支払いスキーム」となる。大きな革新は、誰かがヨーロッパのどこにでも、たとえば受益者の携帯電話番号を使って、週7日間毎日、即座に支払うことを可能にすることである」と、BNP Paribas銀行の 副最高執行責任者兼国内市場責任者(Deputy Chief Operating Officer and Head of Domestic)であるティエリー・ラボルド( Thierry Laborde)氏は、AFPに語った。

Thierry Laborde 氏

(2) 2022年の運用段階までの準備

 EIPプロジェクトの推定コストは数十億ユーロで、この新しいデバイスは大きな目標を掲げている。長期的には、ヨーロッパの電子決済の少なくとも60%にあたると見ている。詳細にみると、実装フェーズは、2022年の運用フェーズへの参入を視野に入れて、「可能な限り最高の使用経験(ユーザーエクスペリエンス)を実現するために実装化作業を開始する責任を負うこととなり、ブリュッセルで暫定会社(EPI Interim Company)の設立を通じて、今後数週間で開始される。

 この新しいデバイスは、「ヨーロッパの公的機関と国家当局をサポートすることになります。ヨーロッパの既存のデジタル決済ソリューションは細分化されており、欧州市民はまだどこでもデジタル決済を行うことがない」と16の銀行は主張し、他の決済サービスプロバイダーにも同イニシアチブへの参加を呼びかけている。

 また、16の銀行は「さらに、Covid-19危機は、統一されたヨーロッパのデジタル決済ソリューションの必要性を浮き彫りにした。また、EPIは、銀行、加盟店、取得者(acquirer)/決済サービスプロバイダーのヨーロッパの決済エコシステムを統合し、単一市場とヨーロッパのデジタル戦略の強化に貢献することを目指している」と指摘している。

2.EPI本格開始のリリース第一弾

 2020年9月9 日、BNP PARIBASが行った発表「EPI: The European Payments Initiative」

の内容を仮訳する。

 2020年9月9 日、European Payments Initiative(EPI)の実施を開始する責任を負う”EPI Interim Company(https://www.epicompany.eu/)”は、ポーランド最大の銀行であるPKO Bank Polski:PKOBP”と、フィンランドの大手リィテール銀行であるOP Financial Group”を発表した。最近設立された会社の設立株主としてEPIに参加している。さらに、スペインの12の商業銀行(credit institution)のグループもコンソーシアムを結成し、EPI暫定会社の共同設立株主としてEPIに参加している。

 PKO BankPolskiとOPFinancial Groupの参加により、EPIがポーランドとフィンランドの決済市場にアクセスできるようになった。これは、共同支払いイニシアチブへの新しいコミュニティの関心を確認し、EPIがよりデジタル的に進んでいると見なされる市場にとって魅力的であることを示しているため、EPIの主要なマイルストーンである。ポーランドは、EPIの一部を形成する最初の非ユーロ・ベースの市場となり、グループがソリューション内の通貨換算の課題に取り組むことを可能にする。

 また、EPIは共同で参加することを決定した12のスペインの銀行の参加を歓迎する。彼らの参加は、EPIガバナンスが小規模なプレーヤーに開かれており、将来のソリューションに対する彼らの特定のニーズを考慮に入れる用意があることを確認している。これらの動きにより、スペインの3大銀行BBVACaixaBankBanco Santanderと並んで、スペイン市場でのEPIの対象範囲が大幅に拡大する。これらはすべてEPIの個別株主である。信用機関のコンソーシアムは、ABANCABancoCooperativoEspañolGrupo Cooperativo CajamarCaja de IngenierosLABORAL KutxaCecabankEurocaja RuralGrupo BankinterIbercajaKutxabankLiberbankUnicajaBancoで構成されている。

 2週間前、サードパーティの買収企業(注4)である”Worldline” および Netsも、EPI創設株主としての加入を発表した。今後数か月以内に、EPIは新しいソリューションの実装に焦点を合わせる。

 2020年7月、5か国(ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン)の16の主要なヨーロッパの銀行のグループが、ブリュッセルでのEPI暫定会社の設立を発表することにより、ヨーロッパ決済イニシアチブの将来の立ち上げへの道を開いた。彼らは、共同支払いイニシアチブの実施を開始する責任がある。

出資会社名一覧

3.2020.11.25 PEIに関するNets eu のプレス・リリースの概要

 ”Nets eu”がその後の新たな展開をリリースで概観しており、その概要を仮訳する。

  EuropeanPayments Initiative(EPI)は次の段階に入り、”Worldline”と”Nets”がEPI Interim Companyの株主になり、このイニシアチブに参加した最初のサードパーティの買収者になった。また、 EPI、ヨアヒム・シュマルツル博士(Dr.Joachim Schmalzl)(:現ドイツ貯蓄銀行協会常務理事(Geschäftsführendes Vorstandsmitglied des Deutschen Sparkassen- und Giroverbandes)を取締役会会長に、マルテイナ・ヴェイマルトMartina Weimert氏(フランス)を暫定会社のCEOに任命したことを発表した。

Dr.Joachim Schmalzl 氏

Martina Weimert氏

2020年7月、5か国(ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン)の16の主要なヨーロッパの銀行のグループが、ブリュッセルに共同支払いイニシアチブの実施を開始する責任があるEPI暫定会社の設立を発表することにより、ヨーロッパ決済イニシアチブの将来の立ち上げへの道を開いた。

 EPIの稼働目標は、ヨーロッパ全土の消費者と加盟店にカード、デジタルウォレット、P2P決済を提供する、”即時決済Instant Payment”(注5)/ SEPAS即時クレジット転送(SCT Inst)を活用した、統一された革新的な汎ヨーロッパ決済ソリューションを作成することである。このソリューションは、既存の国際決済ソリューションおよびスキームに代わるものとして、店舗内、オンライン、現金引き出し、P2Pなど、あらゆるタイプの小売取引におけるヨーロッパの消費者および加盟店の決済における新しい標準になることを目的としている。

 11月25日、EPI暫定会社は、”Worldline”Worldlineおよび ”Nets”(EPI理事会による検証が数日中に予定されている)が、このイニシアチブに参加する最初の第三取得銀行(注4)として、最近設立された会社の株主として参加することを発表した。第三取得銀行の参加は、ヨーロッパの加盟店側でのEPIの受け入れネットワークの拡大に大きく貢献し、EPIが大陸で独自の決済エコシステムを構築できるようにする。他の順調に進んだ拡張交渉も、さまざまなプレーヤーと進行中である。

 ワールドラインの会長兼最高経営責任者であるジル・グラピネット(Gilles Grapinet)氏(フランス)は、次のようにコメントしている。

Gilles Grapinet 氏

「ユーロの導入から約20年後、21世紀のビジネスニーズに合わせて慎重に設計された、真にヨーロッパのデジタル決済ソリューションを消費者と商人に提供するための共同の取り組みに力を合わせる瞬間が訪れた。ヨーロッパを代表する決済サービスとしてPOSおよびE / MコマースのプロバイダーであるWorldlineは、EPIの将来の展開に必要な成功要因の定義に積極的に貢献する予定である。」 

 また、NetsのグループCEOであるボー・ニルソン(Bo Nilsson)は、次のようにコメントしている。

Bo Nilsson 氏

「European Payments Initiative(EPI)は、ヨーロッパの決済エコシステム全体に利益をもたらす。発行者、取得者、加盟店、そして最終的には最終消費者を含むすべての利害関係者は、強力で真にヨーロッパのデジタル決済ソリューションから利益を得るであろ。ヨーロッパ全体のPayTechリーダーとして、そして世界で最もデジタル化された地域の1つを起源とする我々は、成功するEPIプラットフォームの設計と確立に大きく貢献することを楽しみにしている。最新の決済テクノロジーと機能に基づいて、ヨーロッパ中の商人、銀行、消費者の支払いをより簡単にするよう努める。」

 Joachim Schmalzl博士は、ドイツ貯蓄銀行協会(Deutscher Sparkassen- und Giroverband)の傘下組織の理事会の幹部メンバーで、現役職では、グループのビジネスモデル、デジタル化、および支払い戦略の開発と推進を担当している。

  大手グローバルコンサルテイング会社オリバーワイマン(Oliver Wyman)のパートナーであるマルテイナ・ヴェイマルト(Martina Weimert)はイニシアチブの開始以来ヨーロッパの銀行をサポートしており、ヨーロッパおよび国際市場で、決済エコシステムのあらゆる種類のプレーヤーのために、多数の発行および取得ソリューションで16年間働いている支払いで深い経験を積んでいる。

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(注1) Alibaba groupに関するAlobaba Japanの説明を見ておこう。中国企業のグローバル戦略が十分垣間見える。

そのなかにモバイル決済サービスAlipay(https://www.alibaba.co.jp/service/alipay/)も位置づけられる。

(注2) ECBのEUROSYSTEMは「What are instant payments?」

ドイツ銀行が「Instant payments-A guide for corporates-」(全34頁)

(注3) Peer to Peer(ピア・トゥ・ピア または ピア・ツー・ピア)とは、複数のコンピューター間で通信を行う際のアーキテクチャのひとつで、対等の者(Peer、ピア)同士が通信をすることを特徴とする通信方式、通信モデル、あるいは通信技術の一分野を指す。P2Pと略記することが多い。

(注4) 第三取得銀行( third-party acquirer)(加盟店銀行または買収者ともいう)とは、加盟店の銀行口座を管理する金融機関をいう。買収者との契約により、販売者はクレジットカードおよびデビットカードの取引を処理することができる。取得銀行は、支払いを受け取るために、該当する発行銀行に加盟店の取引を譲渡する。

 また、発行銀行(issuring banl)は、カードネットワーク(Visa、MasterCard)に代わって消費者にクレジットカードを発行する金融機関をいう。発行者は、取引の返済条件についてカード保有者と契約することで、消費者とカードネットワークの仲介者として機能する。CHARGEBACKS911の解説(Do You Know the Difference Between the Acquirer and Issuer?)仮訳

(注5) ”instant payment”や”SEPA Instant Credit Transfer”についてはECB・eurosystemサイトが詳しく解説している。その基本部分を以下、仮訳する。

 即時支払い(instant payment)は、24時間年中無休でリアルタイムに処理される電子小売支払いであり、その資金は受取人がすぐに使用できるようになる。

EU域内全体のその可用性はどのように保証されるか?

 2014年12月、Euro Retail Payments Board(ERPB)は、欧州連合のすべての決済サービス・プロバイダーが通貨ユーロでの即時決済のための少なくとも1つの汎欧州ソリューションを利用できるようにすることを提案した。

 この提案は、いくつかのEU加盟国の市場参加者が即時支払いのための国内ソリューションを実装したか、開発中であった後に行われた。そのリスクは、これらのソリューションが特定の国でスムーズに機能するが、国境を越えた可用性を保証しないということであった。

 複数の即時支払いソリューションは、競争、革新、統合の目的を達成するのに役立つ可能性がありますが、それぞれが汎ヨーロッパの範囲を持っている場合に限られる。この目的のために、ソリューションは汎ヨーロッパレベルで開発されるか、国レベルで開発された場合は他のソリューションと相互運用可能である必要がある。すなわち、断片化を回避し、競争を激化させるために、即時支払いソリューションは以下述べるレイヤーで構成する必要がある。

①エンドユーザー・ソリューション・レイヤー:市場で協力的または競争的に開発されたもの(例:個人間のモバイル決済)

②スキーム・レイヤー:基礎となる支払いスキーム。

③精算・レイヤー:決済サービスプロバイダー間の取引の清算のための取り決め。

④決済・レイヤー:決済サービスプロバイダー間のトランザクションの決済のための取り決め。 

SEPA単一ユーロ決済圏即時送金

 通貨ユーロでの即時支払いの開発をスピードアップするために、ERPBはEuropean Payments Council(EPC)に汎ヨーロッパ即時支払いスキームの開発を依頼した。このスキームは、EPCの既存のSEPAクレジット転送(SCT)スキームに基づいており、SEPA単一ユーロ決済圏即時送金(SCT Inst:SEPA Instant Credit Transfer):SCT Instという )と呼ばれる。(注7)

 ”SCT Inst”の主な機能は、サービスが24時間年中無休で利用可能であり、取引が成功した場合、受取人が資金を利用できるようにするため、受取人の決済サービスプロバイダー(PSP)が支払人のPSPにお金が受け取られたかどうかを通知するのに10秒以上かからないことである。”SCT Inst” スキームは、2017年11月に運用を開始した。

 ECBのEyrosystemは、ユーロ圏のSCTInstインジケーターを介してSCTInstの使用を監視する。この指標は、SCT Instの採用、およびヨーロッパにおけるさまざまなタイプの決済手段の進化について、さらに明確で透明性を提供する。

 この指標は、すべてのSEPAクレジット振込に占めるSCTInstトランザクションの割合として計算されます。データは月次ベースで提示され、各四半期の終わりに清算および決済メカニズムから収集されます。 

Eurosystemはどのように機能しているか

 ERPBを介して追求されたイニシアチブに加えて、Eurosystemは銀行業界等と緊密に協力して、清算および決済レイヤーがSCT Inst”をサポートできるようにしている。 たとえば、通貨ユーロでの汎欧州即時支払いの清算サービスを提供するインフラストラクチャに対する一連の期待を定義し、これらのインフラストラクチャによって清算された即時支払いの決済をサポートするために”TARGET2”(注6)の拡張機能を実装した。

 さらに、ERPBによって提案された汎ヨーロッパの即時支払いソリューションが少なくとも1つ存在することを保証するために、EurosystemはTARGET即時支払い決済(TIPS)と呼ばれる即時支払いソリューションを開発することを決定した。 

(注6) ”TARGET2”については、例えば 奥田宏司「ユーロ決済機構の高度化(TARGET2)について- TARGET Balances と「欧州版 IMF」設立の関連-」はTARGETからTARGET2"への進展を踏まえて論説している。

また、神山哲也「欧州における精算・決済機関を巡る動き」が2006年発刊ではあるが参考になる。

(注7) SEPA (Single Euro Payment Area:単一ユーロ決済圏)とは、EU加盟国を含めた32カ国において、国内外の区別なくユーロ建ての小口決済が行える地域・およびそれを実現するスキームのことであり、SEPA決済対象となる取引は3つあります。

①送金・口座振込(SCT:SEPA Credit Transfer)

②自動引落し(SDD:SEPA Direct Debit)

③カード決済(SEPA Card Payments)

 SEPAは、クロスボーダー決済に対しても国内決済に対しても同様に適用できるような共通決済スキームを目指しており、SEPAの決済メッセージはISO20022というXMLベースの国際標準に準拠しています。また、決済スキームと決済提供者(決済インフラ)を分離するべし、という考え方に基づき、決済方法やメッセージ標準などの共通ルールのみ定められており、どの決済インフラサービスを利用するかは、個別の金融機関が判断します。(日立金融ソル―ション「欧州におけるSEPA自動引落し(SDD)導入の影響と今後の課題 .2010年3月」

~一部抜粋)

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わが国の法令外国語訳の取組みとフランスやフィンランドにみる法令・判例の英語訳化

2021-03-20 17:22:33 | モバイル社会の課題

 

 2010年10月9日、筆者はブログ「わが国の法令外国語訳の取組みとドイツの法令・判例の英語訳化」において、ドイツの法令検索サイトで英訳化の動向を具体的に解説した。その最後で、わが国の立法や法令解釈等でなお影響力を持つフランスの法令の英訳化動向につき、別途解説を加える旨予告した。

 今回、ペンネーム星野英二の2005年以降のブログ内容を全面的に改訂するに当たり、その約束を守るものである。ただし、今回は法令のみ取り上げる。

 まず、フランスのオフィシャル法令検索サイトとして有名な”Légifrance”が最近英語訳版の閲覧ができないという事実関係を確認した。

 また、本文で述べるとおり筆者は情報保護監督機関であるCNILが「情報処理、情報ファイル及び自由に関する1978年1月6日法律第78-17号(Loi n° 78-17 du 6 janvier 1978 relative à l'informatique, aux fichiers et aux libertés)

英訳サイトの以下の断り書を読むと、このようなフランス政府の情報公開等の大変換とかかわっているようでもある。

「翻訳の方法論:原則として、フランスの機関の元のフランス語タイトルまたは手順は翻訳しないことが決定された。翻訳が誤解を招く可能性がある場合は、テキストに表示されることとなった。その一例として、フランスの「Commission Nationale de l’Informatique et desLibertes」(CNIL)のタイトルに関し、データ保護機関は英語に翻訳されておらず、そのタイトルはそのように、または本文の頭字語(CNIL)の下に表示されるのである。」

 この文章から敷衍するとOfficialな法律の外国語翻訳における誤解やトラブルを避けようとする国家的方針があるようにも思える。

 この点に関し、本文で述べるとおり、内外の解説サイトを見ても必ずといってよいほどLégifranceの英訳化ができていると書いてある。果たしてフランス政府は国内法令や立法化情報整備が主要国中で最も進んでいる一方で、外国語訳作業が遅れているまたは積極的に避けている本当の理由はなんであろうか。米国等ほとんどの国がこのフランスの政策変更に気づいていないのか。

 機会を見て筆者が従来から意見交換している司法省、CNIL等の幹部に確認したいと考えている。もしかしたら、公的データベースのITサイトの全面更新に伴う移行期間中にあるもので、いずれ英訳版の復活があるのかもしれない。

 今回のブログでは、これと対比する意味で、国内法令の外国語訳化を公的に積極的に進めているフィンランドの例を最後に取り上げる。

 わが国の国際化戦略ともかかわる重要な問題である。

1.主要国のフランス法令の英語版を検索サイトやその手順を検証する

(1)米国の連邦議会図書館

Guide to Law Online (https://www.loc.gov/law/help/guide.php)

Nations of the Worldをクリック、アルファベット順に国名を選択する。

例えば、"GERMANY"を選択してみる。

Legislative(http://www.gesetze-im-internet.de/Teilliste_translations.html)

Gesetze / Verordnungen Alphabetisch Sortiert English translations of laws and regulations listed alphabetically

次に国名"フランス"を選択してみた。https://www.loc.gov/law/help/guide/nations/france.php

上記フランスLégifranceサイトで英訳化法令を調べようとすると限定された分野の法令の英訳化サイトはあるが、一般法の英訳サイトはなかった。

OFFICIAL GAZETTE: Journal Officiel de la République Française:

Legifrance Journal Officiel (1990-

Les Journaux Officiels

PARLIAMENT: Assemblée Nationale and Senat

上記議会サイトも英訳化はされていない。

 京都大学の外国法典等の外国法解説サイトや米国連邦議会図書館等内外の解説サイトでかならず引用される「Légifrance(フランス政府が開設した法令、判例、官報などを公開しているデータベースウェブサイト)」は、必ず英訳版があると記されているが、実際クリックすると以下のエラー画面となる。

 京都大学の外国法典等の外国法解説サイトは以下のとおり説明しているが、実際に行った結果は下記画面のとおりである。

404エラー

ページが存在しないか、利用できません。

私たちは以下によりあなたを招く:

上の検索ボックスを使用して新しい検索を実行するか、またはナビゲーションメニューを使用してサイトのコンテンツを参照してください 。

 ところで、フランスの個別情報保護監督機関であるCNILの場合の法律「情報処理、情報ファイル及び自由に関する1978年1月6日法律第78-17号」の英訳版はいかがであろうか。

CNILが訳した「LOI INFORMATIQUE ET LIBERTES ACT N°78-17 OF 6 JANUARY 1978」(https://www.cnil.fr/sites/default/files/typo/document/Act78-17VA.pdf)サイトがある。

(3)Légifranceでの現行有効な法令検索(フランス語)を行ってみた。

2021.3.19時点で有効な法律条文が表示される。この法令データベースLégifranceはきわめて正確なもので、各条文の改正の経緯,、関連するフランス法における命令(règlement)(注1)であるデクレ(décret)やアレテ(arrêté)等との関連も正確にフォローされている。

(4)米国連邦議会図書館サイトでも引用されている franceに関し膨大な法令検索数を示す国連ILO(Internatuional Labor Organisation)の国別法令検索サイト「NATLEX」でフランス民法典の英語版を検索してみた。

https://www.ilo.org/dyn/natlex/natlex4.detail?p_isn=71588&p_lang=en  しかし、リンクによる閲覧は不可であった。

すなわち、https://www.ilo.org/dyn/natlex/natlex4.detail?p_isn=96725&p_lang=en へリンクしたがエラーになる。

(5) NATLEXで多国語翻訳にきわめて熱心なフィンランドの法令検索を行ったらどうであろうか。

 フィンランドの法令検索サイト(https://finlex.fi/en/laki/kaannokset/)を見よう。最新の法令がフランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、そして世界的にみての皆無に近い日本語訳が1本のみ(注2)であるが行われている。英語訳化はほぼ100%である。

2.フランスの裁判制度一覧図および司法省組織図

http://www.justice.gouv.fr/organisation-de-la-justice-10031/

(1)フランスの裁判制度

URLのみあげる。

http://www.justice.gouv.fr/art_pix/organisation_justice_francaise_grand_v10.jpg

(2)司法省の役割と組織図

http://www.justice.gouv.fr/art_pix/Organigramme_MJ.pdf

司法省の中央行政機関は、アンシャン・レジーム期の宰相に相当する大法官(chancelier)の役所に因み、chancellerie(大法官府)とも呼ばれる。また、司法省の長たる司法大臣は、アンシャン・レジーム期から受け継がれた「国璽尚書(Garde des Sceaux)」という特別な職名を帯び、国璽を管理している.

同省は、事務局、司法サービス総監および5つの局で構成されており、その任務は以下の通りである。

①家族法、国籍、民事法および刑事法などの分野における法案および命令の作成。

②司法機関の財産(人事、設備、庁舎、情報機器など)の管理。

③司法当局の判断に委ねられた人々(非行少年および被虐待児童、ならびに受刑者)の支援。

④司法に関する公共政策(犯罪被害者の支援、刑事政策、組織犯罪の取締り、法および司法に対するアクセスなど)の決定および実施。

(司法省サイトを和訳したWikipediaから抜粋引用、筆者が一部追加)

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(注1)フランスにおける命令(règlement)は、一般的効力を有する一方的行政行為(acte administratif unilatéral)であり、行政立法と訳すことも多い。形式としては①デクレ(décret):命令制定権(pouvoir réglementaire)を行使する大統領または首相による、一般的または個別的効力を有する執行行為、②アレテ(arrêté)は、一般的または個別的効力のある執行的決定(décision exécutoire)であって、1または複数の大臣(大臣アレテまたは共同大臣アレテ)またはその他の行政庁(知事アレテ、市町村アレテなど)が発するものをいう)の2種類がある。

なお、命令の効力は、常に個別行政行為のそれに優先する。命令行為は、発令権限および規範的効力によって階層化できる。また、命令は次の2種類に大別できる。①法律の規定を施行するための命令と、②法律の求めなく独立に発する命令である。(Wikipedia から抜粋)

(注2) 1080/1991 Japanese フィンランド緊急事態措置権限法 - Emergency Powers Act in Japanese (untitled (finlex.fi))のみが日本語訳されている。

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米国の中央銀行にあたる連銀の過去の公表資料の調べ方ガイダンス

2021-03-16 17:48:19 | 各国の中央銀行制度

 筆者が2005年に書き上げたブログ「米国フィラデルフィア連銀『なりすまし詐欺犯罪の法的定義をめぐる議論はこれ以上必要か』」(https://blog.goo.ne.jp/hosiei/e/1900853d786ac10b480af0e4463e78f9)の更新作業にあたり、サイトURLが移動しており、追跡できないすなわち原データに行き着くことができないというブロガーとしては最悪の場面にぶち当たった.。

 しかし、ここであきらめてはこれまで約15年海外情報の収集、解析を行ってきて累積したノウハウが泣こう。

 今回のブログは2005年8月に公開されたフィラデルフィア連銀の消費者金融研究所(Consumer Finance Institute:CFI))(注)の副部長ジュリア S.チェイニー(Julia S. Cheney)氏の討議資料「なりすまし詐欺犯罪の法的定義をめぐる議論はこれ以上必要か(Identity theft: Do definitions still matter?)」を検索する手順を具体的に画面などを多用して解説を試みるものである。

Julia S. Cheney氏

1.フィラデルフィア連銀の分野のカテゴリーの中から「Consumer Finance」を選択する。なお、”Identity Theft”をリンクさせるのは、筆者の経験値に基づくものである。

2.その画面の最後に”CONSUMER FINANCE LITERATURE DATABASE”

”LITARATURE DATABASE”があるので、移動させる。

3.検索方法の選択画面がでる。キーワード検索または著者検索を選ぶ。今回は筆者名がわからないので、①キーワード検索とする。

②publication type については、discussion/ working paperにレ点、

③年は2005年から2006年を入力、④Publication nameは、”Payment Card Center Discussion paper” を選ぶ。

また、同時に画面右上の検索キーワード画面に”identy theft”を入力する。

4.次の画面が出る。

5.1番上にDP05-10がリストアップされる。当該URLをクリックする。

Identity theft: Do definitions still matter?

Cheney, Julia S.

Payment Cards Center Discussion Paper, Federal Reserve Bank of Philadelphia, v. 5 (10), 2005

6.”Identity Theft: Do Definitions Still Matter?”Julia S. Cheney

(August 2005) の1ページ目が出てくる

Https://www.philadelphiafed.org/-/media/frbp/assets/consumer-finance/discussion-papers/identity-theft-definitions.pdf?la=en

*******************************************************************:**

(注)日本銀行金融研究所の代表的な発刊物としては「金融研究」「ディスカッションシリーズ」がある。また英国の中央銀行であるBank of Englandの「Staff Working Paper」「Discussion Paper」等も極めて専門的かつ先進的な内容である。

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