Financial and Social System of Information Security

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バーゼル銀行監督委員会作業部会報告「金融部門と実体経済部門間の波及経路に関する研究文献の批判的考察」

2011-02-23 16:12:52 | 国際的な金融監督機関・金融制度改革



 2月21日、金融庁は「バーゼル銀行監督委員会による『金融と実体経済の波及経路に関する文献サーベイ(The transmission channels between the financial and real sectors:a critical survey of the literature)』の公表について」と題するリリースを行った(日本銀行もまったく同内容のリリースを行っている)。
 例のごとくであるが、今回も「詳細につきましては、以下をご覧ください」という文言のみで同委員会の当該リリース・サイト(英文)へのリンクが張られているのみである。

 筆者は、常日頃からこのような金融機関だけでなく研究者や広く国民に対する情報公開の観点から、その公表文や「要旨」部分だけでも仮訳で提供すべきと考えている。
 さらにいえば、わが国の金融規制監督とBISとの関係を正確に理解したり、欧米主要国の金融規制監督のあり方を巡る最新の情報についてより具体的な情報提供も金融庁や日本銀行の重要な任務であると感じている。
(注1)

 このような問題意識を背景として、今回のブログでは久しぶりに作業部会の設置目的や同ペーパーの持つ意義等について簡単な導入解説を試みた。わが国の金融・経済の専門家による本格的な批判的検討を期待したい。
(注2)
 なお、本報告に引用される専門用語について参考として筆者なりに調べた範囲で注記を加えた。その内容の補完を含めたレポートを期待したい。


1.本報告の作成背景と検討範囲
 まず、本ワーキング・ペーパーの標題である。リリース内容や本文から見て多少意訳とはなるが「金融部門と実体経済部門間の波及経路に関する既存の経験的分析に基づく研究文献に対する批判的考察(第一次報告)」と訳すのが本来であろうと思う。

(1)国際決済銀行(BIS)は特別調査委員会のもとに「金融部門と実体経済部門間の波及経路に関する作業部会」を設置
 その設置目的は、各国金融当局が最大の研究課題としている金融安定化のための研究にあたり金融と経済の実態部門の間にある波及経路(効果)の正確な理解は重要な要素といえる。
 「強固で安定的な金融システム」とは、プロパガンダや無意味な増幅を招く金融ショックに対抗しうる強さを持ち、かつ利益を確保できる投資機会に向けた貯蓄の配分において限定的な影響にとどまらせるものであると見られている。

 実際に、金融安定化の定義や金融監督における「マクロ健全性(macroprudential)」といった取組みは、「G20金融サミット」や「金融安定化理事会(Financial Stability Board)」(注3)等の金融安定化支援国家・機関は、これは金融システム機能のマクロ健全性の破壊の結果であるという見方を強調している。

 この問題の重要性に鑑みて、銀行監督委員会は金融部門と実体経済部門間の波及経路に関する検討作業グループ(Research Task Force on the Transmission Channels: RTF-TC group)をあらたに設置した。より具体的にいうと、本作業部会は既存の研究文献を批判的に見直すことおよび既存の枠にとらわれない検証を命じられたものである。

 作業グループは、金融部門と実体経済部門に存在する3つの波及経路、すなわち、(ⅰ)借手のバランスシートからみる経路(borrower balance sheet channel)、(ⅱ)銀行のバランスシートからみる経路(bank balance sheet channel)、および(ⅲ)流動性からみる経路(liquidity channel)につき限定した。前2つの経路はしばしば金融活性化経路(financial accelerator channel)と呼ばれ、3つ目は銀行危機の流動性ポジションが強調される。

2.第一次研究報告としてまとめた既存文献の欠陥といえる問題点
 7つの点に集約した。
①マクロ・ストレス・モデル (注4)の洗練化に関し、既存のモデルの最大の欠陥はフィードバック効果分析の欠如である。マクロ・ストレス・テスト・モデルは銀行のバランスシートの実際の状況の効果を考慮するものであるが、そのようなバランスシートの作成自体が初期のマクロショックの効果を強固なものにする点を考慮していない。

②実体経済においていかなる条件が金融部門に影響を与えるのかの問題について、注目すべき問題認識のずれとして本レポートはさらに一般的といえる借り手の債務不履行(default)や返済遅延結果(delinquency outcome)について借り手のバランスシートのポジションについて限定的な考慮しか行っていない点に着目した。借り手のバランスシート(債務不履行(default)や返済遅延結果が存しない場合でも)は借り手の信用度の正確な理解の上で関係する問題であり、順次借り手の与信や与信条件に影響を与え、また順次貸し出し行為や最終的には経済活動そのものに影響を与えるものである。

③金融部門と実体経済部門間の条件の相互作用に着目したモデルの開発問題に関し、主要な問題認識のずれ(マクロ・ストレス・テストでは共通的なもの)は、非線形性(nonlinearities)および構造上の不安定(structural instabilities)について限定的にしか考慮していないことである。
 別の認識のずれは、金融と実体経済部門間の比較的銀行の処理の型にはまって内容を考慮する「動学的確率的一般均衡(Dynamic Stochastic General Equilibrium, DSGE)モデル」を優先して関係付けていることである。
 一方、銀行の行動に関し有益な特性を提供し影響力が大である既存の研究論文は、何が最も実務者(銀行の資本制約、資産・負債の成熟期のミスマッチ等)にとっての最大の関心事であるいかについて把握していない。

④融資に関する銀行資本の影響の問題に関し、最近時の出来事で明らかなとおり、重要な認識のずれがある。民間対政府による資本注入とでは融資や経済活動において異なる意味があることである。現下の金融危機に即して、いくつかの国 (注5)が銀行部門に公的資本注入を行い、民間による資本注入と完全に類似物であり立案策定者にとっての明確な価値があるか否かについて検証した。
 関連した取組みとして、システム全体として規制の効果についての分析の根拠の必要性を配慮した。例えば、銀行に対する規制・監督からイメージされる民間部門への動機付けはほとんど機能しなかった。しかし、規制による「自己資本裁定(capital arbitrage)」が金融危機の重要1つの根拠であることは示された。さらに、動機付けに関し理解すべき重要な点は、金融監督・規制は現下の過剰な規制のもとで作られている点である。さらに、その金融監督・規制規則が現下のオーバーホールの文脈の中で作りだす誘因効果を理解することも、非常に重要である。

⑤銀行や借手のバランスシートのポジションが経済活動に関する銀行レベルの変数にどのような影響を与えるかという問題についてみると、マクロ経済と実体経済を混乱させている借手と銀行のバランスシートの状況にかかる別々の影響について見過ごしている点がある。このことは、同時または最終的に衰退化または改善するマクロ経済の諸条件による双方とも影響を受ける借手と銀行のバランスシートから導き出され、研究者が監視している唯一の変数は貸出量や貸出金利(または利鞘)であるという結果になっている点が指摘される。

⑥国際的なビジネスのサイクルを巡る共同行動について国家間をまたがる金融波及経路に影響を与えるかという問題については、重大な認識のずれは大部分の分析が運用において正確な経路情報を限定的にしか提供していない誘導型の基礎に関する問題を見逃している点である。

⑦金融政策の経路に関する金融部門の変数の影響について、重要な認識のずれは貸付がどのように実体経済に影響を与えるかという疑問点である。最近の金融危機の結果として明らかになった別の認識のずれは銀行の融資経路における「証券化」とのかかわりである。この問題に関する今日までの全調査が本質的に予めこの危機を見逃しており、その結果、重要な疑問はこれらの結果が現下の金融環境の中でいかに支持できるかという点である。
また、RTF-TC作業計画は、金融政策のスタンスと銀行のリスクに対する姿勢(いわゆるリスクを引き受ける経路 (risk taking channel)の間の関係において、更なる進展を提供するものである。

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(注1) 筆者は翻訳の専門家ではない。しかし、毎日主要国の政治、経済、金融等に関する政府や行政機関や主要メディア等の情報を読みながら、その情報の価値や広くわが国民への情報開示の意味については勉強しているつもりである。

(注2)本ブログでも紹介したわが国におけるBISの”Working Paper”等の内容はいずれを見ても難解である。いくら翻訳作業で工夫してみても限界がある。しかしながら、そのことは仮訳作業が不要という理由にはならない。

(注3) 「金融安定化理事会(Financial Stability Board:FSB)」は、(1)国際金融システムに影響を及ぼす脆弱性の評価及びそれに対処するために必要な措置の特定・見直し、(2)金融の安定に責任を有する当局間の協調及び情報交換の促進、(3)規制上の基準の遵守におけるベストプラクティスについての助言・監視等を役割としている。第2回金融・世界経済に関する首脳会合(ロンドン・サミット:2009年4月)の宣言を踏まえ、旧金融安定化フォーラム(FSF)が、より強固な組織基盤と拡大した能力を持つ組織として再構成された。FSBには、そのメンバー国および地域の関連当局、金融監督当局による国際機関(バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構(IOSCO)保険監督者国際機構(IAIS))および国際金融機関(国際通貨基金(IMF)・世界銀行)等が参加しており、我が国からは金融庁、財務省及び日本銀行が参加している。(平成21年11月12日時点での金融庁の説明を引用のうえ、筆者が各機関にリンクを張った)

(注4) 米国の金融監督機関であるFRB,FDICやOCCが2009年2月から4月にかけて行った「ストレス・テスト(正式には「監督資本評価プログラム(Supervisory Capital assessment Program:SCAP)」について基本的な点から説明しているものとしては、関雄太「資本市場クォータリー2009年(summer)」の「ストレステストの見方とバンクオブアメリカ、GMAC」が分かりやすいと感じた。
 また、2010年7月23日に公表した欧州銀行監督者委員会(CEBS)、欧州中央銀行(ECB)による銀行ストレス・テスト(特別健全性審査)に関する論文として、代表的なものといえるかどうかは別として、伊藤さゆり「ストレステスト後の欧州経済と銀行市場」(ニッセイ基礎研究所:Weekly エコノミストレター:2010年8月20日号)の内容が興味深かった。
 これらのストレス・テストの問題点として、次のような指摘がある。「近年では、特定のストレス・テストの数、深度、範囲を広げることで銀行はストレス・テストの改善に努めてきた。しかし多くの場合、これらのテストは事業活動、リスクの種類、資産の種類ごとに別々のものとなったままである。そのため、ストレス・テストの結果と全行的な資本充実度とを厳密な方法で結びつけるのが困難であった。」

(注5) 本報告では具体的に明記していないが、公的資本注入を最も大規模に行った国は米国であろう。

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米国電子政府の科学情報検索サイトに連邦議会図書館「議会法案検索専門サイト」が追加された本当の意義

2011-02-09 21:35:08 | EU等のeGovernment



 1月31日付けで手元に連邦議会図書館“Law Library of Congress”ブログから新情報が届いた。
 初めはその意味が良く理解できなかったこともあり、そのまま放置していたのであるが、時間が出来たので改めて読み直してみた。内容自体は簡単な話であるが、一方「電子政府問題」として考えたとき、その重要性について認識したので参考までにやや詳しく紹介する。

 この情報自体は、わが国では2月4日付けで独立行政法人科学技術振興機構(JST)が「STI Updates 学術情報流通ニュース」で取上げている。基本的にはそこに書かれているとおりである(誤字
(注1)は別にして)。しかし、実は米国連邦政府の電子政府の科学技術情報ポータルである“Science. gov” (注2)の歴史的なフォローがわが国における同様の問題を考える上で重要なことを再認識した。JSTの役割から考えても、このような観点から本格的に解説して欲しいと考えたが、その期待が満たされるにはなお時間がかかりそうである。

 今回のブログは、このような観点から“Science.gov”の機能強化の歴史と同ポータルへの“THOMAS”機能の追加の意義等について筆者なりにまとめて簡単に説明するものである。


1.米国連邦電子政府サイトにおける“Science.gov”の基本的な役割
 “Science.gov”は、連邦政府による科学情報と研究結果に関するゲートウェイウェブサイトである。
 “Science.gov”は、14の連邦行政機関の18の科学分野研究機関が率先して取組む省庁横断的なゲートウェイである。これら連邦機関は同サイトを管理するため機関の協力による「共同同盟(Science.gov Alliance)」(注3)組織化、役割分担している。

 2008年9月に更新した第五世代(Science.gov 5.0)(注3-2)では次の主な特性と能力を備えた究極的といえる科学分野の検索サイトを実現している。(注4)
①1つの質問に対し、45以上の科学データベースにアクセス出来、2億ページにわたる科学分野情報にアクセスを可能とした。
②検索作業を支援するためユーザー入力による「副題」、「日付」での検索結果の集団化を実現した。
③検索用語に関連する“Wikipedia”の検索結果とリンクさせた。
④利用者が入力した検索用語に関係づけられた“EUREKA News” (注5)の結果を確認できるようにした。
(⑤以下は、一般的な内容なので省略する)

 これらの連邦政府機関の多くは「CENDI」(注6)のメンバーである。“Explore Selected Science Websites by Topics”の部分はCENDIがメンテナンスしている。“Science.gov”ウェブサイトはテネシー州のオークリッジに本部を有する連邦エネルギー省科学技術情報局(OSTI)が担当し、また深層検索(deep Web Search) (注7)能力を提供する。

2.“Science.gov”の今日までの機能改良の経緯
(1)第一世代
 2002年12月に連邦政府による初めての広く一般人がアクセスでき、政府が保有する科学・技術分野に関する広大な情報の一元的検索できるサービスが発足、稼動を開始した。

(2)第二世代
 2004年5月に連邦政府科学検索に関するリアルタイムでの関連性の順位付け機能(real-time relevancy ranking)を導入した。この技術は連邦エネルギー省(DOE)により資金支援を受けたもので、一般市民が政府の保有する情報倉庫の内容を選別し、かつ利用者個人の要求を最も満たす結果を引き出すことを支援するものである。同時に、更なる検索機能(advanced search capability)やその他機能が追加された。
 2005年2月には無料か使い勝手のよい「注意喚起情報メール提供」サービスを始めた。このサービスは、市民が自分が関心を持つ分野についての最新の科学開発情報が電子メールで受信できるサービスである。同サービスでは選択した情報源から最大25件の関連情報が送られてくる。注意喚起メールに添付された情報は個人化された保管ボックス(Archive)に6週間保管される。この保管庫サービスでは過去の利用実績が検証でき、また注意喚起して欲しい検索条件の編集の変更が随時可能である。

(3)第三世代
 2005年11月に稼動したが、より精度が高いレベルの検索が可能となった。連邦科学データベースに対する質問が可能となり、加えて分野別検索が増強され、またユーザーによる広範囲なブール値 (注8)を用いた検索方法が選択肢として追加された。

(4)第四世代
 2007年2月、更なる洗練された検索質問サービスが導入された。初めて常連利用者は現データを検索することが可能となった。さらに関連結果の中で関連性の順位付けアルゴリズムは全文に対するランキングを可能として機能的にさらに洗練された。該当文書の日付は順位付け目的において優先された。また新機能として常連は仲間や友人と電子メールで検索結果を共有できるようになった。

3.今回の追加された内容の確認手順
(1)“science,gov”のポータルページを開く
(2)画面右上の“SCIENCE GOV WIDGET”NEWをクリックする。
(3) Science.gov Widgetの文中“authoritative U.S.government science information”をクリックする。
(4)“Federal Regulations and Legislation”に“NEW THOMAS,112th Congress”および“NEW THOMAS,111th Congress”が追加されている。

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(注1) 誤字の個所は2月4日付けSTI学術情報流通ニュースの「・・・現時点の検索対象は、第111回議会(2009-2010)と第12回議会(2011-2012)の法案。」で、第112回が正しい。ちなみに“Science.gov”の原文URLは、http://www.science.gov/thomas.html である。

その後、JSTは訂正を行っている。

(注2) 国立国会図書館の“Science.gov”の解説(2009年5月10日更新)は次のとおりである。
「米国連邦政府のポータルサイトFirst govの科学技術版で、政府系機関の有する文書、データベース、書誌情報などの信頼性の高いデータを対象に一元的な検索ができます。2002年12月に12省庁の17機関の相互協力により、Version.1が公開された後、2005年11月には現在のVersion.3にアップグレードされ、検索結果のランク付け手法やブール演算子による検索機能が改善されました。2006年3月時点で、28のデータベース、1,700以上のWebサイトの総計47,000,000ページ以上が検索対象となっています。」
しかし、本文で述べたとおりその内容はかなり古い。2000年に稼動開始した連邦政府の電子政府ポータル“First .gov.”は2007年1月に“USA.gov.”に名称が変わっており(国立国会図書館自身がこの件を報告している)、また“Science.gov”は2008年9月にバージョン5.0で新機能等が追加されている。1回の検索で、検索可能科学データベースは45で、総ページ数は2億ページ、リンクできる科学関係ウェブサイト数は計2,000以上となっている。(“Science.gov”の概要説明より抜粋)

(注3) 2008年09月16日付けSTI学術情報流通ニュースは次の内容を報じている。
「Science.govは、9月15日、サイエンスを強化し2億ページを検索するバージョン5.0を発表した。
第5.0版に搭載したのは、(1)7つの深層ウェブデータベース、(2)検索結果をサブトピックスや日付でグループ化し、必要な科学情報のみを探せるクラスタリング機能、(3)更新アラートサービス機能。
また、検索結果のeメール送信、個人用研究ファイルや引用ソフトウェアへのダウンロード、検索語に関するWiki最新情報の入手、検索語に関するEureka News最新版の閲覧が可能。」
 最後に米国科学技術情報局 (Office of Scientific & Technical Information、OSTI)へのリンク情報を掲示している。
 しかし、わが国でこの訳文だけを読んで具体的な内容が理解できる一般人はいかほどいるであろうか。STIの電子政府にかかる社会的な役割から見て、筆者がここで補足した程度の解説は都度実行して欲しいと考えるがいかがか。

(注3-2)NEDO 海外レポートが2008.10.22「Science.gov 5.0 の立ち上げで科学情報へのアクセスが拡大(米国)-米国政府の科学情報リソース 200 万ページがインターネット上で利用可能-」が詳しく解説している。

(注4) わが国の“science .gov 5.0”の解説として、JST以外に独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も取上げている。説明内容はJSTに比べると各種の関係データを調べた結果がうかがえる。しかし、その内容において致命的なミスがある。1アクセスで検索できるページ数は2億ページである。200万ページではない。

(注5) “EUREKA”について補足しておく。
「ユーレカ・イニシャチブ(EUREKA)は参加国の企業と研究機関に対し、国境を越えて製品や工程技術やサービス等を開発するための市場志向の共同研究を行う道を開いている。ユーレカの目的は、欧州に存在する専門家人材やノウハウや研究施設及び資金を束ね、それを通じて先端技術に基礎をおいた製品や製造技術を開
発し欧州産業の国際競争力を強化するために貢献することである。ユーレカは1985 年フランスの提案によりパリで開催された欧州理事会で設立が決定されているからEU フレームワークプログラムとほとんど同時に活動を開始している。
ユーレカは設立後EU と西欧の枠を越えた多数国の協力による共同研究開発活動として発展してきた。その特徴を示すキーワードは、市場性のある成果志向、企業参加者が研究の主体となり大学等科学基盤の能力を活用、企業ニーズを反映した研究テーマ提案のボトムアップ方式、柔軟な運営体制、研究資金が参加者の属する政府やEU からの補助金あるいは自費などである。」(2003年8月ジェトロ「EU の産業技術開発政策の動向」から一部(38ページ以下)抜粋)
“EUREKA”の具体的な活動内容については、“EUREKA”のHP を参照されたい。

(注6) “CENDI”は,以下述べる14の米国連邦政府機関の科学技術情報担当シニア・マネージャーによる省庁間グループである。省庁別の専門図書館や情報局など12の機関が参加しており,連携や情報交換を通じて単独での活動よりも大きな力を発揮することに加え,効果的な科学技術情報の提供によって米国の科学技術プログラムを支援することを目的としている。1985年,4機関の覚書によって設立され,その後,順次他の機関が参加した。前身は1960年代初頭に設置された科学技術情報委員会(COSATI)にさかのぼる。定期的な運営会議,事務局を持ち,議会への働きかけなどを行うほか,著作権と知的所有権,科学技術情報政策,科学技術情報ポータルscience.govの運営などの5つのワーキンググループが活動している(独立行政法人 科学技術振興機構(JST)の解説から抜粋のうえ、 “CENDI”のHP の内容に則して修正した。)
①国防総省・国防技術情報センター(DOD:defense Technical Information center)
②連邦環境保護庁・研究開発および環境情報局(EPA:Office of Environmental Information:OEI)
③政府印刷局(Government Printing Office)
④連邦議会図書館
⑤NASA米国科学技術情報局(NASA Scientific and Technical Information Program)
⑥連邦農業省・国立農業図書館(National Agricultural Library)
国立公文書館(National Archives and Record Administration)
⑧連邦教育省・国立教育図書館(National Library of Education)
⑨連邦保健福祉省・国立医学図書館(National Library of Medicine)
全米科学財団(National Science Foundation)
⑪連邦商務省・技術情報局(National Technical Information Service)
⑫連邦運輸省・国立運輸図書館(National Transportation Library)
⑬連邦エネルギー省・科学技術情報局
⑭内務省・地質調査所(USGS/Biological Resources Discipline)

(注7) “deep Web Search”の具体的なアクセス方法は http://deepwebtech.com/で確認できる。

(注8) “Boolean capability”は論理演算の「真偽値」をいう。複雑な式が真になるか偽になるか判断することをブーリアン演算(論理演算)と呼ぶ。コンピュータの扱う処理や計算の多くは、最終的に論理演算に変換されて実行される。身近な例では、データベースやサーチエンジンに複雑な検索を行わせる時に使われている。(Wikipedia から引用)

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