Financial and Social System of Information Security

インターネットに代表されるIT社会の影の部分に光をあて、金融詐欺・サイバー犯罪予防等に関する海外の最新情報を提供

新しい年に新しい仕事? 採用詐欺師に要注意!オーストラリアの新たな詐欺対策部門の新設 

2023-02-03 11:28:17 | 詐欺社会への警告と対応

1月3日、筆者の手元にオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)から警告ニュースが届いた。

 筆者が特に注目したのは、従来取り組んできたACCC詐欺ウォッチ・サイトに加え、新たな予算措置を前提に新しい国立詐欺防止センター(new National Anti-Scams Centre :NASC)を設置すること、またオーストラリアの場合、詐欺被害者に関する精神的苦痛を支援するための相談、危機サポート・サイトであるビヨンド・ブルー・リミテッド(Beyond Blue Limited等の丁寧な紹介をあげている点である。

 筆者なりに関係サイトの内容を補足的に引用、仮訳した。

以下、詳細版は会員のみ限定です。会員希望の方は下記あて

 

 

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FBI、証券取引委員会およびFINRAは登録されたブローカーや投資アドバイザーを装った詐欺師が投資家をだまし取る犯罪の多発と手口の多様化を警告

2021-08-04 12:53:33 | 詐欺社会への警告と対応

 わが国では、詐欺は特殊詐欺問題がいまだに収まらない一方で、世界最大規模のわが国の金融資産を目がけて、わが国だけでなく世界中の詐欺師が狙いを定めていることは言うまでもない。

 最近では7月12日、日経新聞は「投資詐欺疑いで4人逮捕、60億円超集金か 仮想通貨名目」を以下のとおり報じた。

 人工知能(AI)を用いた暗号資産(仮想通貨)事業への投資名目で現金をだまし取ったとして、愛知県警は12日、会社役員、石田祥司容疑者(59)ら男4人を詐欺の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。関係者によると、高配当をうたった投資話で、全国の2万人近くから計60億円超を集めた疑いがある。以下、略す。

  すなわち、投資詐欺は本ブログでもしばしば取り上げてきたテーマではあるが、最近時米国等ではかなり手が込んだ詐欺手口に対する関係監督機関や自主規制機関が大規模に警告を鳴らしている。

 もちろん、わが国でも金融庁、日本証券業協会、国民生活センタ―等が機会をとらえた注意喚起や警告を行っていることはいうまでもない。しかし、前述したような高齢者の資産家だけでなく相談相手がいない中金持ちや小金持ちをターゲットとする詐欺ビジネスが今後急増することは言うまでもない。

 その意味で投資家保護教育の先進国である米国の実態を学ぶことは、極めて重要なわが国の施策と考える。

  なお、この問題の背景には「カモ・リスト問題」がある。詐欺犯のシンジケートは過去に詐欺にかかった人の個人情報を高額で売り買いしており、この意味でもわが国の機微情報漏えい事件処理や制裁の甘さが背景にあることは言うまでもない。

1.SECの 投資家教育・擁護局の警告Fraudsters Posing as Brokers or Investment Advisers – Investor Alert」の概要

 詐欺師は、投資家を詐欺に誘い込むために、証券取引委員会(SEC)、金融業規制機構(FINRA) (注1)または州証券監督当局(State Securities Regulators)に登録されていると偽って説得したり、実際にこれらの組織/ 事業者に登録されている実本物の投資専門家を偽装することさえある。

 また、詐欺師は、現在または以前に登録された会社または投資専門家の名前住所登録番号ロゴ写真、またはウェブサイトの類似性を誤って悪用する可能性がある。

 詐欺師は、次のような多くの策を使用して登録されていると投資家をだまして信じさせようとする。

(1)なりすましウェブサイト(Spoofed Websites.):詐欺師は、登録企業や投資専門家と同様のURLアドレスまたは名前を使用してウェブサイトを設定して、投資家をだまして詐欺師が登録されているか、詐欺師が登録された会社や投資専門家と提携していると信じるようにすることができる。

(2)ソーシャルメディア上の偽のプロファイル(Fake Profiles on Social Media)に基づく勧誘行為:詐欺師は、人気のあるソーシャルメディアプラットフォーム上で登録投資専門家になりすましたプロファイルを設定し、投資家に投資を勧誘するようメッセージを出すことができる。

(3)コールドコール(Cold Calling):詐欺師は、登録された企業の従業員であると主張しながら、投資家にお金を勧誘するためにコールドコールを行うチームとボイラールーム(注2)を設定することができる。詐欺師は、会社の場所から呼び出しているように見せるために技術を使用する可能性がある。

(4) 虚偽文書または文書改ざん(Misrepresenting or Falsifying Documents):詐欺師は、彼らの会社がSECに登録されている偽って投資家を募集することができる。虚偽表示をサポートするために会社のフォームD(注3)(注4)ファイリングを指摘するなど .詐欺師は登録された投資専門家になりすまし、専門家の名前とCRD番号を使用して公開レポートの偽バージョンを生成することによって投資家を勧誘することができる。(詳細については、このFINRAの投資家アラートの図解を読まれたい).

 投資専門家の登録。投資商品やサービスの多くの売り手は、ブローカー、投資アドバイザー、またはその両方である。ほとんどのブローカーはSECに登録し、FINRAに参加する必要がある。個人投資家に投資アドバイスを提供する投資アドバイザーは、一般的に、SECまたは主要な事業所を持つ州証券監督当局に登録する必要がある。

 まず、投資を提供する人の身元を確認する。その人が提供するウェブサイトや連絡先情報に頼ってはならない。 SECに登録されていると偽って申し立てられた疑いがある場合は、その人にお金を与えず、個人情報を共有しないで、すみやかにSEC にその者を報告すべきである。。

 投資を提供するユーザーが現在ライセンスまたは登録されているかどうかを迅速かつ簡単に確認するには、SECのInvestor.govの「検索ツール」を使用する。販売者がライセンスまたは登録されていることを確認したら、詐欺師を扱っていないかどうかを確認すべきである。

 販売者が提供する連絡先情報のみに頼るのではなく、会社の顧客関係の概要 (フォーム CRS)に記載されている電話番号やウェブサイトを使用するなど、個別に確認した連絡先情報を使用して、販売者に連絡する必要がある。会社のフォーム CRS の本物のコピーを確認するには、次の手順に従う。

1.Investor.govの [投資プロフェッショナルのチェックアウト] 検索ボックスで、ドロップダウン オプションから [会社] を選択し、会社名を入力する。

2.検索結果で、該当する会社をクリックし、[詳細の取得] をクリックする。

3.[リレーションシップサマリー] または [パート 3 の関係の概要] をクリックする。

フォーム CRS の詳細については、 investor.gov/CRS を参照されたい。

警告サインである赤い旗に留意すべき

 誰かがSECに登録されていると主張するかどうかに関係なく、投資詐欺に関しては、以下の場合、これらの警告サインを見つけた場合は十分注意されたい。

1..高い投資収益を保証(Guaranteed High Investment Returns):高い投資収益率の約束は、多くの場合、リスクのほとんどまたはまったくない保証を伴う、 詐欺の古典的な兆候です。すべての投資にはリスクがあり、高いリターンの可能性は通常高リスクです。

2.一方的未承諾オファー(Unsolicited Offers.)。「本当であるにしてもはあまりにも良すぎる」と思われる投資リターンを得るために、一方的なオファー(あなたはそれを求めておらず、送信者も知らない)は、詐欺の一部である可能性がある。。

3.投資の支払方法に関し問題となる赤いフラグが上がる場合

 ①原則クレジットカード支払いは不可・:ほとんどの.免許を持ったおよび登録投資会社は、顧客がクレジットカードを使用して投資することを許可していない。

 ②原則デジタル・アセットウォレットと「暗号通貨」による支払は不可:免許をもった金融会社や登録された金融会社は、通常、顧客に対して、デジタル資産のウォレットや、いわゆる「暗号通貨」を含むデジタル資産を使用しての投資することはできない。

 ③電信送金とチェックは要注意:電信送金または小切手で投資を支払う場合、別人や別の会社に支払いを行うように求められたような疑わしい場合や住所が疑わしい場合(住所のオンライン検索は、会社が運営するオフィスビルではないことを示唆している)、支払いは医療費や家族へのローンなど投資とは無関係の目的であることに注意すべきである。あなたが詐欺であることが判明した投資のために米国外にお金を送金した場合, あなたはおそらく二度とあなたの資金を見ることはない。.

【参考情報】

○SECや FBIへの報告

 証券詐欺の可能性を www.sec.gov/tcrでSECに報告する。オンライン詐欺をFBIのインターネット犯罪苦情センターhttps://www.ic3.gov.に報告する

○SECは、本物の企業の偽装者のリストを保持している。.このリストは網羅的なものではなく、企業がリストに載っていない場合でも偽装される可能性がある。

○FINRAスタッフが偽装スキーム.記事を発表した。.

オンライン詐欺や投資詐欺の詳細については、www.fbi.govまたはInvestor.gov、個人投資家のためのSECのウェブサイトを参照されたい。

2.FINRAの「安全性を求めて、詐欺師に注意してください」

 2021.6.28 付けFINRAの解説文仮訳する。

 市場が急激に下落したり、混乱の兆候を示したりすると、投資家は資産をより安全な投資であると認識しているものにシフトすることがよくある。しかし、詐欺師はこれを知っており、投資家が求めるものに合わせてピッチをすばやく変更する。

 場合によっては、詐欺師は実際に登録された投資専門家または会社の名前を悪用して、彼らのスキームに正当性のように見せかける。これらの種類の詐欺師スキームは、ソースの信頼性と呼ばれる戦術に依存している。つまり、評判の良い企業によって適切に登録および採用されていると主張することで信頼性を構築する。FINRAは、詐欺師が登録された投資専門家になりすますだけでなく、架空の証券投資や銀行商品を提供する事例も見ている。

【詐欺被害が避けられた例】慎重さが大事

 ある投資家(A氏)は最近、詐欺の危険信号を認識して詐欺師の詐欺を回避できた。。投資家はオンラインで譲渡性預金(CD)を検索し、有名な証券会社のように見えるものから、一般的な市場金利をわずかに上回る有望なCDを見つけた。投資には最低50万ドル(約6450万円)の預金が必要であったが、そのマーケティング資料では、早期の引き出しに対するペナルティはなく、投資はFDIC(連邦預金保険公社)の保険に加入していると主張していた。

 それでも、A氏は、投資機会の正当性を判断するために、FINRABrokerCheckのレビューを含む追加の調査を実施した。投資専門家と証券会社の両方がFINRAに登録されているようであった。彼は、証券会社のロゴを表示する公式に見える口座申請書に記入し、口座に資金を供給するために資金を送金するための指示を受けた。

 この投資家A氏にとって幸いなことに、彼は詐欺師から離れ、FINRAの規制当局に疑惑を報告することになった危険信号に認識できた。

(1)そこに見られた赤旗情報とは何であったか?話の矛盾点に要注意

一貫性のない登録情報:BrokerCheckは、営業担当者がニューヨークで働いていることを示していたが、それでも担当者は投資家に対し自分はカリフォルニアにいると述べた。

会社の関連付けを確認できない:営業担当者は、投資家の口座が有名な登録証券会社の子会社にあると主張しましたが、投資家はその会社がその名前の子会社を持っていることを確認できませんでした。

異なる製品の詳細:投資家に提供された商品名と機能は、CUSIP番号(証券の一意の識別子)の独立した検索で見つかったものと一致しなかった。。

海外への送金依頼:投資家は、取引を容易にするために海外の第三者に送金するように指示された。

 これらの注意情報フラグは、投資家が詐欺師の詐欺で数十万ドルを失うのを防ぐのに十分であった。私たちは投資家の話を共有して、同様のオファーに遭遇する可能性のある他の人を助けた。実は、詐欺師である営業担当者は、盗まれたIDと架空の電子メールアドレス、架空のWebサイト、架空の製品の背後に隠れて、登録された投資専門家を装っていた。

(2)詐欺師の詐欺を発見して回避するためのヒントとは?

①まず、徹底的に質問して確認してください。言い換えれば、あなた自身が自分で研究すべきである。投資を決定する前に、取引している個人、代表している金融機関、および検討している投資商品について質問してください。

 FINRAの”BrokerCheck”で投資専門家に関する情報を確認できる。これは無料のオンラインツールで、ブローカー、投資顧問、登録投資会社に関する情報を入手できる。扱っている個人が表すものと”BrokerCheck”に表示されるものとの間の不一致に注意すべきである。

 ”BrokerCheck”を利用して、投資会社の主な連絡先番号を確認することもできる。銀行、投資会社、保険会社が販売する商品の条件や機能は大きく異なる可能性があるため、購入する商品の種類と提携している金融機関の種類を明確にすることも重要である。

②懐疑的になりなさい: ボラティリティの時代には、投資家は、より低いがより安定したリターンを提供する投資に引き付けられる可能性がある。ウェブサイトが1種類の商品のみを提供しており、その種類の金融機関や投資会社が一般的に提供している他の商品がない場合は、いったん投資話を停止する必要がある。投資家は、投資に200,000ドル以上などの高額の最低預金が必要な場合にも注意を払い、低リスク、FDIC保険の適用範囲、および早期撤退に対する罰則がないという主張を独自に検証する必要がある。不正な投資商品は、他の金融機関よりも大幅に高い金利を宣伝する可能性もある。米国外にあるアカウント、またはマーケティング資料に記載されている金融機関とは異なる名前の米国を拠点とするサードパーティのアカウントに資金を振り込むように指示された場合は一層注意が必要である。

③独自の調査を実施しなさい:プロモーターが提供するリンクではなく規制ツールを使用して、時間をかけて独自の調査を行い、詐欺の危険信号に注意すべきである。

 詐欺師は、同じように綴られたWebアドレスと同じような名前の似たようなWebサイトを使用して、合法的な企業を偽装することがよくある。

 宣伝されたウェブサイトまたは製品は、登録された会社の独立したウェブ検索で表示されますか?提案されているものとオンラインで検証できるものとの間の矛盾を探すべきである。たとえば、一見、正当に見えるCUSIP番号ですが、オンライン調査と一致しないその他の製品の詳細などである。投資機会または投資専門家の正当性を判断するため、会社がFINRAに登録されている場合は、BrokerCheckに記載されている電話番号など、疑わしいWebサイト以外の場所にある電話番号を使用して金融機関に電話することを検討してください。

 また、売り手と投資が登録されている場合でも、最初に家族、投資専門家、弁護士、または会計士とあなたの決定について話し合ってください。

④個人または企業からビジネスを勧誘することで受け取った情報に疑問がある場合は、個人情報または財務情報を送信する前に、FINRAまたは別の規制当局に連絡してください。あなたまたはあなたが知っている誰かがブローカーやディーラーを巻き込んだ詐欺師の詐欺でお金を失ったと思われる場合は、FINRAにヒントを送るか、苦情を申し立ててください。

 投資家はまた連絡することができる高齢者FINRA証券ヘルプラインはフリーダイヤル、(844-574-3577)で支援します。あなたが投資の専門家なら 誰かがあなたの名前や情報を詐欺の可能性の一部として使用しているのではないかと懸念する場合は、自社のコンプライアンス部門に連絡のうえ、のFIRA BrokerCheckホットライン(800-289-9999)に電話してFINRAに警告情報を送ってください。

**********************************************************************************************

(注1)FINRA(Financial Industry Regulatory Authority)は米国の金融業規制機構。2007 年7月、NASD(National Association Of Securities Dealers、全米証券業協会)とNYSE(New York Stock Exchange、ニューヨーク証券取引所:NYSE)の自主規制部門の統合により設立された。

投資家保護や証券取引の透明性の確保、不正行為の摘発などを目的に、米国において証券会社などの行動を監視・規制する組織。政府機関ではなく非営利の民間協会として運営されている。

 米国の証券仲介ブローカー業務を行う団体はFINRAに登録し、認定を受ける必要がある。違反行為に対しては罰金や業務停止などを課し、投資勧誘広告内容のチェック、個人投資家向けの投資教育、投資に関わる争議の仲裁も行っている。

(注2)ボイラー・ルームとは、高圧の営業担当者が潜在的な投資家のリスト(「カモ(suckers)のリスト」)に電話をかけて、投機的な、時には詐欺的な証券を売り込む場所またはオペレーション(通常はコールセンター)をいう。カモ被害者リストは、以前の詐欺の被害者を特定する。

(注3) モンローシェリダン・アーロン・リード外国法事務弁護士(米ニューヨーク州)「アメリカの投資家から資金調達をするために必要な知識:Regulation D(レギュレーションD)」原文が日本語)から一部抜粋する。

Regulation D

 アメリカでは全ての有価証券の募集と販売は、登録義務が免除されていない限り、証券取引委員会に登録する必要がある。しかしアメリカでは、登録費用が高く時間もかかるため、初期段階での資金調達を考えている会社は一般的に、登録義務が免除されるような募集方法を考える必要がある。

では、Regulation Dとは何だろう?

 Regulation Dとは、最もよく使用される登録義務の免除規定であり、アメリカでは多くのベンチャーキャピタルの資金調達に使われている。実際には、Regulation Dには証券取引委員会への登録義務の免除規定が4タイプ含まれている:Rule 504、Rule 505、Rule 506(b)及びRule 506(c)。これらの免除規定は、会社が自身の証券を販売する際に適用できるが、ブローカーやその他の媒介者には適用できない。

Rule 504

 Rule 504のもとでは、会社は年間100万ドルまでの証券を募集・販売できる。証券取引委員会はこの金額を年間500万ドルへ引き上げるよう提案したが、新たな規定はまだ有効になっていない。

 Rule 504に基づき募集された証券は、いかなるタイプの投資家でも購入することができる。すなわち、投資するために必要な資格はない。Rule 504は、Regulation Dの中でも、特別な要件を満たすことなく何人でも投資可能な登録免除を定めた唯一の規定である。

概して、Rule 504に基づく募集は”一般勧誘”(general solicitation)を含んでいない。(”一般勧誘”は禁止されている。)

General Solicitation (一般勧誘)とは?

 “一般勧誘”という言葉は、例えばインターネット上で募集を公表することなど、幅広い意味での宣伝・公表を意味する。スタートアップ企業の”Demo Day”(デモ・デー)でさえ、場合によっては一般勧誘に当たる危険性がある。

 証券取引委員会はこれについて詳細なガイダンスを出しており、ある特定のコミュニケーションが”一般勧誘”かどうかについては非常に複雑な分析が必要となるケースもある。従って、Regulation Dに基づく資金調達を考えている企業は、募集について潜在的な投資家とコミュニケーションをとる前に弁護士のアドバイスを求めるべきである。

Rule 505

Rule 505のもとでは、会社は年間500万ドルまでの証券を募集・販売できる。Rule 505に基づく募集では、”適格投資家”であれば数の制限なく参加できる。また、Rule 504と同じく、Rule 505でも一般勧誘は禁止されている。

正確に言えば、適格投資家ではなくとも35名までであれば証券を購入することができるが、非適格投資家が含まれる場合、会社は登録が必要な募集に要求されるものと類似する情報を非適格投資家へ提供しなければならない。この情報を作成するには相当な費用がかかるため、結果的にRule 505に基づき証券を販売する会社は大抵、募集を適格投資家に限定している。

Accredited Investors (適格投資家)

では、適格投資家とは何だろう?”適格投資家”という言葉は、ほぼ全ての機関投資家、資産500万ドル以上を有する企業、その他のあるタイプの投資家を含んでいる。個人が適格投資家になるためには、その個人が純資産を100万ドル以上保有、もしくは過去2年間の年収が20万ドル以上なければならない。その他にも、適格投資家と判断するには詳細な規定がある。

Rule 506(b)

Rule 506(b)のもとでは、募集する額に制限はない。よって、会社はこの規定を利用して、10億でも100億ドルでも資金調達をすることができる。また、Rule 505と同様に、適格投資家であれば数の制限なく募集を行うことができる。

要件を満たせば、非適格投資家でも35名までは証券を購入することができる。但し、Rule 505と同様に、証券の発行者は非適格投資家に対して詳細な情報を提供する必要があり、情報作成に費用がかかる。

Rule 504, 505と同じく、Rule 506(b)でも一般勧誘は禁止されている。

Rule 506(c)

Rule 506(c)は、一般勧誘があった場合でも登録義務を免除するために、2013年にRegulation Dに追加された規定である。

Rule 506(c)はRule 506(b)によく似ているが、大きな違いは下記の通りである;

Rule 506(c)のもとでは、全ての投資家は適格投資家である必要がある。

発行体は、投資家が適格投資家であることを証明するためのステップを必ずとらなければならない。Regulation Dに基づくその他の募集では、発行体は一般的に単に投資家からの自己証明に依拠することができるが、Rule 506(c)ではこれでは足りない可能性が高い。

発行体は募集のために一般勧誘をすることができる。

Form DはRegulation Dの要件であるが、発行体によっては要求される情報を開示したくないためにForm Dを提出しないこともある。Form Dを提出しないことによるリスクが限定的であるケースも一般的ではないにしろあり得るが、それには注意深い分析が必要であり、州レベルでの証券法が決定に影響を与えることもある。一部の州の規制当局は、州法のもとでの募集に対する登録義務の免除にForm Dの提出が必須かどうかにつき異なるスタンスをとっているので注意が必要である。 

再販売の制限

 Regulation Dに基づく募集における証券を購入した場合、別途登録の免除がない限りはその証券を再販売してはならない。購入者が適切な免除の適用なしに証券を再販売した場合、もとの募集に対して適用された免除もなくなる危険性がある。これは、資金調達をする会社にとって重大な問題を引き起こしかねない。従って、Regulation Dに基づく募集で証券を購入する者に対し、自由に売買できない証券を購入する旨を理解させる手段を講じることが必要である。発行体が、無許可での販売を防ぐために利用することができる法的なプロテクションもある。

適切な免除規定を選ぶ

Regulation Dに規定される4つのRuleにはそれぞれ長所と短所がある。例えば、Rule 506(c)では一般勧誘はできるが、それに伴い発行体は投資家の適格投資家ステータスをより詳しく調べる必要があり、募集にかかる費用や時間が増えることになる。

一方、会社が数十万ドルのみを調達したい場合、典型的なのはRule 504に基づいて財務やビジネスの詳細情報を提供することなく、友人や家族、非適格投資家に対して私募発行をすることができる

(注4) 「米SECに提出された「登録免除」の仮想通貨ICO総数が前年比500%増加|裏口のレギュレーションDとは」を見ておく。冒頭で述べた「人工知能(AI)を用いた暗号資産(仮想通貨)事業への投資名目での高配当をうたった投資話詐欺も法の抜け穴といえよう。

 2019.1.12 「米SECに提出された「登録免除」の仮想通貨ICO総数が前年比500%増加|裏口のレギュレーションDとは」

 2018年、米SECから適用免除のICO総数が昨年より550%増加。2018年に米SECに提出されたICO関連の「私募フォームD」の総数は287にも上り、計87億ドル(≒9444億円)の資金調達が行われた。2017年の私募ICOの総数44から550%増加、ICOの総金額も314%上昇したことになる。

 なお、ICOとは、Initial Coin Offeringの略称で、「新規通貨公開」という意味で、資金を調達したい企業や団体、事業所が、独自の仮想通貨を発行し、販売することで資金調達を行う過程のことを指す。

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このため、その内容のチェックを含め完全なリンクのチェック、確保に努めてきた。

3.上記2.のメンテナンス作業につき従来から約4人態勢で当たってきた。すなわち、海外の主要メディア、主要大学(ロースクールを含む)および関係機関、シンクタンク、主要国の国家機関(連邦、州など)、EU機関や加盟国の国家機関、情報保護監督機関、消費者保護機関、大手ローファーム、サイバーセキュリテイ機関、人権擁護団体等を毎日仕分け後、翻訳分担などを行い、最終的にアップ時に責任者が最終チェックする作業過程を毎日行ってきた。

 このような経験を踏まえデータの入手日から最短で1~2日以内にアップすることが可能となった。

 なお、海外のメディアを読まれている読者は気がつかれていると思うが、特に米国メディアは大多数が有料読者以外に情報を出さず、それに依存するわが国メデイアの情報の内容の薄さが気になる。

 本ブログは、上記のように公的機関等から直接受信による取材解析・補足作業リンク・翻訳作業ブログの公開(著作権問題もクリアー)が行える「わが国の唯一の海外情報専門ブログ」を目指す。

4.他にない本ブログの特性:すべて直接、登録先機関などからデータを受信し、その解析を踏まえ掲載の採否などを行ってきた。また法令などの引用にあたっては必ずリンクを張るなど精度の高い正確な内容の確保に努めた。

その結果として、閲覧者は海外に勤務したり居住する日本人からも期待されており、一方、これらのブログの内容につき著作権等の観点から注文が付いたことは約15年間の経験から見て皆無であった。この点は今後とも継続させたい。

他方、原データの文法ミス、ミススペリングなどを指摘して感謝されることも多々あった。

5.内外の読者数、閲覧画面数の急増に伴うブログ数の拡大を図りたい。特に寄付いただいた方で希望される方があれば今後公開する筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中である。

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関係者のアドバイスも受け会員制の比較検討を行っている。移行後はこれまでの全データを移管する予定であるが、まとまるまでは読者の支援に期待したい。

                                        Civilian Watchdog in Japan & Financial and Social System of Information Security 代表                                                                                     

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米国IC3(Internet Crime Complaint Center)が警告を鳴らす前払式カード偽造等の新たな詐欺手口

2013-07-24 11:09:44 | 詐欺社会への警告と対応



 筆者は過去において多くの機会を割いてカード犯罪とりわけ詐欺社会への警告と対応問題をサイバー犯罪の中核問題の1つとして取り上げてきた。
 7月18日、IC3は匿名性を持つプリペイド・カード(ギフトカード)のバーコード情報の偽造、商品窃盗・返金請求詐欺
(注1)、ソーシャル・エンジニアリング(注2)および広告サイト・リンク・ソフト(Adware-Chitka )(注3)の変種ウイルスにつき新たな警告を行った。

 IC3が指摘する問題の中心は、米国のギフトカードは複数の様式があり、アマゾンなど小売サイトが発行するプラスチック・ギフトカード(physical gift card)、e-mail 発行型、モバイル発行型や店頭やオンラインで購入する方式等が上げられる。この複数の利用方式がゆえに、詐欺師による複数のポイントの不正操作を可能とさせる点にある。

 今回のブログは、IC3が取り上げるこれらのギフトカード詐欺等の犯罪手口について、その概要を整理するものである。


1.ギフトカードの不正加工やその利用(Gift Card Tampering)
〔手口1〕
・詐欺師は店舗内にある生ギフトカードをいったん盗む。
・次に、同カードにギフトカード番号とアクセス・コードを入力・記録する。
・詐欺師は入力済のカードを店舗の元の場所に戻す。
・正当な顧客は、同ギフトカードを購入する。
・詐欺師は繰り返しすでに内容を盗み取ったギフトカード番号に基づき、残高ポイントをチェックする。
・いったん保有者に利用可能残高につき注意喚起がなされると、詐欺師は直ちにオンラインで残高ポイントの消費を開始する。 (注4)

〔手口2〕
・詐欺師は小売業者が発行したギフトカードのバーコード情報を不正に取得する。
・次に、UPSジェネレーター(米国商品流通コード作成)・ソフトウェアを使ってコピー版のUPSステッカーを作成する。(このコピー版ステッカーは詐欺師のオリジナル・ギフトカードの内容と合致する)
・詐欺師はそのコピーカードを店舗の未使用カードに貼り付ける。これら情報盗取詐欺師は、アクセスコードやPINの不正操作に習熟するとともに未使用カードの封印を壊さずにギフトカードの不正加工技術を習熟してきている。
・正規の顧客はそのギフトカードを購入し、そこでの新たなポイント残高情報はオリジナルギフトカードの残高に移行する。
・詐欺師は繰り返しアクセスコードやPINを用いてポイント残高をチェックする。
・いったん保有者に利用可能残高につき注意喚起がなされると、詐欺師は直ちにオンラインで残高ポイントの消費を開始する。


 
〔手口3〕
・詐欺師は店舗内でギフトカードのバーコードの写真を撮る。
・詐欺師は、フリーウェアーのオンラインプログラムを使って一次元バーコード(左)を2次元バーコード(右)に変換する。



・詐欺師は、店舗内で使用する偽のモバイルギフトカードを作り出すため発行者のモバイル・アプリの動画作動画面と二次元バーコード内容を結びつける。
・正規の顧客は偽造されたギフトカードを購入する。その購入残高(マスターカードの残高)はクローン・バーコードに記録され、ギフトカードの裏面に表示される。買物するたびに正規カード残高は書き換えられない。マスターカードと同じ情報を記録するクローンカードのステッカーが書き換えられる。
・詐欺師は繰り返し発行者のウェブサイトのカード残高のチェックするか、または呼び出し手に対し照会番号ガイダンスを行う発行者の双方向音声システム(Interactive Voice Response)を使って連絡する。
・いったんロードされた残高につき注意喚起がなされると、詐欺師は直ちにクローン・カードを換金してしまう。

2.商品窃盗(Merchandise Theft)と返金詐欺(Return Fraud)
・まず詐欺師は店の商品を盗む。
・詐欺師は返金手続き(注5)のため店の顧客サービスカウンターに持ち込む。その際、「領収書なしの返金(No receipt return)」(注6)手続きを申し入れる。
・不正使用回避のため本人確認のため「運転免許証」のコピーが行われるが、多くは偽の免許証である。
・詐欺師は返品した商品と同額のギフトカードを店から受け取る。
この手口はマネーロンダリングのマネーミュールに似た物といえる。(つまり、複数の窃盗犯や返金詐欺犯が関与している点である)。
・詐欺師は無料広告サイト(classified advertisement websites)を使って再販業者に転売する。その再販業者は小切手の現金化店舗(check cashing stores)など二次市場でカードを販売したり、麻薬取引に使用する。
・ギフトカードは他のカードを購入するための洗浄機能のために購入される。

3.ソーシャル・エンジニアリング
・ギフトカード所有者は無料広告サイトを通じてオンライン販売を試みる。
・詐欺師はギフトカードの所有者を“buy”と呼ぶ。
・詐欺師は売り手に対し、カード残高確認と詐欺師・カード所有者と商人の3者間の双方向音声システム(Interactive Voice Response)を活用する点を強調する。
・売り手はギフトカード換金番号を電話して残高を確認するためカード番号とアクセスコードを入力する。
・詐欺師はギフトカードとアクセスコードの入力時にソフトウェアを利用する。
・詐欺師はオンラインでカードの残高を使用する。

4.アドウェア・ウィルス
 IC3は“Chitka”という広くいきわたっているアドウェアウィルスの変種に対する注意を向けている。このウィルスの被害はこの数ヶ月前から確認されているが、最近IC3は“Chitka”の作動内容につき情報を受け取った。
 このウィルスは、バナー広告を利用し、閲覧者がクリックすると収入が発生させるよう感染させるよう設計している。この変種ウィルスはブラウザの設定、レジストリー・キー、ウィンドウズのホストファイルを編集する機能を持つ。
・さらに、この変種ウィルスは追加的ウィルス、事前認証やユーザーがブラウジング中のクッキー検索機能等をダウンロードさせることが判明した。

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(注1) 店頭販売で購入した場合にもクーリング・オフ制度の活用をと思われがちであるが、クーリング・オフが適用される場合は、「電話勧誘」や「訪問販売」などにより、始めは購入者側の意思ではなく、販売者側からの突然の働きかけにより商品を購入した場合に限られる。
 購入者側の意思で販売者側に働きかけ、商品を購入した場合(購入契約を結んだ場合)は、不良品だった場合や誤出荷の場合を除き、返品・交換はその店のサービスとなり、あくまで店側は返品に応じる義務はない。

 なお、参考までに「通信販売の返品ルール」につき補足する。(国民生活センター「2009年特定商取引法改正のポイント」から一部抜粋。法律、省令は筆者が正式名に変えた)
 通信販売業者が返品特約を広告に表示していない場合は、商品到着後8日以内であれば、送料消費者負担で返品が可能になりました。返品特約を表示する場合は、消費者が見落とすことがないように、広告の目立つ場所にはっきり記載しなければなりません。返品の可否、条件、返送料の負担の有無を分かりやすく表示することとされている。(特定商取引に関する法律第11条第4号、同法第15条の2、省令(特定商取引に関する法律施行規則)第8条第1項)

 これはクーリング・オフとはまったく別の制度です。通信販売にクーリング・オフはありません。返品に関して表示がない場合には返品できますが、「返品不可」との表示がある場合は返品できません。また、返品の条件について記載があれば、その内容に拘束されます。
(以上のほか、特定商取引法の解釈や各種サービスに係るガイドラインにつき、詳しくは消費者庁「消費生活安心ガイド」サイトで確認されたい)

(注2)“Social Engineering ” とは、ネットワークの管理者や利用者などから、話術や盗み聞き、盗み見などの「社会的」な手段によって、パスワードなどのセキュリティ上重要な情報を入手すること。パスワードを入力するところを後ろから盗み見たり、オフィスから出る書類のごみをあさってパスワードや手がかりとなる個人情報の記されたメモを探し出したり、ネットワークの利用者や顧客になりすまして電話で管理者にパスワードの変更を依頼して新しいパスワードを聞き出す、などの手法がある。個人確認が不十分だったり、組織内部での機密情報の管理ルールが不完全だと、この手法によって容易に機密が漏洩してしまう。(IT用語辞典e-Words から抜粋)
 なお、より専門的な説明としては“CSO Online”の解説サイトを参照されたい。

(注3)“Adware-Chitka” とは、Webコンテンツの作成者が訪問者に広告を見せる際に参照するJavaScriptファイルをいう。なお、マカフィーは「さらなる分析の結果、このスクリプトは現在、McAfeeの有害な可能性のあるプログラムの基準を満たしていないと判断されました」と安全性価判断しているが、筆者はこの判断につき疑問を持つ。
 また、マイクロソフトは、ユーザー向けコミュニティサイト“Microsoft Community”において「How to remove “chitka”popups」に関する手順解説を行っている。

(注4) ここの部分の正確な理解は難しい。筆者なりに米国金融機関による“alert”を顧客に送信する場合とはいかなる場合を指すのかにつき利用規約等にもとづき調べてみた。結論を言うと、要するにカードホルダーに対する利用可能残高通知兼利用開始通知と考えるべきであろう。
 参考までにTCF Bankの貸越警告通知文を見ておく。

Be aware of your available funds
-
What is my “available balance?”
Your available balance is the amount that is available for withdrawal from your account. Generally, your available balance is deposits minus withdrawals, transfers, debit card authorizations, and fees.

Checks you deposit are not immediately available for withdrawal. Therefore, part of any check you deposit may not be included in your available balance for several days. See TCF’s funds availability schedule for more information.

When you use your debit card and TCF authorizes the transaction, TCF temporarily reduces your available balance by the amount of the authorization, even though the money does not come out of your account at that time. This reduction generally lasts for 3 business days unless the transaction reaches TCF for payment sooner.

When TCF reduces your available balance because of a debit card authorization, there is less money available to pay other transactions. This could cause your account to be overdrawn when it otherwise might not be.

Please note that debit card transactions can reach TCF for payment sooner than, or later than, 3 business days. They can also be for an amount different from the amount we authorized. Therefore, you should keep careful track of your debit card transactions, as they may not all be reflected in your online account balance

(注5) 米国の通販ビジネスにおける「返金・交換システム」利用規約(policy)文言例。
米国大手通販「ThinkGeek.com」は、Geekと呼ばれるほどのコンピュータやITテクノロジ、エレクトロニクス好きな人々をターゲットにしたガジェット、コンピュータ周辺機器、衣料品、菓子類、雑貨等の商品を企画・販売している米国最大手の通販サイトである。
その“Return Policy & Procedure”の解説文言部分を一部抜粋する。

Can I just exchange my items for new ones?
At this time, we do not process even exchanges. If you need a different size or color of an item you ordered, when your return is received, you will be issued a gift certificate (store credit) for the amount of the item.

(注6) 日本のギフトカード換金・未使用残高の返金に関する規約文言例
「ギフトカードの換金・返品・未使用残高の返金はできません。ギフトカードは有効期間中、カード残高の範囲内で何度でもご利用いただけます。ギフトカードの利用可能ポイントよりも安い商品と交換された場合は、有効期間中に、未使用残高で交換可能な商品との交換をお願いいたします。」

 しかし、このような規約文言の法的に見た適法性に関しては、なお多くの疑問が残る。時間の関係で今回のブログでは詳しく論じないが、英国メディア“Guardian”の2008年12月20日付け記事「No receipt? No problem, you can still get a refund」の要点を紹介しておく。

・販売店はしばしば「領収書がなければ返金や返品は出来ない」という規約文言を試みる。単に購入者が色が好きでないという理由である場合、いかなる店も、商品の交換や返金に応じる必要はない。しかし、商品に欠陥があった場合には、販売店は領収書を要求する権利を持たない。クレジットカード利用控えやカード請求書―そのように製品を購入したとき立ち会っている人が証明するのみで法的には十分である。

・「特売品については返品は出来ません」という通知文言も不適切である。
買い手が単に気が変わったのであれば、店は特売品を交換する必要はないが、購入した商品が不完全品であるなら、消費者はいつも返金や完全な商品を要求する完全な請求権を持つ。それらが販売された価格の金額の高い低いは重要な問題ではない。

・また、不完全でない商品の返品にかかる返品費用請求(返品送料とは別に請求)も違法である。

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米国FBIやIC3がPCの情報漏えいを目的とする写真共有プログラムを使用した犯罪手口を警告

2013-06-01 13:00:20 | 詐欺社会への警告と対応



 5月30日、FBIとIC3(Internet Crime Complaint Center)は詐欺行為や犠牲者のPCを機能損傷させるためにオンライン写真共有プログラムを使用するサイバー犯の増加を認めた旨リリースした。これらの犯人はオンラインによる車の広告を謳っているが、そこでは写真は提供しない。閲覧者からの要求に応じて写真を送るのであるが、そのEメールに添付される写真やそこで誘導されるオンライン写真ギャラリーの写真は被害者のPCにウィルスを感染させる目的そのものである。

 今回のブログは、やや具体性にかけるし従来から言われていることであるが、今回FBIが警告した内容の概要および被害に合わないためのヒント項目を簡単に紹介する。


1.犯罪手口
  FBIは犯罪手口につき次のとおり説明している。

 これら写真は被害者のコンピュータを感染させウイルスソフトを含み、それらは被害者が初めに見た本物サイトに極めて似せて見える「偽ウェブサイト」に導くのである。サイバー犯罪者はこれらの偽ウェブサイト(「テクニカル・サポート」や「ライブチャット・サポート」またはお勧めする「エスクロー・サービス」(注) 等を含むこれらの偽ウェブサイトのすべての局面を機能させる。被害者が購入の同意し、支払いをなした後、犯罪者は突然応答を停止する。このため犠牲者はいかなる商品も受け取ることはないのである。

2.これらの犯罪の被害者とならないためのヒント
 FBIは、オンラインでの購入行為時において消費者自身が自ら守るため、次のようないくつかのヒントを提示している。

①もし、あなたがオークションサイトにいて一旦はオークションに負けて、かつ売り手が後から最初のオークションの入札者が不成立に終わったと通知してきたときは要注意である。

②オンラインで購入するとき、そのウェブサイトが本当に安全で認証されたものであるかにつき確認してください。よく知られた実績のある「エスクロー・サービス」のみ利用すべきである。

③当該自動車のディーラーが本物か、またどのくらいの年数の販売業務を行ってきた実績があるかきちんと調べてください。

④あなたが買いたいと思うアイテムの値段が極めて廉価であると感じたときは要注意です。そのアイテムはおそらく詐欺商品です。

⑤あなたのコンピュータにダウンロードするとき、必ず当該ファイルをセキュリティソフトでスキャンしてください。

⑥あなたのコンピュータのソフトウェア(OSを含む)は、最新パッチでアップデートしておいてください。

⑦あなたが利用するアンチウィルスソフトとファイヤーウォールが有効であるか確認してください。
いる。


(注) エスクロー・サービス:物の受け渡しと代金の支払いを売り主と買い主が直接行うのではなく、第三者を介して行う第三者預託制度によるサービスのこと。当事者同士が直接やり取りを行うのに比べると、公平性・確実性が増す。


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米国ボストン・マラソン爆発テロ事件等を悪用した詐欺スパムメールに対するIC3の警告や寄付の見直し論

2013-04-19 16:53:11 | 詐欺社会への警告と対応




(本ブログは2013年4月27日に注書きを加筆した)

 4月18日(日本時間の未明)、筆者の手元にボストン・マラソン爆発テロ事件の被害者救済を名乗るスパムメールが2つ届いた。

(1)送信者:Cornelius Webster <sddsdad@lserve.com>、件名:Explosion at Boston Maraton、本文:略す!!!

(2)送信者:Tib Hensley<kotlyar@email.mot.com>、 件名:Video of Explosion at the Boston Marathon 2013、本文:略す!!!


 また、米国時間4月17日の夜に起きたテキサス州ウェーコ近郊の肥料工場の爆発事故に関してもスパムメールが届いた。送信者:Maurice Adkins morpheus75@verhas.com、件名:Fertilizer Plant Explosion Near Waco, Texas、本文:略す!!!

 筆者自身これほどIT詐欺師が迅速に活動を始めていることを肌で感じたのは初めてであり、SNS等の急速な利用拡大に伴い、わが国内でも警告の必要性を感じていたところに、FBIからIC3(インターネット犯罪苦情センター:Internet Crime Complaint)の本文で述べるとおりの警告文が送られてきた(IC3については、本ブログでも2009年4月2012年9月に取り上げている)。
 FBIだけでなく、この問題は“Network World”といったITメディア、“Huffington Post UK”といった政治系メディアも具体的に取り上げ、さらには米国商事改善協会(BBB) (注1)という業界自主規制団体が安易な寄付行為を戒める観点から助言を行うなど、広い論議を呼んでいる。

 わが国でも最近時にサイバー犯罪に対する法執行機関の専門家教育が指摘されていることはいうまでもないが、この分野はフォレンジックス問題と同様明らかに米国等に遅れを取っていることは言うまでない。
 最新情報として簡単に事実関係と詐欺メールの見分けかたについて解説する。なお、誤っても上記の真の発信者宛メールをクリックしないよう注意されたい。

 なお、わが国のメディアでも取り上げられているとおり、オバマ大統領や連邦議会上院議員宛に猛毒薬リシン (注2)を郵送した容疑でミシシッピー州コリント(Corinth)の住民 ポール・ケヴィン・カーティス(Paul Kevin Curtis)を逮捕した旨のメディアのリリースが手元に届いた。この事件ついては、米国のメディアが詳しく報じており別途体系的にまとめる予定である。

1.IC3の警告文の要旨(仮訳) (注3)
・4月15日、ボストン・マラソンのゴール地点の近くでマラソン参加者だけでなく見物人の死傷を引き起こした2つの爆発が発生した。アメリカ国民がこの悲劇に対し、援助や関与の必要性を感じる一方で、詐欺犯はこの機会をこれら親切心を悪用する手段とみた。

・アメリカにいる人々は爆発に伴う生じるオンライン詐欺やe-mailやSNSネットワーク・ウェブサイトを利用するとこの必要とされる予防措置をとる必要性を認識すべきである。4月17日時点で、FBIは複数の個人がオンライン詐欺活動を容易にするためe-mailやソーシャル・メディアを使っている可能性情報を受け取った。

・すなわち、潜在的な犠牲者がマルウェアやシステム攻撃(exploit)を狙ったスパムにスパムe-mailの回付についての報告を受けた。そのスパムメールの1つの主題は「ボストン・マラソン爆発(Boston Marathon Explosion)」ある。本文にあるURLをクリックすると、読者のPCにマルウェアを感染させる。クリックすると、一連の攻撃内容を示すビデオを示す個人情報漏えいを引き起こすウェブページを開かせる。そのページの下の部分に下されたビデオのかわりに各種のPCの脆弱性をもたらす“Red Exploit Kit”に繋がる。
 一度その手口が成功すると、つぎにユーザーはいつマルウェアをダウンロードすべきかに関するファイルをダウンロードするよう要求されるべく記したポップアップ画面を見る。

・ソーシャル・メディアは、「寄付(donations)」を懇願するもう1つの犯罪手段である。各種のIC3に対する苦情によると、爆発事件後、直ちに正規のボストンマラソン・アカウントに似せた「ツィッター・アカウント」が開設された。伝えられるところでは、同アカウントで受け取られるツィッターから1ドルが今回の事故の被害者に寄付が行われる。このアカウントは管理者により停止されたが同様の手口が行われる可能性はなおある。FBIはマラソン事故後、すくなくとも125の疑わしいドメインが爆発事故後数時間以内に開設されたことを確認した。ドメイン登録者の真の意図はなお不明であるが、詐欺目的はその他の災害時の抱き合わせで出てきた。

・個人がe-mailやソーシャルネットワーク・ウェブサイトを利用するとき、次のような予防的措置をとることによってサイバー犯人からの被害を少なくすることが可能となる。

①詐欺メッセージは、あなたのPC等デバイスにマルウェアを感染させるため添付・リンクされた画像やビデオを見るためソフトウェアを安易にダウンロードしてはならない。

②合法的なサイト(例:fbi.gov)にリンクさせることで、詐欺師はクリックした被害者をまったく別なウェブサイトにリンクさせることが出来る。これらのサイトは、マルウェアや機微個人情報を入手できる場合がある。ウェブサイトに安易にリンクしないでください。リンクするときは改めて合法サイトのURLを入力されたい。

・オンライン慈善団体への寄付懇願や要請があったとき、次のような防止措置をとることで、サイバー犯罪者からの被害を最小化することが可能である。

①調査するとともに公式のウェブサイトを訪問し、その団体の存在ならびに合法性を確認すべきである。評判のよい団体に極めて類似しているが、厳密に見ると異なる団体にはまず疑ってかかることである。

②あなたに代わって、他の人が寄付することは認めてはならない。寄付のテーマに合わせたメッセージのために個人情報を求めるウェブサイトへのリンクを信じてはならない。その情報はサイバー犯に送られる。

③特定の寄付を実行するときは、デビットカードやクレジットカードを使うかまたは小切手を使い、安全な方法を用いるべきである。合法的な慈善団体は通常、簡便な(証拠を残さない)現金送金手段により寄付行為はもとめないので、このような要請内容があるときは、まず疑ってかかるべきである。

2.疑わしいメールの「本当の差出人」のメールアドレスを知るには
 わが国でも(財)インターネット協会:豆知識「本当の差出人のメールアドレスを知ることはできますか?」が極めて簡潔の解説している。筆者なりに確認手順につき追加すると次のとおりとなろう。

  ファイル→プロパティ→詳細→ヘッダー部分の通常一番上のライン(Retun Path)の内容が表示されている「発信者」と同一であるかを確認する。導入文の例では<>内が“Return Path”を確認した結果である。

3.米国商事改善協会(BBB)の安易な寄付行為を戒める観点から助言内容

 BBBには悲惨な事故や事件の被害者等に対する寄付行為につき、安易な博愛精神の安売りを戒める「冷静・賢明な寄付実践同盟(BBB Wise Giving Alliance)」があり、赤旗を振って警告している。寄付のあり方に慎重な姿勢が求められることはいうまでもない。このような姿勢そのものが、オンライン詐欺師が活躍する場をなくすきっかけになるというもので、筆者も米国のdonate先進国が故の智恵であると考える。

 同同盟がまとめた寄付者が敢然とした賢明さを保つための10原則を項目のみ挙げる。
①考え深い慎重な寄付
②寄付の話題の話し会いの広がり(一人だけで決めない、家族や友人と相談する)
③州の登録慈善団体であるかのチェック(米国では50の全州のうち約40州が慈善団体登録を定めている)
④犠牲者の正確な情報(氏名、写真)の把握
⑤寄付金の使用目的の確認、特定
⑥遺族自身による支援基金の設立予定の有無の確認
⑦なじみのないウェブサイトをまず疑い、安易にリンクしない
⑧慈善団体の金銭・会計面での透明性の確認
⑨慈善団体のこれまでの実績・内容の確認
⑩税控除対象の可能性の確認(内国歳入法501(c)(3)条適用の有無の確認)

4.オバマ大統領の声明およびFBIが公表した容疑者の画像 筆者の手元に4月19日(金)午後4時51分に届いた米国大使館のレファレンス資料室の配信メール内容の要旨は次のとおりである。
「オバマ米大統領は4月18日、爆破事件が起きたボストンを訪れ、聖十字架大聖堂で行われた追悼式で犠牲者へ追悼の意を述べました。また16日にホワイトハウスで行われた記者会見では、米国はテロには屈せず、政府は市民を守ること、事件解決に全力を注ぐことを表明しました。FBIは、容疑者の画像をインターネットで公開し、市民に情報収集の協力を呼びかけています。」

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(注1) 米国商事改善協会(BBB)については、筆者ブログ(2013年1月11日「米国アリゾナ州司法長官が不動産担保ローンを有する州民に対し前払いによる新返済戦略詐欺手口に警告」 、2012年10月10日「米国の大手地方銀行『リージョンズ・バンク』の超高利ペイディ・ローン『Ready Advance』をめぐる最新論議)」等を参照されたい。

(注2) 青酸カリの10,000倍。ホスゲンの40倍の毒力。大気1m3 中に30mgのリシンがあれば、1分間で半数の人が死亡する。マウスLD50(腹 腔内)1μg/kg、ヒトの致死量は1-10μg/kgである(「医薬品情報21」の解説から一部抜粋)
 なお、余談であるが、化学物質の健康面への影響研究は、連邦保健福祉省・毒性プログラム(HHS: National Toxicology Program:NTP)のサイトが詳しい。

(注3) IC3は同一内容の警告を4月25日にも行っている。筆者の手元には類似の詐欺メールは4月19日以降は届いていない。

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