Financial and Social System of Information Security

インターネットに代表されるIT社会の影の部分に光をあて、金融詐欺・サイバー犯罪予防等に関する海外の最新情報を提供

オハイオ州の男は3億ドル(約327億円)以上の不正収益の洗浄(money laundering )を行ったダークネット・ベースのビットコイン「ミキサー」会社を運営した罪を認める

2021-09-08 09:03:09 | 海外の通貨・決済システム動向

 オハイオ州の男性ラリー・ディーン・ハーモン(Larry Dean Harmon、以下「ハ―モン」という)(38歳)は、8月18日、ダークネット(注1)に拠点を置く暗号通貨(資産)のローンダリングサービスであるHelixの運営に起因するマネーロンダリングの共謀(conspiracy)について有罪を認めた旨、連法司法省が発表した。

 実は2020年10月19日、連邦財務省・金融犯罪法執行ネットワーク(Financial Crime Enforcement Network::FinCEN)は、”Helix”と ”Coin Ninja”の創設者でかつ管理者および主要な運営者であるハ―モンに対して、「銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(Bank Secrecy Act:BSA)およびその施行規則の違反を理由に6,000万ドル(約65億4,000万円)の民事罰金を査定した。

 さらに、2021年8月10日、FinCENは、BSAおよびFinCENの実施規則に違反したとして、最も古く最大の変換可能な仮想通貨デリバティブ取引所の1つであるBitMEXに対して1億ドル(約109億円)の民事罰を査定した。 

 これらの一連の法執行機関の協調的な捜査・調査や法執行の実態を見るにつけ、わが国の法整備法や法執行機関の動きの甘さが気になるのは筆者だけではあるまい。ちなみに、8月30日わが国の財務省は「FATF(金融活動作業部会)対日相互審査報告書が公表された」、「財務省「今後3年間の「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」」を公表した。わが国の対日相互審査報告書は全292頁である。(注2)

 今回のブログはHelix、Coin Ninja、BitMEXに対する法執行の現状を連邦司法省、FinCEN、内国歳入庁等のリリースなどに基づき解説を試みるものである。

1.オハイオ州の男性ラリー・ディーン・ハーモン(Larry Dean Harmon)は、8月18日、ダークネットに拠点を置く暗号通貨(資産)のローンダリングサービスであるHelixの運営に起因するマネーロンダリングの共謀(conspiracy)について3億ドル(約327億円)の有罪答弁

 連邦司法省のリリース文仮訳、補足する。

 裁判所文書(逮捕令状)によると、オハイオ州アクロン住のラリー・ディーン・ハーモン(Larry Dean Harmon)は、2014年から2017年までHelixを運営したことを認めた。Helixはビットコインの「ミキサー」または「タンブラー」として機能(注3)し、顧客はビットコインのソースまたは所有者を隠すように設計された方法で指定された受取人にビットコインを送信することを有料で可能にした。Helixは、ハーモンが運営するダークネット検索エンジン「グラム(“Grams”)」とリンクされ、関連付けられていた。ハーモンは、法執行機関からの取引を隠すためにダークネット上の顧客にHelixを宣伝した。

Larry Dean Harmon

 連邦司法省刑事課のケネス・A・ポリティテ・ジュニア連邦検事補(Assistant Attorney General )(注4)は、「ハーモンの責任を問うことで、同部門はこれらの危険な犯罪企業の違法なマネーロンダリング慣行を混乱させた。司法省は、法執行機関や規制パートナーと共に、金銭的利益のために違法な手段を使用する人々、およびダークネットを使用して犯罪行為を促進し、あいまいにする人々を特定し、妨害するために執行措置を取り続ける」と述べた。

 コロンビア特別区のチャニング・D・フィリップス(Channing D. Phillips )連邦検事代行「ダークネット市場とモルヒネ様作用を示す合成麻酔薬(強力な鎮痛薬)オピオイド(opioids)の違法販売やその他の違法薬物を販売するディーラーは、ますます惨劇である。彼らは自分のアイデンティティを隠そうとし、Helixのような技術の背後にある何百万もの売り上げをロンダリングしようとするかもしれない。しかし、部門とその法執行機関のパートナーは、彼らの活動に光を当て、そのような犯罪市場が依存しているインフラを解体し、責任者を起訴し、有罪判決を下すであろう」と述べた。

 FBIの刑事捜査部門のカルビン・A・シヴァーズ(Calvin A. Shivers)副部長は、「犯罪者は、Helixのようなサービスを使って違法資金源を隠すことで金融取引を隠すことができると考えるかもしれないが、FBIと、地方、連邦、国際的な法執行機関のパートナーは、複雑で絶えず変化するデジタル環境で日々協力し、洗練されたマネーロンダラーや金融業者からアメリカ国民を守っている」と述べた。

 内国歳入庁(IRS)犯罪捜査課(注5)のジェームズ・C・リー(James C. Lee)主任は、「ダークネットは、悪質な商品やサービスを売る犯罪市場によって部分的に推進されている」と述べた。しかし、これらの市場は、それらをサポートするインフラストラクチャのために、大きな尺度で繁栄している。ハーモンは、これらの市場のバックチャネルサポートを促進することによって利益を得て、犯罪者が違法な活動を通じて受け取った資金洗浄を支援した。その後、彼は政府からそれらの資金を隠した。彼は本日、これらの活動における自分の役割を認め、今、責任を負うことになる。

James C. Lee 氏

 FBIのワシントン・フィールド・オフィスのスティーブン・M・ダントゥオノ(Steven M. D’Antuono )担当副部長は「ハーモンは、ダークネットのベンダーと共謀して、麻薬密売やその他の違法行為を通じて生み出されたビットコインをロンダリングしたことを認めた。本日の有罪答弁は、サイバー犯罪企業を支援する暗号通貨マネーロンダリングネットワークに侵入し、閉鎖するというFBIのコミットメントを示している」と述べた。

 ハーモンは、Helixがアルファベイ(AlphaBay)(注6)(注7)、エボリューション(Evolution)、クラウド・ナイン(Cloud 9)(注8)などを含むいくつかのダークネット市場と提携し、市場顧客にビットコイン・マネーロンダリングサービスを提供したことを認めた。合計で、Helixは350,000ビットコインを超え、取引時に3億ドル以上の価値を持ち、顧客に代わって、ダークネット市場から最大のボリュームを持っている。ハーモンはさらに、ダークネットのベンダーやマーケットプレイス管理者と共謀して、ダークネット市場で違法な麻薬密売犯罪によって生み出されたビットコインをロンダリングしたことも認めた。

 彼の有罪答弁の一環として、ハーモンはまた本日の価格で2億ドル以上と評価された4,400以上のビットコインの没収と、マネーロンダリングの共謀に関与した他の押収された財産の差押えに同意した。

 ハーモンは決定日に判決を受け、最高20年の懲役刑、取引に関与する財産の価値の50万ドルまたは2倍の罰金3年以下の保護監察期間( term of supervised release of not more than three years),、および強制的な返還義務(mandatory restitution)に直面する。コロンビア特別区連邦地方裁判所のベリル・ハウエル裁判長はハーモンの有罪答弁を受け入れ、米国の判決ガイドラインやその他の法的要因を考慮した後、判決内容を決定する。

 中南米国ベリーズの司法長官とベリーズ国家警察は、ベルモパンの米国大使館を通じて調整された捜査に不可欠な支援を提供した。捜査は、並行行動でハーモンに対する6,000万ドルの民事制裁金を評価した金融犯罪法執行ネットワークと調整した。

2.連邦財務省・金融犯罪法執行ネットワーク(Financial Crime Enforcement Network::FinCEN)は、 ”Helix”と ”Coin Ninja”の創設者で管理者および主要な運営者であるLarry Dean HarmonにBank Secrecy Actおよびその施行規則の違反を理由に6,000万ドル(約65億4000万円)の民事罰金を査定

  2020年10月19日、連邦財務省・金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)リリース「マネーロンダリング防止法に違反したとしてFinCENによって罰せられた最初のビットコインの「ミキサー」仮訳、補足する

 連邦財務省・金融犯罪法執行ネットワーク(Financial Crime Enforcement Network:FinCEN)は、 ”Helix”と ”Coin Ninja”の創設者で管理者および主要な運営者であるLarry Dean Harmonに対して、「銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(Bank Secrecy Act:BSA)およびその施行規則の違反を理由に6,000万ドルの民事罰金を査定した。

 ハーモン被告は、2014年から2017年までHelixを未登録のマネーサービスビジネス(MSB)として運営し、また2017年から2020年までコイン忍者として運営した。ハーモン被告は現在、彼のHelixの運営に関連した機器および無認可の送金事業の運営に関しマネーロンダリングの共謀の罪でコロンビア特別区の米国連邦地方裁判所で起訴されている。

 FinCENが2013年3月18日のガイダンス(Application of FinCEN’s Regulations to Persons Administering, Exchanging, or Using Virtual Currencies )で明確にしたように、転換可能な仮想通貨の交換者と管理者は、BSAの下では「資金移動業者(money transmitters)」である。そのため、彼らにはマネーロンダリング防止コンプライアンスプログラムを開発、実装、および維や該当するすべての報告および記録管理の要件を満たすためするため、FinCENに登録する義務がある。さらにFinCENは、2019年月5月9日に転換可能な仮想通貨のミキサーおよびタンブラーである金融機関もこれらの同じ要件を満たさなければならないことをさらに明確化したガイダンスを発布した。

  ”Helix”と”Coin Ninja”の事業を行っているハーモン被告は、さまざまな手段でビットコインを受け入れて資金移動することにより、転換可能な仮想通貨の交換者として活動していた。2014年6月から2017年12月まで、Helixは顧客のために1,225,000以上のトランザクションを実行し、3億1,100万ドル(3,390億円)以上を送受信する仮想通貨ウォレットアドレスに関連付けた。FinCENの調査により、Helixを介した少なくとも356,000のビットコイン取引が特定された。ハーモン被告はHelixをビットコイン・ミキサーまたはタンブラーとして操作し、顧客が麻薬、銃、児童ポルノなどの代金を匿名で支払う方法として、インターネットの最も暗い場所でそのサービスを宣伝した。2017年以降、ハーモン被告は、Helixと同じように未登録のMSBとして運営されている”Coin Ninja”を設立し、最高経営責任者(CEO)を務めた。

 FinCENの調査により、ハーモン被告はMSBとしての登録、効果的なマネーロンダリング防止プログラムの実施と維持、疑わしい活動の報告を怠ったことにより、BSAの登録、プログラム、および報告要件に故意に違反したことが明らかとなった。

 具体的には、FinCEN調査により、ハーモン被告はBSAに基づく義務を故意に無視し、HelixがBSAの要件を回避できるようにする慣行を実施したことが明らかとなった。これには、120万件を超えるトランザクションで顧客の名前、住所、およびその他の識別子を収集および検証できなかったことが含まれる。ハーモン被告は、Helixを介して運営し、収集した最小限の顧客情報でさえ積極的に削除した。調査の結果、ハーモ被告は麻薬密売人、偽造者、詐欺師、その他の犯罪者と取引を行っていたことが明らかとなった。

 FinCENは、米国司法省のコンピューター犯罪および知的財産部門、コロンビア特別区連邦検事局、連邦捜査局(FBI)、および内国歳入庁収益サービス刑事捜査課と、本日の行動まで緊密に調整を行った。

 3.FinCENは、「銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(Bank Secrecy Act:BSA)の故意の違反に対する未登録先物取引業者(Futures Commission Merchant:FCM):であるBitMEXに対し1億ドル(約109億円)の法執行措置を発表

 2021年8月10日 金融犯罪法執行ネットワーク(FinCEN)は、BSAおよびFinCENの実施規則に違反したとして、最も古くかつ最大の変換可能な仮想通貨デリバティブ取引所の1つであるBitMEXに対して1億ドル(約109億円)の民事罰を査定したと発表した。 

 未登録先物取引業者のFCMとして運営され、資金移動サービス(money transmission services)(注9)を提供していたBitMEXは、BSAに基づく義務を故意に遵守しなかった。今回のFinCENの行動は、米国商品先物取引委員会(U.S. Commodity Futures Trading Commission (CFTC))との世界的規模の和解の一部である。

 FinCENの副部長アナロウ・チロル(AnnaLouTirol)は、「プラットフォームが最初から財務の整合性を構築し、金融の革新と機会が脆弱性と悪用から保護されることが重要である」と述べている。

 6年以上の間、BitMEXは、準拠したマネーロンダリング防止プログラムと顧客識別プログラムの実装と維持を怠り、特定の疑わしい活動を報告を行わなかった。これらの意図的な懈怠により、結果として金融機関は、リスクの高い管轄区域での非法準拠の取引所、ランサムウェアの攻撃者、ダークネット・マーケットプレイスなど、マネーロンダラーやテロ資金供与者との取引を行うリスクが高まった。

 BitMEXは、既知のダークネット市場またはミキシングサービスを提供する未登録のマネーサービスビジネスと少なくとも2億900万ドル相当の取引を行った。また、BitMEXはリスクの高い管轄区域および詐欺の疑いのあるスキームを含む取引を実施した。BitMEXは、少なくとも588の特定の疑わしいトランザクションに関する疑わしい活動報告(SAR)(注10)の提出を怠った。

 およそ2014年から2020年まで、BitMEXは、顧客がそのプラットフォームにアクセスし、適切な顧客デューデリジェンスなしでデリバティブ取引を行うことを許可した。電子メールアドレスのみを収集し、顧客の身元を確認できませんでした。プラットフォームが米国人とビジネスを行っていないというBitMEXの公の表明にもかかわらず、FinCENは、仮想プライベートネットワークを使用して取引プラットフォームにアクセスし、インターネットプロトコルの監視を回避する顧客をスクリーニングするための適切なポリシー、手順、および内部統制を実装できなかったことを発見した。場合によっては、BitMEXの上級管理職が米国の顧客情報を変更して、顧客の実際の場所を隠した。

 民事罰の支払いに加えて、BitMEXは、BitMEXがこの活動に追加のSARを提出する必要があるかどうかを判断するために、トランザクション・データの履歴分析(「SARルックバック」と呼ばれることもある)を実施するために独立コンサルタントを雇うことに同意した。BitMEXはまた、独立したコンサルタントと協力して、関連するテストを含む2つのレビューを実施し、BitMEXが全体的またはアメリカ合衆国内の大部分が動作しないことを保証するために、効果的かつ合理的に設計および実装された適切なポリシー、手順、および制御が実施されていることを確認した。

 これは、FCMに対するFinCENの最初の法的措置である。FinCENは、この問題に関する商品先物取引委員会(CFTC)のパートナーとの緊密な協力に感謝する。CFTCとBitMEXは 、追加の公平な救済を伴う民事罰金の支払いを要求する同意命令に個別に同意した。FinCENの1億ドルの査定は、FinCENとCFTCへの合計8000万ドル(約87億2,000万円)の即時支払いによって満たされ、SARルックバックと独立コンサルタントのレビューが正常に完了するまで2,000万ドル(約21億8000万円)の支払は一時停止される。

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(注1)ダークネットに関しては「Dark Webの謎に迫る」を参照されたい。以下で一部、抜粋、引用する。

TorとI2Pに使用されているOnion Routing技術は、世界中のOnion Routerを介してデータを多重に暗号化して転送することで、第三者や受信者から送信者の匿名性を守ります。また、TorはHidden service、I2PはeepSiteというサービス提供者の匿名性を守る仕組みをも提供しています。Hidden serviceとeepSite上のサイトこそ、俗に言うDark Webです。以下、略す

(注2)BitcoinFXpro「FATF第4次対日相互審査報告書で日本の不備指摘」でFATFは3つ.にグルーピングしている。わが国は米国や中国など19ヶ国の重点フォローアップ国である。

 しかし、本文で述べるとおりわが国の金融機関の実態、制度運用等から見て同一グループとみるのは首をかしげたくなる。

①通常フォローアップ国

最も高い評価にあたるのが「通常フォローアップ国」に区分されます。

つまり一般的なフォローアップで十分なほどしっかり対策がされているということであり、合格と位置づけられる区分となります。

現時点で「通常フォローアップ国」に区分されているのは、イタリア、英国、スペイン、ロシアなどの8ヵ国です。

②重点フォローアップ国

「通常フォローアップ国」の下の評価にあたる区分が「重点フォローアップ国」です。

 これは今後、重点的にフォローアップしていかなければならない改善点が多い国であり、この区分に分類された国は実質不合格だということになります。

 そして日本はこの「重点フォローアップ国」に区分されました。つまり不合格だということです。

 なお現時点で、日本以外に「重点フォローアップ国」に区分されている国は、米国、中国、韓国、カナダ、オーストラリア、スイス、メキシコなどの19ヵ国です。

この区分に分類されると、今後の改善状況を5年の期間中に3回報告しなければなりません。

そしてその報告で改善が進んでいないと判断されると、FATFから名指しで改善されていないことを批判されてしまいます。

③観察対象国

 さらに最も低い評価区分が「観察対象国」です。

 これは常に注視しておく必要がある国という位置づけになってしまいます。

現時点でこの区分に分類されている国は、アイスランドとトルコの2ヵ国です。

(注3) 資金洗浄に用いられる代表的なサービス事業者として、(1)規制遵守が徹底されていない仮想通貨取引所や仮想通貨決済代行業者、(2)ミキシングサービス、(3)オンラインギャンブルサイト等が挙げられる。こうした資金洗浄が行われて犯罪の痕跡が除去された上で、当該暗号資産は一般の仮想通貨取引所等へ移動すると考えられる。

「ブロックチェーンを用いた金融取引のプライバシー保護と追跡可能性に関する調査研究報告書(参考資料)」から一部抜粋。

(注4)連邦検察官は,裁判所の裁判区に対応して各州1名ないし4名の連邦地方検事 District Attorneyを配している。連邦地方検事は大統領によって任命され,司法長官が任命する検事補 assistant U.S.Attorneyを部下とし,彼らを指揮監督して職務を行なっている。連邦地方検事の職務は,連邦の法律顧問として連邦行政機関における法律問題に関与するとともに連邦犯罪を対象として連邦裁判所に対して公訴権を実行することであり,連邦のアトーニー・ゼネラルの下に中央集権的な官僚組織を形成している。

州地方検事は,みずから検事補 assistant District Attorneyを任命し,彼らを指揮監督してその事務を行う。

(注5) 内国歳入庁の犯罪捜査課は、内国歳入法(26 U.S. Code Title 26—INTERNAL REVENUE CODE 、「銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(Bank Secrecy Act:BSA)、およびさまざまなマネーロンダリング規制法の違反の疑いについて犯罪捜査を行う。 これらの調査の結果は、推奨される起訴のために連邦司法省に照会される。

(注6)AlphaBay Marketは、Torネットワークのオニオンサービス(注7)で運営されているオンラインダークネットマーケットであった。 2017年7月13日、米国、カナダ、タイでのバヨネット作戦の一環としての法執行措置(およびハンザ市場)の後に閉鎖されたと報告されている。 1991年10月19日に生まれたカナダ市民であるとされる創設者のアレクサンドル・ケイズは、逮捕の数日後にタイの独房で死んでいるのが発見された。自殺が疑われている。

(注7) ESETの解説「個人を特定されずにWebを閲覧するには?」から一部抜粋する。

 Tor – オニオンルーティングを使用し、ネットワークトラフィックを暗号化レイヤーの上のレイヤーにカプセル化することから「オニオンランド(Onionland)」と呼ばれることもあります。Torネットワークは、誰でもアクセスできる一般的な表層ウェブサービスではなく、最も有名で広範に使用されている深層ネットワークです。Torネットワークは、ユーザーの通信が目的地に到達するまでに通過する入口ノード、通過ノード、および出口ノードから構成されます。通信がリレーされ、それぞれ暗号化されるため、通信を追跡または分析することはほぼ不可能になります。

 Torネットワークの平均ユーザー数は200,000人と推定されており、現時点では世界最大の匿名ネットワークです。ある意味では、Torブラウザは非常に使いやすく、Linux、Windows、Androidなどの多くのプラットフォームをサポートしているため、ユーザーに人気があります。さらに、比較的高速に閲覧でき、消費されるマシンのリソースもそれほど多くありません。

 万能に見えるTorですが弱点もあります。Torは匿名プロキシのネットワークであり、多くの場合、ユーザーが密集しています。従来型のウェブ閲覧、ウェブサイトへのアクセス、インデックスが付けられていないコンテンツへのアクセスには非常に便利ですが、他のタイプの通信には最適ではない場合があります。

(注8)Tor匿名ネットワークに隠されたCloud 9は、FBIがそれを押収する約1か月前に、ダークネット経済の4.5%を占め、大麻、エクスタシー、処方薬の販売で知られていた。 

(注9)わが国でも当然ながら資金移動サービス(money transmission services)の取扱業者の登録制がある。一般社団法人日本資金決済業協会サイトから一部抜粋、引用する。

資金移動業とは

 銀行等以外のものが100万円に相当する額以下の為替取引を業として営むことをいいます。資金移動業を営むには、「資金決済に関する法律(以下、「法」という。)」に基づき、事前に内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。無登録で資金移動業(為替取引)を行った場合、銀行法第4条1項に違反する無免許業者として銀行法上の罰則の適用を受けることになる。

資金決済に関する法律(資金決済法)は、情報通信技術の発達や利用者ニーズの多様化等の資金決済システムをめぐる環境の変化に対応して、前払式支払手段、資金移動業及び認定資金決済事業者協会等を内容として、2010年4月1日に施行された。

【2021年5月施行の改正資金決済法の概要】

前払式支払手段では、利用者の保護等に関する措置として、利用者資金の保全に関する事項や無権限取引により生じた損失の補償等に関する情報提供義務(資金移動業においても同様の義務を規定)などが規定された。

資金移動業では、以下の3つの種別が設けられ、それぞれの種別に対しリスクに応じた規制が規定8/19(37)された。

「第一種資金移動業」 100万円を超える高額送金が取扱い可能であり、厳格な滞留規制等が課され、業務実施計画を定めて金融庁長官の認可を受けなければならないとされた。

「第二種資金移動業」 従来の規制(1件当たり100万円以下の送金)の前提として今後も事業を行う者であり、利用者資金の残高が送金上限額を超える場合には為替取引の関連性が求められないものは保有しないための措置を講じることとされた。

「第三種資金移動業」 1件当たりの送金額及び利用者一人当たりの受入額が5万円以下の為替取引を取扱う事業者であり、利用者資金を供託などに代えて自己の財産と分別した預貯金等による管理を行うことができるとされた。

【資金決済法および関連法令等】

・資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号) 

・資金決済に関する法律施行令(平成二十二年政令第十九号)

・前払式支払手段に関する内閣府令(平成二十二年内閣府令第三号)

・資金移動業者に関する内閣府令(平成二十二年内閣府令第四号)

・資金移動業の指定紛争解決機関に関する内閣府令(平成二十二年内閣府令第八号)

・前払式支払手段発行保証金規則(平成二十二年内閣府・法務省令第四号)

・資金移動業履行保証金規則(平成二十二年内閣府・法務省令第五号)

・事務ガイドライン 第三分冊:金融会社関係 5.前払式支払手段発行者関係

 14.資金移動業者関係   

(注10)「疑わしい取引に関する報告」(SARs)とは,連邦の Bank Secrecy Act29)(以下,BSA)が金融機関)およびその役員・従業員等に対して義務づける,マネーロンダリング,脱税そしてこれら以外の犯罪活動を含む法令違反の可能性のある疑わしい取引の,連邦財務長官(これが FinCENに委任されている)に対する報告(通報)である)。

 具体的に,同法の対象となる金融機関およびその役員・従業員等は,金融機関を通して行われる当該取引に関する総額が 5,000ドル(ただしマネー・サービス業では 2,000ドル)を超え,かつ(i)当該取引が,違法な活動から生ずる資金を含んでいるか,違法な活動から生ずる資金を隠蔽することが意図されていること,(ⅱ)BSA の規制を逃れることが意図されていること,(ⅲ)事業目的か明確な適法目的を欠くこと,および(ⅳ)犯罪行為を円滑に進めるために金融機関を利用していることを知っているか,またはそう疑う理由のある場合に,FinCEN に SARs を提出しなければならないと規定される)(財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」令和2年第 1 号(通巻第 142 号)2020 年 3 月〉から一部抜粋)。

 なお、より正確には”12 CFR § 21.11 - Suspicious Activity Report.”を参照されたい。

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SECは20億ドル(約2180億円)以上のネズミ講詐欺等でBitConnect関連暗号資産貸付プラットフォーム、トップエグゼクティブおよび販売推進者等を起訴

2021-09-06 14:12:59 | 海外の通貨・決済システム動向

 米証券取引委員会(SEC)は9月1日、オンライン暗号通貨(資産)貸付プラットフォームである(1)BitConnect、その創設者である(2)サティシュ・クンバニ(Satish Kumbhani)、および米国のトップ販売促進者(3)グレン・アルカロ(Glenn Arcaro)と(4)その関連会社に対してデジタル資産を含むプログラムへの連邦取引法違反にあたる未登録のままで投資の提供を行ったとして訴訟を起こした旨発表した。

  より詐欺手口を説明すると、被告らはBitConnectの「貸付プログラム(Lending Program)」を立ち上げ、ユーザーに毎月40%以上のリターンを約束した。2017年から2018年の間に、「ボラティリティ・ソフトウェア・トレーディング・ボット(volatility software trading bot)(乱高下ソフトウェア取引ボット(検索などで人間を補助をするソフトウェア・エージェント(software agent)」によって年率3,700%以上のリターンがあったように見せかけた。しかし、これは完全なる「ネズミ講詐欺(Ponzi scheme)」である。

 SECの告訴状によると個人投資家から少なくとも20億ドル(約2,180億円)を詐取したと主張している。

  被告人は民事上の罰則を受ける可能性もある。証券取引法違反は、最高20年の懲役と500万ドルの罰金が科せられる。 

 なお、後述するとおりアルカロ被告は9月1日に有罪答弁を行った。

  暗号通貨プラットフォ―ムBitConnectを巡るねずみ講詐欺事件や連邦証券法に違反して未登録のまま販売推進を行ったことに対するSECの厳しい姿勢は一層強化されている。

  しかし、一方で米国をはじめ国際的なのネズミ講や証券詐欺は一向に減らない。本文で紹介する詐欺師たちの顔を見てほしい。どう見ても胡散臭さがうかがえるが被害者は減らないし、どういうわけかSECの告訴記事を取り上げる暗号資産専門サイトは多いが、いずれも被告の顔は出てこない。

 本ブログは、公的資料に基づきできるだけ時系列的に整理し、正確にこれら組織犯罪の実態、起訴事実、法的解説等を中心にまとめることを試みた。

  なお、わが国の暗号資産関係につき金融庁サイトで見ると「行政処分」であるが中身は「業務改善命令」のみである。また、国民生活センターに対する相談件数はやや減少傾向にあるようである。(注1)

 一方で人工知能(AI)を用いた暗号資産(仮想通貨)事業への投資名目で現金をだまし取ったとして、愛知県警は12日、会社役員、石田祥司容疑者(59)ら男4人を詐欺の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。関係者によると、高配当をうたった投資話で、全国の2万人近くから計60億円超を集めた疑いがある(2021.7.12日経新聞)等極めてリスクがある危険信号がついたままである。

1.BitConnectを巡る犯罪グループに対するSECや連邦検事局の起訴や司法合意の動向の整理

(1)2021年5月28日,証券取引委員会は、個人投資家から20億ドル(約2,180億円)以上を調達した世界的な連邦証券法の登録規定に違反して未登録デジタル資産証券の提供を推進したとして5人の個人に対して民亊訴訟を起こしたと発表した。(起訴グループⅠ)

トレボン・ブラウン(Trevon Brown (別名トレボン・ジェームズ:Trevon James)

クレイグ・グラント(Craig Grant)

ライアン・マーセン(Ryan Maasen)

マイケル・ノーブル(Michael Noble (別名.別名マイケル・クリプト( Michael Crypto)

ジョシュア・ジェッペセン(Joshua Jeppesen)

(2)2021年8月13 日、SECは前記④マイケル・ノーブル、⑤ジョシュア・ジェッペセン)および救済被告(relief defendant. )(注2)としてローラ・マスコラ(Laura Mascola)に対する和解に基づくニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所の判決を得た旨公表した。(起訴グループⅡ)

  同判決に従い、2人の被告と救済被告は、350万ドル以上と190ビットコインをまとめて支払うよう命じられた。

(3)2021年9月1日、SECはオンライン暗号通貨貸付プラットフォームであるBitConnect、その創設者であるサティシュ・クンバニ(Satish Kumbhani)、および米国のトップ販売促進者グレン・アルカロ(Glenn Arcaro)とその関連会社に対してデジタル資産を含むプログラムへの連邦取引法違反により未登録の投資の提供を行ったとして訴訟を起こした旨発表した。

 なお、9月1日に、連邦司法省(DOJ)は、アルカロが刑事告発に対して司法合意により有罪を認めたと発表した。

2..2021年5月28日証券取引委員会は個人投資家から20億ドル以上を調達した連邦証券法の登録規定に違反して未登録デジタル資産証券の提供を推進したとして5人の個人に対する民亊訴訟

 証券取引委員会は2021年5月28日、個人投資家から20億ドル以上を調達した世界的な連邦証券法の登録規定に違反して未登録デジタル資産証券の提供を推進したとして5人の個人に対して民亊訴訟を起こしたと発表した。以下、仮訳、補足する。

 2017年1月から2018年1月にかけて、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提出されたSECの訴状によると、BitConnectは米国に拠点を置くトレボン・ブラウン:,別名トレボン・ジェームズ)、クレイグ・グラント(Craig Grant)、ライアン・マーセン(Ryan Maasen)、マイケル・ノーブル(Michael Noble (別名マイケル・クリプト)を含む販売促進者(プロモーター)のネットワークを使用して市場に販売した。SECの訴状は、これらのプロモーターが、連邦証券法の要求に従って、証券提供を同委員会に登録することなく、同委員会にブローカー・ディーラーとして登録することなく、証券を提供し、売却したと主張した。

 プロモーターは、「証言」スタイルのビデオを作成し、時には1日に複数回YouTubeに公開するなど、BitConnectの融資プログラムに投資するメリットを投資家候補に宣伝した。訴状によると、プロモーターは投資家の資金を勧誘する成功に基づいて手数料を受け取った。もう一人の米国に拠点を置く個人であるジョシュア・ジェッペセン(Joshua Jeppesen)は、BitConnectとプロモーターの間の連絡役を務め、カンファレンスやプロモーションイベントでBitConnectを代表した。

  SECのニューヨーク地域事務所の副部長(Associate Regional Director of SEC's New York Regional Office)ララ・シャロフ・メフラバン(Lara Shalov Mehraban)は、「これらの被告は、BitConnect融資プログラムを個人投資家に積極的に宣伝することで、未登録のデジタル資産証券を不法に売却したと主張する.。デジタル資産に対する国民の関心を活用して、違法に利益を得た者に責任を問う」と述べた。

 SECの訴状は、プロモーターたるジェッペセン被告が連邦証券法の登録規定に違反し、がBitConnectの未登録の貸出の申し出と証券の売却を支援し、賭けたとして起訴した。訴状は差し止め救済(injunctive relief)判決前の保持利益に関する不当利得返還請求(disgorgement of illicit profits with prejudgement interest)、民事制裁金(civil money penalties )を求めている。

3.2021年8月13日、SECは「BitConnectのプロモーターのマイケル・ノーブルとジョシュア・ジェッペセンと救済被告に対する和解に基づく連邦地裁の判決を得た」と公表

 以下、SECの公表仮訳、補足する。

 2021年8月13日、SECは「ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は、BitConnectへの関与と「融資プログラム」の販売推進行為に対するジョシュア・ジェッペセン(Joshua Jeppesen)に対する判決と、マイケル・ノーブル(Michael Noble :別名マイケル・クリプト)に対する判決を下したと公表えた。また、同裁判所は、救済被告(relief defendant. )としてジェッペセン被告の婚約者であるローラ・マスコラ(Laura Mascola)に対する最終判決を下した。判決に従い、2人の被告および救済被告は、350万ドル(約3億8,150万円)以上と190ビットコインをまとめて支払うよう命ぜられた。

 2021年5月28日に提出されたSECの訴状によると、2017年6月から2018年1月にかけて、ノーブル被告はBitConnectを推進し、「貸出プログラム」で有価証券を販売した。SECの訴状は、ノーブル被告が連邦証券法の要求に応じて、同委員会に証券提供を登録することなく、委員会にブローカーディーラーとして登録されることを行わずに証券を提供し、売却したと主張している。さらに訴状は、ジェッペセンがBitConnectとプロモーターの間の連絡役を務め、会議やプロモーションイベントでBitConnectを代表し、マスコラがジェッペセンのBitConnect活動から一定の収益を受け取ったと主張している。

 SECの訴状は、ノーブルが連邦証券法の登録規定に違反し、ジェッペセンがBitConnectの未登録のまま貸出の申し出と証券の売却を支援し、賭けたとして起訴した。さらにSECの訴状は、マスコラに対し不当利得(unjust enrichment)を告発した。

  SECの申し立てを認めたり否定したりすることなく、ノーブルは判決の開始に同意し、またジェッペセンは、ノーブルとジェッペセンがそれぞれ起訴された規定に違反し、特定のマーケティングまたは販売プログラムの提供、運営、または参加から、デジタル資産証券の提供に直接または間接的に参加することに同意した。

 ジェッペセンに対する最終的な判決は、彼に3,039,485ドル(約3億3130万円)の不利益と判断権、190ビットコインの不当利得返還、150,000ドル(約1,635万円))のペナルティを支払い、190ビットコインを支払う義務を満たすためにビットコイン・ワレット(Bitcoin wallet)(注3)へのアクセスを引き渡すよう命じた。ノーブルに対する判決は、SECの動議の後日、裁判所によって決定される金額で、判決前の保持利益に関する不当利得返還請求(disgorgement of illicit profits with prejudgement interest、民事制裁金を支払うように彼に命じる。マスコラに対する最終的な判決は、彼女に576,358ドル(約6282万円)の判決前の保持利益に関する不当利得返還請求(disgorgement of illicit profits with prejudgement interestで支払うように命じた。

4.2021年9月1日、SECはBitConnect、その創設者であるサティシュ・クンバニ(Satish Kumbhani)、および米国のトップ販売促進者グレン・アルカロ(Glenn Arcaro)とその関連会社を起訴

 SECの公表内容仮訳、補足する。

 SECは、オンライン暗号通貨貸付プラットフォームであるBitConnect、その創設者であるサティシュ・クンバニ(Satish Kumbhani)、および米国のトップ販売促進者グレン・アルカロ(Glenn Arcaro)とその関連会社(FUTURE MONEY LTD.,)に対してデジタル資産を含むプログラムへの連邦取引法違反により未登録の投資の提供を行ったとして訴訟を起こした旨発表した。

Satish Kumbhani被告

Glenn Arcaro 被告

 2017年初頭から2018年1月にかけてニューヨーク南部地区の米国連邦地方裁判所に提出されたSECの訴状によると、被告は BitConnectによって提供された「貸付プログラム」への投資という形で、連邦証券法に違反して未登録の有価証券の募集と売却を行った。

 SEC訴状は、投資家に意図された貸付プログラムに資金を預けるように誘導するために、被告は、とりわけBitConnectが投資家の預金を使用して途方もなく高い利益を生み出すとされる独自の「乱高下ソフトウェア取引ボット(volatility software trading bot)」を展開することで投資家に誤解させる目的で表明したと主張している。

 しかしながら、SECは投資家の資金を取引ボットと称するものと取引するために展開する代わりに、被告のBitConnectとサティシュ・クンバニ(Satish Kumbhani)、グレン・アルカロ(Glenn Arcaro)は、実際は投資家の資金を米国のトップ販売促進者である彼らが管理するデジタル・ウォレット・アドレスに転送することで、投資家の資金を自分たちの利益のために吸い上げたと起訴状で主張した。

 さらにSECの告訴は、BitConnectとKumbhaniが世界中の販売促進者のネットワークを確立し、そのかなりの部分を投資家から隠した手数料を支払うことで、彼らの販売促進活動と活動に対して報いたと主張した。

 起訴状によると、これらの販売促進者の中には、彼が作成したWebサイト”FutureMoney”を使用して投資家を貸付プログラムに誘い込んだ米国向けBitConnectの主要な全米的な販売促進者であるアルカロが含まれていた。

 SECのニューヨーク地域事務所の副部長(Associate Regional Director of SEC's New York Regional Office)ララ・シャロフ・メフラバン(Lara Shalov Mehraban)は「これらの被告は、デジタル資産への関心を利用して、世界中の個人投資家から数十億ドルを盗んだと主張しています。我々は、デジタル資産の分野で不正行為に従事する人々を積極的に追求し、責任を負う」と、述べた。

 SECの告訴は、連邦証券法の詐欺防止および登録条項に違反したとして被告を告発した。訴状は、差し止め救済(injunctive relief)、判決前の保持利益に関する不当利得返還請求(disgorgement of illicit profits with prejudgement interest)民事制裁金(civil money penalties)を求めた。本ブログの第3項で述べたとおり SECは8月13日に、BitConnectの募集を宣伝するための関連訴訟で起訴した5人の個人被告のうち2人(ジョシュア・ジェッペセン(Joshua Jeppesen)、マイケル・ノーブル(Michael Noble (別名:Michael Crypto)と和解に達した。並行して、

連邦司法省カリフォルニア南部地区連邦検事局は9月1日、アルカロが刑事告発に対して有罪を認めたと発表した。

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(注1)国民生活センターに対する相談件数の推移

(注2) 「救済被告」とは、他の起訴状で指名された被告の違法行為の結果として、不正な資金または資産を受け取った個人または団体をいう。原告が求められた資金または資産を保護し、事件の最終的な回復にそれらを適用するために差し止めによる救済を求めるため、救済被告は通常その名前が公表される。 救済被告は名目上の被告と呼ばれることもある。(USLegal「Relief Defendant Law and Legal Definition」から抜粋、仮訳)

(注3)ビットコインウォレットとは、ビットコインを保管しておく財布(ウォレット)のことである。ビットコインは投資だけでなく、普段の買い物にも使える。ウォレットなしで使うこともできるが、ウォレットを使うことでハッキングされるリスクを抑え、安全にビットコインを使うことができる。

 ビットコインウォレットは、ビットコインを使うために必要な「秘密鍵」「公開鍵」「ビットコインアドレス」を管理するために使うものである。」ウォレットに保管されているビットコインは、ビットコインアドレスによって管理され、使用する際には秘密鍵が必要になる。そして、本人が使用したことを示すために使われるのが公開鍵である。

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ISISの武装戦闘員の1人がシリアで4人のアメリカ市民の死亡だけでなく、英国と日本の国民の死をもたらした残忍な人質・殺人計画への参加に関連して有罪答弁

2021-09-05 07:15:52 | 国際犯罪・テロ組織・マネロン対策

 犯行メンバーの1人が、アメリカ、イギリス、日本人の市民の死をもたらした人質取りスキームに参加したことの有罪を認めた。

 9月2日、「ビートルズ」と呼ばれる元英国の市民権をもつイラクとアルシャムのイスラム国( Islamic State of Iraq and al-Sham :ISIS:アイシス)(注1)の外国にむけたテロ組織のための武装戦闘員の1人が、シリアで4人のアメリカ市民(うち2人は人権支援活動家)の死だけでなく、英国と日本の国民の死をもたらした残忍な人質計画への彼の参加に関連して米国で彼に対して提起されたすべての容疑につき有罪を認めた。

 約6年から7年前の事件でわが国のメディアは日本人2人が惨殺され大騒ぎした割には今回の裁判の模様については取り上げたものは皆無に近い。

  このような中で海外の協力法執行機関とともに被告を追い詰め、かつ有罪答弁まで持ち込んだ連邦司法省、FBIの捜査努力はな無並みならぬものを感じた。

 特に日本人被害者である湯川遥菜氏(1972年4月27日 生まれ)は、後藤健二氏(1967年9月22日生まれ)の遺族はこの裁判は極めていたたまれない気持ちで見守っていたに違いない。邦人の海外でのテロに巻き込まれるリスクは今後とも高まることは間違いない。

 アフガニスタンをはじめますます混迷を増す中東諸国の理解を深めるとともに、国際的に見たテロ行為を全体許さないわが国の政治姿勢を貫くべきであろう。

  本ブログは、まず(1)2020年10月7日の連邦司法省の被告の特定、身柄拘束、米国内への移送経緯、起訴内容ついて説明し、次に(2)本年9月2日アレクサンダ・アモン・コテイ(Alexanda Amon Kotey)被告の有罪答弁に関するバージニア州東部地区連邦検事局の発表内容を概観する。

 なお、事実関係の説明の中でこの両者の説明で重複がみられるが、了解されたい。

 1.2020年10月7日 連邦司法省広報部のリリース「「シリアでのアメリカ人、英国人、日本人等の惨殺で起訴されたISIS過激派を起訴」

 リリース文仮訳する。

 副題はシリアでのアメリカ市民の人質拘束と、ジェームズ・ライト・フォーリー(James Wright Foley)(注2)、スティーブン・ジョエル・ソトロフ( Steven Joel Sotloff )(注3)、ピーター・エドワード・カッシグ(Peter Edward Kassig)(注4)、ケイラ・ジャン・ミューラー(Kayla Jean Mueller))(注5)の死亡をもたらしたその他のテロ犯罪で起訴された2人の「ビートルズ」である。

 イラクのイスラム国と外国のテロ組織であるISISの2人の過激な戦闘員は、残忍な人質取り計画への参加に関連したシリアでの4人のアメリカ市民の死亡、そしてイギリス人と日本人の死亡させた容疑で10月7日FBIの管理下で米国に到着する予定である。

 元英国市民のアレクサンダ・アモン・コテイ(Alexanda Amon Kotey)容疑者(36歳)とエル・シャフィー・エルシェイク(El Shafee Elsheikh)容疑者(32歳)は、本日の午後、バージニア州アレクサンドリアの連邦裁判所に初出廷する予定である。

 ウィリアム・P・バー司法長官は「これらの告発は、ISISによって殺害された市民のために正義を追求するための長年の努力の結果である。我々は被害者を連れ戻すことはできないが、彼らの家族、そしてすべてのアメリカ人のために正義を求めることはできるし、またそうするであろう。世界中の他のテロリストへの私たちのメッセージはこれです—あなたがアメリカ人を傷つけるならば、あなたは戦場でアメリカの武器または私たちの法廷でアメリカの法律に直面するであろう。いずれにせよ、正義が完了するまで、あなたは地球の果てまで追いかけられるであろう」と述べた。

 またFBIのクリストファー・レイ長官は「本日、我々は犠牲者、ジム・フォーリー、スティーブン・ソトロフ、ピーター・カッシグ、ケイラ・ミューラー、そしてこれらの無意味な暴力行為によって永遠に影響を受けている彼らの家族をよく覚えている。これらの家族は、残忍な殺人者の手による愛する人の痛みを伴う喪失に苦しんでいる。本日の起訴は、彼らにふさわしい正義を与えるというFBIの献身とコミットメントを示している。我々は、米国政府のパートナーとともに、市民を傷つけた人々を、どこにいても、どれだけ時間がかかっても、裁判にかける義務を堅持している。FBIの男女、被害者の家族、そして国内および国際的なパートナーにおいて、米国でのこれらの男性の起訴で私たちを今日の立場に導くためのたゆまぬ努力に感謝する」と述べた。

 起訴状の申し立てによると、2012年から2015年まで、コテイ被告とエルシェイク被告とモハメド・エムワジ容疑者(EmwaziMohamed Emwazi(故人))、および現在トルコに投獄されている4人目の英国市民(British citizen :CC-1)は、ISIS戦闘員であり、シリアでアメリカとヨーロッパの人質の拉致に参加した。男性はまた、アメリカ市民のジェームズ・ライト・フォーリー、ケイラ・ジャン・ミューラー、スティーブン・ジョエル・ソトロフ、ピーター・エドワード・カッシグなど、人質に対する身体的および心理的暴力の長期にわたるパターンに関与したとされている。彼らの英語の訛りとイギリスでの彼らの歴史のために、4人の男性はしばしば人質によって「ビートルズ」と呼ばれた。

 2014年8月から2014年10月まで、ISISは、フォーリー、ソトロフ、英国市民のデービッド・ヘインズとアラン・ヘニングに対するエムワジによる野蛮な斬首を描いたビデオをリリースした。2014年11月、ISISは斬首されたカッシグの頭を描いたビデオを公開した。2015年1月、ISISは2人の死んだ日本人の画像を含むビデオをリリースした。

 バージニア州東部地区連邦検事のG.ザカリーター・ウィリガー(G. Zachary Terwilliger)は、「彼らの主張された行為は、4人のアメリカ人家族の生活を打ち砕きました。これらの家族が何よりも求めてきたのは、これらの被告が法廷で一日を過ごすことである。さて、その日が来た。私たちは彼らの愛する人を返還したり、これらの家族が毎日直面している痛みを元に戻すことはできないが、被告が彼らの野蛮な行動の責任を問われることを確実にするために可能な限りのことをすることができる」と述べた

 G._Zachary_Terwilliger氏

 起訴状の申し立てによると、コテイ、エルシェイクおよびエムワジは、元ISISの主要な司令官でメディアの主任スポークスマンであるAbu Muhammedal-Adnani(注6)と2016年8月の米軍空爆で殺害されるまで、緊密に協力した。アドナニはISISの元自称リーダーであるアブ・バクル・アル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)に直接報告した。バグダディは、2019年10月26日のシリアでの米軍作戦中に殺害された。

 FBIのジェームズA.ドーソン担当副局長代行(Acting Assistant Director in Charge James A. Dawson, FBI Washington Field Office)は、「アレクサンダ・コテイとエルシャフィー・エルシェイクの起訴は、FBIワシントン・フィールド・オフィスと米国政府および国際法執行機関の職員による8年以上のたゆまぬ努力の結果である。これらの個人は、ISISのメンバーとしての義務の一環として、凶悪で野蛮な犯罪の連祷を行ったとされており、犠牲者の家族は、彼らが最終的に愛する人の正義を見る日を待っている間、苦しんでいる。FBIの男女担当は、テロを助長するために市民を傷つける人々に米国の司法制度の全力をもたらすことに専念し続けている」と述べた。

 アレクサンダ・コテイ、エルシャフィー・エルシェイクとモハメド・エムワジは、人質拘束計画やその他の問題についてAbu Muhammedal-Adnaniと繰り返し会っている。2012年11月から2015年2月の間に、アレクサンダ・コテイ、エルシャフィー・エルシェイクとモハメド・エムワジおよびその他のISIS戦闘機は、捕虜となっているアメリカ人、イギリス人およびその他の人質に痛み、苦痛、残虐行為、虐待を与える行為を行った。

 アメリカ人の人質やその他の人質の監禁中、コテイとエルシェイク、,エムワジは、人質を収容する拘置施設を監督し、人質に対する肉体的および精神的暴力の長期パターンに従事することに加えて、人質を拘留施設間で移送する責任を担ったとされている。2013年11月から2015年2月まで、コテイとエルシェイクは、電子メールで行われた西側人質の身代金交渉を調整したとされてる。またコテイとエルシェイクは、アメリカ人や他の人質の釈放は、イスラム教徒の囚人の釈放など、米国政府からの多額の金銭または譲歩の移転を条件としていることを知っており、理解していた。

 起訴状の申し立てによると、2014年4月25日頃、コテイ、エルシェイク、エムワジは、イタリア、デンマーク、ドイツの市民を、他の2人のヨーロッパの人道援助者とともに、彼らから約2マイル離れた隔離された地域にあるシリアの囚人の処刑を目撃できる刑務所に強制的に移動させた。コテイ、エルシェイクは、この処刑が人質交渉プロセスの一部であることを知っており、理解していた。エムワジはシリアの囚人を頭の後ろで撃ち、それから彼が墓に落ちたときに胴体で何度も撃ち殺した。コテイは人質に墓の横にひざまずき、解放を懇願する手作りの看板を持って処刑を目撃するように指示した。エルシェイクはシリア人質の処刑をビデオに録画した。

 起訴状は、ISIS戦闘員が次の追加の個人も強制的に拘束したと主張している:すなわち2人の英国市民、イタリア市民、デンマーク市民、ドイツ市民、4人のフランス市民、3人のスペイン市民、ニュージーランド市民、およびロシア市民である。

 コテイとエルシェイクは、トルコに向けシリアを脱出しようとしたときに、2018年1月にシリア民主軍(注7)によって一緒に捕らえられた。容疑者エムワジは、2015年11月にシリアで行われた米軍の空爆で殺害された。

アメリカ人の4人の犠牲者

①ジェームズ・ライト・フォーリー (James Wright Foley)– 2012年11月、コテイ、エルシェイク、エムワジ、およびその他のISIS戦闘員は、米国と英国の両方の市民であるフォーリーを強制的に拘束した。2014年8月19日頃、ISISのメディアセンターは、フォーリーを斬首したエムワジが描いたビデオを公開した。

②ケイラ・ジャン・ミューラー(Kayla Jean Mueller)  – 2013年8月、ISIS戦闘機はシリアでMuellerを強制的に拘束した。2014年10月頃から、アブ・バクル・アルバグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)はシリアで拘束されている間、彼女の意志に反してミューラーを性的に虐待した。2015年2月7日頃、ミューラーの家族はISIS戦闘機からシリアでのミューラーの死を確認するメールを受け取った。

③スティーブン・ジョエル・ソトロフ( Steven Joel Sotloff ) – 2013年8月、ISIS戦闘機はシリアでソトロフを強制的に拘束した。2014年9月2日頃、ISISのメディアセンターは、ソトロフを斬首したエムワジを描いたビデオを公開した。

④ピーター・エドワード・カッシグ(Peter Edward Kassig) – 2013年10月、ISIS戦闘機はシリアでカッシグを強制的に拘束した。2014年11月16日頃、ISISのメディアセンターは斬首されたカッシグの頭を描いたビデオを公開した。

 コテイ、エルシェイクはそれぞれ、人質取りを犯して死に至らしめる陰謀の罪で起訴されている。4つの訴因すなわち(1)4人の米国人の人質を拘束し死に至らしめた、(2)米国外での米国市民を殺害する共謀。(3)テロリストに物質的な支援を提供するための共謀—人質取りと殺人—結果として死に至らしめた、(4)死に至る指定された外国のテロ組織に物質的な支援を提供するための共謀である。有罪判決を受けた場合、各被告は終身刑に直面する。

 連邦司法省は、疑惑の犯罪のすべての犠牲者のために米国が正義を求めるのを支援するための献身的なコミットメントに対して、英国政府とシリア民主軍に深い感謝の意を表わす。  

 この事件は、FBIのワシントンフィールドオフィスによって捜査されている。連邦司法省の国家安全保障部門と国際問題局は貴重な支援を提供した。

 起訴(indictment)は単なる告発であり、すべての被告は、有罪が証明されるまで無罪と推定される。

2.連邦司法省バージニア州東部地区連邦検事局の緊急リリース

ISISの武装勢力、シリアで4人のアメリカ人等の死の役割を有罪答弁」仮訳する。

 裁判所の記録によると、2012年11月頃から2015年2月7日頃にかけて、元英国市民のアレクサンダ・アモン・コテイ被告(Alexanda Amon Kotey, 37歳)はISISの戦闘員を務め、シリアのアメリカとヨーロッパの人質の捕虜作戦に参加した。

Alexanda Amon Kotey 被告

 コテイ被告は、4人のアメリカ市民(ジェームズ・ライト・フォーリー(James Wright Foley)、カイラ・ジーン・ミューラー(Kayla Jean Mueller)、スティーブン・ジョエル・ソトロフ( Steven Joel Sotloff )、ピーター・エドワード・カッシグ(Peter Edward Kassig)の4人の捕虜、拘禁、人質交渉に参加し、それぞれがISISの拘留中に人質として死亡させた。さらに、コテイはイギリス、イタリア、デンマーク、ドイツの国民などが関与する人質作戦にも参加した。

 バージニア州東部地区の連邦検事補(Acting U.S. Attorney for the Eastern District of Virginia)であるラジ・パレク( Raj Parekh)は「この事件は常に犠牲者とその家族に焦点を当ててきた。彼らの回復力と勇気と忍耐は、恐怖が決して最後の言葉を持たないことを保証した。この被告が米国で受けた正義、公正、人間性は、彼が提唱したテロ組織によって宣伝された残酷さ、非人道性、無差別暴力とは全く対照的である。今日、犠牲者の声と命を通して、正義は語り、歴史を通して共鳴するのはその言葉である。

Raj Parekh氏

 連邦司法省の国家安全保障部門のマーク・J・レスコ(Mark J. Lesko)検事補代行(Acting Assistant Attorney General )は「この有罪の嘆願は、コテイが犯した恐ろしい犯罪のために残りの人生を刑務所で過ごすことを保証する。この場合、まだ多くの仕事が残っているが、今日の出来事が、コテイの犠牲者とその家族が愛する人を亡くしたことを悲しみ続ける中で、何らかの正義の尺度を提供することを願っている。この捜査と起訴にたゆまぬ努力をしたエージェント、アナリスト、検察官の皆さんに感謝したいと思う。 彼らの努力は、国家安全保障部とパートナーが、世界中のどこでも米国市民を標的にして攻撃する責任あるテロリストを保持するという我々のコミットメントに休まないことを証明している」と述べた。

Mark J. Lesko 氏

 FBIのワシントン・フィールド・オフィス 担当副部長スティーブン・M・ダントゥオノ( Steven M. D’Antuono)は「数年前、アレクサンダ・コテイの行動は世界の舞台で行われ、アメリカ人のジェームズ・フォーリー、スティーブン・ソトロフ、ピーター・カシグ、ケイラ・ミューラー、そして2人のイギリス人と2人の日本人人質に対する残忍な犯罪は、永遠にアメリカ国民の目に焼き付いている。この有罪の嘆願は、彼の残酷さの影響を受けた人々の苦しみを軽減しないが、私はそれが彼らの場所に関係なく、米国市民に害を与えるすべての個人を見つけて起訴するFBIの揺るぎない献身を世界に思い出させることを願っている」と述べた。

 裁判所の記録によると、コテイと他の2人のISISメンバーは、人質が収容され、拘禁施設間で人質を移送する責任を負ったテロ組織の刑務所と拘禁施設を監督した。コテイとその共謀者は、人質をコントロールするための努力として意図された人質に対する身体的および心理的暴力の長期的なパターンに従事した。またこれらの行動は、被害者の家族と米国政府に対し、被害者の帰還のための他の契約条件に同意するよう米国政府に強制することに加えて、彼らの釈放のために多額の金銭的身代金を支払うことを強制することを意図していた。

 コテイとその共謀者は、人質を身体的、心理的に虐待することに加えて、2014年2月頃に殺害されたロシア人人質と2014年4月25日頃に処刑されたシリア人囚人を含む、ISISが保有する他の人質の殺害に人質を強制的に暴露することに参加した。ヨーロッパの人質のグループがシリアの囚人の処刑を目撃することを余儀なくされた後、コテイと彼の共謀者は、彼らがアメリカとイギリスの人質と一緒に収容されていた刑務所に人質を戻した。

 2014年8月から2014年10月にかけて、ISISはジェームズ・ライト・フォーリー、スティーブン・ジョエル・ソトロフ(Steven Joel Sotloff)、イギリス市民のデビッド・ヘインズ( David Haines)とアラン・ヘニング(Alan Henning)の斬首を描いたビデオを公開した。2014年11月、ISISはピーター・カシグ(Peter Edward Kassig)の首を切られた映像を公開した。

  2015年1月、ISISは、日本国民の首を切られた湯川遥菜(ゆかわ はるな、1972年4月27日 生まれ)(注8)は、日本の実業家。ISILによる日本人拘束事件の犠牲者)と、日本国籍の後藤健二(注9)の斬首を描いた動画を公開した。2015年2月7日頃、カイラ・ジーン・ミューラー(Kayla Jean Mueller)の家族はISISの戦闘員からシリアでのミューラーの死を確認するメールを受け取った。

 コテイは、英国のアクセントで話し、人質によって「ビートルズ」と呼ばれた4人のISISメンバーのグループの一員であった。コテイと共謀者のエル・シャフィー・エルシェイク(33歳)は、バージニア州東部地区連邦地方裁判所で事件が保留されたままで、2018年1月にシリア民主軍がトルコに向けてシリアから脱出しようとした際に一緒に捕らえられた。上記のビデオ撮影された斬首を行ったモハメド・エムワジは、2015年11月にシリアでの米軍の空爆で殺害された。

  コテイは、8件の起訴状でバージニア州東部地区の連邦検事局によって起訴されたすべての犯罪の4つの訴因について有罪を認めた。(1)アメリカ人(ジェームズ・ライト・フォーリー、ケイラ・ジーン・ミューラー、スティーブン・ジョエル・ソトロフ、ピーター・エドワード・カシグ)の死をもたらす人質の共謀、(2)米国外の米国市民を殺害する共謀、(3)テロリストに物質的な支援や資源を提供し、その結果、米国、イギリス、日本の国民が死亡に関する共謀、(4)米国、英国、および日本の国民の死をもたらした指定された外国のテロ組織に物質的な支援や資源を提供するための共謀である。

 コテイ被告は必要的終身刑(mandatory sentence of life in prison) (注10)に直面しており、2022年3月22日に米国地方裁判所判事T.S.エリス(3世)によって判決を受ける予定である。

 本事件で締結された有罪の答弁または不抗争の抗弁をすることについての合意」(Plea agreement)(注11)は、被告が刑務所で彼の人生の残りの部分を提供することを保証する。合意に従って、米国での被告の投獄の15年後、被告が司法契約のすべての条件を遵守し、英国への移転を要求した場合、バージニア州東部地の米国連邦検事局は、コテイの英国への移転を求める法律の下であらゆる合理的な措置を講じることに合意した。 

 司法合意の一環として、コテイは、そのような移送の前に、英国の起訴で有罪を認め、英国の法律の関連違反の責任を受け入れ、仮釈放なしで英国で終身刑に直面することに合意した。彼が英国で服役している実際の判決が何らかの理由で終身刑よりも少ない場合、コテイは、それが法的に利用可能であれば、英国で彼の米国が課した終身刑の残りの部分を務めるか、彼の刑の残りの部分を務めるために米国に戻ることに同意した。司法合意に従い、バージニア州東部地区米国連邦検事局とコテイは、必要なすべての前提条件が満たされたとしても、そのような要求された移転の受け入れは英国の単独の裁量に従うことを理解し、同意する。司法協定で示されているように、英国政府がそのような要求された移転を否定した場合、コテイは米国で彼の必要的終身刑(mandatory life sentence)に服する。

  バージニア州東部地区の連邦検事局は、これらの犯罪のすべての犠牲者のために正義を求める米国を支援する彼らの献身的なコミットメントのために、私たちの多くの外国のパートナーに深い感謝を表明する。

*このプレスリリースのコピーは、バージニア州東部地区の連邦検事局のウェブサイトに掲載されている。また、関連する裁判所文書と情報は、バージニア州東部地区地方裁判所のウェブサイトまたはPACERに、ケースNo.1:20-cr-239を検索することにより閲覧可である。

***********************************************************************

(注1) ISIS《Islamic State of Iraq and Syria、または Islamic State in Iraq and al-Sham》イスラム国家の樹立を掲げてイラクやシリアで活動するスンニ派の武装勢力。イスラム過激派の活動家アブ=ムサブ=アル-ザルカウィが2004年に創設した「タウヒードとジハード団」を前身とし、アルカイダやヌスラ戦線との合流を経て、2013年に成立。2014年6月、カリフ制国家の樹立を宣言し、組織名をイスラム国(IS:Islamic State)に改称したが、国際社会は国家として承認していない。イラクとシリアのイスラム国。イラクとシャームのイスラム国。イラクとレバントのイスラム国(ISIL)。(goo辞典から一部抜粋)

(注2)ジェームズ・ライト・"ジム"・フォーリー(James Wright "Jim" Foley、1973年10月18日生まれ)は、アメリカ合衆国のフリーランスジャーナリストである。フリーランスの従軍記者としてシリア内戦を取材していた際に、2012年11月22日にシリア北西部で拉致された。2014年8月、イラクにおけるアメリカ軍の空爆への報復としてISILによって斬首され殺害された。彼はISILによって殺された最初のアメリカ市民となった(Wikipediaから一部抜粋 )

(注3)スティーヴン・ジョエル・ソトロフ(Steven Joel Sotloff、1983年5月11日生まれ)は、アメリカ合衆国のジャーナリスト。マイアミ出身で、イスラエルとの二重国籍を有する。2005年から3年間、イスラエル中部ヘルツリーヤの高等教育機関に在籍し、その後米国に帰国した。2013年より、イスラエルで記者として働いた。ガザ地区に入り、当地の情勢を『タイム』誌や『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿した。イエメンやリビアでも活動していたという。シリアで過激派組織ISILに拘束され、2014年8月19日、殺害をほのめかす動画がYouTubeに公開された。同年9月2日、首を切られ殺害される動画が公開された。(Wikipediaから一部抜粋 )

(注4)ピーター・エドワード・カッシグ(Peter Edward Kassig)

ピーター・カッシグは、シリア難民のための物資で満たされたトラックを持っており人道支援活動家である。

2013年10月1日、シリア東部のデリゾールに食料と医薬品を届けるために向かう途中、カッシグはISILに捕らえられた。彼はフランス人ジャーナリストのニコラス・ヘニンとイギリス人ジャーナリストのジョン・キャントリーと一緒に独房に入れられ、定期的に殴打された。捕虜になっている間、カッシグ(以前はメソジスト)はイスラム教に改宗し、2013年10月から12月の間にアブドゥルラーマンカシグに名前を変更した。 2014年10月3日、彼の両親は、彼のイスラム教への改宗は強制されておらず、彼が捕虜になる前に改宗への道が始まったことを強調したビデオを公開した。

 カッシグは、2014年10月3日にISILが公開した、アラン・ヘニングの斬首を示したビデオで斬首される次の犠牲者として指名された。 10月3日、彼の家族はイスラム国にビデオメッセージを送り、息子への慈悲を求めた。カッシグの母親は後にツイッターでイスラム国の指導者に懇願をツイートし、彼とのコミュニケーションを求め、カッシグの両親はフェイスブックとツイッターのアカウントを維持した。

 2014年11月16日、ISILは、切断された人間の頭の上に立っている「ジハーディ・ジョン」を示すビデオを投稿した。斬首自体はビデオに示されていなかったが、ホワイトハウスは後に殺害された人物がカッシグであることを確認した。(Wikipedia から抜粋、仮訳)

(注5)カイラ・ジーン・ミュラー(Kayla Jean Mueller(1988年8月14日生まれ)は、アリゾナ州プレスコット出身のアメリカ人権活動家および人道支援活動家。 彼女は国境なき医師団の病院を離れた後、2013年8月にシリアのアレッポで捕虜になった。 メディアは長い間、26歳のアメリカの支援家が彼女の家族の要請で彼女に名前を付けずにISISによって拘束されていたと報告していた。 2015年、彼女は不確実な状況で殺された。

Kayla Jean Mueller氏

 カイラ・ミューラー作戦(カイラ・ミューラーさくせん、英: Operation Kayla Mueller)は、2019年10月26日にアメリカ軍特殊部隊がISIL指導者アブー・バクル・アル=バグダーディーの拠点を襲撃して死亡させた作戦。

作戦名は、ISILに拉致拘束された後に死亡したアメリカ人女性、カイラ・ミューラー(英語版)の名から採られた。

(注6)アブ・ムハンマド・アル・アドナニ(Abu Muhammad al-Adnani,)として知られるタハ・スビ・ファラハは、公式のスポークスパーソンであり、イラクのイスラム国とレバントの上級指導者であり、イスラム国またはISISとも呼ばれ、アラビア語の頭字語Daeshでも知られている。彼はその外部業務の責任者として説明された。

2015年5月5日、米国国務省の正義への報酬プログラムは、彼の逮捕につながる情報に対して最大500万米ドルの報酬を発表した。

 2016年8月30日、イスラム国はアルアドナニがアレッポ県で殺害されたと発表した。 多くの戦闘部隊がアルアドナニの死の責任を主張した。 2016年9月12日、米国国防総省は、ロシア連邦が爆撃機Su-34を含む2016年8月30日にのロシア空爆でアドナニが殺害されたとすでに主張していたにもかかわらず、米国連合空爆がアルアドナニを殺害したと発表した。 

BBC 2016.8..31 からAbu Muhammad al-Adnani写真を引用

(注7)シリア民主軍はシリアの反体制派グループ。約40の組織が参加している。シリア内戦下の2015年10月12日、シリアのクルド人民兵部隊クルド人民防衛隊(Kurdish People's Protection Units、YPG)を主体として結成。所属組織には、「ユーフラテスの火山」などそれまでYPGと共闘してきたクルド系、アラブ系、シリア語系キリスト教徒の組織が加わった。

 トルコ政府は、YPGをトルコ・クルド人の非合法組織クルディスタン労働者党の一派とみなし、警戒している。シリア民主軍は政府軍を積極的に攻撃しない上に、アメリカから優先的に空爆による支援と武器の供給を受けているため、他の反体制派から反感を持たれている。

 アサド政権打倒を最優先目標に掲げていたこれまでの反政府勢力と異なり、2013年以降急速に勢力を拡大したイスラム過激派組織ISIL討伐を主目標としている。主にユーフラテス川以東を活動地域とし、2015年10月以降、ロシア軍の支援(ロシア空軍のシリア空爆)の下、ISILを含めた反政府勢力に対し攻勢に転じているシリア軍とは活動拠点を異にすることで、相互に不干渉の姿勢をとり、衝突を避けていると思われる。(Wikipedia から一部抜粋) 

(注8)湯川 遥菜(1972年4月27日umare 生まれ)は、日本の実業家。民間軍事会社「ピーエムシー株式会社」代表。ISILによる日本人拘束事件の犠牲者。 

2014年4月-5月、シリアに滞在。7月28日、トルコから陸路でシリアに入国]。8月14日、アレッポ郊外で湯川とみられる男性が拘束され、のちISILによるとされる犯行声明が出された。2015年1月24日、湯川が殺害されたとする録音がインターネット上に現れた。現地時間1月25日午後、ISILは宣伝媒体であるラジオ部門を通じて湯川を殺害したことを伝えた。42歳没。 (Wikipedia から一部抜粋)

(注9)後藤 健二(1967年9月22日生まれ)は、日本の仙台市出身のフリーランスジャーナリスト。『ダイヤモンドより平和がほしい』で第53回産経児童出版文化賞受賞。主に中東を中心に紛争地域の取材を続ける中、イスラーム過激派のISIL(イスラミック・ステート、イスラム国)にシリアで拘束され、2015年1月30日に殺害された。

(注10)必要刑(mandatory sentencing)とは、制定法において立法府が裁判官の裁量を奪うとみなしたことを意味する。したがって、判決では、裁判官は選択の余地がなく、少なくとも最低限の義務的な判決を下さなければならない。彼らがあなたに与えなければならない義務が何であれ、たとえ彼または彼女が望んでいたとしても、彼らはそれを下回ることはできない。その一例は、フロリダ州で男性が非常に重度の病気で車椅子に縛られていた場合です。彼はとても苦しんでいて、より多くの薬を手に入れるために処方箋を書き直した。彼が捕らえられて起訴されたとき、丸薬の量のために、彼は麻薬の売人として起訴された。したがって、彼は25年の禁固刑に直面した。その場合、裁判官は裁量権を持っていなかった。実際に彼が処方箋を偽造したことが判明した場合、裁判官は被告に25年の刑を宣告しなければならない。刑事事件において真の裁量権を持っているのは、州の検事局だけである。検事局は被告に何を請求するかを決めることができる。もし彼らが単純な所持や強制的な判決をなすべき何かのように、被告にもっと少ない刑を課すことを決めたなら、裁判官は被告にもっと少ない刑を与える裁量を持ことになろう(The Law Office of Barry M. Snyder P.Aの「What Does Mandatory Sentencing Mean?」の解説 から引用、仮訳)。

(注11) 罪状認否手続において、有罪の答弁あるいは不抗争の答弁をした被告人については、そのまま正式な受理手続に移ることもある。しかし、公判審理を放棄するという重要な法的効果が伴うため24、慎重な手続が要求されるので、別期日に別の法廷においてその受理手続を行うこともある。 一度、無罪の答弁をして争う姿勢を示した被告人でも、公判前審問を続行していく過程で、たとえば、公判前審問で証拠排除が認められなかったなどにより、争うことを断念したあるいは検察官との間で有利な「司法取引」(Plea Bargaining)が成立したなどの理由により、第一回公判期日前までに、ほとんどのケースで有罪の答弁(不抗争の答弁を含む)に転換する。 

 司法取引は、検察官と被告人・弁護人との間で交渉し、被告人が「有罪の答弁または不抗争の抗弁をすることについての合意」(Plea agreement)をする手続である(Rule11 (c))。裁判所がその交渉に関与することは禁止されている(Rule 11 (c)(1))。同規則によれば、検察官はそれらの答弁と引き換えに次のような対応をとるとされている。①被告人に対するいくつかの訴因を撤回するかもしくはより軽い罪のものに変更する。②裁判官に軽い刑や特定の刑(たとえば、拘禁刑でなく保護観察)を言い渡すように要請する。③被告人・弁護人の量刑に関する意見書に反対しないなど。司法取引の内容は、格別、秘密にするための十分な理由が認められない限り、答弁の際に公開の法廷で明らかにされる(Rule 11(c)(2))。

・・・・・・裁判所が有罪の答弁を正式に受理した事件は、公判審理が行われることなく、量刑手続に移行する。( 駿河台大学法科大学院教授・弁護士 島 伸一「報告書:日本の刑事手続とアメリカ合衆国の重罪事件に関する刑事手続(軍事裁判を含む)の比較・対照及び日米地位協定 17 条5項(c)のいわゆる「公訴提起前の被疑者の身柄引渡し」をめぐる問題について 」から一部抜粋)。

(ここでいうRuleとは、Federal.Rules of Criminal Procedure[2020]である)

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中国政府の一連の未成年者保護法及び未成年者犯罪予防法の改正動向や国家報道出版局の未成年者のオンラインゲームにより制限を課す通知発出等の動きの真の背景とは?

2021-09-02 08:37:01 | モバイル社会の課題

 中国政府は近年、Aribaba(注1)やTencent(注2)など先端AI企業に対する独禁法等規制強化の一方で、オンラインゲーム等インターネットの悪影響から未成年者保護強化に向けた取組を一層強化している。

  具体的な項目を以下あげる。

(1) 2020年10月17日改正の未成年者保護法は、インターネットからの心身の保護等を、また同年12月26日改正の未成年者犯罪予防法は、「専門学校」による矯正制度等を新たに整備した。これら2法は2021年6月1日施行された。

 (2) 2018.年8月30日、TechCrunch記事「中国大手インターネットTencentは中国のインターネット大手Tencent(腾讯)は、未成年者を確実に特定して子供たちがゲームをプレイできる時間を制限できるようにするために、ビデオゲームに新しい年齢チェックシステムを導入することを発表した。子供のオンラインゲームを警察のIDチェックと同等と見なす計画されたID検証システムは、中国のゲーム業界で初めてのものであり、未成年のプレーヤーを正確に識別し、既存のプレイ時間制限を課すことができるというものである。

 (3) 2019年3月28日 中国の国家サイバースペース管理局(国家互联网信息办公室:CAC)は、「若者の中毒予防作業を試験的に行うための短いオンラインビデオプラットフォームを組織した」と報じた。すなわち、同日、CACは、Douyin(抖音)(注3)、Kuaishou (快手)(注4)Volcano Video(火山小视频)などの短いビデオ・プラットフォームを指導および編成し、若者の依存症対策システムを試験的に開始した。これは、未成年者の健全な成長を保護し、業界の社会的責任を果たし、良​​好なネットワーク環境を構築するための革新的な重要性を持つ、若者の中毒予防作業を実行するオンライン・ショート・ビデオの分野での最初の試みである。

 (4) 2021年7月27日、ユーザー会員数が10億以上といわれているFincent Chat(微信)は詳細不明の技術的アップグレードを理由に登録を一時的に停止した。その後8月25日に登録を再開している。

 (5-1)2021年8月30日 国家新聞出版局(国家新闻出版署)は、未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、より厳格な管理に関する通知を発布した

 (5-2)2021年8月30日、国家新聞出版局(国家新闻出版署)は、未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、より厳格な管理に関する通知記者会見

 (6) これら一連の真の狙い実名アカウントの義務化、ネットワーク情報の国家統制強化は間違いない?

  今回のブログは、これらの内容を逐一解説するとともに、習 近平最高指導者を中心とする中国政府執行部の取組課題を追うとともに、この問題の本当の狙いを観察する点.にある。

 1.「未成年者保護法」及び未成年者犯罪予防法の改正動向

 海外立法情報課 湯野 基生「【中国】未成年者保護法及び未成年者犯罪予防法の改正」(全4頁)(外国の立法 No.288-1(2021.7)国立国会図書館 調査及び立法考査局)から一部抜粋する。なお、これら2法は2021年6月1日施行された。

*2020年10月17日改正の未成年者保護法は、インターネットからの心身の保護等を、同年12月26 日改正の未成年者犯罪予防法は、「専門学校」による矯正制度等を新たに整備した。

【背景と経緯】2018 年に策定された第13 期(2018~2022 年)全国人民代表大会の立法計画では、未成年者保護法の改正及び未成年者犯罪予防法の改正をセットで検討することが明記された。

(1)未成年者保護法

 未成年者保護法は 1991 年に制定され、2006 年に全部改正された。今回の改正では、近年の中国で関心の高い、父母又は後見人(以下「保護者」)及び未成年者(18 歳未満の中国公民)と密接に関わる組織の人員による未成年者に対する放置・虐待、学校内での暴力・いじめ、オンラインゲーム等のインターネット中毒等の問題を中心に据えて、法案が作成され、2020 年10 月 17 日、改正法が採択・公布された。

(2)未成年者犯罪予防法

 刑事責任年齢6未満の未成年者に対する制度として、必要に応じて政府が専用施設に収容して再教育する「収容教養」及び非行未成年者の矯正を目的とする「専門学校」等が存在した。これらは施設不足等により、長らく有効に機能していなかったが、2016 年以降、中国共産党中央及び国務院により、非行未成年者矯正の中核施設として専門学校を整備強化する方針が示された。

。未成年者犯罪予防法(1999 年制定)の初の全部改正となる改正法は、2020年12月26日に採択・公布された。改正法では「収容教養」の名称は削除され、専門学校が担う「専門教育」制度が規定された。

2.中国のインターネット大手Tencent(腾讯)は、未成年者を確実に特定して子供たちがゲームをプレイできる時間を制限できるようにするために、ビデオゲームに新しい年齢チェックシステムを導入することを発表

 2018.9.6 TechCrunch 「政府の取り締まりの中でゲーマーの年齢確認チェックを強化する傾向がある」仮訳する。

 中国のインターネット大手Tencent(腾讯)は、未成年者を確実に特定して子供たちがゲームをプレイできる時間を制限できるようにするために、ビデオゲームに新しい年齢チェックシステムを導入することを発表した。

 新しい実名ベースの登録システムは、当初、人気のある王者栄耀のファンタジー・マルチプレイヤー・ロールプレイングバトル・アリーナ(MOBA) (注5)ゲームの新規プレイヤーに義務付けられた。ロイター通信によれば、2018年9月15日頃に導入される予定である。

 Tencentの新システムは、ブルームバーグによると警察のIDチェックと同等と見なす計画されたID検証システムであり、中国のゲーム業界で初めてのものであり、未成年のプレーヤーを正確に識別し、既存のプレイ時間制限を課すことができると主張した。

 2017年7月、Tencentは、12歳までの子供には1日最大1時間、13歳から18歳までの子供には1日最大2時間のプレイ時間を課すと述べた。しかし、子供が年齢チェックを回避できれば、そのような制限は無意味である。

 「これらの措置を通じて、Tencentは、未成年のプレーヤーを賢明にゲームに導くためのより良いガイドを継続したいと考えている」と、強化されたチェック方法についての公式WeChatアカウントの声明で述べ、また、要件を他のゲームにも徐々に拡大する予定であるとも述べている。

 合計で、Tencentのゲーム・ポートフォリオには 中国に5億人以上のプレーヤーがいると報告されている。

 この動きは、健康問題や子供たちの中毒への恐れをめぐるビデオゲームに対する中国政府による取り締まりの真っ只中にある。2018年8月30日、中華人民共和国教育部:MOEのウェブサイトに掲載された声明(注6)は、未成年者の近視の悪化に対抗するために新しい縁石が必要であると述べた。

 各大臣たちは、子供たちがゲームをプレイできる時間を制限したいと長い間述べてきた。ただし、ビデオゲームの人気とアクセス可能なデバイスの急増を考えると、その結果を達成することは明らかに大きな課題である。

 年齢確認を公安データベースにリンクするというTencentの動きは、政府が子供のデジタル活動も管理するという目標を達成するための重要な新しい一歩を表しているようである。

 2017年、中国政府は一般的なインターネット規制も強化し、長年の実名登録規則を倍増させた。

3.2019年3月28日 中国の国家サイバースペース管理局(国家互联网信息办公室:CAC)は、「若者の中毒予防作業を試験的に行うための短いオンラインビデオプラットフォームを組織した」と報じた

 3月28日、国家サイバースペース管理局は、Douyin(抖音)、Kuaishou(快手)、Volcano Video(火山小视频)などの短いビデオ・プラットフォームを指導および編成し、若者の依存症対策システムを試験的に開始した。これは、未成年者の健全な成長を保護し、業界の社会的責任を果たし、良好なネットワーク環境を構築するための革新的な重要性を持つ、若者の中毒予防作業を実行するオンラインショートビデオの分野での最初の試みである。

 今回試運転する「青少年ゲーム中毒防止システム(青少年防沉迷系统)」は、ショートビデオアプリに組み込まれている。毎日初めてアプリを起動すると、ポップアップ・ウィンドウが表示され、保護者と10代の若者は、より使いやすい「ユース・モード(青少年模式:Youth Mode)」を選択する。「ユース・モード」に入った後は、ユーザーの利用時間、サービス機能、オンライン時間の制限があり、ユーザーはティーンエイジャー専用のコンテンツプールにしかアクセスできない。また、地理的位置の特定やユーザーの行動分析などの技術的手段を通じて、農村地域の取り残された子供ユーザーのスクリーニングを試験的に行い、自動的に「ユース・モード」に切り替える。

 過去1、2年で、オンラインの短いビデオの急速な発展に伴い、若者のゲーム中毒を防ぐために短いビデオプラットフォームが実行しなければならないことが社会的責任になった。中国互联网络信息中心(CNNIC)が発表した第43次「中国のインターネット開発状況に関する統計レポート」 (注7)によると、2018年12月現在、私の国のショート・ビデオユーザーの数は6億4800万人に達し、そのほとんどが若いユーザーである。オンライン・ショートビデオの急速な発展は、若者の間でさまざまなレベルの依存症を引き起こした。親や社会のすべての関係者はこれを批判している。関連部門は、ショートビデオ・プラットフォームでの依存症対策システムの開発と運用を促進することが不可欠である。

 パイロットシステムの経験の要約と管理システムの改善に基づいて、中国国家サイバースペース管理局は、2019年6月に全国の主要なオンラインショート・ビデオ・プラットフォームで「青少年オンラインゲーム中毒防止システム」を包括的に促進および開始し、統一された業界標準を実施した。担当者は、若者がインターネットに夢中になりすぎないようにするためには、両方のインターネット企業が社会的責任を真剣に果たすこと、そして社会のすべての部門の共同の努力、特に学校と学生の親の間の緊密な協力が必要であると述べた。中毒防止の仕事を可能にするためには、技術の進歩を促進し、予防の意識を高める必要があり、良い社会的効果を生み出すことが必要である。中国国家サイバースペース管理局は、関連部門と協力して、インターネット企業が主な責任を厳格に遂行するように監督および指導し、若者の健全な成長のための優れたサイバースペースを作成するためにすべての力を調整する。

4-1.2021年8月30日 国家新聞出版局(国家新闻出版署)は、「未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、より厳格な管理に関する通知」を発布

(1)2021.8.30 TechCrunch「中国は子供のオンラインゲームを週3時に制限」仮訳する。

 中国の国家新聞出版局は、未成年者のオンラインゲームに制限を課す通知を発表した。9月1日以降、ビデオゲーム会社は、金曜日、土曜日、日曜日の午後 8 時から午後9時まで、ゲームの時間を週で最大3時間に制限する必要がある。

 この新しい制限により、中国当局はオンラインゲームへの追加に取り組みたいと考えている。中国新聞出版局によると、オンラインゲームは未成年者の身体的および精神的健康に影響を与えるとする。

 これらの時間制限を実装するためには、ゲーム会社は実名ベースの登録システムを活用する必要がある。2018年、Tencentはこのシステムを使用して、広く人気のあるモバイルゲームであるオナー・オブ・キングスのプレイ時間を制限し始めた。

 当時は、12歳までの子供が1日1時間、13歳から18歳までの子供に対して1日2時間まで遊ぶことができるので、制限はそれほど厳しくはなかった。当時、当局は未成年者の近視の悪化を懸念していた。

 サインアップ のフローでは、ユーザーは ID 確認システムを使用する必要がある。規制当局は、ゲーム会社が現地の規制に準拠しているかどうかを定期的にチェックする。

 新しいルールがビデオゲーム全体にどのような影響を与えるかは興味深いであろう。オンラインゲームは具体的に言及されており、ソロゲーム(トランプ)は今後制限されない可能性がある。同様に、コンソールゲーム(家庭用ゲーム機)や外国のゲームが新しい実名ベースの登録システムを実装する必要があるかどうかは不明である。

 一部の若いゲーマーは、外国のサーバーにサインアップすることで制限を回避するように誘惑される。また、大人のプレイヤーはまだ24時間365日プレイできることも注目に値する。

 このニュースに続いて、Tencentは「当社は強い支持を表明し、できるだけ早く通知の関連要件を実施するためにあらゆる努力をします」と、声明を出した。

(2)2021年8月30日 国家新聞出版局の未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、より厳格な管理に関する通知に関するリリース仮訳

  2021年8月30日 国家新聞出版局は、未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、より厳格な管理に関する通知を中央政府直轄の地方、自治区、自治体の報道・出版局、オンラインゲーム企業、関連業界団体:宛て通知を発布した。

 近年、未成年者のオンラインゲーム過剰利用や執着は、通常の生活学習と健全な成長に悪影響を及ぼし、社会のあらゆる側面、特に親の大多数に強い懸念が反映されている。未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぎ、未成年者の心身の健康を効果的に保護するために、関係者により厳格な管理措置を講じるために、以下の要求要件を通知する。

1.未成年者にオンラインゲーム・サービスを提供する時間を厳しく制限する。本通知日から、すべてのオンラインゲーム企業は、金曜日、土曜日、日曜日、祝日の毎日20時から21時までのみ、未成年者に各1時間のオンラインゲームサービスを提供し、それ以外の場合、未成年者にオンラインゲームサービスを提供することはできない。

2.オンラインゲームのユーザーアカウントの実名登録とログイン要件を厳格に実施する。

 すべてのオンラインゲームの利用にあたりユーザーは、国家出版局(国家新闻出版署)の「オンラインゲーム中毒防止実名認証システム」にアクセスする必要があり、またすべてのオンラインゲーム・ユーザーは、ゲームアカウント登録とオンラインゲームにログインするためには、実際の有効な識別情報を使用する必要があり、オンラインゲーム企業は、任意の形式(訪問者体験モードを含む)での、実名での登録および要件にそってログインしていないユーザーにゲームサービスを提供してはならない。

3.すべてのレベルの出版管理部門は、オンラインゲームサービスの提供期間、実名登録とログイン、標準支払いなどの状況の監督と検査を強化し、検査の頻度と強度を高め、厳密に実装されていないオンラインゲーム企業に対して、法律に従って厳格に対処する

4.家族、学校、その他の社会のすべての側面を積極的に指導し、未成年者の健全な成長に資する良好な環境を構築し、法律に従って未成年者の親権の職務を遂行し、未成年者のネットワーク・リテラシー教育を強化し、未成年者がオンラインゲームを使用する際に、実際の認証を使用するよう促し、未成年者がオンラインゲームを使用する期間に関する規定を厳格に実施し、未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、未成年者を指導する。

5.この通知でいう未成年者とは18歳未満の市民を意味し、オンラインゲーム企業はオンラインゲーム・サービスを提供するプラットフォームを含む。

 この通知は2021年9月1日から施行する。未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐに関する国家出版局の通知(新発[2019]34号)の関連規定が本通知と矛盾する場合は、本通知が優先される。

4-2国家新聞出版局の関係者は、「未成年者がオンラインゲームにふけることのさらなる厳格な管理と効果的な防止に関する通知」に関する記者の質問に答えた

 国家新聞出版局(National Press and Publication Administration)は最近、「未成年者がオンラインゲームにふけることのさらなる厳格な管理と効果的な防止に関する通知」を発行した。国の報道出版局の関係者は、通知の背景と要件に関する記者の独占インタビューを受け入れた。

質問1:今回の発表の背景を説明してほしい?

回答:近年、中国のオンラインゲーム業界の急速な発展に伴い、いくつかの顕著な問題もある。特に、未成年者がオンラインゲームに夢中になっているという問題は、社会に広く懸念を引き起こしており、親の大多数は強く反応した。

 国家新聞出版局は、未成年者のオンラインゲームへの耽溺を防止することを重視し、2019年に「未成年者のオンラインゲームへの耽溺防止に関するお知らせ」を発行し、未成年者がオンラインゲームにふけるのを防ぐ。そして、準拠したオンラインおよびオペレーティングゲームへのすべてのアクセスを実現し、中毒防止作業の徹底的な進歩の基礎を築いた。最近、多くの親が、オンラインゲームに夢中になっているティーンエイジャーの中には、通常の学習生活や心身の健康に深刻な影響を及ぼし、一連の社会問題を引き起こしていると報告している。多くの親は惨めになり、心の痛みになっている。未成年者にオンラインゲームサービスを提供する期間をさらに制限および短縮するために、実名検証を実装する。10代の若者は祖国の未来であり、未成年者の心身の健康を守ることは、幅広い人々の重要な利益に関係し、国民の若返りの時代における新参者の育成に関係している。社会から報告された未成年者によるオンラインゲームの過度かつ過度の使用の問題に対応して、国家報道出版局は新学期の初めに通知を発行し、オンラインゲーム、およびより良い社会的効果を達成するための依存症対策活動を積極的に推進し、未成年者の健全な成長をエスコートする。

質問2:通知の主な内容は何か?

回答:この通知は、習近平の新時代の中国の特徴を備えた社会主義の考え方に基づいており、人々の立場を守り、問題の方向性を守り、厳格さを守り、未成年者がオンラインゲームに夢中にならないようにするための重要なリンクに焦点を当てている。主に4つの対策を提案している。第一に、当初の規定に基づき、未成年者にオンラインゲームサービスを提供する期間をさらに制限し、オンラインゲーム会社に未成年者にオンラインゲームを提供する時間を大幅に短縮するよう要求する。すべてのオンラインゲーム会社は金曜日と土曜日、日曜日と法定休日は、毎日20:00から21:00まで未成年者に1時間のサービスを提供できる。それ以外の時間帯は未成年者にオンラインゲームサービスを提供しない。

 第2番目に、国家新聞出版局(National Press and Publication Administration)のオンラインゲーム中毒防止実名検証システムが完成して運用された後、オンラインゲームアカウントの実名登録要件の厳格な実装を繰り返すことである。オンラインゲームはシステムに接続されている必要があり、すべてのオンラインゲームユーザーは本物の有効なID情報を使用する必要があり、ゲームアカウントの登録とログインのために、オンラインゲーム会社は、任意の形式(訪問者体験モードを含む)での、実名での登録および要件にそってログインしていないユーザーにゲームサービスを提供してはならない。

 第3番目は、依存症対策の実施の監督と検査を強化することである。オンラインゲーム会社がゲームサービス、実名登録、標準化された支払いを提供する期限の実施については、出版管理部門が検査の頻度と強度を高め、それらを厳密に実施していないオンラインゲーム会社に法律および規制に従って対処する。

 第4番目は、家族や学校などの社会セクターが積極的に行動を起こし、後見人の責任を真剣に受け止め、未成年者の健全な成長につながる良好な環境を共同で作成し、未成年者がオンラインゲームにふけることを防ぐための共同の取り組みを形成することである。

質問3:オンラインゲーム会社が未成年者にオンラインゲーム・サービスを提供する時間を厳しく制限する通知の考慮事項はいかなる点か?

回答:すべての世代のティーンエイジャーは独自のゲームを持っている。オンラインゲームはインタラクティブで、没入型で、エミュレートされ、操作が簡単で、当然より魅力的です。未成年者はまだ肉体的・精神的発達の段階にあり、自制心は比較的弱く、オンラインゲームを使いすぎたり、依存したりする傾向がある。そのため、常にオンラインゲームの管理と依存症対策の焦点となっている。

 2019年、国家新聞出版局の「未成年者がオンラインゲームにふけることを防止するための通知」では、オンラインゲーム会社が未成年者にゲームサービスを提供する時間は、法定休日中に1日3時間を超えてはならず、超えてはならないことを規定した。この点で、多くの親は、基準がまだ比較的緩いことを反映しており、厳密にそれを減らすことを勧奨した。今回の通知は、未成年者の研究、生活、健康的な成長の必要性を考慮して、オンラインゲーム会社が未成年者にオンラインゲームサービスを提供する期間をより厳しく制限し、未成年者がカラフルで健康的で有益なさまざまなレクリエーション活動、運動や社会的慣行に積極的に参加するようにガイドするものである。

 同時に、この規則は、2021年6月1日に施行された「未成年者の保護に関する中華人民共和国の法律」も具体化している。サービスプロバイダーは、22時00分以降から翌日の8時00分まで未成年者にオンラインゲームサービスを提供することは許可されていない。ゲームアカウントの登録とログインのために、オンラインゲーム会社は、任意の形式(訪問者体験モードを含む)での、実名での登録および要件にそってログインしていないユーザーにゲームサービスを提供してはならない。そして大衆の声に応えて、より厳格で詳細な規制が行われた。さらに、未成年者に少しの時間が残されている理由は、主に、一部の教師と保護者が、ゲーム、特に一部のスポーツゲームやプログラミング、チェス、囲碁などのゲーム形式への適度な露出は理解でき、許容できると報告しているためである。健康的な成長にはプラスの効果がある。また、この通知はオンラインゲームのみを対象としており、保護者や未成年者は、状況に応じて心身の健康に役立つオンラインゲーム以外のゲームを管理することができる。

質問4:通知要件を実装するように企業をより適切に促進するにはどうすればよいか?

回答:ゲーム会社は依存症対策の主体であり、常に社会的利益を第一に考え、社会的懸念に積極的に対応し、率先して社会的責任を負い、依存症対策の要件を断固として実行する必要がある。この通知により、ゲーム会社の依存症対策の責任が再び明確になった。すべてのゲーム会社は、主な責任を厳密に遵守して実行し、包括的な依存症防止システムを設定し、実名の検証を厳密に実行し、未成年者として認定されたユーザーに対して断固としてそれらを実装する必要がある。期間管理と消費量制限は、実際の行動と結果とともに、社会全体に対する誠実さ、誠実さ、責任を示している。過去2年間で、国家新聞出版局(National Press and Publication Administration)は、企業の依存症対策調査に対する罰則を強化した。

 2020年には、数万のゲームを検査し、あらゆるレベルの出版管理部門と話し合い、さらに多くの問題に対処する予定である。50以上の企業があり、何千もの問題を調査して対処している。通知が出された後、私たちは監督と検査をさらに強化し、特別で一元化された修正を実行し、ゲーム会社のローカル検査を1つずつ整理し、中毒防止作業の正常化を促進し、幸運で機能的な会社を見つけます。割引や柔軟な行動を許可する。

 次のステップでは、国家新聞出版局(National Press and Publication Administration)は、通知と社会的フィードバックの実施に従い、問題指向と効果指向を順守し、互いに学び、欠落をチェックし、中毒防止作業を促進して達成する。目に見える結果をもたらし、若者の健康的な成長を効果的に保護する。

 質問5:未成年者がオンラインゲームに夢中になるのを防ぐために、家族や学校はどのような役割を果たさなければならないか?

 回答:オンラインゲーム中毒は社会問題であり、中毒防止作業は、社会のすべての部門の共同の努力を必要とする体系的なプロジェクトです。政府と業界は、常に中毒の予防をゲーム管理の最優先事項とし、中毒防止管理のシステムと実装を厳格に実施し、中毒の防止をしっかりと推進する必要があります。未成年者がオンラインゲームにふけるのを防ぎ、親が必要であり、教師は保護と教育の義務をよりよく遂行し、未成年者を保護する法的責任を効果的に引き受け、ケアを強化し、規範に同行して抑制し、インターネットを使って子供たちが良い生活習慣と習慣を形成するように導く。たとえば、National Press and Publication Administrationの依存症防止の実名検証システムが確立された後、それは企業とユーザーに信頼できる正確な身元検証を提供し、依存症防止作業を促進する上で重要な一歩を踏み出した。

 しかし同時に、一部の未成年者は、親のID情報を使用したり、成人のID情報を購入したりして、実名認証をバイパスし、ID制限を突破した。これにより、期間制限が無効になり、依存症対策効果に影響を与える重要な理由になる。この問題を解決するためには、保護者が監督と監督を強化し、学校が教育と指導を強化し、未成年者が法律や規制を理解して習得するのをよりよく支援し、関連する要件を厳格に実施することが急務である。次のステップでは、国家報道出版局は、教育部、共産主義青年同盟の中央委員会、全中国女性連盟、およびその他の部門と協力して、特殊教育を実施するための小中学校を組織し、奨励する。保護者、教師、生徒は、関連するポリシーや規制を真剣に研究し、インターネット・リテラシーを育成および改善し、保護者に子供のゲームアカウントの管理を強化するよう促し、未成年者がオンラインゲームを使用する際に本人であることを確認するように指導し、未成年者がオンラインゲームを使用し、中毒防止要件を実装するための社会的相乗効果を形成する時間の長さをチェックする。また、オンラインゲーム業界には、親、教師、学校との連携とコミュニケーションを強化し、未成年者の健全な成長のための良好な環境を共同で作成するよう要請する。

6.これら一連の真の狙い実名アカウントの義務化、ネットワーク情報の国家統制強化は間違いない?

 欧米メディアが指摘するように、年齢確認を公安データベースにリンクするというTencentの動きは、政府が子供のデジタル活動も管理するという目標を達成するための重要な新しい一歩を表しているようである。

 さらに言えば、中国の監視社会を通じた国民管理、情報・言論統制はまだまだこれからと考えるのは筆者だけではあるまい。その典型は国家サイトを閲覧しようとすると100% 習 近平最高指導者の画像から始まる。中国の個人独裁体制問題はますます深まろう。

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(注1)Aribabaアリババグループ( 阿里巴巴集团:Alibaba Group Holding Limited)は、中華人民共和国の情報技術 (IT) などを行う会社であり、持株会社。本社は浙江省杭州市。

1999年の創立以来、企業間電子商取引(B2B)のオンライン・マーケット (www.alibaba.com、china.alibaba.com、www.alibaba.co.jp)を運営しており、240あまりの国家・地域にて5340万以上の会員のほか、5つの子会社を保有している。(Wikipedia から一部抜粋)

(注2) Tencentは、インターネット関連の子会社を通してソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している。活動拠点は中国にあるが、アリババグループなどと同じく、租税回避と当局の監査を経ずに国外の証券取引所への上場するため、登記上の本社はケイマン諸島にある。

(注3)「Douyin(抖音/ドウイン)」は中国版TikTokとも呼ばれるはショートムービーSNSであるが、実は中国が本家となっている。北京に本社を構えるバイトダンス社(北京字節跳動科技有限公司)が、2016年9月にリリースしていて、その海外版が「TikTok」である。

(注4) 快手(クアイショウ)は、中華人民共和国の北京快手科技有限公司が開発運営しているモバイル向けショートビデオアプリである。

中国本土版「快手」と南米版「Kwai」と南アジア地域版「Snack Video」の3種類がある。(Wikipediaから一部抜粋)

(注5)マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ (MOBA) は サブジャンル の ストラテジービデオゲーム それぞれ プレーヤー 単一を制御する。 キャラクター ゲームの過程で向上し、チームの全体的な戦略に貢献する一連の独自の能力を備えている。 最終的な目的は、各チームが戦場の反対側の隅にある敵の主要な構造を破壊することである。ただし、MOBAゲームには、敵チームのすべてのプレーヤーを倒すなど、他の勝利条件がある。(wikiqube.netから一部抜粋)

(注6)国務院「子供の視力を保護するために発表された新しいスキーム」仮訳する。

更新日:2018年8月31日7:26 AM Xinhua 

 中国政府は、健康と国の将来のために、子供と10代の若者の間で近視、つまり近視の増加を抑えるために、8月30日に新しい計画を展開した。

 この計画は、中华人民共和国教育部(中華人民共和国教育部:MOE)中华人民共和国国家卫生健康委员会(国民健康委員会:NHC)、および他の6つの部門が共同で発行したもので、2030年までに6歳児の近視率を約3%に維持することを目的としている。小学生は38%を下回り、中学生と高校生の割合はそれぞれ60%と70%を下回る。

 またこのスキームは、中国のティーンエイジャーの全体的な近視率は2018年から2023年まで毎年0.5パーセント以上削減されるべきであると述べた。発生率の高い州では、削減は毎年1パーセントに達するはずである。

 このスキームでは、眼鏡の製造と販売に対する規制の強化と、ティーンエイジャーのオンラインゲーム時間の制限が必要である。

 この計画は、習近平大統領が最近の指示で要求したように、中国の10代の若者の近視率を大幅に減らして子供たちに「明るい未来」をもたらすことを目的としている。(以下、略す)。 

(注7)中国互联网络信息中心(https://cnnic.net.cn)の「中国のインターネットの発展に関する統計レポート (CNNIC发布第47次《中国互联网络发展状况统计报告》」はなかなか面白い解析レポートである。毎年発刊されており、中国語に自信のある読者は挑戦されたい。

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