石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

雑感:北海道行動第1クールを終えて

2009-09-05 21:37:08 | 活動レポート
今回の北海道行動は、長らく待ち望んでいた衆議院選挙が8月30日に終わって、いよいよ来年の参議院選挙に向けての取り組みが本格化するそのスタートを切る大切な行動でした。衆議院選挙の取り組みが終わってすぐの北海道入りだったこともあり、受け入れていただいた北海道の皆さんには大変なご負担をおかけしたことと思いますが、いずれの地域でも温かく迎えていただいて、ただただ感謝するばかりでした。

ところで、こうして全国を回らせていただく間に、やらなければならないことはたくさんあります。もちろん、ご支援をいただいているNTT労組や情報労連の仲間の皆さんに、一人でも多く直接ご挨拶させていただき、顔と名前を覚えていただくこと、これがもっとも重要な課題であることは言うまでもありません。できるだけ、私の方から一方的に挨拶させていただくだけではなくて、皆さんからのご意見・ご要望、さらには私に対する期待など、多くの声を聞かせていただく形にしたいと思っているのですが、時間的な制約があってなかなか思うようにいきません。短い時間で、いかに私の人となりを知っていただくか、それが大きな課題です。その上で、皆さんの声は、役員の皆さんを通じて、もしくはこのホームページやEメールなどの手段で、これからどんどんお聞かせいただきたいと思っています(近いうちに、このサイト上でコメントを受け付けられようにする予定です!)。

そしてもう一つ大切なことは、今の日本の現状を、それぞれの地域の実情を通じてしっかりと把握することです。短期間に全国をくまなく回る貴重な機会をいただけるのですから、それを有効に使わない手はありません。それぞれの地方で、例えば過疎化や高齢化の状況はどうなのか、第一次産業はうまくいっているのか、雇用や医療は十分なのか、地場の産業は成長しているのかなどなど、様々な点について注目していきたいと思っています。その意味で、各地の情報労連やNTT労組の役員の皆さん、さらには退職者の会や自治体議員の皆さんからいただける地元の現状についての貴重なご意見が本当にありがたいのです。

さて、少々長くなって恐縮ですが、今回の北海道行動を通じて感じたことをいくつか書き留めておきたいと思います。

第一に、北海道は広く、そして必ずしも一様ではないということです。

北海道は広い!なんて当たり前のことですが、車で札幌を起点に、道北、道南を回ると、その広さを実感できます。これでまだ、半分以下しか回っていないのですから!そして、私たちは普通、北海道を「北海道」として一つに括ってしまいがちです。北海道の人はみんな北海道人、北海道の産物はみんな北海道産、という感じで。でも、それは必ずしも適切でないと感じました。北海道には、道央、道北、道東、道南(あれっ、道西ってなかったですよね?)という地域があり、さらに道東でいうとオホーツク圏、十勝圏、釧路・根室圏など、細かい区分があります。そしてそれぞれに特色があるのです。産業も、沿岸部なのか内陸部なのか、札幌からの距離、気候、平野部か山間部か、などなどの要素で得手不得手がありますし、それだけ経済的にも社会的にも、各地に特色があるのです。

これは、北海道の経済・社会開発を考えたときに重要な要素です。北海道を一つの単一なまとまりとして画一的な開発政策をとっても、必ずしも上手くいかないのではないかと感じたからです。そしてこの点は、今後の地方主権、道州制の議論にも大いに参考になる点だと思います。何せ北海道は、ある意味すでに長年にわたって道州制を経験しているわけですからね。

第二に、北海道でも、地方都市の疲弊が感じられたことです。

例えば今回では、釧路の皆さんから特にそういうお話をお聞きしました。農業・漁業・酪農の苦戦が、釧路のポジションを相対的に落ち込ませているというのです。釧路は、かつて水産業の大拠点であり、炭鉱でも有名でしたが、200カイリ問題以降、水産業は厳しい状況に置かれ、今では最盛期の10分の一以下の水揚げしかないそうです。炭鉱も、すでに何年も前に国内最後の炭鉱が閉山して、火が消えてしまっています。さらに近年は、釧路に拠点を置いていた企業が拠点を閉鎖し、帯広を拠点に活動するケースが増えているというお話も伺いました。釧路地方の人々の雇用や暮らしを考えたときに、釧路経済をいかに回復させていくかという視点は欠かせません。漁業を中心とする第一次産業の復活が議論の中心になるのでしょうが、果たしてそれだけで十分なのかという議論もしていなければならないでしょうね。いわゆる「北海道」ブランドから、「釧路」ブランドへの積極的転換も必要なのかも知れません。

釧路に限らず、北海道全体が冷え込んでいる中で(例えば、北海道の県内総生産、県民所得、一人あたり所得はいずれも、1996年から10%~15%減少しています)地方都市の経済社会をいかに元気にしていくか、これは大きな課題ですね。

第三に、大型ショッピングセンターの乱立と、駅前商店街の疲弊についてです。

これはどこの地域にも見られることで、実は私も非常に強い関心をもって観察している点なのですが、北海道でも状況は同じでした。郊外に大型のショッピングセンターがそびえ立ち、皆さん車で買い物に来ます。もともと、大型のショッピングセンターが建てられるところは、優良農地としてしっかりとインフラ整備されたところが多いですから、アクセス等の条件はいいのです。問題は、果たしてこれが、本当に地域の皆さんにとって良いことなのかどうか、という点です。

もちろん、地域の皆さんが「便利になった!」「都会に行かなくても同じものが買える!」と喜んでおられる限りは、私たちがどうのこうの言う問題ではないのでしょう。しかし、私には、その弊害の方がやたらに目についてしまって仕方ないのです。大型のショッピングセンターが出来たことによって、人の流れが完全に変わってしまい、駅前や地元の商店街が深刻な影響を受けています。もともとあった商店街が軒並み、シャッター通りに変わり果てているところも少なくありません。「経済効果としては同じじゃないか!」と言われる向きもあるかも知れませんが、違うのです。大型ショッピングセンターは、都会の大資本が事業を行っています。利益は、大資本(都会)に行くのです。果たしてどれだけの利益が地元に還元されてるのでしょう? 「でも雇用を提供している!」というご意見もあるでしょうが、ショッピングセンターで創られる雇用が、果たしてどこまで「家計の担い手」が従事できるタイプの雇用であるかというと、これまた大いに疑問が残ります。

さらに、農地の分断の問題があります。日本の農業の今後を考えたときに、農地の大規模化による生産コスト減と生産性の増大は必須の課題です。が、大型のショッピングセンターが、往々にしてこの良質な農地のど真ん中に造られてしまって、農地の大規模化を永遠に阻んでしまっている例がいくつも見られるのです(皆さんもぜひ、地元の大型ショッピングセンターの立地を見てみて下さい!)。大型のショッピングセンターが、本当に地域の人々のためになっているのかどうか、もう一度じっくり考える課題だと思うのですが、いかがでしょうか?

最後に、道路についてです。

旭川から留萌に行った時に、深川留萌自動車道という高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)を通って行ったのですが、その立派さに驚かされました。多くの部分が片側二車線で、高速道路と言ってもいいぐらいの感じだったのです。しかし通行している車の数はまばら。留萌にそれほど多くの観光客が車で訪れるわけでもないとのことなので、この道路は主として、留萌に集まる水産(加工)物を流通させるための道路として整備されたものなのでしょう。通行料は無料(現在)ですから、建設にかかった総経費は、税金で支払われる(誰の?)ことになるのでしょうね。

留萌でお世話になった野呂市議も、「果たして高規格幹線道路として整備することが最善であったかどうか。一般国道のままで、冬場でも通行に支障がないように整備するというやり方もあったのではないか」とおっしゃっていました。

一方で、北見から釧路への道のり、そして釧路から帯広への道のりは、基本的に一般国道を通って行きました。よく整備をされていて、基本的にはこのまま一般国道としてさらに充実させていけば足りるのではないかという印象を受けました。もちろん、高速道路が開通するということは、地元の皆さんにとっては悲願なのかも知れませんし、上に述べた地方経済の回復にとって、高速道路の開通というのは一つの必要要件なのかも知れませんが(なお、調べてみると、北海道横断道路として事業が進められているようです)。道路の問題も、これからぜひ、いろいろとご意見を聞きながら考えていきたいですね。

以上、長くなってしまいましたが、北海道行動第1クールを終えての雑感でした。ぜひ、皆さんの声も聞かせて下さい。特に、北海道の皆さんのご意見、お待ちしています!

では、来週は、東北を回ります!