今日は、午前10時から、民主党政調『働き方改革WT』の第9回会合を行いました。

先週のJILPT・濱口桂一郎統括研究員に続いて、今日は東京大学社会政策研究所の水町勇一郎教授にお越し頂き、「労働時間法制の課題と改革の方向性」というテーマでインプットをいただきました。
まず、現在の労働時間法制は、そもそも「工場で集団的に働く従属的労働者をモデルとした労働法制」であり、「現在の多様で複雑な労働実態に適合していない」のだと。そこで、法改正のポイントは、(1)長時間労働問題への対応を図る、(2)労働者の多様化に対応するために法制度の整理・再編を図る(法と実態の乖離)、(3)健康問題への組織的対応(予防)を図る、という3点ではないかという問題提起がありました。
そして、それぞれのポイントについて、以下の通り具体的な課題提起をいただきました:
(1)長時間労働問題への対応
・労働時間の絶対的制限→最長労働時間の設定
・休息時間の確保→勤務間インターバル制度
・絶対週休1日の確保
・週休二日の保障
・年休の完全付与(使用者に年休指定義務)
(2)労働者の多様化に対応するために法制度の整理・再編
・労働時間規制の適用除外制度を下記の3類型に整理、再編
→管理監督型適用除外
→専門業務型適用除外
→企画業務型適用除外
ただし、適用除外は割増賃金についてのみとし、絶対休日や
最長労働時間規定は除外としないこと
(3)健康問題への組織的対応(予防)を図る
・労使協定の拡充
・PDCAサイクルによる取り組みの強化
・取り組み内容および結果の公表、第三者によるチェック
長時間労働問題への対応については、先週、濱口さんから提起いただいた点とほぼ、重なっています。これで、労働時間法制のあり方に関する今後の議論方向性は定まってきたと思います。
なお、これも濱口さんの意見と重なるところですが、水町さんも労働時間規制を進めていくにあたって、「長期雇用システムと柔軟性の問題」と「正規・非正規間の格差・乖離問題」への対応は避けられないとし、「雇用システム全体を見渡しながら、労働法制全体の改革を検討する視点が必要」と訴えられました。ポイントは、多様な意見・利害を調整、反映する集団的システムであって、そのような集団的システムの実効性や公平性を高めるための基盤をいかに構築していくかがカギだろう、ということです。当然、労働組合がそれを担うのが一番いいわけですが、現在、労組組織率が18.5%にとどまっていること、中小企業の大半は労働組合が組織されていないこと、などを考えると、「従業員代表制度に基づく労使協議体」のようなものも必要ではないか、という問題提起もいただきました。
続いて質疑応答に移ったのですが、またしても大変活発なやり取りが展開されました。委員の皆さんからは「労働基準法の適用範囲について、欧州と比較してどうなのか?」「労働時間と健康との関係を明らかにするために、産業医をもっと活用してはどうか?」「正規・非正規の格差を、果たして労働時間改革で解消できるのか?」などなど、多くの質問をいただいて、そのやり取りを通じてさらに理解を深めることができました。
次回は、もう少し世界の現状を深掘りしてみたいという委員の皆さんの要望を受けて、欧米を中心とした他の先進諸国の現状を分析しながら、今の日本の状況を客観的に観察し、問題点をあぶり出してみたいと思います。

先週のJILPT・濱口桂一郎統括研究員に続いて、今日は東京大学社会政策研究所の水町勇一郎教授にお越し頂き、「労働時間法制の課題と改革の方向性」というテーマでインプットをいただきました。
まず、現在の労働時間法制は、そもそも「工場で集団的に働く従属的労働者をモデルとした労働法制」であり、「現在の多様で複雑な労働実態に適合していない」のだと。そこで、法改正のポイントは、(1)長時間労働問題への対応を図る、(2)労働者の多様化に対応するために法制度の整理・再編を図る(法と実態の乖離)、(3)健康問題への組織的対応(予防)を図る、という3点ではないかという問題提起がありました。
そして、それぞれのポイントについて、以下の通り具体的な課題提起をいただきました:
(1)長時間労働問題への対応
・労働時間の絶対的制限→最長労働時間の設定
・休息時間の確保→勤務間インターバル制度
・絶対週休1日の確保
・週休二日の保障
・年休の完全付与(使用者に年休指定義務)
(2)労働者の多様化に対応するために法制度の整理・再編
・労働時間規制の適用除外制度を下記の3類型に整理、再編
→管理監督型適用除外
→専門業務型適用除外
→企画業務型適用除外
ただし、適用除外は割増賃金についてのみとし、絶対休日や
最長労働時間規定は除外としないこと
(3)健康問題への組織的対応(予防)を図る
・労使協定の拡充
・PDCAサイクルによる取り組みの強化
・取り組み内容および結果の公表、第三者によるチェック
長時間労働問題への対応については、先週、濱口さんから提起いただいた点とほぼ、重なっています。これで、労働時間法制のあり方に関する今後の議論方向性は定まってきたと思います。
なお、これも濱口さんの意見と重なるところですが、水町さんも労働時間規制を進めていくにあたって、「長期雇用システムと柔軟性の問題」と「正規・非正規間の格差・乖離問題」への対応は避けられないとし、「雇用システム全体を見渡しながら、労働法制全体の改革を検討する視点が必要」と訴えられました。ポイントは、多様な意見・利害を調整、反映する集団的システムであって、そのような集団的システムの実効性や公平性を高めるための基盤をいかに構築していくかがカギだろう、ということです。当然、労働組合がそれを担うのが一番いいわけですが、現在、労組組織率が18.5%にとどまっていること、中小企業の大半は労働組合が組織されていないこと、などを考えると、「従業員代表制度に基づく労使協議体」のようなものも必要ではないか、という問題提起もいただきました。
続いて質疑応答に移ったのですが、またしても大変活発なやり取りが展開されました。委員の皆さんからは「労働基準法の適用範囲について、欧州と比較してどうなのか?」「労働時間と健康との関係を明らかにするために、産業医をもっと活用してはどうか?」「正規・非正規の格差を、果たして労働時間改革で解消できるのか?」などなど、多くの質問をいただいて、そのやり取りを通じてさらに理解を深めることができました。
次回は、もう少し世界の現状を深掘りしてみたいという委員の皆さんの要望を受けて、欧米を中心とした他の先進諸国の現状を分析しながら、今の日本の状況を客観的に観察し、問題点をあぶり出してみたいと思います。