石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

1月にODA調査のための海外視察に行ってきます!

2011-12-21 21:00:57 | 活動レポート

今期、参議院の「政府開発援助等に関する特別委員会(以下、ODA特)」に所属していることは、すでに何度かこのブログでご紹介してきました。

このODA特は、衆議院にはない参議院独自の特別委員会で、途上国の社会・経済開発のために重要な貢献を果たしながら日本のさまざな国益を守っているODAについて、そのあり方や目的、具体的なプログラムの検証や評価などの議論を行っています。

そして、その重要な活動の一つに、ODA調査海外派遣があります。実際に日本が支援している国々を訪問し、プロジェクトの現場を視察したり関係者から直接ヒアリングを行うことによって、途上国の現状やニーズ、ODA施策の実情や効果などを検証する目的で行われるものです。

実は、この海外派遣、正確にはODA特別委員会による派遣ではなくて、参議院としての院派遣なのですが、民主党ではODA特のメンバーが優先的に配置されることになっています。ということで、私もODA特のメンバーとして今回の視察に参加させていただくことになりました。

派遣団は、アフリカチーム、中東チーム、東アジアチーム、そして東南アジアチームの4つ団に分かれています。私は、自ら志願して東南アジアチームに参加します。一緒に訪問するのは、自民党の中村博彦議員、二ノ湯さとし議員、みんなの党の松田公太議員、そして共産党の山下よしき議員。民主党からは私だけ。計5名の議員による視察団です。

訪問する国は、私と自民党の中村議員(前・ODA特委員長)との協議で決めさせていただいたのですが、なんと、二人の意見がばっちり合って、タイ、ビルマ(ミャンマー)、ラオスの三カ国となりました。それぞれに目的があって、タイは先般の洪水被害に対する支援の現状確認、ビルマ(ミャンマー)は民主化の進展に伴うODAの今後の展開、ラオスは継続しているODAの効果の検証を調査することになります。特に、ビルマ(ミャンマー)については、先日このブログでもお伝えしたような状況ですので、現地でいろいろな方々から話を聞いて、しっかり状況を見極めてきたいと思っています。

で、日程ですが・・・

実は、1月の年明け早々に行くことになりまして、1月7日(土)に出発。8日から10日がビルマ(ミャンマー)。11日から12日がラオス。13日から14日がタイ(バンコク)。1月15日(日)に帰国、という日程です。1月16日(月)に民主党党大会が予定されているために、このような1月前半の日程になってしまったわけです。

ということで、1月9日の週には多くの支援組織の皆さんから新年の集まりにご招待をいただいておりますが、残念ながらお邪魔することが出来ません。大変申し訳ありませんが、このような大切な公務による事情でありますので、ぜひご容赦をいただければと思います。その代わり、たくさんの土産話を楽しみにしていて下さい!


国連子どもの権利条約新議定書採択!

2011-12-20 23:34:51 | 活動レポート

今日(11月20日)、国連総会で、かねてからこのブログでも取り上げていた「国連子どもの権利条約新議定書(個人通報制度)」が採択されたそうです!

最終的には、日本も共同提案国に加わってくれました。画期的なことです。実は、いつもの仲間たち(大河原参議院議員や井戸まさえ衆議院議員)と、日本も共同提案国になるべし!と働きかけをしててきいました。実現して、嬉しい気持ちで一杯です。

ただ、実はこれからが本番です。この新議定書を、国会で批准しなければなりません。引き続き、取り組んでいきたいと思います。


今年の国会見学団体は27組!(事務所だより)

2011-12-19 19:33:16 | 雑記

本日は2011年最後の国会見学を行ないました。

ラストを飾ったのは、NTT労組データ本部分会役員のみなさまです↓

NTT労組データ本部は国会見学申し込み最多の団体です。もちろん参加メンバーは毎回異なりますが、政治担当のみなさんは何度も随行していただいているので、私よりも詳しいかもしれません(+o+)

さて、2011年の国会見学受け入れ団体は27組でした。公務の関係で議員との意見交換ができなかった団体のみなさま、大変申し訳なく思っております。

国会見学は、日ごろ議員が活動している場所を見て、議員の声を聞き、双方の意見交換ができる貴重な場の一つです。

来年も多くのみなさんとお会いできる機会をつくれるよう、事務所としても創意工夫した取り組みをしていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

なお、国会見学はどなたでもできます。政治の場を身近に感じてみませんか?

申し込みお待ちしています(少人数でもかまいません)。

 


診療報酬・介護報酬のダブル改定に向けた党内論議

2011-12-18 23:36:47 | 活動レポート

11月24日付けの本ブログで、「社会保障改革論議その1」と題して政府与党内で進められている社会保障制度改革論議の主なテーマをご紹介しました。その際に、医療・介護制度について、下記のようにご紹介しています:

「医療・介護WTは、来年の診療報酬・介護報酬のダブル改定に向けた議論が中心。要は、それぞれ引き上げるべきか、現状維持か、引き下げるべきかという議論です。政府内では、財務省を中心に引き下げるべきという意見も強いのですが、民主党は昨年の2010マニフェストでも「引き続き引き上げをめざす」と明記しており、厳しい財政の中でもやはり引き上げを目指すべきだという意見が大勢です。

医師不足や偏在の解消、介護職の処遇改善など、引き上げによって実現すべき課題が大きいと考えるからですね。私もこの立場です。」

 

先週金曜日(12月16日)に、民主党「厚生労働部門会議」が開催されて、あらためてこの診療報酬・介護報酬のダブル改定についての議論が行われ、特に診療報酬の改定率について激論になりました。

すでに、医療・介護ワーキングチーム(WT)の提言を受けて、厚生労働部門会議としては「前回改定(0.19%プラス改定)を下回らない水準で、ネットプラス改定とすべき」という意見書を政府に提出しています。ネットプラス改定というのは、診療報酬を構成するうちの「薬価」についてはマイナス改定でもやむを得ないけれども、診療報酬本体はプラス改定にすべきで、合計でプラスの改定になるようにすべきだ、という意味です。

しかし現状は大変厳しい議論になっていて、財務省は、先般行われた政策提言型事業仕分けの結論(マイナス改定すべき)や、デフレで物価が下落している状況なども踏まえて、薬価については大幅マイナス、診療報酬本体についてもマイナスを主張しています。これに対して厚生労働省は、医療再生のためには診療報酬本体の引き上げは絶対に必要と譲っていません。

 ・「診療報酬改定:決着見えず 厚労・財務相が会談へ」(毎日.jp 2011.12.18)

 

金曜日の厚生労働部門会議には、いつもの4倍ぐらいの数の議員が出席して、それぞれ診療報酬改定に向けた意見を述べました。ほとんどが、「絶対にネットプラス改定を勝ち取るべし」という立場で、その多くは「マニフェストで引き上げを約束している」「野田総理も代表選挙の時にマイナスはないと明言している」「医療崩壊を食い止めるためには何としても引き上げが必要だ」という意見でした。

先般のブログでも述べている通り、私も基本的には診療報酬本体は引き上げられるべきだと考えています。しかし、部門会議では、「少し冷静になって、中立的な立場から発言したい」と言って以下のような趣旨で意見を述べました。

  1. 診療報酬のプラス改定を勝ち取ること自体が目的であってはいけない。私たちの目標は、全ての国民に安心・安全の医療を確保することである。そのために(1)医師不足や偏在の解消を含めた地域医療の再生、(2)小児科や産婦人科など厳しい状態にある診療科の再生、(3)勤務医や看護師などの労働条件・環境の改善、などを確実かつ早期に進めなければならない。それが出来るか否かこそが問われなければならず、財務省はマイナス改定でもそれが出来るというならそれを示して欲しいし、厚労省はプラス改定しなければ出来ないというならそれを示して欲しい。また、仮にプラス改定しても、増収分が別の目的で使われてしまったら全く意味がないので、もっと具体的な中身の議論が必要だ。

  2. 診療報酬の引き上げによって、市町村の国民健康保険や企業の健康保険組合の支払い負担や、患者さんの自己負担分も大きくなることを忘れてはいけない。すでに多くの国保や健保組合が財政危機に瀕しており、これ以上の負担増は深刻な影響を及ぼす。患者さんにしても、自己負担額が増えることで受診抑制が生じ、かえって病状を悪化させて医療費を増大させる結果につながる可能性もある。それでもやはり引き上げが必要なら、引き上げによる医療充実のメリットを明確に提示するとともに、財政的に厳しい保険者や患者への支援も併せて検討すべきではないか。

 

つまりこの問題も、単に診療報酬を引き上げるか否か、ということだけで考えられる問題ではないのです。やはり、社会保障の全体像と給付のあり方、そして税や社会保険料という負担のあり方をセットでしっかりと考えないといけないわけですね。

ちなみに、今週号の週刊東洋経済(2011年12月24-31日新春合併特大号)に、「二極化激しい米国社会、3人に一人が貧困層に」という記事が載っていて、そこにはこんな米国社会の現状が報告されていたので紹介します。

「米メディアによれば、雇用主の下で従業員が入る医療保険の年間保険料は、4人家族の場合、2010年の1万3770ドル(約107万円)から今年は1万5073ドル(約118万円)へと上昇。雇用主の負担率も年々低下し、今では75%を下回っている。

それでも保険に入れればいいほうだ.....米世論調査会社ギャラップによれば、雇用主の下で保険に入る人は下降の一途で、今年第3四半期には44.5%にまで落ち込んだ。

定職がなければ、保険は高嶺の花だ。たとえばニューヨーク・マンハッタンの場合、個人加入の「月額保険料」は、単身でおおよそ1100ドル(約8万6千円)から3320ドル(約26万円)。4人家族だと、3100ドル(約24万円)から8460ドル(約66万円)である.....2010年の保険未加入者は、前年より90万人増え、全米で4990万人に達した。2000年からの10年で1300万人増えたことになる。」

米国では、昨年3月にオバマ大統領のイニシアチブで医療保険制度改革法が成立していますが、2014年の完全実施までにはまだかなりの紆余曲折が予想されますし、そもそもこの法律によってどの程度問題が解決されるのか定かではありません。しかし、国民の6人に一人が無保険で、重い病気にかかったら自己破産するしかないような状態を放置していていいはずがなく、米国政府の真摯な取り組みを応援したいと思います。

そして私たちは、何としてもこの日本が誇るべき素晴らしい国民皆保険制度を守らなければなりません。急速に進む少子高齢化の中でいかにこの制度を守っていくか、守ることが出来るか、それをみんなで真剣に考える必要があります。私は、かねてから主張している通り、全ての国民が負担力に応じて社会に貢献して、社会全体でお互いを支え合う仕組みを強めていくしかないと思っています。社会保障と税の一体改革、もう待ったなしです!


高齢者雇用と若年者雇用との関係

2011-12-17 23:59:11 | 活動レポート

先日このブログで「希望者全員が65才まで働ける環境整備を!」というエントリーを書きましたが、東京新聞は今朝の朝刊に『65歳雇用義務化 希望者全員は当然だ』という社説を掲載しました。

 ・「65歳雇用義務化 希望者全員は当然だ」(東京新聞朝刊 2011年12月17日)

まずはこの社説を読んでいただきたいと思いますが、その中で注目していただきたい点が二つあります。

一つは、「厚労省の今年六月の調査によると過去一年間の定年到達者約四十三万五千人のうち、継続雇用を希望した人は全体の75.4%。継続雇用を希望しない人が246%、そして「基準非該当」は18%、約七千人となっている」という記述です。

前回のブログ記事で、すでに企業は「高年齢者雇用安定法」によって65才以上への継続雇用を何らかの制度で確保することが義務づけられているとお話ししました。ただ問題は「労使の合意があれば、継続雇用制度の対象者を限定することができる」という「みなし条項」があるために、希望者全員が働き続けられるわけではない、と。上記の記述は、その「雇用継続を希望したのに働き続けることが出来なかった」労働者の割合が、定年到達者のうちの1.8%、約7,000人だということなのです。

つまり、今回の新しい制度(みなし条項の廃止による希望者全員の雇用継続)が救済しようとするのは、基本的にはこの7,000人の部分に過ぎないのですね。これをもって「そんなことしたら多くの中小企業が潰れる!」と言うのはかなりの見当違いなわけです。

そしてもう一つは、「しかし経団連などは反対だ。希望者全員を再雇用すれば高齢者が急増し新卒採用を抑制せざるを得ない。企業の新陳代謝も低下し国際競争力は弱まると主張する」というところです。

ん~、すでに現行制度下で約33万人が継続雇用になっているんですよ。それをあと約7,000人だけ増やすことが新卒抑制と国際競争力低下になっちゃうんですかね~?

もちろん、新しい制度の下で、さらに厚生年金の支給が段階的に引き上げられていけば、今後、継続雇用を希望する人が増えていくというのは有り得る話です。しかし、東京新聞社説にも説明があるとおり、OECDやILOなどはこれまでの欧州諸国等の実証研究に基づいて「高齢者雇用の拡大が若年者の雇用を奪うというのは根拠のない話である」ことを主張しています。

 

今年の6月に『今後の高年齢者雇用に関する研究会』がとりまとめた「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告書 ~生涯現役社会の実現に向けて~」には、この点について下記のような説明があります:

 

 

《高年齢者雇用と若年者雇用との関係》

新卒労働市場において厳しい状況が続く中、また、企業における人件費が限られてい る中で、高年齢者雇用を進めることにより若年者の雇用機会が減少するなど、若年者雇用と高年齢者雇用の代替性を指摘する意見がある。

企業に対するヒアリングでは、専門的技能・経験を有する高年齢者と基本的に経験を有しない若年者とでは労働力として質的に異なるという意見や、新卒採用の数は高年齢者の雇用とのバランスではなく、景気の変動による事業の拡大・縮小等の見通しにより決定しているといった意見があった。

若年者の失業問題に対処するために、例えばドイツでは年金の繰上支給や高年齢者の失業給付の受給要件の緩和が行われ、フランスでは年金支給開始年齢の引下げが行われるなど、高年齢者の早期引退促進政策が推進されたが、結局若年者の失業の解消には効果は見られず、かえって社会的コストの増大につながったとの認識が示されていることなどから、必ずしも高年齢者の早期退職を促せば若年者の雇用の増加につながるというものではない。

また、労働力人口の減少が見込まれている中、将来的には、特に若年者の労働力供給が減少し、必要な人材の確保が難しくなると見込まれることから、長期的な視野をもち、年齢にかかわりなく意欲と能力のある労働者を適切に活用することが重要な課題となっている。

いずれにしても、新卒労働市場では、未就職卒業者が発生している一方で、大企業と比較して求人充足割合が低く、若年者の確保に苦慮している中小企業もあることから、 若年者の雇用問題の解決のためには、求人と求職のミスマッチの解消を更に促進していく必要がある。

 

 

要は:

 

  • 高齢者と若年者は雇用において直接的な代替関係にあるわけではない(スキルや経験の違い)
  • 労働力の減少が急速に進む中でスキルや経験の補充が追いつかなくなる(特に中小企業で)
  • 高齢者の早期退職で年金等の社会コストが増大し、かえって若年層雇用が抑制される

 

などが主な理由ということですね。つまり、これからの日本の持続的な経済成長と社会保障を支えていくためにも、高齢者雇用の拡充は必要なのです。

ちなみに・・・

「そうは言っても、高齢者が働き続ければ賃金原資に大きな影響が出るので、やっぱり若年者雇用が抑制されるのではないか?」という通な疑問を持たれる方もおられると思います。だからこそ、良くも悪くも、企業のほとんどが定年制の廃止・延長ではなく、継続雇用制度(例:退職再雇用制度)を採用しているわけです。つまり、(時に大幅に)賃金水準を切り下げて、雇用の継続を確保するわけですね。上述のように継続雇用を希望しない労働者も約4分の1いるわけですから、総体として新卒の若手を採用する原資は確保されているはずです。

ただし、いずれ「継続雇用制度」か「定年制の廃止・延長」かという問題について、あらためて議論するタイミングがやってくるでしょうね。寿命がさらに延び、厚生年金の支給開始年齢が引き上がり、労働力が今以上に逼迫した時には、60才台の雇用問題(と年金の支給開始年齢問題)はもっと大きな課題になるはずです。

だからこそ、今はまず、希望者全員が65才以上まで働き続けられる環境を確保することが必要なのです。そして、中・長期的には、全ての企業(産業)で、きちんとした労使交渉(協議)を通じて高齢者雇用制度のあり方が決定されることが最も望ましいと思っています。