白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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大場より急場

2016年09月04日 23時35分32秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は有楽町で指導碁を行いました。
ご来場頂いた方々、ありがとうございました。
さて、本日はその中の1局を題材にします。



5子局の黒番です。
どこに目を向けますか?





実戦は黒1でした。
文句の無い大場・・・と言いたい所ですが白4となって黒△が孤立しては問題です。
置碁の下手はこういう所から崩れ始めるものです。





その後黒は頑張って生きました。
しかし話はこれで終わりません。





外側に白石が増えたので白1が第2の攻撃です。
ただ黒地を割っただけではなく、黒△に狙いを付けています。





黒1と隅を守って頑張りましたが、白2には黒3の守りが必要です。
そこで白4の打ち込みが第3の攻撃です。
場合によっては黒全体の根拠を奪ってしまう狙いさえあります。
中央の黒が攻められたために攻撃の連鎖が起こっています。





最終的にはこんな事になりました。
黒△を飲み込んで大きな白地が出現しています。
元々は黒模様があった所です。





全ての原因は中央の弱石を放置した事にありました。
「大場より急場」という格言通り、黒1の急場を優先させなければいけません。
黒△間の線をしっかり繋げます。
同様の発想の黒A、右辺の黒と繋げる黒Bなども良いでしょう。





白1、3などと白模様が大きくなるのを心配される方が多いですが、気にすることはありません。
黒模様の方が遥かに大きいのですから・・・
中央を守った手が、模様拡大にもしっかり役立っています。





なお黒1に白2など、黒△を狙ってくる手が気になるかもしれませんね。
確かに助けようとすると白Aと連打されて、実戦と同じような展開になりそうですが・・・





周辺の白は強いので戦う必要はありません。
どうぞどうぞと差し上げ、外を固めておいて十分です。
白はカス石を取ったに過ぎず、黒はのびのびとした姿です。

「大場より急場」というのは碁で最も重要な考え方で、これは5級であっても五段であっても変わりません。
戦いがうまくいかない方は、まずこの考え方をしっかり身に付けましょう。