白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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藤沢三段、勝利!

2016年09月26日 21時13分03秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第35期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負、第2局が行われました。
結果は藤沢里菜挑戦者謝依旻女流本因坊に黒番中押し勝ちを収め、1勝1敗のタイに戻しました。
それでは振り返っていきましょう。
なおこの対局は幽玄の間にて、大橋成哉七段の解説で中継されました。



序盤、黒△に切った場面です。
白の対応としては大体決まっており・・・





白1、3が石の形であり、多くの棋士はこう打つでしょう。
しかし実戦は・・・





白1と当ててからひたすら押し!
いかにも筋が悪いという印象で、知らずに見たらプロの碁だとは気付かないでしょうね
しかし筋や形に拘らないのが謝女流本因坊の流儀です。
中央の黒を強化し、中の白2子を弱くしてしまいますが・・・





その後、白△と隅の黒を強襲!
これが謝女流本因坊の打ちたかった手なのでしょう。
そのための押し連発でした。





黒1の押さえに対する白2の切りも当然予定通りでしょう。
白6と打って黒△を狙い、黒どうするか・・・





黒1と右辺を打ちましたが、白8となって中の黒5子は動きにくい姿です。
白のパンチが入ったようにも見えました。
しかし・・・





左下の大きなヨセを打ち、中央をあっさり捨ててしまいました
要石を捨てて厚くさせてしまうのは通常考えにくいのですが、しかしよく見れば白の厚みが働く場所がありません。
どうやら藤沢挑戦者がうまく立ち回ったようでした。





白は紛れを求めていきますが・・・





ここも戦わずあっさり捨てて、大きな下辺に回って十分と言っています。
確かにその判断は正しそうです。





必死の白は中央で勝負手を仕掛けますが・・・





黒は冷静に対処し、△の抜きに回って勝負は決まりました。

本局は謝女流本因坊がらしい仕掛けを見せましたが、藤沢挑戦者の大局観が上回ったようです。
充実を感じる勝ち方で、五番勝負はますます面白くなってきました。
第3局は10月3日(月)に東京都千代田区の「日本棋院東京本院」で行われます。
お楽しみに!