白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

女流本因坊戦、開幕!

2016年09月13日 19時20分32秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、第35期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負の第1局が行われました。
気合と気合がぶつかり合った好局だったと思います。
それでは振り返っていきましょう。
なお、幽玄の間では釼持丈八段
が詳しく解説しています。
そちらも是非ぜひご覧ください。



謝依旻女流本因坊の黒番です。
挑戦者、藤沢里菜三段の白△のボウシに対して黒1、3のツケ切りは難解型です。
ここから無数の変化がありますが・・・





結果は序盤早々派手な振り替わりになりました。
黒が左辺、白が下辺を取る分かれです。
この後白は下辺を育てていけば穏やかでしたが・・・





白1、3と動いて停戦拒否!
下辺も左辺も両方頑張られては黒は怒るしかありません。
新たな戦いが始まりました。





黒△と形を整え、左辺白への攻めを狙っています。
ここで白Aと下方に繋がるか、白Bと進出すれば常識的ですが・・・





白1、3には驚きました。
白Aを狙っていますが、地としてさほど大きい手ではありません。
黒2、4と好点を占められては遅れているように見えます。
しかし白は黒全体の根拠を奪い、逆襲を狙っているのです。
善悪を超えた、藤沢三段の意地と根性の一手という印象です。





その後黒が白△を攻める展開になっています。
白Aと逃げて行けば無難ですが、ここで白1とはまた凄い!
黒の隙を衝いて逆襲に出ました。





白△まで進みました。
次に白Aで黒5子を取る手があります。
それを防げば白Bで目一杯の形を作ってしまおう、というのが白の読み筋でした。





力自慢の謝女流本因坊ならずとも、ここは相手の言いなりになる訳にはいきません。
黒1、3と進出していきました。
そして白4には強く頭を押さえて左右を分断!
狙いは左右の白の絡み攻めです。
一気に緊迫した局面になりました。





その後AとBに同時に2つのコウが存在する、いわゆる「両コウ」の形になりました。
コウを2つとも勝つのは不可能ですから・・・





白1とコウを解消して黒△を取り、左辺の白を万全にしました。
その代わり黒は2と右辺のコウを解消、これでこちらの白の眼が無くなりました。
後はこの白が生きるか死ぬかの勝負です!





際どい勝負でしたが、黒△が急所の一撃!
どうやらこれで白の凌ぎは難しくなったようです。
この後黒は正確に白を追い詰めて仕留めました。


第1局は謝女流本因坊が持ち前のパンチ力を発揮して先勝しました。
スリリングで面白い1局だったと思います。
第2局以降にも期待しましょう!