白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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終局図の活用法

2016年09月10日 23時51分08秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は四谷大塚での囲碁入門教室、第2回を行いました。
今回は生き死にの概念を学んで貰いました。
囲碁入門において最大の壁ですが、一生懸命取り組んでくれたと思います。
子供たちが頑張る姿は良いですね

午後からは永代塾囲碁サロンにて月1回の指導碁を行いました。
ご来場いただいた方々、ありがとうございました。
大人の頑張る姿も良いものです

さて、本日は木曜日に行われた小林覚九段(黒)と鶴山淳志七段の対局をご紹介します。
この対局の棋譜も幽玄の間でご覧頂けます。



プロの対局を観戦したり棋譜並べしている時、自分ならどうするかを考えてみると良い勉強になります。
白△と打ち込んで左の黒を標的にして来ましたが、黒どう対応しますか?





取られそうな石を助けたくなるのは人情、黒1と逃げてしまう方が多いでしょう。
しかし白6となってみるとどうでしょうか?
白は△の石にすぐ繋がりそうなのに対して、黒は完全に孤立してしまっています。
下辺は白の石数の多い所なので、戦うと不利になってしまうのです。





という事で黒1のボウシで小さく捨て、黒3の詰めに回って白△の攻めを狙いました。
右辺は黒の石数が多い場所、戦いは黒有利になります。
不利な戦いより有利な戦いの方が良いのは当然ですね。
碁盤全体を見ていればこその発想でした。

これで終わっても良いのですが、いつもと違いすぎる分量に何か落ち着かない・・・
という事でおまけを付けてみます。



小林九段が決め手を放ち、黒△で終局しました。
しかしこの終局図と結果だけ見て素通りしてしまっては勿体無いのです。
なぜここで白が投了したのでしょうか?
白の大石と上部の黒4子の攻め合いですが、白が逃げたら手数が伸びそうにも見えますね。
どうなっているのか、考えてみてください。
幽玄の間には検討機能も付いていますから、長手数が読めない方は石を置いて考えてみるのも良いでしょう。





白1の逃げ出しには黒2、4とシチョウのように追いかけます。
黒△を逃げ出さないのがポイントです。
「ぐるぐる回し」という手筋がありますが、系統としては同じものです。





黒6となってダメの数は3対2、黒の勝ちをお確かめください。





黒1に白2と来れば、黒3と切ってシボる手筋を使います。
やはり黒△を繋いではいけません。





黒4までとなって白のダメは2つ、やはり黒の攻め合い勝ちとなりました。


結局おまけの方が長くなりました
プロの対局の終局図は問題の宝庫です。
ぜひ上達や楽しみのためにご活用ください。