白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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チャンス

2016年09月19日 21時31分29秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
今回のテーマはチャンスです。
1局の中では、大きなポイントを挙げるチャンスが何度かやって来ます。
特に置碁ではそれが顕著です。
置碁で黒を持つとひたすら守って勝とうとする方が多いですが、良い作戦とは言えません。
しっかり守るのは良いのですが、どこかで大きなポイントを挙げなければ上手に勝つのは難しいでしょう。



5子局の黒番です。
ここがまさにチャンスなのですが、どう打ちますか?





実戦は黒1と上下を繋がりました。
安全な手ですが、この局面ではチャンスを逃しています。
白2と守られ、天元の石がぼやけてきました。





石の強弱を確認しておく事がヒントになります。
左下の黒△は非常に強い石で、白にこのぐらい取り囲まれても死にません。
この石に気を使って打つ必要が無い事が分かります。





正解は黒1の打ち込み、左右を分断する強烈な一撃です。
周囲は真っ黒ですから、ここは攻めでポイントを挙げるチャンスです。





白1なら黒2で白△が弱くなります。
白3、5には黒4、8と繋がっておいて黒は万全です。
白5子は未だに弱い石ですし、白△は自然消滅となる可能性大です。





白1なら黒2です。
左側の黒が強くなったので、今度は安心して黒4、6と攻める事ができます。
自然に外側に黒石が増えていき、後に黒Cに回れば大模様が完成します。
なお白Aの切りには黒Bから捨てて問題ありません。
左上の白が生きているので、黒△はかなり価値の低い石なのです。





白1はサバキの常套手段で、曲者です。
しかし周囲が真っ黒なので遠慮する必要はありません。





黒1とハネ出し、黒9まで連絡する事ができます(白Aには黒B)。
根拠を奪われた白は逃げ惑う羽目になるでしょう。
黒はさらにポイントを挙げていく事ができます。


こういったチャンスを逃さず打てるようになると、勝率はぐんと上がります。
もし1回もチャンスが来なかったら?
・・・それは手合い違いなので、置石を増やしましょう