皆様こんばんは。
東日本大震災から6年が経ちましたね。
当時多くの命が失われましたし、現在も心や体の傷が残っている方も大勢いらっしゃるでしょう。
棋士には直接人助けをするような力はありませんが、間接的にならお役に立てるのではないかと思っています。
何と言っても囲碁は素晴らしいゲームですから、囲碁を通じて多くの方に楽しい気持ちになって頂きたいですね。
さて、本日はMasterと羋昱廷九段の対局をご紹介します。
羋九段はワールド碁チャンピオンシップの中国代表です。
名前の読みは、日本棋院ではミ・イクテイと表記する事になりました。
これは日本語での読みですね。
漢字圏の棋士の名前をどう表記するかは難しい問題です。
日本人はアルファベットやカタカナだと名前を覚えにくいので、まず漢字を日本語として読もうとします。
ですから外国人の日本棋士は、日本語読みで名乗っている事が多いですね。
趙治勲(ちょうちくん)、林海峯(りんかいほう)、王立誠(おうりっせい)等々・・・
少年時代に日本に来て付いた呼び名が、そのまま日本での名前となるのでしょう。
逆に母国語に近い読みで名乗っている方棋士もいますが、名前は覚えられにくい傾向にあります。
張豊猷(ちょうりゆう)、熊丰(ゆうほう)、卞聞愷(びゃんうぉんけい)の3名は、名前を読めない日本棋院棋士トップスリーです(笑)。
顔と名前(漢字)が一致しているのに、読みが分からない方が大勢いらっしゃるようで・・・。
「えーとあの棋士・・・ちょう・・・かいじゅう?」
「ゆー何とか・・・くまみたいな?」
「あの・・・何だろう、下ではないんだけど・・・」
こんな事がよくあります。
心当たりのある方は、この機会に覚えてあげてください(笑)。
などと言いつつ、我々日本人棋士も、海外の棋士に対しては同じ問題が起こります。
さて、大幅に脱線しましたが、そろそろ対局紹介に入りましょう。

1図(実戦)
羋九段の黒番です。
ここまで前例の無さそうな布石ですが、驚くほどでもありません。
問題は左上です。
黒11までは大ナダレ定石の変化の一つです。
次に白はAと3子を助けて行くか、Bと中の1子から動くかの2択です。

2図(実戦)
白1の伸びが正着とされています。
白9までが基本定石で、白は3子を捨てて外側に勢力を築きます。
何十年も前によく打たれましたが、プロの間ではやや白有利という評価になり、あまり見なくなりました。
しかし、後に黒6でAと飛び出す手が開発され、その型は一時期大流行しました。
(大)ナダレ定石は、新手が開発される度に流行と衰退を繰り返しています。
さて、白番のMasterはこの図を目指しませんでした。
黒Aの手を避けたのかもしれませんし、或いはこの図でも白が良くないと見たかもしれません。
白の勢力は上辺に向いていますが、黒△と頭が出ているので大きな白模様を作る事ができないからです。

3図(実戦)
実戦は白2でしたが、これは良くないとされています。
白△が痛んだしまうからです。
しかし、ここで何と白4!
この手がMasterの新手とは言い切れませんが、私は見た事がありません。
石の形で考えると、この手は気付き難いのです。
この手の意味ですが、単純に言えば白Aを先手で打つための手続きです。
逆に黒Aと伸びられてしまうと上辺の白3子が窮屈になるので、譲れない地点なのです。

4図(実戦)
白1には黒2の一手なので、白3がAを見て先手になります。
それから白5、7、9と3本這って白11も利かし、先手を取って13の大場へ先行しました。
後に白Bとさらに這いを打っています。
この結果の評価ですが、白は隅を取ったものの、2線をずらずら這っては良くないと感じる棋士が多いのではないでしょうか。
しかし、Masterは白がやれると判断しているのです。
それが全局的な配置によるものなのか、黒の形が人間が感じるほど良くはないのか・・・。
恐らく両方なのでしょうね。
ところで、この碁は最終的には白半目勝ちとなります。
最小差ではありますが、接戦と言って良いものかどうか?

5図(実戦)
白1を見た私は思いました。
「いや、サービスし過ぎでしょ
」
所謂半コウを繋いだ手ですが、これは1目より小さい手です。
現状は2目の手が残っていますから、計算上は1目以上損をした事になります。
最後の方も1目損をしており、正しく打てば2目半は勝てた碁が半目勝ちになりました。
ヨセはあまり調べていませんが、この調子だともっと前でも損しているかもしれません。
Masterにとっては勝ち負けが全てとはいえ、紛らわしくて困ったものです。
東日本大震災から6年が経ちましたね。
当時多くの命が失われましたし、現在も心や体の傷が残っている方も大勢いらっしゃるでしょう。
棋士には直接人助けをするような力はありませんが、間接的にならお役に立てるのではないかと思っています。
何と言っても囲碁は素晴らしいゲームですから、囲碁を通じて多くの方に楽しい気持ちになって頂きたいですね。
さて、本日はMasterと羋昱廷九段の対局をご紹介します。
羋九段はワールド碁チャンピオンシップの中国代表です。
名前の読みは、日本棋院ではミ・イクテイと表記する事になりました。
これは日本語での読みですね。
漢字圏の棋士の名前をどう表記するかは難しい問題です。
日本人はアルファベットやカタカナだと名前を覚えにくいので、まず漢字を日本語として読もうとします。
ですから外国人の日本棋士は、日本語読みで名乗っている事が多いですね。
趙治勲(ちょうちくん)、林海峯(りんかいほう)、王立誠(おうりっせい)等々・・・
少年時代に日本に来て付いた呼び名が、そのまま日本での名前となるのでしょう。
逆に母国語に近い読みで名乗っている方棋士もいますが、名前は覚えられにくい傾向にあります。
張豊猷(ちょうりゆう)、熊丰(ゆうほう)、卞聞愷(びゃんうぉんけい)の3名は、名前を読めない日本棋院棋士トップスリーです(笑)。
顔と名前(漢字)が一致しているのに、読みが分からない方が大勢いらっしゃるようで・・・。
「えーとあの棋士・・・ちょう・・・かいじゅう?」
「ゆー何とか・・・くまみたいな?」
「あの・・・何だろう、下ではないんだけど・・・」
こんな事がよくあります。
心当たりのある方は、この機会に覚えてあげてください(笑)。
などと言いつつ、我々日本人棋士も、海外の棋士に対しては同じ問題が起こります。

さて、大幅に脱線しましたが、そろそろ対局紹介に入りましょう。

1図(実戦)
羋九段の黒番です。
ここまで前例の無さそうな布石ですが、驚くほどでもありません。
問題は左上です。
黒11までは大ナダレ定石の変化の一つです。
次に白はAと3子を助けて行くか、Bと中の1子から動くかの2択です。

2図(実戦)
白1の伸びが正着とされています。
白9までが基本定石で、白は3子を捨てて外側に勢力を築きます。
何十年も前によく打たれましたが、プロの間ではやや白有利という評価になり、あまり見なくなりました。
しかし、後に黒6でAと飛び出す手が開発され、その型は一時期大流行しました。
(大)ナダレ定石は、新手が開発される度に流行と衰退を繰り返しています。
さて、白番のMasterはこの図を目指しませんでした。
黒Aの手を避けたのかもしれませんし、或いはこの図でも白が良くないと見たかもしれません。
白の勢力は上辺に向いていますが、黒△と頭が出ているので大きな白模様を作る事ができないからです。

3図(実戦)
実戦は白2でしたが、これは良くないとされています。
白△が痛んだしまうからです。
しかし、ここで何と白4!

この手がMasterの新手とは言い切れませんが、私は見た事がありません。
石の形で考えると、この手は気付き難いのです。
この手の意味ですが、単純に言えば白Aを先手で打つための手続きです。
逆に黒Aと伸びられてしまうと上辺の白3子が窮屈になるので、譲れない地点なのです。

4図(実戦)
白1には黒2の一手なので、白3がAを見て先手になります。
それから白5、7、9と3本這って白11も利かし、先手を取って13の大場へ先行しました。
後に白Bとさらに這いを打っています。
この結果の評価ですが、白は隅を取ったものの、2線をずらずら這っては良くないと感じる棋士が多いのではないでしょうか。
しかし、Masterは白がやれると判断しているのです。
それが全局的な配置によるものなのか、黒の形が人間が感じるほど良くはないのか・・・。
恐らく両方なのでしょうね。

ところで、この碁は最終的には白半目勝ちとなります。
最小差ではありますが、接戦と言って良いものかどうか?

5図(実戦)
白1を見た私は思いました。
「いや、サービスし過ぎでしょ

所謂半コウを繋いだ手ですが、これは1目より小さい手です。
現状は2目の手が残っていますから、計算上は1目以上損をした事になります。
最後の方も1目損をしており、正しく打てば2目半は勝てた碁が半目勝ちになりました。
ヨセはあまり調べていませんが、この調子だともっと前でも損しているかもしれません。
Masterにとっては勝ち負けが全てとはいえ、紛らわしくて困ったものです。
