白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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Master対棋士 第30局

2017年03月13日 23時59分59秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
本日はMasterと唐韋星九段(中国)の対局をご紹介します。
唐九段は25歳、世界戦で数回の優勝経験がある棋士です。



1図(テーマ図)
唐九段の黒番です。
この碁で印象的だったのは、何と言ってもこの場面です。
6手もかけてがっちり守った黒に対して、白△とぶつけました!

これは一種のモタレ攻めです。
この黒に受けて貰っている間に、下辺黒を攻めるための態勢を整えようというのです。
打たれてみれば意味は分かりますが、なかなかここには目が行きません。





2図(変化図)
黒1と受ければ、白2の切りが上手い手筋です。
黒AとB、どちらで受けるのか聞いています。





3図(変化図)
黒1なら白2でしょうか。
黒3の一手ですが、白4の繋ぎが先手になります。
白は良い形で黒を分断できました。





4図(変化図)
黒1に対して白2と厳しく打つ手も考えられます。
もし黒3などと打つと白8まで、AとBが見合いで黒ハマリです。
尤も、実際には黒3で4にツケるのが良い手で、あまり上手く行かないかもしれません。
白としては前図で満足するぐらいでしょうね。





5図(変化図)
黒1は3図白4、4図白8の利きを無くす受け方ですが、今度は白2から4が先手になります。
すると隅が生き形(黒Aには白B)になりますから、強気に白6と攻める事ができます。

なお、実戦はテーマ図のツケに反発して、思わぬ変化になりました。
受けるのでは不満と見たのでしょう。
しかし、結果は明らかに白が得な分かれになり、早くも形勢が傾いてしまいました。