白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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電聖戦感想その2

2017年03月27日 23時33分59秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は電聖戦第2局、一力遼七段と絶芸(FineArt)の対局で印象的だった一手をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
絶芸の黒番です。
変わった向きですが、黒△3手による構えはミニ中国の変形で、よく打たれています。
さて、白△と打たれた場面、黒は白Aの切りへの対策が必要ですが・・・。





2図(参考図)
素直に黒1と繋ぐのは基本的な形で、本手と言えます。
この布石での弱点は将来白2の飛び込みが残る事で、黒5までとへこまされる可能性が高いです。
この配置だと黒やや不満と見るプロが多いですが、黒△がAにある時はよく打たれます。





3図(参考図)
黒1と押さえる手もあり、黒△に石がある時はこう打ちたくなります。
白2と切って来ても、取ってしまおうという事です。
ただし非常に味が悪く、何らかの犠牲が必要になるかもしれません。





4図(実戦)
実戦はどちらでもない、黒1!
2図白2と3図白2を両方防いだ意味ですが、いかにも中途半端な印象を受けます。
白Aのノゾキを利かされるかもしれませんし、隅もまだBの所が空いているからです。
こういう中途半端な手は、殆どのプロの感性にありません。
もしプロを目指す子供が最初にこういう手が浮かぶようだと、才能が無いと判断されるでしょう。

Master対棋士第32局の3図と同じ雰囲気です。
違和感は本図の方がずっと強いですね・・・。
私はあちらを真似する事はあっても、本図を真似する事は無いでしょう。
既に絶芸自身がネット上で打っていたので、初見ではありませんでしたが、改めて驚いてしまいますね。