白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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名人戦第4局結果

2017年10月03日 21時49分15秒 | 囲碁界ニュース等
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さて、本日は名人戦第4局2日目が行われました。
注目の封じ手は・・・。
















1図(封じ手)
黒△の並びでした!
これで予想は4連敗です・・・。

黒AとBのどちらを予想しようか迷っていたのですが、この手はほぼノーマークでしたね。
もし白Cにでも石があるならこの一手ですが、実戦では放っておいても切れる心配はありません。
そこをわざわざタケフにつながった手のように見えるので、まさか打つとは思いませんでした。





2図(実戦)
しかし、白1、3を誘って黒4と切ったのが、高尾名人渾身の勝負手でした!
上下の黒が弱くてジリ貧になりそうな状況でしたが、開き直って反撃、白△を取るぞと脅しをかけました。
非常にリスクの高い打ち方ですが、乱戦に持ち込めんで勝機を掴もうというのです。

黒はどうやって打開を目指すのかと思っていましたが、流石ですね。
この作戦は井山挑戦者も予想していなかったそうです。
私が予想できなくても仕方ありませんね!
・・・と言い訳しておきます。





3図(実戦)
白△と伸びた場面、この周辺でお互いの石は少なくとも4つずつに切れています。
8つの石はどれも生きておらず、大変な乱戦です。
お互いに一手間違えたら即潰れる可能性もある、危険な状況になりました。





4図(実戦)
黒△と曲げたところです。
ここから白が物凄い妙手を放ちました!
にわかには信じられないような手で、神の一手かと思いました。
何故こんな手が思い付くのでしょうか・・・。

まだ棋譜をご覧になっていない方もいらっしゃるでしょうから、ここではその手を示しません。
ぜひ幽玄の間などで手順を追って頂き、私と同じ驚きを味わって頂きたいと思います。


碁の方は高尾名人の頑張りで接戦になったと思いますが、井山挑戦者が最後まで隙を見せずに押し切った印象です。
これで名人奪取、七冠制覇まであと1勝ですね。
しかし、高尾名人には何とか踏ん張って頂いて、第7局まで行って欲しいですね。

封じ手を当てるのに、あと1局では自信がありませんし・・・。