白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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世界一への挑戦

2017年10月15日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
おかげ杯は日本チーム残念でしたね。
一方的に押しまくられているようには見えませんが、やはり決定力の差でしょうか。
また、初戦韓国に完封負けを喫した中国が、決勝では4勝1敗と言うのも不思議な結果でした。
勝負は蓋を開けてみなければ分からないと言いますが、本当ですね。

さて、昨日は見損じしていましたが、おかげ杯と並行して利民杯も行われていました。
そして、本日は大西竜平三段が柯潔九段に挑戦するという大注目の1局が実現!
何故世界一の柯潔九段が若手棋戦に出ているのかと思ってしまいますが、まだ20歳とは・・・。



1図(実戦)
柯潔九段の黒番です。
いきなりの三々入りは、柯潔九段にとっては平常運転です。
これがもしAlphaGoの登場前だったら、新鋭棋士に余裕を見せ付けた一着とでも言われるでしょうね。





2図(実戦)
黒△と打ち込まれた場面です。
黒×が弱い石なので、白×は要石です。
当然助け出して戦いたくなりますが・・・。





3図(実戦)
白1、3とあっさり白×を捨て、白5に転戦!
左辺黒への攻めを放棄して勿体無いように感じますが、大西三段らしい柔軟さですね。
他の有望視されている若手と比べても、異質な打ち筋と感じます。
プロレベルでも多種多様な打ち方が成立することは囲碁の魅力の1つですね。

現在の若手は、格上に対しても全く物怖じしません。
大西三段も柯潔九段に対して、自分流を貫いて戦ったと思います。
私のレベルでは形勢判断が困難な碁でしたが、善戦したという評判が聞こえて来ます。
最後は世界一の壁に阻まれましたが、大西三段には最高の経験になったことでしょう。