白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AlphaGo自己対戦 第5局

2017年10月04日 22時42分40秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日はAlphaGo自己対戦棋譜をご紹介します。



1図(実戦)
黒1の打ち込みに直接応じず、白2、4と下辺に展開しました。
さらに、黒5に対して手抜きで白6に回っています。
既に意味が分からないという方も多いでしょうが、ここまでは理屈で説明できます。

黒1と打ち込まれた所は黒石が多いので、戦うと白不利です。
そこで白△は軽く見て逃げず、黒△を攻めようとしました。

しかし、ここからAlphaGoが本領発揮(?)します。
黒7、白8の後・・・。





2図(実戦)
黒1の様子見を放ちました。
白AかBと応じて貰って、その手によって上辺白への攻め方を変えようということでしょう。
しかし、白は受けるのは損と見て、手抜きで白2に回りました。

この応酬、対局者が別々ならさほど違和感はありません。
黒は左上が大きいと主張し、白は上辺先着の方が大きいと主張したということで、単にお互いの価値観が違ったと理解できます。
ですが、実際には価値観が全く同じである2人が打っていますからね・・・。

つまり、この進行には必然性があるということでしょうか。
確かに、理屈で説明を付けられなくはありませんが・・・。
それにしても、人間の碁では考えられないような進行です。





3図(実戦)
白が手抜きしたので、当然黒1と切って行きました。
そして、白4の後は当然黒Aと白を分断・・・しませんでした。
明後日の方に黒5と転戦しています。

白4までを交換するだけで得という判断なのでしょうが、それはそれとしてついでに黒A以下を利かしたくなるのが人情というものです。
しかし、AlphaGoには人情は通用しません。





4図(実戦)
黒が打たないので小さいと判断しているのかと思いきや、白は1と手入れしました。
繰り返しになりますが、黒と白の価値観は全く同じです。
にもかかわらず、この進行・・・。

棋士の碁には流れというものがあります。
基本的には流れに沿って進行しますし、それが途中で途切れたとしても、また新たな流れが生まれるのです。
しかし、黒△からの進行には、まるで流れを感じることができません。
一手一手、行き当たりばったりに打っているかのようです。

AlphaGoの自己対戦棋譜には、このような進行が頻繁に現れます。
まるで別のゲームを見ているかのような気分になりますね。