白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AlphaGo自己対戦 第7局

2017年10月09日 20時41分37秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日もAlphaGo自己対戦棋譜をご紹介します。

ところで、昨日アンティ トルマネン初段と話しましたが、アンティ初段が書いたAlphaGo解説本(英語)は世界で人気のようです。
Masterとしての60局、自己対戦の50局など、公開された対局を全て収録しているとか。
グローバルに活躍できる人材は貴重ですね。

さて、それでは本題に移りましょう。



1図(テーマ図)
黒△と左右を裂き、白×を狙った場面です。
普通の棋士なら次は白Aと逃げるか、白Bとゆとりを持たせるかといった手がパッと思い浮ぶでしょう。
白Cとツケて捌くという人もいるかもしれません。





2図(実戦)
ところが、実戦は白1とツケ、黒の大ゲイマを切りに行きました!
確かに、攻められている時に相手の弱点に目を付けるのは大切なことです。
しかし、そうは言ってもこのツケは図々しく映ります。

ツケれば黒6までの形ができることは容易に想定できます。
黒6の後は黒Aあたりで白2子を取る手、黒Bから白1子を取る手が見えるので、白が無理に見えます。
ですから、多くの棋士は白1のような手を無意識のうちに却下しています。
しかし、AlphaGoはこういった一見無理な手を敢行することが非常に多いですね。





3図(実戦)
白1、3と動きました。
次に黒Aで白2子を取られますが、白Bから下辺で治まる作戦でしょう。
中央の黒が厚くなりますが、厚みはあまり働かない碁であることを見越しています。
白は捨て石で捌く作戦だったのです。





4図(実戦)
黒も白の意図に反発し、黒1以下下辺を打ちました。
ならばと白は8の逃げ出しを敢行、訳の分からない戦いへと発展して行きます。

これでもし黒が良いとすれば、白の打ち方が無理だったことになるでしょう。
逆に白が良いとすれば、本図黒1以下が無理だったということになりそうです。
いずれにしても納得はいきますね。

しかし、AlphaGo同士の対局ということを考えると、この進行はほぼ互角と見るべきでしょう。
これが自然な進行ということになりますが・・・。
うーん、ちょっとついて行けない感じですね。