白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

AlphaGo Lee対Zero 第12局

2018年01月02日 21時50分36秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
普段の私が陸上競技を見る機会は少ないですが、箱根駅伝だけは気になります。
今年は母校の中央大学が戻ってきましたからね。
往路はシード圏内の10位とまずまずのスタート、復路も頑張って欲しいです。

さて、本日はAlphaGoLee対Zeroシリーズです。
一昨年、昨年のAI旋風は凄まじいものがありましたが、今年はどうなるでしょうか?



1図(テーマ図)
白△間の隙間を、黒1と裂いていきました!
なるほど、ここがこの碁の焦点ということですか。





2図(実戦)
白13までと進みました。
この後は黒Aと伸びきり、左辺一帯の白に狙いを付けるか?
それとも、黒Bと取ってつながっておくか?
あるいは、黒Cと丸飲みを狙う手があるのか?

石の流れからすれば、そんなことを考えれば自然でしょう。
ところが、実戦は・・・。





3図(実戦)
実戦はここで黒1と、あらぬ方向に向かいました!
この手自体はお互いの根拠の要点ではあります。
ですが、何故今なのでしょうか?
白2と打たれて黒△が包囲される形になっては、直前までやってきたことは何だったのかと思ってしまいます。

この後は黒Aと捌きに出ました。
それでやれるという判断があるのでしょうが、どうにも理屈で説明し難い打ち回しです。





4図(変化図)
右下が大きいと判断したなら、テーマ図の時点で本図のように打つのが普通の棋士の感覚でしょう。
黒Aが残っていて、実戦よりも左上黒に余裕があるように見えます。

ただ、人間より大分強いZeroが実戦を選んでいるわけで・・・。
AIの碁を理解することの難しさを感じますね。
理屈を付けるだけで難しいのに、実戦に取り入れようとなるとさらに難しくなるでしょう。

付け焼刃でAIの碁を真似しようとすると痛い目に遭いそうです。
棋士としてはAIの打ち方と関わっていかざるを得ない時代ですが、上手く情報を取捨選択したいものですね。