白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

中手とセキ

2018年01月15日 23時37分11秒 | 問題集
皆様こんばんは。
昨日は久しぶりにブログをお休みしました。
今年も無理なく続けていきたいと思います。

さて、本日は中手とセキについてのお話しです。
中手は石を取るためのテクニックの1つですが、直感で分かり難いところがあります。
打って返し追い落としなどは、石をすぐ取れるので分かりやすいですが・・・。
高段者でも実戦だとうっかりことがありますし、それ以上の人でさえ・・・。



1図(テーマ図)
Aの所のコウを争っている場面です。
黒優勢なので黒地に手を入れておけば良いのですが、何故か黒1と打ってしまいました。
残り時間が無い状況で、パニックを起こしたのでしょうか?
白4と切られておかしなことに・・・。





2図(実戦)
形勢は既に逆転していますが、黒1、3の受け方が最悪。
この後・・・。





3図(実戦)
黒6までと絞られました(白3は6の所)。
そして、白7に打たれたところで投了です。
左上黒がセキになり、地が足りなくなった・・・というわけではありません。





4図(投了後1)
左上黒のダメが全部詰まった姿です。
黒から白を取りにいくわけにはいきませんが、白は1と内ダメを詰めていき・・・。





5図(投了後2)
黒1と取ったところで真ん中に白2と置いて、花六の死形です。
この後白×のダメを詰めていった形を想像すれば、黒の死にがご確認頂けるでしょう。


5目中手までは実戦にも頻繁に現れますが、6目中手は極めて稀です。
ましてや実際に死んでしまうことなど滅多にあるものではなく、この碁は強烈に印象に残っています。
これが半年後にプロ入りを決めた人間のやることなのですから、恐ろしいものです。