若返りのキーポイントは「音」と「光」にあった!【老化が止まる食事術】
花人日和 より 231217
現代人を蝕むさまざまな病気と「老化」は紙一重で、老化の進行は病気の進行にも密接に関与しています。
「細胞環境デザイン学」を独自に提唱する、杏林予防医学研究所の山田豊文所長は、白髪が増えたりシミが目立つようになるのは「許せる老化」であり、骨粗鬆症や認知症、がんなどは「許せない老化」であると言います。
しかし、「許せない老化」を治す力が「細胞」の中にはあり、細胞の環境を整えるための大きな柱が「食事」とのこと。毎日の食事や習慣の選択が、わたしたちを老けさせもし、若返らせもするのです。
今回は、山田豊文さん監修の『老化が止まる食事術』より、食事と同様、若々しく暮らすために必要な「環境づくり」についてご紹介します。
監修/山田豊文
⚫︎音と光の環境づくりで、心と体がもっと若返る!
私たちが健康でいきいきと、いつまでも若々しく暮らすためには“食事に気をつける”だけでは不完全です。
細胞の環境をよくしていくために、「栄養」は絶対不可欠な要素ですが、それ以外にも細胞が喜ぶことがあります。その代表例が「音」と「光」の環境づくりです。
私たちは、音や光が完全にない世界で生きていくことはできません。環境中に何らかの音や光があることを前提に全身の細胞が機能しているからです。
そして、必須栄養素と同じように、環境中から必ず得なければならない「必須音」や「必須光」があります。日光浴は体によい、音楽は心を癒やしてくれるなど、音や光の健康効果はすでに知られていますが、それだけではありません。
何より大事だったのは、「聞こえない音」、そして「見えない光」だったのです。
聞こえない音とは、超高周波音のこと。人の耳で感知するには高過ぎて、音として認識できませんが、耳で聞こえていなくても体が感知し、心身にさまざまな好影響を与えています。
見えない光の代表は、日光に含まれる紫外線と青色光です。日本ではとくに紫外線を敵視する傾向がみられますが、適量の紫外線はビタミンDを合成して骨を強くしたり、免疫力アップにも欠かせません。ほかにも、血管の拡張や血流の促進、性ホルモン分泌など実にさまざまな効果があるのです。さらに青色光には、体内時計をリセットしたり、多くの生物でDNAのダメージを修復したりする力があります。
音と光。この2つの重要性を知り、向き合い方を変えれば、あなたの心と体はもっともっと若返ります!
⚫︎自然の音は、聞こえない音であふれている
聞こえない音について参考になるのが、2020年に行われた実験です。
同じ音楽で、聞こえない超高周波音を含むものと含まないものを聞き比べてもらい、脳の反応を調べると、イヤホンだけで聞いた場合にはどちらの音楽にも脳は反応しなかったのですが、イヤホンから可聴音(耳で聞こえる音)を再生して、スピーカーから超高周波音のみを再生した場合は、被験者の脳が反応したのです。
これは、耳には聞こえない超高周波音を体が聞いていたことになります。この聞こえない音というのは、一見特別で普段の生活にはないと思うかもしれませんが、実は身近なところにもたくさんあります。
私たちは、聞こえる音だけではなく聞こえない音も日々の生活に必要としていますが、現代人はその機会を逃しているのです。たとえば、森のなか、楽器の生演奏、レコードで聞く音楽などには、聞こえない音が含まれています。こういった音をとり入れることは、脳の活性化やストレスの軽減に役立ってくれます。聞こえない音を生活に補充しましょう。
川のせせらぎ、鳥や虫の鳴き声、草木のざわめきから超高周波音が豊富に出ている。森林浴がおすすめ
⚫︎人間の体は太陽の光と連動。朝の時間を活用しよう !
日光というと、とくに女性は紫外線を気にして、できるだけ日の光を浴びないように日傘や帽子で完全防備している人も多いでしょう。
ですが、過度に太陽を避けるのも問題。体のリズムが狂う原因になってしまいます。私たちの体には体内時計が備わっており、睡眠や目覚め、食事のタイミング、体温の変化、ホルモン分泌といったあらゆる生命活動のリズムの基礎となっています。
この体内リズムをつかさどっているのが、日光です。とくに、早朝(夜明前)の朝日には、全身の細胞を目覚めさせて、活動のために必要なスイッチを入れる働きがあります。また、作業効率も朝と夜では大きく異なるもの。
深夜に無理をするよりも、よく寝て朝早く起きたほうが効果的。早起きの習慣を身につけるだけで、細胞が元気になり、一日を快活に過ごせます。
早起きの習慣は、最初は慣れないかもしれませんが、続けていくと「いつもより仕事に集中できた」「変な食欲がわかない」「夜の寝つきがよくなった」など、いい結果を体感できるはずです。
⚫︎早朝のウォーキングが、見えない光を浴びるチャンス !
早起き習慣を定着させる方法として、ぜひおすすめしたいのが早朝ウォーキングです。
歩くことは人間の基本的な運動の一つ。背筋を伸ばし、前を見て、腕をしっかり振って歩けば、全身がくまなく刺激されます。
骨を強くする、血圧を正常に保つ、内臓のマッサージ、血流や筋力のアップなど、単純な運動なのにこれだけの健康効果が詰まっていますし、早起きをして朝日を浴びるだけで体重をコントロールすることができるという研究結果もあるほどです。
早朝ウォーキングのポイントは、早歩きすること。細胞のなかにある小器官で、エネルギー物質のATPを合成するミトコンドリアは、ちょっときつめの運動をしたときに活性化したり数が増えたりするといわれています。少し息は上がるけれど、人と会話ができる程度が目安。1日に数分行うだけでもOK。
まずは1週間に合計1時間の早歩きを目指してみましょう。早朝の朝日を浴びながらの運動は、まさに老けないための習慣です。
理想は3〜4時の夜明け前後の光で、朝起きたら10分外に出て光を浴びましょう
紫外線は本来、人間の体にとって必要不可欠なもの。食事から摂取したビタミンDは、皮膚で紫外線を受けることで活性型に変化し、骨の細胞を活性化したり、カルシウムの血中濃度をコントロールしたりするなどの役割を果たすのです。
とはいえ、シミやシワなどが気になるところ。その点でも、早朝の日光には紫外線が少ないうえに、紫外線は少量を浴びるだけで十分。これも、朝型生活の大きなメリットなのです。
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📗老化が止まる食事術 監修/山田豊文
宝島社 891円
山田豊文(やまだ・とよふみ)
杏林予防医学研究所所長。日本幼児いきいき育成協会(JALNI)会長。
あらゆる方面から細胞の環境を整えれば、誰でも健康に生きていけるという「細胞環境デザイン学」を提唱し、本来あるべき予防医学と治療医学の啓蒙や指導を行う。2013年6月に「杏林アカデミー」を開校。自ら講師を務める講座を通じて、細胞環境デザイン学を日本に広めていくための人材育成に力を注いでいる。2018年にはJALNIを始動、2022年に現法人名に変更。子どもの健全な育成を目的としたさまざまな活動を全国各地で展開している。おもな著書に『細胞から元気になる食事』(新潮社)、『病気がイヤなら「油」を変えなさい!』(河出書房新社)など。