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イーロン・マスクも参戦の「AIに感情は宿るか?」大論争の行方は ロボット支配は当分心配しなくてよい? 202207

2022-07-06 11:25:00 | なるほど  ふぅ〜ん

イーロン・マスクも参戦の「AIに感情は宿るか?」大論争の行方は ロボット支配は当分心配しなくてよい?
  現代ビジネス より 220706   大原 浩


グーグルがいま、本気で開発している「量子コンピュータ」は、世界をどう変えるのか?

⚫︎大きな論争がくり広げられている
 AIは「人工知能」とも呼ばれる。「『知能』であるからには人間と同じように『意識』を持つようになるのであろうか?」という問いかけを、以前から我々は抱いている。

 最近も、日本経済新聞の「『AIに感情は宿るか』 米国で論争、マスク氏も参戦」(6月25日)という記事を見かけた。

【写真】米国・ホワイトハウスが警戒する量子コンピュータの「脅威」

 1968年制作の映画「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督、アーサー・C・クラーク原作)を最初に観た時に度肝を抜かれたことをよく覚えている。その後10回くらいは繰り返し鑑賞したが、何回観ても傑作である。
 ラストシーンの「謎」も色々な論議を呼んでいるが、宇宙船ディスカバリー号に搭載した最新型人工知能「HAL(ハル)9000型コンピュータ」が「意識」を持つ物語展開も当時斬新であった。長く孤独な宇宙探索の良き相棒が「恐ろしい敵」に変貌するのである。

 かなりスリリングなストーリーなのだが、果たしてAIが進化して「意識」を持ち、意図的に人間に危害を加えるということは起こりえるのであろうか。

 SF的な話ではあるが、最近のAIの進化は目覚ましく、コンピュータやロボットに人間が支配される未来がやってくることを真剣に心配する読者もいるだろう。

 ルネ・デカルトが「われ思うゆえにわれあり」と述べて以来、確実に存在すると考えられてきた「意識(自由意志)」が「本当に存在するのか」ということも含めて考えてみたい。

⚫︎人間(生物)は電気仕掛けの人形ではない
 よくある誤解は、人間の脳は電気信号で動いておりコンピュータ(AI)で代替可能だというものである。

 もちろん脳波とは脳から流れ出る電流であり、脳内を電気信号が駆け巡っていることは間違いがない。しかし、そのことと「脳が電気で動いている」ということとは異なる。

 基本的に人間は「化学反応」によって生命を維持している。摂取した食物を消化し、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれるアデノシン3リン酸(ATP)を活用しながら体を動かしているのだ。
 人間の体の内部にある脳も例外では無く、食物のエネルギーで動いているのである。「頭(脳)が疲れたから甘いものが欲しい」という言葉が、日常よく使われることは周知のとおりだ。

 また、神経細胞内の信号は電気的に伝わっていくが、隣の神経細胞に信号を伝える結合部分であるシナプスでは化学物質によって信号が伝わる。
 すべてを電気信号で伝えれば瞬時に情報が伝達されるが、結合部という重要な部分において「化学物質での伝達」というより遅い方法を選択したのは、当然進化上の理由があると考えるべきであろう。

 このように考えると、「コンピュータも脳も電気信号をやり取りする『装置』だからお互いに互換性がある」という考えに対して大きな疑問が生じる。

 よくSFで、人間の脳内の「意識」をすべて電子データに置き換えてコンピュータに転送するという物語がある。しかし、前述のように、脳の情報伝達の重要部分であるシナプスでは「化学物質」によって情報のやり取りが行われているから、「脳内の情報のすべて」を電気信号に置き換えることには無理があるとも思える。

 結局、脳などに流れる電流は、化学反応の「結果」に過ぎないと考えた方が正しいだろう。いくらコンピュータが高度化・複雑化しても、電気仕掛けのコンピュータと人間の脳は本質的な部分で異なっていると考えるべきでは無いだろうか。

⚫︎人間の意識は肉体が滅びれば消滅する?
 また、人間の肉体が死を迎えても意識(精神・心)は滅びないという考え方も、古代から連綿と続く。
 個人的には、このような「魂は不滅だ」という考えに惹かれるし、そうあってほしいと思う。

 だが現実には「健全なる精神は、健全なる肉体に宿る」という言葉が示すように、「肉体と精神は切っても切れない密接な関係」にあるから、肉体が滅びれば精神(意識)も滅びると考えるべきだ。

 最近の研究によって、「脳が指揮官であり、人間の他の体の部分は脳の指令によって中央集権的に統率されている」という考え方が覆されつつある。
 人間の脳と臓器を含む体の各部分は、双方向の情報交換を行っており「お互いに影響を与え合っている」との考えが主流になりつつあるのだ。

 ラジオ、新聞、テレビなどのメディアは、基本的にワンウェイの情報発信である。作り手側が番組を制作し、視聴者は与えられた情報によって動く。
 それに対して、ネットメディアでは読者のコメントなどの反応が番組制作に大きな影響を与える。常に双方向の情報交換が行われていると言ってよい。

 つまり、現在、脳と体の各機関の関係は後者のインターネットのようなものとして捉えられつつあるということだ。したがって、脳だけが「意識」の源ではないということである。

 臓器移植を受けた人が、手術後食事や趣味の好み、生活態度が変わったという話は以前からよく報告されている。「中央集権的な脳」という考えが主流であった時代には「都市伝説」扱いであったが、脳と人間の臓器が頻繁に情報のやり取りを行っていることが明らかになった現在は、真剣に受け止められている。

 人間の「脳」をいくら完璧に模倣しても、それは脳のすべてではないということだ。人間の脳はすべての肉体とワンセットなのである。

⚫︎脳が考える前に体(無意識)が動いている?
 そもそも、意識が「脳」にあるということ自体が科学的に確実なこととして証明されているわけではない。「意識の存在」そのものがいまだに未知の領域である。

 実際、古代エジプトでは、人間の魂(意識)は心臓に宿るとされた。ミイラづくりの際に、臓器を取り出しツボにおさめたが、心臓は「魂(意識)」が宿るもっとも大事な部分として、体内に残して大切にされた。脳は役に立たない器官と考えられ、鼻から引きずり出され処分されていたのだ。

 古代エジプト人は「何もわかっていなかった」と言うのは簡単だが、実は何もわかっていないのは我々現代人なのかもしれない。

 最近世の中の注目を集めているのが、受動意識仮説である。詳しくは、約1時間30分と長い動画ではあるが、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、前野隆司氏の「意識は幻想か?―『私』の謎を解く受動意識仮説」が非常に参考になる。

 ポイントは33分30秒頃からのカリフォルニア大学サンフランシスコ校、ベンジャミン・リベット氏の実験にある。

 我々の直感では不可思議な現象だが、簡単に言えば「脳が手を動かそう」と考える前に「手が先に動いている」ことが実験的に証明されたのだ。
言ってみれば、手を動かすという判断は手が行っており、脳はその「結果報告」を受けて「自分が手を動かす命令を下した」と思いこまされているのだ。

 なぜそのようなことが起こるのか。解明はまだこれからだが、「(脳の)意識」は体の各部分でばらばらに行っていた判断(意識)を統合してエピソード(1つの物語)として記憶するために発達したとする仮説がある。

 よく「無意識」と言う言葉が使われるが、我々は心臓の鼓動の早さをどうしようとか、ボールが顔面に向かって飛んできたときに危ないからよけようとか、いちいち脳で判断したりはしない。無意識に行動を起こしている。脳ではなく体の各部分が判断することを「無意識」というのは間違いで、それこそが実は「意識」の本質なのかもしれない。

 だから、人体の色々な場所で発生する判断=(無)意識を統合・整理するために脳の意識が発達したと考えることはきわめて合理的だ。

 したがって、脳の意識は人体各所の「無意識」と混然一体となっており、分けることができない。もし、脳内の電気信号だけを模倣したコンピュータが、「意識らしきもの」を獲得したとしても、「無意識」と連結していなければ、「人間の意識」とはまったく異なったものであるはずだ。

⚫︎意識の根源は「おなかすいたから何か食べたい」
 AI(コンピュータ)が「意識」を持たないと考えられる理由は、これらが根本的に「動機」を持たないからだ。

 人間以外の生物が意識を持つかどうかについては色々な議論があるだろうが、犬や猫に意識があると考える人は多いだろう。しかし、それではユーグレナ(ミドリムシ)のような単純な生物はどうであろうか?

 多くの人々はそのような単純な生物には意識が存在しないと考えるかもしれない。しかし、すべての生物は「食べ物(エネルギーの素)」を求めて行動する。そして、食べ物を求めるために「学習・記憶」も行うのだ。

 このようなことは「無生物」には見られないが、「食べ物を獲得するために考える」ということが、「意識」の根源ではないだろうか。だとすれば、すべての生物には「意識」があり、人間はそれが複雑に発達しただけとも考えられる。

 さらに、生物が生きていくためには食べ物をエネルギーに変換する腸が必要だ。そして、発生学的に言えば、その腸が進化したものが脳であると言えなくもない。
 したがって、腸を持たない(AI)は、いくら回路が複雑になっても意識を持たないのではないだろうか?

⚫︎量子コンピュータは?
 6月27日公開「株式市場の多数のベンチャーの屍を乗り越えて、ついに『バイオテクノロジーの時代』がやってくるか」、2019年10月25日公開「それでも量子コンピュータが本当に役に立つか疑わしいこれだけの理由」などで述べたように、近未来に量子コンピュータが実用化される可能性は低い。

 だが、前述の無意識も含めた生物の意識には、「量子的振る舞い」が関係している可能性もある。

 生物、無生物を問わずすべての物質は素粒子からできているから、生物が宇宙の普遍的原理である「量子力学」を活用していてもおかしくはない。最近では、光合成の過程で量子的振る舞いが活用されているという説が注目を浴びている。

 そうであれば、量子コンピュータが意識を持ってもおかしくはないのだが、それが意味するのは、「(素粒子でできている)石や川の水などの無生物が意識を持ってもおかしくはない」ということだ。
 もしかしたら、すべてのものに神(精神・意識)が宿ると考えていた古代人が正しかったのかもしれない。

⚫︎唯識で言えば、宇宙と自分の意識は一体である。
 2020年12月4日公開「仮想現実に覆われたこの世界で認識を変えれば覇者になれるのか」、昨年6月26日公開「ビジネスも、投資も、認識を変えれば成功が手に入る…現代に生かす『唯識論』」で「唯識」について述べた。

 真言密教では「自分自身と宇宙は一体である」と考えるが、車いすの理論物理学者として有名なスティーヴン・ホーキング氏も同じようなことを述べている。博士の場合は、宇宙の物質はすべて素粒子でできているのだから自分も宇宙も同じだ、という意味なのかもしれない。

 しかし、いずれにせよ、意識が量子的振る舞いの結果であり宇宙とつながっているのであれば、「AIは意識を持つか」という議論はまったく別の意味を持つことになる。


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