本書は、1976年に刊行された本(ハードカバー)の同名の本を、1989年にFM選書(ソフトカバー)という形で再刊したもの。
最初に刊行されたきっかけは、出版社社長が各界のモーツアルト好きに直談判、提出された原稿を製本化したものなので、各頁とも執筆者の思い入れある内容となっている。
この本のトリ(最後の章)は渡部昇一が担当している。タイトルは「モーツアルトとその時代」。ベートーヴェンとの対比でモーツアルトを論じている箇所は非常に参考となった。
なぜか。
モーツアルトはいろいろ聴きこもうという気にさせるところがあるが、ベートーヴェンは聞き手が真摯な対応を迫られる雰囲気があり、敷居が高い。
とりあえず、三つの問いを設定したい。
・音楽は芸術なのか。
・音楽は娯楽なのか。
・音楽は気分転換効果があるのか。
私個人にとって、モーツアルトは、三つを満たしているが、ベートーヴェンは三つとも満たしているとは言い難い。
田園交響曲、バイオリンのスプリングソナタなどは愛聴しているが、それ以外は、心してCDと対面、正座して聴くことを迫られている気がする。
仕事上、ストレスが多い職場が続いたこともあり、自然にモーツアルト好きになったのではないか。振り返って思うところである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます