閑雲孤鶴の日々  - Fire生活者の呟き -

Fire生活経験談のほか、世相世情 💹📆、知的生産技術💻📱、書評📒について、書き綴ります。⏳

決断力

2012年01月07日 | 書評 娯楽
決断力/羽生善治/角川書店/2005

将棋界のタイトルを総なめにした羽生善治の書いた本である。

内容は基本的に常識的なことが書いてある。

だが、この本の編集者は思い違いをしていると私は思う。確かに将棋番組での羽生の動作が見ていてきりりとしていて、決断力がありそうに見える。
将棋番組の解説では、羽生の強さの源泉を大局観だとしているにもかかわらず、この本は決断力としているからだ。

たぶん、この本は同業者に読まれることを想定して、羽生の大局観の世界をあえて封印したのかもしれない。

以下に、62頁に大局観について書かれた箇所があるので引用させていただく。

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全体を判断する目とは、大局観である。一つの場面で、今はどういう状況で、これから先どうしたらいいのか、そういう状況判断ができる力だ。本質を見抜く力といってもいい。
その思考の基盤になるのが、勘、つまり直感力だ。直感力の元になるのは感性である。
たとえば、数学は緻密なロジックによって構成された論理的な学問であると思われている。だが、数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は、数学は高度に感覚的な学問であるといい、それを「数覚」と名づけている。中学の幾何学で、図形の問題は、まず、補助線が閃かないと解くのが難しいが、将棋も、この補助線のような閃きを得ることができるかどうかが、強さの決め手になる。
将棋にかぎらず、ぎりぎりの勝負で力を発揮できる決め手は、この大局観と感性のバランスだ。

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