なぜ『万葉集』は古代史の真相を封印したのか/関裕二/実業之日本社/2010
中学、高校と国語の授業で万葉集について学んだ経験ある人は、万葉集を古代日本の和歌を集めた書物として、あるいは日本語の成立過程における重大な役割りを果たした書物として扱っているが、関裕二の見立ては異なる。
皇位継承に係わる争い、駆け引き、暴政、謀りごとの視点、それも謀りごとに勝利した視点で、日本書紀は勝者によって書かれた勝者にとって都合良いことばかり書かれた歴史書であるとし、万葉集については敗者の気持ちが反映されているとの視点で分析している。
つまり、著者は、万葉集を歴史書として扱っている。
古事記についての記述はないに等しいが、日本書紀と万葉集を対比させる手法での分析、万葉集について敗者に同情的な歴史書として扱っている点は非常に面白い。
万葉集の見方が変わるきっかけになりそうな一冊と思う。
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