NHK BS「アナザーストーリーズ」で「あしたのジョー」が放送された。
「時代と生きたヒーロー」と題してあの時代、
学生紛争の時代と重ね合わせ、あしたのジョーを読み解いていた。
ジョーは確かに時代のヒーロー、時代と共に生きたヒーローであり、
それだけにその時代が終わると流行遅れになると思われたが、
今もその物語は語り継がれているようだ。
時代と共に生きただけでなく、
時代を超えて今も生きるヒーローなのか?
あの時代には遅れて来た人間なので、
まんが「あしたのジョー」はリアルタイムでは読んでおらず、
あとでコミックスで揃えて読んだ。
有名な真っ白になったラストシーンはだからコミックスで見たと思う。
気がついた時にはジョーのどぎつい生き方はもう流行らない、
と言われ、「きのうのジョー」などと揶揄されていたころだ。
月日は経ち、
「あしたのジョー」は名作として読み継がれているようだ。
それでもジョーの物語は、
あの頃、学生紛争の盛んだった時代と分かちがたく結びついている。
あしたのジョーは60年代から70年代にかけて、
学生闘争に明け暮れていた学生たちのバイブルだった。
よど号ハイジャック犯が
「我々はあしたのジョーであることを確認しよう」
と声明を出した時からジョーはあの時代のシンボルとなった。
高度経済成長から取り残されたドヤ街に流れ着いたジョーは
時代を象徴する宿命があった。
体制を象徴する力石徹を敵と定め、一心不乱に向かっていくジョーに
学生たちは自分の心情を重ね合わせたのだろう。
「アナザーストーリーズ」第二の視点は、
その力石の死の意味を、当時の学生運動の挫折と結び付けていた。
力石の死によって目標を失い、流浪するジョーの姿は、
闘争の理想から遠く離れてしまった学生たちの気持ちを
そのまま表していたのだろう。
学生紛争も挫折によって目標を見失い、
何もかも失ってしまった彼らの心は
ジョーのようにどこへ行けばいいのかとぽっかりと穴が開いたように
魂のあり所を探すように彷徨っていたのかもしれない…。
力石の死はあの時代の必然だったと言えるのだろう。
力石の死は原作者の高森朝雄(梶原一騎)とちばてつやが
相談して決めたことだそうだが、奇しくもあの時代を象徴する、
一つの時代の終わりを告げるフェノメノンであったのだ。
寺山修司が主宰して力石徹の葬儀を執り行ったことも
象徴的な出来事だった。
ひとつの時代の終わり。それが力石の死の意味であった。
時代が終わろうとしていたからこそ、
あのように時代を懐かしむかのように派手に飾り立てたのだ。
けれども時が経ち、「あしたのジョー」の時代から50年。
ちばてつやのそれまでの画風からすれば考えられないほど
血しぶきが飛び交うどぎつい描写の連続であったが、
ジョーの物語は時を超えて今も語り継がれる。
それは物語として優れているからに他ならないからだろう。
時代に殉じた漫画、だと当時は思われたが、
今も読み継がれているということは、
ただ純粋に物語として味わえる部分があったからであろう。
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