仁丹の町名看板とは何か。
(京都の「何か」シリーズ最新版である(-_-;))
京都の町は戦災に遭わなかったので仁丹の町名表示板が残っているのだそうだ。
先の大戦─もちろん応仁の乱のことではない。
第二次大戦で京都は戦火を免れた。
町名看板は戦前には大阪や名古屋、東京など都市部にあったそうだが、
空襲で焼け落ち、残っているのは主に京都のみらしい。
仁丹とはもちろんあの仁丹、
薬?の仁丹のことで森下仁丹株式会社が発売するあの小さい黒い丸薬のこと。
その森下仁丹が広告を兼ね、町の角々に町名表示板を掲げたのが、
仁丹の町名看板だという。
カイゼル髭に大礼服を着込んだ紳士が描かれたその上に、
京都の通り名が書かれている。
今でも京都の町の所々に見ることが出来る。
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京都には京都仁丹學會というのまであり、
仁丹看板を研究していて、書籍まで発行している。
京都仁丹樂會HP
https://jintan.kyo2.jp/
京都を歩けば「仁丹」にあたる 町名看板の迷宮案内
樺山聡
1,980円
そのサイトの説明によれば
「町名の表示がないため、来訪者や郵便配達人が
家を捜すのに苦労しているという当時の人々の悩みに応え、
1910年(明治43年)からは、
大礼服マークの入った町名看板を次々に掲げ始めた。
当初、大阪、東京、京都、名古屋といった都市からスタートした町名看板はやがて、
日本全国津々浦々にまで広がり、今日でも戦災に焼け残った街角では、
昔ながらの仁丹町名看板を見ることができる。
(森下仁丹歴史博物館・森下仁丹広告の歴史より引用)」
ということだ。↓
「仁丹町名表示板」とは
https://jintan.kyo2.jp/e316175.html
自分の家の近所にもいくつか町名看板を見かける。
早速写真に撮ることにした。
不明門通は「不明門」と書いて「あけず」と読む。
あけずどおりと読む。
京都の難読地名のひとつだ。
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「下京区」の読みが右から左へとなっていて、
しかも区が「區」と、旧漢字で書かれている。
まさしく戦前のもののように思われるが、しかしなぜか劣化もあまりなく、
ホーロー製の看板はサビもなくつやつやしている。
保存状態がいいのだろうか。
昔は家の近所にも普通に見かけたが、
今ではかなり減って来て、劣化して読みにくくなったものは外されてしまうようだ。
また、家を建て替える時、
家の壁面に掲げてあった表示板をそのまま撤去するケースもあるようだ。
今では貴重な街角遺産になっているのかもしれない。
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諏訪町通りにあった町名看板は劣化が激しいが、
よく見ると仁丹看板ではなくて、アリナミンの広告だった。
サビがついていてかなり劣化が激しくて書いてある文字も読みにくいほどのものも。
アリナミンだから仁丹看板より新しいように思うが、
仁丹看板はあまり劣化することなくつやつやなのは不思議だ。
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若宮通という通りにいくつかの町名看板があったが仁丹看板ではなかった。
広告の部分が見えないほどかなり劣化が激しい。
仁丹看板のみがつやつやなのが本当に不思議だ…
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古くなって劣化してしまった表示板は撤去され、
その代わり新しい町名表示板が設置されている。
最近よく見かけるライオンズクラブの表示板がそれだ。
恐らくライオンズクラブが出資して表示板を提供しているのだろう。
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今ではこのライオンズクラブ表示板の方が多い。
現在、町のあちこちで見かけるのはこのライオンズクラブのもの。
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仁丹であれライオンズクラブであれ、京都の町に表示板はなくならないようだ。
なぜなら京都の町が碁盤の目になっていて通り名が浸透しているのに比べ、
狭い範囲で細かく分かれている町は沢山ありすぎて浸透しておらず、
名だけでは分かりにくい。
碁盤の目のカドに表示板を置くことで分かりやすくするためだろう。
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東西・南北に真っ直ぐ通っており、はるか向こうまで見通せる京都の道。
町名より通り名の方が一般的なのも、
町が碁盤の目になっていて遠くまで見通せる直線道路ばかりのためだ。
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現在でも残っている仁丹表示板を町歩きの際に探すのもまた楽しいかもしれない。
町歩きの楽しみがまた一つ増えたようだ。
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