参考記事:老子の言葉 第四十八章『行為は思考に勝る』
「老子の人生論」第四十八章
人は、学問を身に付けるほど、利益を生む機会が増えて行くものだ。
でも、真理を身に付ける人は、真理が身に深く浸透して行くほど、あれもこれもという利益の機会を逆に捨てて行き、絞ることが出来ます。
そして真理を深く理解した者は、悪徳な利益は続かないから、そういう機会から更に離れて捨てに捨てて行きます。
その結果は、学問を苦労して身に付けた者よりも、真理の心境を身に付けた者は、莫大な成功を働かないでも得られる立場まで行き着きます。
だから社会を正しく収める者こそは、何かを成し遂げようとしては逆に収まりません。
利益を追求しても、その利益はたかがしれているのです。しかも安定して継続しません。
だから善徳という真理を身に付けた者で無ければ、社会は収まりません。
(感想)
この章を読みましても、老子が軟弱なただの理想主義者では無いことが良く分かります。
恐ろしいほどの様々の競争の現実を見て来た御方であることが分かります。
今の社会では、色々な資格が有るものです。
勉強すればするほど、高給がとれる資格(医師・弁護士など)から、公務員の資格まで、個人で幾つもの資格を持つことが可能です。
でも、その人が中年に成った時に、社会的に裕福に成功しているのでしょうか?
現実は、そうでは無いことが大半です。
勉強だけが得意な冷たい変わり者ならば、たくさんの資格を持っていましても、それを収入に結び付けることは出来ません。
対人的な、話術、交渉力、安心感を他人に与える人柄、他人との協調性。
こういう面も無ければ、勤務も、起業も、出来ないのが社会です。
資格だけで無理に経営者に成っても、継続した収益を上げるのは未知であり、無理なのです。
個人の人生を決めるのは、最後には個人の善徳貯金の有無と、この章で老子は「真理を身に付けること」だと断言しています。
勉強に勉強を重ねた者よりも、真理を身に付けた勉強の出来ないアホのほうが、莫大な成功を社会で収めている可能性を指摘しています。
・「真理を深く理解した者は、悪徳な利益は続かないから、そういう機会から更に離れて捨てに捨てて行きます。」
この部分を読みましてもピンと来ない人が多いかも知れません。
例では、魚屋をしている家の長男の子供が、勉強が非常に良く出来たとします。
有名大学まで行き、様々な就職先も多数有って、選び放題だったとします。
その一方で次男は、勉強がまったく出来ないが、祖父母を大切にして家業もよく手伝い、いつも笑顔でした。
次男は、中卒と同時に「まったく迷いが無く」、家業の魚屋という商売の道に入ります。
自分に出来ない勉強の道はあっさり捨てて、家業1本に猛進した訳です。
さて、この兄弟の50年後の生活はどうなっているのでしょうか?
魚屋が大企業に成っているかも知れません。
兄には、成りたい職業を選ぶことが多数可能でしたが、その50年後は?
こういう事例を読んだ上で、再度、最初の柔訳を読んでください。
老子が言わんとすることが、何となく分かることでしょう。
個人の人生でも、その成功の有無は善徳量と、真理(心の良心の世界の法則)への理解だという視点を参考にしてください。
その上で、社会の上に立つ人は、更にその御方の善徳と真理に沿った生活の有無で、なぜか社会全体が決まって行く不思議を老子は指摘しています。
色々な権力者たちの興亡(こうぼう:栄えることと滅ぶこと)を見た上での結論なのでしょう。
勉強も大切だが、道徳の時間はもっと大切だったという、今の社会の子供たちへのメッセージと言えそうです。
学校の道徳の時間の勉強態度は、その子の50年後の姿を予言することでしょう。
(カレンダーの説明は、「8月の自然観察日」を参照)
* 8月31日から数日間の、大地の気配に注意します。
今も張り詰めつつ有ります。
生かして頂いて 有り難う御座います
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