ドクトール隆の日常日記(秋田県大館市 伊藤内科医院)

日常診療とプライベイトに思う・・・

肝チトクロムP代謝(CYP2C19)遺伝子多型について

2011年11月09日 08時29分38秒 | 診療&トピツクス

肝臓において代謝される薬剤では、その主たる水酸化酵素はCYP2C19あるいは

CYP3A4とされている(実際には他にも多数あるが)。ところが、CYP2C19には遺

伝子多型が存在しており、その代謝分解速度に個体差があることが知られている。

しかるに日本人では迅速分解型(homoEM)が35%、その中間型(heteroEM)が

49%、低分解型(poorM)が16%であるとの研究データが報告されている。低分解

型では迅速分解型の3~4倍血中濃度が上がるとされている。最近特に問題視され

ているPPIの酸抑制効果が迅速分解型では効果が不十分との指摘があり、その効果

改善安定のために新薬ネキシウムが登場してきている。この薬剤はオメプラールの

光学異性体(S体)であるが、そのCYP代謝がオメプラールと異なっており、CYP2C9

代謝が主体であるらしい。結果、比較的即効的で安定した制酸効果が期待できるとし

ている。#S体とは光学異性体の左旋光性を意味している。


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