肝臓において代謝される薬剤では、その主たる水酸化酵素はCYP2C19あるいは
CYP3A4とされている(実際には他にも多数あるが)。ところが、CYP2C19には遺
伝子多型が存在しており、その代謝分解速度に個体差があることが知られている。
しかるに日本人では迅速分解型(homoEM)が35%、その中間型(heteroEM)が
49%、低分解型(poorM)が16%であるとの研究データが報告されている。低分解
型では迅速分解型の3~4倍血中濃度が上がるとされている。最近特に問題視され
ているPPIの酸抑制効果が迅速分解型では効果が不十分との指摘があり、その効果
改善安定のために新薬ネキシウムが登場してきている。この薬剤はオメプラールの
光学異性体(S体)であるが、そのCYP代謝がオメプラールと異なっており、CYP2C9
代謝が主体であるらしい。結果、比較的即効的で安定した制酸効果が期待できるとし
ている。#S体とは光学異性体の左旋光性を意味している。
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