もう、20年くらい前、盛岡で暮らしはじめて最初に覚えた地名が、「前九年」と「厨川」でした。
その頃、ちょうど大河ドラマで「炎立つ」が放映されていました。
前九年という地名の辺りの道路沿いに、空堀がきれいに残っている一帯があって、ここが厨川の柵の跡なんだろうと想像したことを記憶しています。
ただ、この空堀(一ノ倉邸の向い)は、前九年の役のずっとあとの中世のものらしく、ホントの厨川の柵の跡は、ここから1㎞ほど離れた天昌寺というお寺のあるところだったことを後で知ったのでした。
いずれ、この辺り一帯が、前九年の役の最後の舞台であったことには間違いがないと思います。
この前九年の役のことを含め、直木賞作家である高橋克彦さんの「火焔」、「炎立つ」、「天を衝く」の3つの小説は、東北や岩手の歴史を見事に描いています。
そのうちで、私が最も感動したのは、「火焔」であります。
アテルイと坂上田村麻呂の戦いの話ですが、アテルイとその参謀の母礼(モレ)が蝦夷の心を守り抜き、最期を遂げる場面は、何度読んでも泣けてしまいます。
坂上田村麻呂も最後は蝦夷の味方です。