「葛城古道」(かつらぎこどう)は、奈良県と大阪府の県境にそびえる金剛山と葛城山の東側 の山裾に沿って南北に続く奈良県内の古道です。
大和と河内にまたがる金剛山と葛城山の連山は、古代から神々が鎮座する聖なる山です。久しぶりに、数々の神話の舞台となった神々の里を散策しました。
今回は、神々の里「晩秋の葛城古道」を紹介したいと思います。
この山の東裾野一帯は、大和朝廷よりもはるか以前に栄えていた「葛城王朝」の故地であった所です。
ここに古代の道として知られる、「葛城古道」があります。近鉄御所(ごせ)駅の西側、鴨山口神社から風の森峠のあたりまで全長約13kmが、「葛城古道」と呼ばれている散策コースです。
南北に延びる葛木古道一帯は、1600年以上も昔に、大和朝廷を支え興隆した古代豪族の「葛城氏」や、もっと昔には、「鴨氏」の本拠地だったところです。
(散策コース)
高鴨神社ー高天彦神社ー高天原ー橋本院ー一言主神社
この地方の豪族鴨氏の氏神の社が「高鴨神社」です。京都の賀茂上下社もここが本家です。 境内にはうっそうと茂る老杉に囲まれ、時を忘れてしまいそうな静けさです。 重文の本殿は桧皮ぶきの室町時代の建物です。紅葉がとても綺麗でした。
高天彦神社へ向かう途中にあるのが「高天原」です。金剛山中腹に位置し、「橋本院」付近水田地帯一帯の高原台地です。 人里とも街道とも隔離された状況が「高天原伝承地」にふさわしい風情をかもしています。
豪族葛城氏の祖神を祀り、背後の美しい円錐形の山がご神体の「高天彦神社」です。 参道をおおう天をつく老杉は神話の時代をほうふつとさせます。
「高天寺橋本院」は奈良時代に元正天皇の勅により行基が開いたとされます。 鑑真和尚も聖武天皇の任命により高天寺の住職になったほど、格式の高い寺院です。 また修験道の祖と崇められる役の行者のこの寺で修行を積んだと伝えられています。「高天寺橋本院」から見る「高天原」の景色は、神話の時代をほうふつとさせる風景ですね。
葛城の大神、一言主神は願い事をひとことだけ聞いてくれるという「一言主神社神」です。 里の人は「いちごんさん」と呼ぶそうです。 雄略天皇と争った伝説があり、高さ20メートルの大イチョウが黄色く色づいて見事でした。
「葛城古道」は、葛城王朝以来の史跡や農耕文化の営みの跡が、金剛葛城両山麓一帯の扇状地に広がっています。
豊かな自然に触れるとともにダイナミックな眺望を楽しむことができる「葛城古道」は、「山の辺の道」と共に大好きな古道です!