大阪府河内長野市にある「観心寺」は、梅の花がきれいに咲く関西花の寺二十五霊場の1つとして知られています。
今回は、空海が如意輪観世音菩薩を刻んで本尊とした「観心寺」を紹介したいと思います。
大阪・奈良・和歌山の三県の境に位置する「観心寺」は、701年、役行者によって開創されたとされる古刹です。815年、弘法大師空海が真言宗の道場として再建しました。開創当初は「雲心寺」と呼ばれましたが、再建の際、空海が「如意輪観世音菩薩」(七星如意輪観世音菩薩)を刻んで本尊とし、寺号を「観心寺」と改めました。
「観心寺」は歴史的に重要な場所で、京都から高野山へ向かう途中にある中宿として、また楠木正成の菩提寺として、真言宗の道場として、色々な側面のあるお寺です。
木立が繁る境内には、弘法大師の弟子である実恵の墓や、第97代後村上天皇御陵、楠木正成の墓などがあります。
梅、桜、紅葉の名所でもあり、関西花の寺25番霊場に数えられる他、新西国客番霊場、仏塔古寺13番霊場でもあります。
「観心寺」の金堂は南北朝時代の建立で、折衷様建築の代表作といわれています。ご本尊である「如意輪観音像」(国宝)は、日本の密教で最も魅力的な傑作といわれています。
平安初期の弘法大師作のものでである「如意輪観音像」(国宝)は、残念ながら普段は秘仏なので、いつでも拝観できるわけではありません。年に一度の4月17・18日のみに御開帳されます。
境内にある「建掛塔(たてかけとう)」(重文)は、一見、普通の仏堂のように見えますが、三重塔の一重目だけが建てられた未完成の建築だそうです。
伝承によれば楠木正成は、建武の新政の成功を祈願して三重塔の建立を発願しましたが、造営なかばで湊川の戦で討ち死にしたため、建築が中断され、そのままになっているということだそうです。討ち死にした正成の首は当寺に届けられ、首塚に祀られています。
また「観心寺」は、日本で唯一の北斗七星を巡礼する霊場でもあります。境内には7つの星塚があります。
説明によると、厄除け開運を願う霊場で空海がこのお寺に訪れた時、人の力ではどうにもならない災難から衆生を救うため、境内に北斗七星を勧請しました。北斗七星を祭る寺は日本では「観心寺」が唯一だそうです。そして、その中心となるが「如意輪観音像」です。
境内が国の史跡に指定されている寺には、多くの文化財があります。仏像などは寺内の霊宝館に多数展示されています。ほとんどが重要文化財で、その見事さに大変驚きました。
見どころ満載の「観心寺」の歴史散策は、梅の花に迎えられて、とても楽しい時間をすごすことが出来ました!