Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

講義 環境安全工学 課題図書レポート

2008-11-08 | Mech Eng
 某大学の「環境安全工学」の課題図書レポートについて.

 11月は11/3, 11/24 と,講義のある月曜日のお休みが多い.
 例年,それを補うために,課題図書を指定し,レポートを課している.

 今回は,環境工学の10月の課題で,課題図書となったもの3冊のうちから,前回自分が選択したもの以外の1冊,あるいは,今回あらたに課題図書に追加した以下の2冊の本のいずれかかから1冊を選び,購入,精読し,レポートにまとめる.

 ※前回 10月の課題をまだ提出していない者は,以下の課題図書の5冊のうちから2冊選んで,2つのレポートを提出すること.
 # 期末試験に課題図書と関係する設問を出す予定なので,課題図書の購入,精読,レポートの提出は,単位修得のためには必須である.


 課題図書を読んで,その概要と印象に残ったこと等を800-1000文字程度レポート(A4横書き)にまとめ,12/1日の講義時に提出すること.

 レポートのスタイルは以下のとおり.
  1行目 学籍番号 学年 学科 氏名 提出年月日
  2行目 空行
  3行目 レポートの題目
  4行目 空行

  まえがき,レポート全体の前書きの文

  本文
   本書の概要
   印象に残ったこと
   その他

  あとがき,レポート全体のまとめの文

 各自,レポートのコピーは,手元に保存すること.
 ※レポートのコピーは,期末試験の際に,教科書やノート,課題図書とともに持参すること.


[今回追加の課題図書]
1.
ITリスクの考え方 (岩波新書 新赤版 1147)

佐々木 良一

岩波書店

このアイテムの詳細を見る



2.
技術発展と事故―21世紀の「安全」を探る (中災防新書)

駒宮 功額

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る





[10月に提示された課題図書]
3.
よくわかるリスクアセスメント―事故未然防止の技術 (中災防新書 (014))

向殿 政男

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



4.
「信じられないミス」はなぜ起こる―ヒューマン・ファクターの分析 (中災防新書 (004))

黒田 勲

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



5.
安全と安心の科学 (集英社新書)

村上 陽一郎

集英社

このアイテムの詳細を見る




[課題図書の入手について]
課題図書の,2, 3, 4 は,上記のリンク経由でAmazon.co.jpからの購入できる.
もし,Amazon.co.jp の新刊の在庫やマーケットプレイスに古書がなどがない場合は,直接,出版元の,中央労働災害防止協会のサイトからも購入できる.
あるいは,他のインターネット上のオンライン書店,例えば,紀伊國屋のWebサイト楽天ブックスのWebサイト等からも購入できる.

課題図書の1, 5は,大手出版社の比較的入手しやすい本である.上記のリンク経由で Amazon.co.jp からの購入あるいは,新宿の紀伊國屋書店,ジュンク堂,関内の有隣堂等の大型書店の店頭等でも比較的容易に購入できる.
地元の中小の書店での「取り寄せ」は時間がかかりすぎるので,行わないこと.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 環境安全工学 2008-3, 4

2008-10-26 | Mech Eng
 某大学での,プログラミング講義の3回目,4回目の概要は以下のとおり.

 3回目講義 目次
  信頼性工学オススメ参考書
  信頼性工学の基礎
  信頼性工学の枠組み
  信頼性への要求
  アイテムの信頼性
  故障解析
  抜き取り検査
  信頼性試験

 「信頼性工学オススメ参考書」は,文末に示した.
 それ以外は,教科書の2章,3章の一部の内容に相当する.



 4回目講義 目次
  本日の参考書等
  スペースシャトルの事故から学ぶ
   YouTubeからダウンロードした,スペースシャトル事故のビデオ
   各事故の概要の解説と原因の考察
  歴史から学ぶ タイタニック号の事故
   タイタニック号沈没事故に関する新しい発見の解説と原因の考察
  宿題 提出

 欠席した者には,以下の2006年の講義についてのblogも参考になる.
 
  環境安全工学 3 (2006)
  環境安全工学 4 (2006)


 連休前の課題を未提出の者が多いが,課題図書のレポートは,普段点の中では配点が高いので,多少おくれても,必ず提出すること.


入門 信頼性工学 - 確率・統計の信頼性への適用

福井 泰好

森北出版株式会社

このアイテムの詳細を見る




衝撃のスペースシャトル事故調査報告―NASAは組織文化を変えられるか (中災防新書)

沢岡 昭

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

ジェームズ R・チャイルズ

草思社

このアイテムの詳細を見る




Titanic's Last Secrets: The Further Adventures of Shadow Divers John Chatterton and Richie Kohler

Twelve

このアイテムの詳細を見る




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 環境安全工学 2008-3 課題

2008-10-05 | Mech Eng
 以下の3つの参考文献のうちの,いずれか一つを課題図書として選択し,購入,精読し,レポートにまとめる.

 課題図書を読んで,その概要と印象に残ったこと等を800-1000文字程度レポート(A4横書き)にまとめ,10/20 講義時に提出すること.

 レポートのスタイルは以下のとおり.
  1行目 学籍番号 学年 学科 氏名 提出年月日
  2行目 空行
  3行目 レポートの題目
  4行目 空行

  まえがきの文

  本文
   本書の概要
   印象に残ったこと
   その他

  あとがき,まとめの文

 各自,レポートのコピーは,手元に保存すること.


[課題図書の入手と選択について]
参考書の 1, 2 については,以下のリンク経由でAmazon.co.jpからの購入
できる.もし,Amazon.co.jpの新刊の在庫やマーケットプレイスに古書がなどがない場合は,直接,出版元の,中央労働災害防止協会のサイトからも購入できる.
1, 2 については,今回のレポートに間に合わない場合でも,試験のときに必要となる参考書となるので,この機会に2冊とも入手しておくこと.
あるいは,紀伊国屋書店のWebサイト等からも購入できる.(2008/10/5現在,3冊とも在庫あり)

在庫切れなどで,今回のレポート用として時間的に 1, 2 の入手が難しい場合には,3. を選択しても良い.
以下のリンク経由でAmazon.co.jp からの購入あるいは,大型書店等でも比較的容易に購入できる.




1.
よくわかるリスクアセスメント―事故未然防止の技術 (中災防新書 (014))

向殿 政男

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



2.
「信じられないミス」はなぜ起こる―ヒューマン・ファクターの分析 (中災防新書 (004))

黒田 勲

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



3.
安全と安心の科学 (集英社新書)

村上 陽一郎

集英社

このアイテムの詳細を見る


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 環境安全工学 2008-2

2008-10-04 | Mech Eng
 某大学での,プログラミング講義の2回目.
 
 教科書,参考書等については,既に blog: 2008-9-21 講義 環境安全工学 2008-1 (後期)で示した.


 講義のあらすじは,以下のとおり.

 目次
  1. 安全と危険とリスク
  2. 安全のイメージ
   安全についての考え方
   日本と欧米の「安全」
   電気機械類の安全の国際規格
  3. トラブルの確率とパターン
   事故や災害の確率
   高度技術集約型システム
   労働集約型技術システム
   都市構造技術システム
   大きな組織でのシステムの落とし穴
  4. 安全のTips

  講義を欠席したもの,ノートが十分にとれなかったものは,以下が参考になるだろう.
  2007-10-8 講義 環境安全工学 2007-2


 講義の最後で,「安全のTips」として,鉄道事故の例として 2005/4/25 に発生した,「JR福知山線事故」についてとりあげた.
 この事故についての工学的分析については,以下の参考書がある.

JR福知山線事故の本質―企業の社会的責任を科学から捉える

エヌティティ出版

このアイテムの詳細を見る


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 環境安全工学 2008-1 (後期)

2008-09-21 | Mech Eng
 某大学の機械系学科で,非常勤講師を担当している,「環境安全工学」の講義が,明日から始まる.

 この科目は,機械や機械を含むシステムの安全から,我々をとりまく環境的(空気,水,食物,化学物質等も含む)な安全まで,幅広く工学的な視点,科学的な視点,心理学的な視点も含めて,安全,リスク,信頼性等についてその概念の基礎と手法等を論じるものである.
 さらに,過去の様々な災害や事故のケースをとりあげ,過去の失敗や歴史から学ぶ姿勢,予防原則の考え方等についても学ぶ.

 以下に,教科書と当面の主な参考書を示す.
 本講義を受講しようとする者は,以下の教科書と「レポートや試験のために必須の参考書」は,早めに購入するように.

 もし,教科書販売コーナーで入手できない場合には,各本からのAmazon.co.jp へのリンクをたどって購入できる.地元の中小の書店で取り寄せると時間がかかる場合が多いので,Amazon.co.jp で購入するか,紀伊国屋,ジュンク堂等の大型書店で購入するのが良いだろう.


[教科書]
機械安全工学―基礎理論と国際規格

清水 久二,福田 隆文

養賢堂

このアイテムの詳細を見る



[レポートや試験のために必須の参考書]
1.
環境安全論―持続可能な社会へ

北爪 智哉,久保田 俊夫,北爪 麻己,池田 宰,辻 正道

コロナ社

このアイテムの詳細を見る



2.
よくわかるリスクアセスメント―事故未然防止の技術 (中災防新書 (014))

向殿 政男

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



3.
「信じられないミス」はなぜ起こる―ヒューマン・ファクターの分析 (中災防新書 (004))

黒田 勲

中央労働災害防止協会

このアイテムの詳細を見る



[その他の参考書]
1.
安全と安心の科学 (集英社新書)

村上 陽一郎

集英社

このアイテムの詳細を見る



2.
リスクマネジメントの法律知識 第2版 (日経文庫 D 20)

長谷川 俊明

日本経済新聞出版社

このアイテムの詳細を見る



3.
国際化時代の機械システム安全技術

向殿 政男

日刊工業新聞社

このアイテムの詳細を見る



4.
安全学の現在―村上陽一郎対談集

村上 陽一郎

青土社

このアイテムの詳細を見る



5.
国産ロケットはなぜ墜ちるのか

松浦 晋也

日経BP社

このアイテムの詳細を見る




今後も,適宜参考書を紹介していく.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 期末追加レポート

2008-07-17 | Mech Eng
 
 さて,本日は,「流体力学」の期末試験です.

 先週の最後の講義に出席された方は,ちゃんと準備できているでしょう.


 試験のあとで,自分の判断として「試験の出来が及第に達していないかも
 しれない」という恐れがある場合には,以下のレポートを期日までに提出
 してください.救済措置として科目としての採点に加点します.

 ※試験の出来や普段点が十分な人は提出の必要はありません.
 

 期末追加レポート

 シミュレーション技術に関する,以下の本を読んで,レポートを作成せよ.
 本書は,「地球シミュレータセンター」の責任者による,色々なシミュ
 レーション技術についての啓蒙,入門書である.

 レポートの内容は,本書の概要,流体力学的な観点も含めて,印象に残った
 こと等,800文字程度レポート(A4ワープロ横書き)にまとめ7/20 18:00 まで
 に,メールで提出のこと.
 # テキストファイルか,MS-WORD,PDFのファイルをメールに添付.
 # 提出先のメールアドレスは,シラバスに記載されています.

 メールの題目には,「流体力学期末追加レポート」と明記.

 レポートのスタイルは以下のとおり.

  学籍番号 学年 学科 氏名 提出年月日
  レポートの題目

  まえがきの文

  本文
   概要
   印象に残ったこと
   その他

  あとがき(まとめ)の文


 ※成績は遅くとも,7/21中につけるので,その前,7/20の18:00必着.


未来を予測する技術 (ソフトバンク新書 46)

佐藤 哲也

ソフトバンククリエイティブ

このアイテムの詳細を見る

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 補足 参考書

2008-07-04 | Mech Eng
 流体力学について,講義で用いている教科書以外に,今後の学習のために,特に推薦する参考書を改めて以下に示す.


 まず,二十数年前,筆者の修士論文の審査をしていただいた,恩師の一人である,今井 功 先生 (東京大学名誉教授,工学院大学名教授,文化勲章授章)による教科書から.

[理学部系流体力学教科書の名著]
完全流体と遅い粘性流れに関して,物理モデルと数学的表現について日本語で書かれた最良の教科書の一つ.

流体力学 (前編) (物理学選書 (14))

今井 功

裳華房

このアイテムの詳細を見る




[コンパクトな,正統的,理学系流体力学テキストの定本」
完全流体,粘性流体,高速気流を扱っている.254.pとコンパクトにまとめられている.
上述の裳華房の「流体力学」の簡易版的なもの.

流体力学 (物理テキストシリーズ)

今井 功

岩波書店

このアイテムの詳細を見る




 日野 幹雄 先生 (東京工業大学名誉教授,元中央大学教授)の教科書.

[工学系の網羅的流体力学教科書の定本」
 日野先生は工学部土木系の流体力学の先生だが,本書では乱流を含めた流体力学全般について,非常に詳しく扱っている.流体力学に貢献した歴史上の研究者達に関するコラムや,11ページにわたる詳しい参考文献も特筆したい.
 工学系の先生によって,日本語で書かれた,全般的な流体力学の教科書として最良のもの一つ.

流体力学

日野 幹雄

朝倉書店

このアイテムの詳細を見る




 講談社のブルーバックスのシリーズから.

[楽しみながら,流体現象について学べる本」
本書は,2008-4-28の記事でも紹介したもの.

 

流れのふしぎ (ブルーバックス)

講談社

このアイテムの詳細を見る




[流体現象の写真集]
様々な流れの様子をとらえた写真集.流れの構造や流体運動の空間的なイメージを養うことができる良書.実験などの経験の少ない方には特にオススメ.
すでに,版元品切れだが,Amazon.co.jp のマーケットプレイスで程度の良い中古を入手可能である.

※ 残念ながら,表紙の画像がありません.

流れのファンタジー―写真がとらえた流体の世界 (ブルーバックス)

講談社

このアイテムの詳細を見る


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 2008-9

2008-06-26 | Mech Eng
 流体力学の講義9回目,概要は以下のとおり.

 偉人 ポアズイユ
 層流 2 pp.129 - 144
  円管内粘性流れの特徴
  円管内の層流速度分布
  管内流れの流量,速度
  摩擦損失
  層流の管摩擦係数
  並行壁の間の層流
  球の層流抵抗 (ストークスの法則)
 プールの中での水泳の抵抗


 偉人 ポアズイユ
 ジャン・ポアズイユ
(Jean Louis Marie Poiseuille、1797年4月22日 - 1869年12月26日)
 フランスの物理学者,生理学者.
 フランス,パリで生まれ.エコール・ポリテクニークで物理学と数学を学ぶ.

 理学博士の博士論文(1828年)のタイトルは,フランス語で
  Recherches sur la force du coeur aortique
  「心臓大動脈の強さに関する研究」
  あるいは,
  「心臓大動脈に加わる力に関する研究」
  毛細管中の血液の流れなどに興味を持っていた.1842年にパリ医学アカデミー会員となる.

  流体力学における業績:
   流体力学の分野で層流流れに関するポアズイユの法則をたてたことで知られる.粘度のCGS単位系の粘度の単位ポアズはポアズイユの名.
   円筒管内部を流れる,非圧縮性の粘性流体の層流流れについて
   1838年に実験し,1840年頃にポアズイユの定理を数式化した.
   (ゴットヒルフ・ハーゲンGotthilf Heinrich Ludwig Hagen(1797-1884)も独立して研究したのでハーゲン=ポアズイユの式とも呼ばれる.)

  その他の業績:
   水銀によるマノメータ式の圧力計を改良して,血圧を計測した.現在もちいられている,血圧計の原型になるものを作成した.

  http://en.wikipedia.org/wiki/Poiseuille
  http://encyclopedia.farlex.com/Poiseuille,+Jean-Louis(-Marie)
  http://www.todayinsci.com/4/4_22.htm


 [層流 2]
 教科書のpp.129 - 144部分について,教科書にそって,説明した.

 円管内粘性流れの特徴

 断面積が一定の円管内の定常流れを考える.
 粘性流体 連続の式 => 速度一定
 流体には,管壁面から粘性応力が作用する.
 # 板上の物体の摩擦と同様
 この粘性応力につりあって,流体を等速運動させる力は?
 圧力勾配による.
 管内の粘性流れは,下流側の方が圧力が下がる.
 # 直感的には,長いホースやパイプは,管が長いほど
 # 圧力が下がるのはイメージしやすいと思う.

 円管内の層流速度分布
 
 円管内の層流の速度分布は,以下の式で与えられる.

  u = - α / 4 μ ( r2 - a2 )

  u 流速
 α = ə u / ə y 圧力勾配
  μ 粘性係数
  r 中心からの管の半径方向の距離
  a 管の半径

 放物線の速度分布となる流れをポアズイユ流れ( Poiseuille flow)という.


 管内流れの流量,速度

 管を通る流量はQは,断面積A と流速の u の積であった.
 管内層流の流量 Q は,以下のように求められる.

  Q = lim Σ ui Δ A i = ∫ udA
     ΔA->0 i

   ΔA 微小断面積
   u 微小断面積での速度

 流量Qの計算のイメージ 式 4.13 の意味
  中心から,円柱方向にそれぞれの速度部分の速度と面積を合算する.


 流量はQは,

  Q = (πa4 / 8μ) α

  π 円周率
  a 半径
  μ 粘性係数
  α = ə u / ə y 圧力勾配

 この関係式を,ポアズイユの法則(Poiseuille low) という.


 平均流速 U は,

  U = Q/A = (a2 / 8μ) α

  π 円周率
  a 半径
  μ 粘性係数
  α = ə u / ə y 圧力勾配

 最大流速 Umax は,

  Umax = (a2 / 4μ) α = 2U0

  π 円周率
  a 半径
  μ 粘性係数
  α = ə u / ə y 圧力勾配
  U0 平均流速


 粘性流れにおいて,粘性によるエネルギーの損失を摩擦損失 (friction loss)という.
 これは,
  物体の移動における摩擦力
 あるいは,
  電気回路による抵抗
 と同様のイメージである.

 管内の粘性流れにおいて,流れの下流側ほど,摩擦損失でエネルギーが失われる.この場合の,管のある断面におけるベルヌーイの式は,

  1/2 ρv2 + P + ρgz = E(s)

 となる.これを拡張されたベルヌーイの式という.E(s) は定数ではなく,下流にいくほど減少する.

 管内の粘性流れにおいて,長さ ℓ 下流で,ΔEのエネルギーが失われた場合.

  ΔE ∝ (ℓ/d)(1/2)ρU2

 すなわち損失は,
  長さℓに比例する
  運動エネルギーに比例する
  管径dに反比例する


 管内の粘性流れにおいて,長さ ℓ 下流で,ΔEのエネルギーが失われた場合,比例定数 λ を導入する

  ΔE = λ (ℓ/d)(1/2)ρU2

 この式を,ダルシー・ワイズバッハの式(Darcy-Weisbach equation) という.
 比例定数 λ は,管摩擦係数(friction factor)という.


 層流の管摩擦係数は,

  λ = 64μ / ρpdU = 64 /Re


 並行壁の間の層流

 hだけ離れて並行におかれた壁の間の定常流れ
 上側の壁が速度 U で移動していて,圧力勾配がαである場合

  μ d2u / dy2 = α
 
  境界条件 u = 0 (y = 0), u=U (y=h)

 速度分布は,
  u(y) = (α / 2μ) ( h - y ) y + ( U / h ) y

 hだけ離れて並行におかれた壁の間の定常流れ
 上側の壁が速度 U で移動していて,圧力勾配がない場合 α = 0
 上 側の壁の流体は上側の壁にひきずられる.
 速度分布は直線になる.

 これを,クェット流れ (Couette flow) という.

 速度分布は
  u(y) = ( U / h ) y

 応力分布は,一定となる.
 τ = μ(U/h)

 hだけ離れて並行におかれた壁の間の定常流れ
 上側の壁が(下側の壁も)静止している場合
 
 円管内の流れと同様に,ポアズイユ流れ( Poiseuille flow)となる.
 速度分布は放物線となる.
  u(y) =  (α/ 2μ) ( h - y ) y 
 
 応力分布は直線となる,
 τ = α(1/2) h -y)

 
 hだけ離れて並行におかれた壁の間の定常流れ
 圧力勾配があり α ≠ 0  上側の壁が移動ししている場合 U ≠ 0
 クェット流れ (Couette flow)とポアズイユ流れ( Poiseuille flow)が合わさった流れとなる.


 球の層流抵抗 ストークスの法則
 
 粉末やミスト(霧雨のような小さな水滴)などの微粒子が流体中に沈殿するような場合,微粒子まわりの流れはレイノルズ数が非常に小さくなる.
 レイノルズ数が「1」より小さな流れ場では,慣性力に比べて粘性力の影響が大きくなる.このような低レイノルズ数流れでは,流れの場を「近似的に」求め
ることができる.
 その一つの方法が,ストークス近似(Stoke's approximation)である.

 ストークス近似による粘性流れ中の球の抵抗 D

  D = 6 π a μ U

   球の半径 a
   流れの速度 U
   粘性係数 μ

 抵抗係数は,
  Cd = 24 / Re

 低レイノルズ流れの球の抵抗 D
  D = 6 π a μ U
 抵抗係数Cd は
  Cd = 24 / Re

 これを,ストークスの抵抗の法則という.

 低レイノルズ数流れでは,抵抗の近似計算に密度が含まれない.
 =>慣性力は無視できる.
 =>結果的に,抵抗は速度に比例する.

 ストークス近似から求められた抵抗を利用して,微粒子が流体中を沈降する際の終端速度,すなわち沈降速度 U∞ を求めることができる.

 U∞ = 2/9 (ρ' - ρ) /μ a2g
  微粒子の半径 a
  微粒子密度ρ'  
  流体の密度ρ

 
 プールの中での水泳の抵抗
 普通のプールの水ももちろん粘性流体である.プールの中は基本的には,外力による流れはないが,プールをの中で水泳している者は自分が進むことによって,粘性流れの中の物体と同じ状態になる.
 人間の水泳では,体表面の摩擦抵抗は非常に大きなファクタとなっている.
 人間の体の表面の状態は,簡単には変更できないが,水着は色々工夫できる.

 レーザー・レーサー(LZR RACER)
 英スピード社が米航空宇宙局(NASA)などの協力を得て開発した水着. 抵抗の少ない新しい素材と,超音波で溶着した「縫い目がない」加工で等,水の抵抗を大幅に削減した.デザインは,コムデギャルソンとのコラボレーション.
 
 数値で見るLZR RACERの性能
 2004年に発表した「FASTSKIN FSⅡ」に比べ、受動抵抗(*2)を約10%軽減。
 2007年3月に発表された「FASTSKIN FS-PRO」に比べ、受動抵抗(*2)が約5%軽減。
 LZR Panels によって、「FASTSKIN FS-Ⅱ」に比べ表面摩擦抵抗(*3) を24%も軽減。
 無縫製設計よって、従来のステッチ型水着に比べ表面摩擦抵抗が6%低下。
 http://www.goldwin.co.jp/pr/080222_speedo/index.html

 詳しい技術情報は以下を参照
 http://www.speedo.jp/lzr_racer_about.html

 2008/6/8
 『競泳のジャパンオープンは最終日の8日、東京辰巳国際水泳場で行われ、男子二百メートル平泳ぎ決勝で北島康介(25)が2分7秒51の世界新記録を樹立した。従来の記録は、ブレンダン・ハンセン(米国)が06年8月にマークした2分8秒50で、0秒99更新した。』
 北島は,スピード社のレーザー・レーサーを着用.これまでの自己最高記録は,4月の日本選手権で出した日本記録の2分8秒84で,これを1秒33と大幅に短縮した.
  過去の自己ベストは,200m/128.84s = 1.552m/s
  今回の記録は,200m/127.51.s = 1.568m/s
 自己ベストを100とすると,101 すなわち,トータルで約1%の速度アップ.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

理工系 物理学講義

2008-06-20 | Mech Eng
 本書は,理工系の大学,特に工学系の専攻での1-2年生を念頭においた,初級物理学全般の基礎的教科書である.

 高校での,物理や数学の理解が不十分である学生も想定し,基礎的なレベルから(特に微分積分の解説には1章の11ぺージをあて親切に詳しく説明している),法則や原理が丁寧に解説され,のちの専門科目への発展性が配慮されている.また,あちこちに「寄り道」という,コラムが設けられていて興味をひく.

 物理の基本的な用語や概念から,相対論,量子論のさわりまで,幅広く網羅しなながら,262.p とコンパクトにまとめられている.図も豊富で,イメージがつかみやすい.さらに,章ごとに例題や練習問題も用意されている.
 付録には,単位,公式,ベクトル,微積分等の物理数学の簡単な解説がまとめられていて親切である.また,索引のキーワードには,すべて英語表記も記載されていて,用語集としても活用できる.

 筆者の加藤 潔 先生は,工学院大学物理学 教授で,素粒子,高エネルギー物理を専門として,国際学会に多くの論文を発表している第一線の研究者.本書には,加藤先生の,長年の実際の講義の工夫が随所につまっている.

 本来は,実際の大学の講義で用いる教科書だが,独学や自習での理工系物理の入門用,復習用の教科書として,おすすめできる一冊.


目次
1 基本的なことがら 
2 質点の力学 
3 力学の保存量 
4 万有引力 
5 剛体の力学 
6 流体力学 
7 波動 
8 熱力学 
9 電磁気学 
10 20世紀から現代へ 
付録


理工系物理学講義 改訂版

加藤 潔

培風館

このアイテムの詳細を見る


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 2008-8

2008-06-07 | Mech Eng
 流体力学の講義8回目,概要は以下のとおり.

 偉人 レイノルズ
 層流 1 pp.120 - 128
  粘性
  粘性応力
  粘性係数
  ニュートン流体,非ニュートン流体
  動粘性係数  粘性流体の壁面流速
  レイノルズ数
  レイノルズ数による流れの変化

 
 偉人 レイノルズ
  オズボーン・レイノルズ (Osborne Reynolds 1842~1912 )
  イギリスの物理学者・技術者.
  1967年にケンブリッジ大学卒業.(数学専攻)
  1868年, 26歳でマンチェスター大オーエンカレッジの工学部教授に就任.
 (英国で2人目の”Professor of Enginnerig" )

 流体力学に関連する業績:
  層流から乱流への遷移の研究
  レイノルズ数(慣性力と粘性との比で定義される無次元数)の発見 1883年
  レイノルズ応力
  レイノルズの相似則
  キャビテーションの研究
  潤滑の研究

 その他の業績:
  蒸発器や凝縮器の伝熱の問題の研究
  タービンポンプの開発
  熱量拡散計の発明
  1988年,英国王立協会(the Royal Society)のRoyal Medal受賞.

 参考文献
 http://en.wikipedia.org/wiki/Osborne_Reynolds
 http://158.110.32.35/download/CERN07/R_ARFM_90.pdf
 http://misclab.umeoce.maine.edu/boss/classes/SMS_491_2003/Week_5.htm
 http://oceanworld.tamu.edu/resources/ocng_textbook/chapter08/chapter08_02.htm


 [層流 1]
 教科書のpp.120 - 128部分について,教科書にそって,説明した.
 
 粘性 (viscosity)
 流体において,速度の差が発生したところで,流れ方向に
 対して損失となる力を発生させる性質.

 ※最も典型的な速度の差がある流れとして,逆方向の速度を持つ
 流れが接している場合を想定してみよう.
    →→→→→→→→→→
    ←←←←←←←←←←
 
 流体を構成する物質の,「分子間力」が,粘性のおおもとの力である.
 さらに,分子同士の衝突による力もある.
 ※込み合った横断歩道の人の流れを斜めに人の流れよりも早く横切ろうとしたときを想定してみよう.

 「粘性」の特徴は,空気や水のような比較的粘性の低い物質だけを観察していると,直感的に理解しずらい.
 直感的には,サラダ油や,機械オイルの「べたつき」が,まさに「粘性」である.
 流体を構成している物質の分子の大きさも粘性に影響を与える.
 ※分子の大きな物質の方が粘性が高い場合が多い.

 粘性応力
 流体運動において粘性は,物体の運動おける摩擦力と同様に,流体の運動を妨げる力を生じさせる.その,粘性によって流体の運動エネルギーの一部は熱となって失われる.
 粘性によって生じる応力を,粘性応力(viscous stress) という.
 流体の粘性応力は,速度勾配に比例する.
 ※ 速度勾配とは,場所による,速度の変化の傾きである.

 粘性係数
 粘性のある流体の液面上に平板をおいて,平板をx方向に動かすと平板の動きと粘性に応じて,流体はx方向に速度をもつ.また,速度はy方向に勾配を持つ.
 このとき,x方向の速度 u,粘性応力 τ, とすると,

   τ = μ ə u / ə y

 この関係をニュートンの粘性の法則(Newton's viscosity low)という.

ここで,速度勾配と剪断応力の係数を,μ 粘性係数(viscosity coefficent) または,粘度という.
 粘性係数は,流体の粘性の度合いを表す係数で,流体毎に固有の値を取る.
 粘性係数の単位は, Pa ・ s である.

 ある物質の粘性係数は,気体か液体か,温度の変化で変わる.
  液体は,温度が上がると粘性係数が下がる.
  --> 分子間力が下がる
  気体は,温度が上がると粘性係数が上がる.
  --> 分子の衝突が増える

 ニュートン流体,非ニュートン流体
  ニュートンの粘性の法則に従う流体を,ニュートン流体という.
 ニュートンの粘性の法則に従わない(粘性)流体を,非ニュートン流体という.
  非ニュートン流体には,
   ビンガム流体
   擬塑性流体
   ダイラタント流体
  等がある.

 流体の分類(おさらい)
  完全流体
   渦なしの流れ(ポテンシャル流れ)
   渦あり流れ

  実在流体
   粘性流体
      ニュートン流体
            渦なし
            渦あり
               層流
               乱流
      非ニュートン流体

   圧縮性流体
   密度流・成層流
   回転流れ
   電磁流体

 動粘性係数 (kinetic viscosity coefficient)
 動粘性係数 ν とは,粘性係数をその流体の密度でわったものである.

   ν = μ / ρ

   μ 粘性係数, ρ 密度

 流体の密度は,概ね質点系の質量と同じ意味がある.つまり,粘度と質量の比率である.動粘性係数の単位は,m2/s

 動粘性係数の直感的な例は,

  水のような流体が物体に与える抵抗
   粘性の影響に比較すると,マス(密度)の影響が大きい

  空気のような流体が物体に与える抵抗
   マス(密度)に比較すると,粘性の影響は少なくない.

 粘性流体の壁面流速
 理想流体では,壁面上の流体の速度の壁面接線成分はゼロにはならない.
 これを,「滑り壁条件(slip condition) 」という.
 粘性流体では,壁面上の流体の速度の壁面接線成分は,壁面の速度と同じになる.壁面が静止している場合には,壁面上の速度の壁面接線成分は,ゼロとなる.
 これを,「滑りなし条件(non-slip condition)」という.

 レイノルズ数
 粘性流れにおいて,流れを代表する速度,流れを代表する長さ,動粘性係数の間には,以下の関係がある.

  Re = U ℓ / ν

  U 代表速度,ℓ 代表長さ, ν動粘性係数
  ※例 代表長さ = 管の内径
     代表速度 = 管の平均流速

 この Re を,レイノルズ数(Reynolds number)という.

 レイノルズ数は,慣性力と粘性力の比である.
 レイノルズの実験による,元々のレイノルズ数の式には密度ρもあった.
 ※ こちらの方が,イメージとして,わかりやすいと思う.

   Re = ρ U ℓ / μ

 ρ 密度
 U 管の平均流速,ℓ 管の内径,
 μ 粘性係数


 レイノルズ数による相似則
 同じ代表長さなら,流速が上がるとレイノルズ数も上がる.代表長さを流速に応じて下げ,レイノルズ数を一定に保てば,流れの慣性力と粘性力のバランスを保ったまま,流れの場は,相似形で縮小される.
 風洞実験,水槽実験は,この法則を応用している.

 談:ミニチュアでの海上シーン等の特撮では,流れを模型のスケールに落として撮影されるが,低予算の場合普通の水を使うので,粘性係数は実物の海水と大差ない.そうすると,上の式からわかるように,レイノルズ数は保たれないので,粘性の影響が大きくでて,水滴,水柱などのリアリティが下がってしまう.工学的に考えると,模型のスケールに正しくあわせるためには,模型の縮尺にあわせて,粘性係数をさげた液体を用意する必要がある.


 レイノルズ数による流れの変化
 レイノルズ数が,100ぐらいになると,物体の下流に上下非対称の渦列が発生する.これを,カルマン渦列(Karman's voltex street ) という.
 以下に,カルマン渦列の写真等があります.
 http://stream.nagaokaut.ac.jp/docs/introduction/wind.html

 談:カルマン渦列は,周期性を持つ渦なので流れ中の物体へ色々な影響を与える.実際に,米国では吊り橋が風によるカルマン渦列で共振して崩壊するという事故があった.

 ※ 以下で落橋の様子の動画がみられます.
 タコマナローズ橋の落橋の様子の動画

 流れの中に物体(円柱等)があるとき,レイノルズ数が上がると,渦が剥離する.

 

 [おまけ]
 流体力学に関係する図書をもっと推薦してほしいという声があった.
 今回は,飛行機関連の面白い本.
 
紙ヒコーキで知る飛行の原理―身近に学ぶ航空力学 (ブルーバックス)

小林 昭夫

講談社

このアイテムの詳細を見る



飛行機のしくみ―なぜ空を自由に飛べるのかをわかりやすい絵で一発解説! (ぶんか社文庫 ひ 7-1 ズバリ図解) (ぶんか社文庫 ひ 7-1 ズバリ図解)

秀島一生

ぶんか社

このアイテムの詳細を見る



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 2008-7

2008-06-01 | Mech Eng
 流体力学の講義7回目,概要は以下のとおり.

 流れの基礎式のまとめ
  圧力と高さ
  浮力
  連続の式
  流体の加速度
  オイラーの式
  ベルヌーイの定理
  運動量の式

 
 「ベルヌーイの定理」のところまでは,前回までの講義の中で,流体力学の基礎式として,特に重要なものを,まとめて再度解説した.そのあと,先週の講義で,時間切れとなって説明できなかった,「運動量の式」について説明した.

 これらの,式とその概念は,流体力学において,最も基本的なものである.
 単に,式を覚えるだけでなく,その式の「意味」を説明できるように,十分に復習してもらいたい.

 講義のスライドは,殆ど教科書の内容にそっているが,以下,主なポイントと,スライドにあって教科書にはなかったぺージについて述べる.


 [圧力と高さ(深さ)]
 ある深さの流体の圧力 pは,
  p = ρgh  
 ここで,ρ: 流体の密度,  g : 重力加速度, h : 深さ
 密度が一定の場合には,圧力は,深さ(高さ)の関数.
 密度は流体の物質により,また,圧力,温度で変化する.

 代表的な流体の密度 (kg/m3, 1気圧,20度)
   ヘリウム     0.17
   空気       1.2
   二酸化炭素    1.7
   エチルアルコール 790
   水        998
   水銀      13600

 ※実用的には,様々な流体(物質)の,密度のおおまかなオーダーを把握しておくことが非常に重要である.


 [浮力]
 浮力 P の大きさは
  P = ρg V

 流体中に存在する物体が流体からるうける力は,物体の表面全体でつりあっている.
 もし,つりあっていなければ,
  物体がつぶれる
  物体が膨らむ
  物体が沈む
  物体が浮き上がる
  物体が傾く
 
 流体中の物体が,変形せず移動しないことが,物体が流体からうける力が釣り合っている==全体でバランスしているということ.
 ※流体力学では,力とエネルギーのバランスの概念が非常に重要である.

 [流体の加速度]
 ラグランジェとオイラーの方法
  川の流れの上のボートの運動に例えると,

  ラグランジェ的方法:
  ボートの上から,運動や時間を観察する

  オイラー的方法:
  岸の上から,運動や時間を観察する
  加速度は,時間による速度の変化だけでなく,場所による速度の変化に見える.
  ※特別な場合以外は,流れの場はオイラー的方法で取り扱うことが多い.

 [ベルヌーイの定理]
 流体のエネルギー保存法則
  ベルヌーイの定理 (Bernuilli's Theorem)
  1/2ρv2 + p + ρgz = const.

 ただし,以下の条件が成り立つ場合.
  1. 非粘性非圧縮流体
  2. 定常流れ
  3. 流線上

 液体のエネルギー保存則
   全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー+位置エネルギー
 
 気体のエネルギー保存則
 低速流れ
   全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー
 高速流れ
   全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー + 熱エネルギー


 [運動量の式]
 運動量保存の法則 pp.111-117

  流体の運動量保存の法則

  (ρV2 - ρV1) x Q = F

  流体の単位体積当りの運動量の変化: 密度ρの流体が 速度V1からV2へ
  検査領域への流量: Q

 運動量保存の法則の適用例 
  流体の運動量保存の法則の適用例として良く知られている装置は,
   ジェットエンジン
   ロケットエンジン

   例えば,ジェットエンジンは,後方への運動量を空気に与え,逆にエンジンが前方への運動量を得る.
   ジェットタービンで強制的に空気を吸い込み,
   燃焼により体積を膨張させ燃焼ガスの排出速度を増し,
   後方への運動量を拡大する.(反力でエンジンは前方へ)
 


[参考文献]

講義の終わりに紹介した,教科書の理解を補足する入門参考書.
イラストがわかりやすく,現象や方程式のイメージや意味がつかみやすい.

トコトンやさしい流体力学の本 (B&Tブックス 今日からモノ知りシリーズ)

久保田 浪之介

日刊工業新聞社

このアイテムの詳細を見る




上記と同様の,図解が豊富な入門参考書.
量は多くないが,計算の例題もある.

図解入門 よくわかる最新流体工学の基本―見えない流れをイラストで学ぶ、流体工学・超入門 (How‐nual Visual Guide Book)

小峯 龍男

秀和システム

このアイテムの詳細を見る




以前から何度か推薦している,入門参考書.
様々な流体現象について,わかりやすい図解による解説や,家庭で簡単にできる実験などが,沢山含まれている.

流れのふしぎ (ブルーバックス)

講談社

このアイテムの詳細を見る


※運動量保存の法則の応用である,「ジェット推進」を確認する簡単な実験が p.114 にある.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 2008-6

2008-05-26 | Mech Eng
 流体力学の講義6回目,概要は以下のとおり.

 演習 流体力学の用語
 偉人 ベルヌーイ
 流体の基礎式 2
 オイラーの式
 ベルヌーイの定理
 静圧と動圧、水頭(ヘッド)
 ベルヌーイの定理の応用


 [演習 流体力学の概念や用語]
 以下の概念や用語を文章や数式を用いて説明せよ.回答は,出席票に書く事.(持ち時間は28分)

1. 速度
2. 加速度
3. 密度
4. 比重
5. 圧力
6. 全圧力
7. 全圧
8. 応力
9. 定常流
10. 非定常流
11. 一様流
12. 流速
13. 流量
14. 質量流量
15. 流線
16. 流管
17. 流跡線
18. 流脈線
19. 検査領域
20. 検査体積


 [偉人 ベルヌーイ]
 ベルヌーイの定理で有名な,ダニエル・ベルヌーイ(Daniel Bernoulli)について紹介した.詳細は以下を参照.
 http://en.wikipedia.org/wiki/Daniel_Bernoulli
 1700年代に出版された,流体力学の古典的教科書(ラテン語)の英語版が現在でも出版されていて,インターネットを介して容易に入手できるというのはすごいことだと思う.


 [流体の基礎式 2]
 教科書の pp.91-110部分について,教科書にそって,説明した.
 水頭とベルヌーイの定理の応用については,やや駆け足になった.
 ベルヌーイの定理については,単に公式を覚えるのではなく,原理と式や変数の意味を説明できるように,十分に復習してほしい.
 特に,pp.96-101が最も重要である.
 

Daniel Bernoulli, Hydrodynamica 『流体力学』と
父のJohann Bernoulli, Hydraulics 『水力学』 の合本,改訂版(英語版).
Hydrodynamics And Hydraulics (Dover Phoenix Edition)

Dover Pubns

このアイテムの詳細を見る





追伸:
 再履修の4年生へ
 担当講師が変わり,教科書も変わっていますし,評価の方針なども昨年度とは異なります.教科書,参考書は持ち込み可ですが,他人のノートのコピーは不可での試験となる予定です.
 新しい教科書を購入して,できるだけ講義へ出席されることをオススメします.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 2008-5

2008-05-26 | Mech Eng
 流体力学の講義5回目,概要は以下のとおり.

 流体の基礎式 1
 物体と流体に作用する力
 流体力学の用語
  定常流,非定常流,一様流,流速,流量,質量流量,
  流線,流跡線,流脈線,応力,検査領域,検査体積
 連続の式
 物体と流体の加速度

 [流体の基礎式 1]
 教科書のpp.72-90部分について説明した.
 概ね教科書にそって説明したので詳細はここでは割愛する.
 欠席したものは,例題,練習問題も含めて自習すること.

 古典力学の「物体に作用する力」については,各自,物理や工業力学のテキスト等で十分に復習した上で,あらためて,流体力学の教科書の該当部分を見直してほしい.

 流体力学の用語については,十分に復習して,単に言葉を覚えるのではなく,概念を説明できるようにしてほしい.

 流体力学においては,「連続の式」は非常に重要な概念である.流れのなかの「つりあい」について,しっかりとイメージをもつようにしてほしい.

 加速度については,偏微分,実質微分の式も重要だが,ラクランジェ的方法と,オイラー的方法の概念としての違いをしっかりと把握することが,より重要である.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

参考書 材料力学、機械力学の復習

2008-05-18 | Mech Eng
 先日の講義で、流体力学のクラスを取っている学生から、「材料力学がわからない」「自分に合う参考書が見つけられない」という話があった。
 材料力学は専門ではないが、最近の入門参考書で説明が親切なものをいくつかあたってみた。


 以下の、「図解でやさしい 入門材料力学」は、おそらく、日本語でかかれた、材料力学の入門書としては、「もっともわかりやすいもの」の一つだと思う。

 
これならわかる 図解でやさしい入門材料力学

有光 隆

技術評論社

このアイテムの詳細を見る




 材料力学は、色々なところで、いわゆる「古典力学」と、その機械への適用である「機械力学」(工業力学ともいう)を前提としている。上述の「図解でやさしい 入門材料力学」で、わかににくいところがある場合には、実は「機械力学」の基礎が十分に理解できていないと考えられる。


 以下の「絵ときでわかる 機械力学」は、高校での「物理」「力学」をふまえて、機械力学の基礎を網羅的にわかりやすくまとめている。
 材料力学の下ごしらえだけでなく、流体力学でも、力学的な原理についていまひとつ理解に自信のない人におすすめできる入門参考書である。

絵ときでわかる 機械力学

門田 和雄,長谷川 大和

オーム社

このアイテムの詳細を見る



 
 これでも、まだわからない部分がある場合には、やはり
2008-04-27の記事「春の読書ガイド 科学の基礎の復習」

で紹介したような参考書を通読して、高校の科学系科目全般について復習する必要があるだろう。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講義 流体力学 2008-4

2008-05-11 | Mech Eng

連休の明けの流体力学の講義4回目,概要は以下のとおり.

 流体の静力学 2
  全圧力
  圧力の中心
  局面に作用する全圧力
  浮力
  容器内の流体


 [流体の静力学 2]
 教科書の pp.42-69 の部分について解説した.
 概ね教科書にそって説明したので詳細はここでは割愛する.
 欠席したものは,例題,練習問題も含めて自習すること.
 

 教科書の中の微分,積分の式による説明よりも,
  「流体と物体との間の力はどのようにつりあっているか?」
 に注目して,全体の状態のイメージをつかむようにしてほしい.

 力のモーメントや回転運動については,念のため,工業力学の教科書の該当部分を参照しながら,復習すると良いだろう.
 

 流れの状態のイメージをつかむという意味でも,以前に紹介した,『流れのふしぎ』を,通読し,また,興味をもったいくつかの簡単な実験をやってみることを強く推奨する.(キッチンやお風呂で遊びながら実験できる)

流れのふしぎ (ブルーバックス)

講談社

このアイテムの詳細を見る



 [演習問題]
 以下の演習問題は,授業中に,出席票の内容として行う予定だったが,講義が長引いたため,宿題となった.
 次回,5/15 の講義のはじめに提出.

-----------

演習1. 教科書のp.45の例題の変形
深さ 10m, 底面 20m x 20m の水槽が水でみたされているとき,
面A(10mx20m)のにかかる圧力はいくらか?
ただし,重力加速度 g: 9.81 m/s2 水の密度ρ: 1.0 x 103= 1000 kg/m3

演習2. 教科書のp.45の例題の変形
深さ 10m, 上側の底面 30m x 20m,下側の底面 20m x 20m の水槽
(つまり横からみると上底が長い左右対称な台形)が水でみたされているとき,
(30度手前に斜めのに傾いた)面Aのにかかる圧力はいくらか?
ただし,重力加速度 g: 9.81 m/s2 水の密度ρ: 1.0 x 103= 1000 kg/m3
ヒント p.43の2.7式の変形前の形に注目.面Aの面積は演習1より大きくなることに注意.

演習3 教科書のp.53, p54例題の変形
  h = 3m
  r = 2m
  l = 2m とすると,Px, Py はそれぞれいくらになるか?

演習4 教科書のp.67の例題の変形
 コップ直径12cm
 コップの高さ 10cm
 水の高さ6cm
 水の満たされていない高さ4cm
としたとき,水面がちょうどコップのふちまで上がるときのコップの角速度ωはいくらか?

-----------

 5/15,5/22 の講義は,前半のなかでは最も重要な部分になるので,必ず出席するように.


 教科書「基礎から学ぶ流体力学」について:
 教科書が入手できていない学生は,生協だけに頼らず,以下の大型書店などにもあたって,早急に教科書を入手すること.

  新宿東口 紀伊国屋書店 本店
  新宿南口 紀伊国屋書店 新宿南店(タカシマヤタイムズスクエアビル)
  新宿東口 ジュンク堂書店 新宿店(伊勢丹のはす向かい側,三越アルコット 6-8F)

 少なくとも,上記の2つの紀伊国屋には,5/10の時点で店頭在庫されていた.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする