Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

情報システムにおいて求められる「人材象」

2005-11-28 | Informatics
 11/26の午後は, 情報システム学会 2005年研究発表大会 に参加した.


 情報システム学会は,今年の春に発足したばかりだ.

 『“情報システム”は人間活動を含む社会的なシステムです。豊かな情報空間をもたらします。単なるコンピュータ応用システムではありません。人間の情報行動を支え,発展に寄与するものです。組織活動に柔軟と革命を与えるものです。』
 という視点で,情報システムを捉え,
 『情報システム学会 (Information Systems Society of Japan) は,人間中心の情報システムを志向し,ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的とした学会です。』
 という.
 コンピュータ科学,情報工学よりも広い範囲をカバーしようとする学会である.


 最後のセッションでは,「今後の人材育成について」というパネルディスカッションがあった.

 経団連や情報処理サービス企業の業界団体では,アンケートの回答として「即戦力」を求めているということだが,「実際には『即戦力』の中身について,ちゃんと説明できる人事担当者は少ない」「それは『ないものねだり』でもある」という某大手企業の元役員の厳しい指摘もあった.

 情報システムの要求仕様や設計,プロジェクトチーム内でのコミュニケーションにおいて,ちゃんとした論理的な構造をもった日本語の読解力,書き方==テクニカルライティング(Technical Writing)の弱さが指摘されていた.
 これは,本質的かつ重要な問題であると思う.

 2つ気になる議論があった.

 その一つ,ある先生が,
  情報システムのソフトウェア部分は目に見えない.
  情報システムの要求や設計は,言葉(ここでは,もっぱら日本語)で書かれる.
  情報システムの設計において,図はほんの一部しか用いられない.
 ということを,過度に強調していたことだ.
 他の分野で工学的に設計されるもののほとんどは,設計図として表現される.言葉==文章による表記はその補助でしかない.
 我々が「情報システム」の設計において,他の「設計を要する分野」のような「設計図」を持てないのは,本当に情報システムが「見えない」からだろうか?
 単に,我々の技術が未熟だから,まだ適切な「設計図」を持っていないだけではないだろうか?このことは,長年の私の研究テーマの一つだ.

 もう一つは,日本の文化(以心伝心等)と日本語の(単数,複数の扱い等)特徴が,仕様や設計の記述における「論理的な文章」の妨げになっているとの意見だ.
 これは,日本文化や日本語の弱点ではない.明らかに,教育の失敗だと思う.
 日本語でも,社会科学(特に法学,哲学),自然科学,理工学等の分野の良いお手本を沢山読んで,さらに,ある程度練習すれば,ちゃんと論理的な文章は書けるようになる.


 また,ある大学の先生が「情報システムが扱う,個々の業務分野の知識については,そのシステムのユーザすなわち業務担当者にはかなわない」というと,何人かの人から「それは間違った認識である.業務担当者よりも業務ドメインの知識に詳しいSEはいくらでもいる.」「プロなんだから,システムを開発するために必要な業務的専門知識は,情熱をもって,みずから学習できなければならない.」という反論があった.
 この,「システムを設計開発するために必要な,新しい業務知識/専門知識を学習する能力」こそ,情報システムの設計者に,まず一番必要な能力かもしれない.


 これらの話しは, 10/31 の blog でも取り上げた,「構造把握力」や「継続学習」にもつながってくる.


 

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「GCC 行く年来る年」 お知らせ

2005-11-27 | Software
 FSIJ,SEA より,月例合同フォーラムのお知らせです.
 12月は,オープンソースのコンパイラ GCC のお話です.

-----------
             
              開 催 案 内
           SEA & FSIJ 合同フォーラム
       ~開発最前線シリーズ: GCC 行く年来る年~

                主催
          ソフトウェア技術者協会(SEA)
        フリーソフトウェアイニシアティブ(FSIJ)


***************** 開 催 要 領 *****************

1. 日時: 2005年12月19日(月曜日) 18:30 ~ 20:30

2. 場所: 東京都体育館 第四会議室
〒151-0051 東京都千駄ヶ谷1-17-1
http://www.tef.or.jp/tmg/
(注意)会場の場所は右側に植込があるゆるやかなスロープを降り半地下の
入口から入った奥の方になります。
http://www.tef.or.jp/tmg/data/mapn.gif のトレーニングルーム
健康体力相談室、サブアリーナ 入口とかいてある所からが下りスロープ
で、研修室と書かれているのが会議室です。

交通:
*JR中央・総武線各駅停車* 千駄ヶ谷駅より徒歩1分
*地下鉄大江戸線* 国立競技場駅より徒歩3分(A-4出口)


3. 講演内容

・テーマ: GCC 行く年来る年

話者: 小島 一元 (FSIJ)


4.0のリリースに始まり4.1のリリース準備に至るGCCプロジェクトのこの一年
を振り返りつつ、コミュニティの現況や次期リリース4.1についての話題を紹介
します。

4. 参加費: SEA会員(正/賛助)、及びFSIJ会員(正/賛助) 1,000円、
  OSSAJ会員(正/賛助) 、JLA会員 1,000円
一般 2,000円 (釣銭のないようにお願いします)

5. 定 員: 30 名 (先着順に申込みを受付け、定員になり次第、締切)

6. 申込み方法:下の申込用紙に必要事項をご記入の上、
SEA SIGOSS 事務局 <sea-sigoss-office@media.osaka-cu.ac.jp>まで
E-Mailでお申込みください。
申込受付後のキャンセルは、原則としてお断りします。

尚、満員でお断りするなどの事情がない限り、こちらから参加申込の確認
等のご連絡を差し上げることはありません。

7. 今後のスケジュール

SEA & FSIJ 合同フォーラムは毎月開催しております。今後のスケジュール
は以下の通りです。いずれも場所は東京都体育館第四会議室、時間は18:30
からです。

予定日時: 1月23日、2月14日、3月22日
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専門家と専門分野,学際的プロフェッショナル

2005-11-24 | Business
 知人と, 11/20のblog に書いた官僚の専門性に関連して,メールでいくつかやり取りした.
 知人が,その内容を,是非 blog の記事にというので,書いてみることにした.


 まず,日本では「博士号」をもっているようなレベルの「専門家」は,大学の先生か,公的機関か大企業の研究所にいる人がほとんどだが,欧米では,民間企業でそれも研究職ではない人も多い.独立系コンサルタントで,博士という人も沢山いる.
 また,複数の専門分野や,複数の修士以上の学位や,専門的な資格を持っている人も沢山いる.いくつか例をあげてみよう.


 欧米の大きな学会,IEEE(www.ieee.org)や,ACM(www.acm.org) の役員選挙のために送られてくる候補者の経歴書をみると,まず,大学教授でない人でも Ph.D.の学位をもっている人が多い.また,
  Ph.D. 博士号
  P.E. Professional Engineer (米国の技術士)
  C.E. Certified Engineer (英国の技術士)
  PMP Project Management Professional (国際公認のプロジェクトマネージャ)
のいずれも,持っていない人は,むしろ少ない.これらの学位や資格を複数もっている人もいる.
あるいは,
  工学士 or 工学修士 + MBA(経営管理修士) or AMP(ビジネススクールの上級経営プログラム)
という人もいる.


 16年ぐらい前,実際に,私が勤務していた会社のシリコンバレーの本社では,以下のような複合的,学際的専門分野をもつ人が少なからずいた.
  工学士 + MBA
  工学修士 + MBA
  工学修士 + 弁護士
  MBA + 弁護士

 そのため,ただ,
  工学修士
  文系の学士 + MBA
だけぐらいでは「普通」という感じだった.

 少し先輩の,社内弁護士だった,T氏(高校のときに渡米した日本人)は,
  コンピュータ工学修士, 会計学修士, 法務博士(ロースクルー)
 という経歴で,特許などの知的所有権の専門家の弁護士だった.
 日本では,弁護士の絶対数が少ないので,有名な大企業でも社内弁護士は珍しい.わたしが入社した当時この会社の社員は,まだ500名弱だったが,3名の弁護士いた.T氏はその中でも一番若手だった.社員が800名になる前に,社内弁護士は4名になった.

 ベテランの人のエンジニアの中には,P.E. の資格を持った人もいたし,技術分野の副社長やディレクタの半分ぐらいは,もちろん,Ph.D. だった.
 ソフトウェアの分野では,
  ソフトウェア戦略担当副社長(前ソフトウェア技術副社長)
  オペレーティングシステム開発担当部長
  コンパイラ開発担当部長
は,3人とも,Ph.D. で,エンジニアとしてだけでなく,マネジャーとしても優秀だった.

 このころに知り合った,M氏は米国の業界では有名なプログラマで,ソフトウェアのコンサルタントもしており,
  コンピュータサイエンスのPh.D.
  MBA
という経歴だった.


 ビジネスの世界に目をむけてみよう.
 日本では,「博士号」をもつレベルの「専門家」は,「視野がせまい」というイメージがあるようだが,そうでない人も多い.
 先日亡くなった,ドラッカー先生は,大半の人には経営学の大家と思われているが,博士の学位は国際法であり,最初の仕事は,貿易商社の見習い,投資銀行の証券アナリスト,新聞社の記者等だった.米国の大学で教えはじめたときは,政治,経済,歴史,哲学などを教えていた.
 GE の経営と人材の輩出で,有名な元CEO ジャック・ウェルチ氏は,一般にはゼネラリストと思われているが,彼は,化学の Ph.D. で,GEのプラスチックの部門のエンジニアだった.
 日本人の経営戦略コンサルタントで,ただ一人世界的に知られている大前研一氏は,原子力工学の Ph.D. で,新人のころは日立で原子炉の設計をしていた.
 経営戦略コンサルタントで沢山の著作があり,多摩大学の教授もつとめる田坂広志氏も,原子力関係の工学博士であり,新人のころは某メーカーに勤務していた.



 政治の世界に目を向けてみよう.
 まず,米国政府の要人の経歴.一部だが,以下に日本語になった詳しい情報がある.
  http://japan.usembassy.gov/j/info/tinfoj-bushadmin.html
 
 元々スタンフォード大学の教授だったライス国務長官が博士号をもっていることはよく知られているが,他にも博士がいる.ブッシュ大統領はMBA保持者で最初の大統領らしい.チェイニー副大統領も博士課程まで進学したらしい.もちろん「弁護士あがり」の人もいる.

 日本の政府とは大分違うように思う.
# そもそも,このような詳細度で経歴が公開されていない.

 

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ドラッカー自伝「20世紀を生きて」

2005-11-24 | Business
 昨日 Amazon.co.jp から「ドラッカー 20世紀を生きて -私の履歴書-」が届いた.
 これは, 11/13日の blog のドラッカー先生の訃報 の中で,写真とリンクだけを載せていたものだ.

 ドラッカー先生のような先人の自伝的な書は「ロールモデル」としても非常に貴重であると思う.

 本書は,2005年2月に日本経済新聞の紙面上で「私の履歴書」として27回にわたって連載されたものを下敷きにして,そのインタービュー,翻訳等を担当した,編集委員の牧野 洋 氏 による,解説,年表,著作,論文/記事などの一覧を追加して一冊にまとめたものである.

 ギムナジウム卒業後,17歳でハンブルグで貿易商社の見習いからスタートし,大学の講義には出席せず,もっぱら読書によって学び,フランクフルトでは新聞の編集者を生業とする傍ら,大学の助手も続け国際法の博士号を取得したことは,本書で初めて知った.第二次世界大戦前のドイツで,働きながら学位を取得するのがそう簡単だったとは思えないが,「当時の大学では,試験さえ通れば大丈夫で,21歳で国際法の博士号を取得していた.」とさりげなく書かれている.
 また,最も成功した経営者の一人といわれる,GEの元CEOジャック・ウェルチに対して,1981年から5年間コンサルタントをしていたことも,初めて知った.

 まだオーストリアが帝国だったころ,すなわち第一次世界大戦前のウィーンの話しから,つい最近までの話しまで,ドラッカー先生の読者にとっては,興味深いエピソードが満載である.
 

ドラッカー20世紀を生きて―私の履歴書

日本経済新聞社

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霞ヶ関の官僚の「専門性」と「異動」

2005-11-20 | Weblog
 きさらぎけいすけ氏の blog, 「なんか,変...」の 11/19 に「官僚は異動し過ぎでは?」という記事 がある.

 私は,官僚のシステムについて,それほど詳しいわけではないが,
  低い専門性
  文官 - 技官 の区別
  文官への偏重
 そして,ここで,けいすけ氏指摘している,「異動しすぎ」が,現在の日本の国家としての弱点になっている.

 自分の所属する役所が所轄する専門分野なかの一つについて,ある程度の「専門知識」==例えば大学院修士修了レベル,がなくては,「異動」や「出向」しても,本来の意味でのゼネラリストにはなれないと思う.

 特定の専門分野しか知らないまるっきりの「専門バカ」はこまるが,役所の内部の手続きにだけ長けた「専門的ことは大学修士レベルの知識もあやしい」人たちが,国家の中央官僚の高官だったり,国立の研究機関の責任者だったりするのは,無理がある.諸外国ではどうなっているかみれば「弱み」は明白だ.
 私見では,中央官僚は,学部レベルの法学,政策,経済などの専攻のものを中心とするのではなく,各省庁の分野の修士修了者をまず基本とする必要があるだろう.その上で,第一の専門の隣接分野の修士,総合政策的な分野の修士,経営管理分野の修士,海外への留学などの道をつけるのが良いと思う.


 この話題の背景である「日本のシステム」や「日本の科学研究」の問題点について,まとめられている参考書を以下にあげる.どれも,一読の価値あり.

 
日本 権力構造の謎〈上〉

早川書房

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日本 権力構造の謎〈下〉

早川書房

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人間を幸福にしない日本というシステム

新潮社

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検証・なぜ日本の科学者は報われないのか

文一総合出版

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参考:
この件に関連する話題は
2005/05/18 の blog
にもあります
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ドラッカー先生を偲ぶ 「経営者の条件」

2005-11-17 | Business
  11/11(米国太平洋標準時間)の朝に亡くなったドラッカー先生 の最も代表的な著作を読んでいなかったので,先生を偲ぶ意味もこめて,遅まきながら本書を入手した.

 まず,全く不勉強なため,原題が「THE EFFECTIVE EXECUTIVE」であったことを知らなかった.

  成果をあげる能力は取得できる
  汝の時間を知れ
  どのような貢献ができるか
  強みを生かせ
  最も重要なことから始めよ
  意思決定とは何か
  成果をあげる意思決定とは
  成果をあげることを習得せよ
 

 まえがきにある,フレーズがずしりと響く.
 「そもそも,自分をマネジメントできない者が,部下や同僚をマネジメントできるはずがない.ほかの人間をマネジメントすることは,主として,自分が模範となることによって行うことができる.」
 「そして,エクゼクティブとして成果を上げることは,新入社員であろうと,中堅社員であろうと,彼ら自身の自己実現のための前提でもある.」


 終章にある,3章の要点を説く以下の部分は,私のモットーに非常に近いものであることに驚かされた.
 「そして,エクゼクティブたる者は,強みを生かすことによって,個人の目的と組織のニーズを結びつけ,個人の能力と組織の業績を結びつけ,個人の自己実現と組織の機会とを結びつける.」


 ドラッカー先生を偲びながら,初心にかえってじっくりと読み直そう.
 

新訳 経営者の条件
P.F.ドラッカー 著,上田惇生 訳
ダイヤモンド社

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脱線は「失敗」ではない「教訓である」.がんばれDMV!

2005-11-17 | Transportation
 JR北海道は,道路とレールの両方を自在に行き来し走行できる デュアル・モード・ビークル(DMV) の開発を進めている.
 私は,北海道生まれであり,機械工学や交通システムについても学んだので,北海道の鉄道とバスの事業者であるJR北海道が,交通システムの一部として,DMVを潜在的に必要としている背景は直感的に理解できる.
 厳しい冬の気候,変化に富んだ地形,現状の鉄道の駅とバスターミナルの関係等から,DMVがもつ「バスと鉄道のアクセスの融合」という利便性だけでなく様々な期待がある.

 その DMV が走行試験中に脱線し, 「道路・線路両用車両が試験中に脱線、積雪に乗り上げ?」(読売新聞 2005/11/15) と報道されている.

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DMVは、JR北海道が来年度中の実用化を目指して9月から連結車両型走行試験中で、脱線したのは初めて。事故当時、踏切内に約10センチの積雪があり、同社は、雪に乗り上げたとみて調べている。
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 おそらく,非技術系のJR北海道の幹部,あるいは,このシステムに期待していた北海道の一部の役人は,この脱線報道を耳にして,DMV開発チームへ悪い印象を持ったことだろう.

 しかし,今回の試験中の脱線は,工学的な研究開発の流れからみれば「事故」ではない.まったく幸いな「教訓」である.
 初めての冬期試験中の初期の段階で,それも,10cm程度の北海道としては少ない積雪で,車両設計上の重要な弱点について再検討できる非常にすばらしい知見を得たのだ.もし,たまたま,全く偶然に,50cm程度の積雪まで,一度も脱線することなく試験走行が続けられたあと,50cm以上あるいはそれ以上の積雪に遭遇してから,設計を見直す場合のことと比較すれば,この段階での「失敗」が幸運な「教訓」であることはすぐに理解できる.今期の冬期試験中に,何度か,脱線や凍結の「教訓」を得た方が良いのだ.

 JR北海道は「冬季試験は初めてで、今回の事故で一つの課題が浮かび上がった。実用化に向け、雪対策を強化していきたい」とコメントしていると報道されている.
 JR北海道の幹部は,この「教訓」を「失敗」と誤解しDMRの開発チームを減点法で評価することなく,開発を進めやすい環境を整備して,DMVの開発をさらに加速することを,切に希望している.


 がんばれJR北海道!,がんばれDMV!!


資料:
 JR北海道の,DMVについては, インタビュー記事 等もある.



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限界を突破する「学ぶ技術」

2005-11-15 | Education
 先日,Amazon.co.jp で,ある分野の本を検索しているときに,たまたま,書名が目について購入した本.

 筆者の羽根氏は,塾,予備校の講師などを経て,ハーバード大学で日本語講師として活躍したあと,「学ぶ力」「ユニバーサル・ラーニング・アクティビティ ULA」の研究,指導する会社を主宰している.また,デジタルハリウッド大学院教授兼CLO(教育手法最高責任者)も兼務している.

 『わたしたちは本当の「学び方」を知らない』という,序章の表題だけでも引きつけるものがある.

 個々のトピックスの大半は,既に広く知られているものも多いが,それらを「学ぶ技術」「自己成長力」の獲得のための手法の手順として解説している.
 各節の表題は非常に良いキーワードが選ばれているという印象を持った.例えば以下のような節がある.

 『「知識の入手」と「能力の獲得」の違い』
 『「ないを受け入れる」不可能を可能にする思考』
 『「私の行動」を決定するもの』
 『本当の指導とは「正解を教えないこと」』
 『「自分を管理する」という思い上がりを捨てる』
 『「ギブアップ」せず「シンク」する」

  10/31 の blog で言及した「継続学習」にもつながる内容である.

 『限界を突破する「学ぶ技術」』に興味のあるすべての方にオススメする.


限界を突破する「学ぶ技術」―いまの自分に満足できないあなたへ
羽根拓也
サンマーク出版

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ピーター.F.ドラッカー (PETER F. DRUCKER) 教授逝去

2005-11-13 | Business
半世紀以上にわたって世界で最も影響力のあった,経営学者,ビジネス思想家である ピーター.F.ドラッカー (Peter F. Drucker) 先生 は,米国太平洋標準時間 11月11日 朝,カリフォルニア州のクレアモント(Claremont)の自宅で逝去されました.95歳でした.
 
 謹んでご冥福をお祈りいたします.

 ドラッカー先生についての情報は,いつくかのWebサイトにまとめられています.

  http://www.cgu.edu/pages/357.asp?EventID=176
  http://www.cgu.edu/pages/292.asp
  http://www.cgu.edu/pages/3764.asp
  http://www.druckerarchives.net/


ドラッカー20世紀を生きて―私の履歴書

日本経済新聞社

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ドラッカー先生の著作については,以下の 7/30 の blog の記事でも紹介しています.
 
Jason's Library ものづくりが文明をつくる

 
Jaons's Library ドラッカー入門



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JavaOne Java 5とSolaris 10を使おう!!

2005-11-10 | Software
 11/8 から 11/10 までの3日間,プログラミング言語Javaとその周辺技術に関する開発者向けの大イベント JavaOne Tokyo 2005 が開催された.

 これまでは,JavaOne Tokyo といっても,横浜のみなとみらいの「パシフィコ横浜」での開催だったので,本格的に参加するためにみなとみらいに泊まり込むことがおおかったが,今回は有楽町の東京国際フォーラムでの開催となったので,部分的に参加して途中で,会議をしたり,オフィスに戻ったりしやすくなった.
 来年も東京国際フォーラムで開催されることを希望したい.


 今回の JavaOne では,Javaの最新版および将来のバージョン,Javaの開発ツール,Sun Microsystems の OS Solaris 10およびOPENSOLARIS,Sun のオープンソースにかかわる戦略等に関して,色々な新しい情報を得ることができた.
 特に,Sun Microsystems の Chief Open Source Officer, Simon Phipps 氏 とは,11/8 のパートナー向けの内輪のレセプションでも親しく話しをする機会があり,とてもと参考になった.


 日本では,いたるところで,「前例」「実績」が重視されている.
 日本における企業向けのシステム開発でも,多くの人が「過去の実績」重視して「国内同業他社での実績」のある技術を好み,新しい基本ソフトや新しい開発環境への移行は,他の先進国よりも遅れがちである.
 新しい技術による情報システムを,他社に先駆けて導入することで,ビジネス上でも他社との差をつけようという,積極的なマネジメントは少ない.
 「前例」「実績」は,すべて過去のことであって,未来の話しではないことを直感的に理解できない人が多いのである.

 しかし,今回の JavaOneのコンファレンスで, Java Solaris に関しては,「過去の実績」を重視する姿勢==ただ慎重なだけではなくむしろ億病で無責任な姿勢によって,最新版を活用しないことが,ソフトウェアの新しい機能が使えないというだけでなく,サービスの柔軟性,性能,品質,生産性等というものが,ビジネスレベルで犠牲になるこがはっきりしたと思う.


 問題は,ソフトウェア技術に明るくない顧客のマネジメントに,「過去の実績」とおもわれていることが,実は「運が良いだけかもしれない」こと,OSや開発環境で一皮むけた新しい技術を用いることは,サービスの幅,品質などに直結することを,つまり未来の可能性とその品質に影響することを,判り易くどうアピールしていくか?というこかもしれない.

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科学技術政策,食品安全,情報通信技術担当の経歴

2005-11-02 | Weblog
 久しぶりに時事的な話題を一つ.


 今回の新しい内閣では,内閣府特命担当大臣という肩書きの方が,6名いる.
 そのうち,私の仕事に一番関係あるのは,
  「科学技術政策,食品安全,情報通信技術担当」
 大臣であろう.

 しかし,今回,この役職に就任された方は,なぜか,
   東京大学法学部卒業
   通産省OB
 という経歴をお持ちの方である.

 通産省時代に,多少,情報通信技術にかかわっていたかもしれないが,もしそうだとしても,大昔のことあると思われるので,現在のITに関わる政策判断には役に立つとは考えられない.
 「狂牛病」の例からもわかるように,食品の安全に関わる問題も,完全に先端科学の領域である.
 どう考えても,21世紀の,食品安全,情報通信技術担当大臣が,法学部出身者で勤まるとは信じられない.


 「厚生労働大臣」は,労働や年金の問題だけでなく,医療,公衆衛生,福祉の政策についてリーダーシップを発揮できなければならないはずだ.

 しかし.今回,この役職に就任された方は,
    慶応義塾大学商学部卒業
    松下電器産業株式会社
    郵政政務次官
    運輸大臣
 という経歴の持ち主である.

 もちろん,医師や,公衆衛生の専門家でも,「厚生労働大臣」として適性があるかどうかは一概にはいえない.
 しかし,商学部出身で,電器メーカー勤務の経歴の持ち主では,医療や公衆衛生の問題について,官僚の作成する資料(その理解には,科学,医学,疫学などの知識が必要であろう)を,適切に理解することも容易ではないと思われる.


 自由民主党には,理科系の国会議員はいないのだろうか?
 もしそうなら,竹中大臣を最初に抜擢したときのように,民間からそれなりの専門家を採用しても良かったのではないだろうか?


 例えば,科学技術政策,情報通信技術担当大臣には,
  ベテランなら,西澤純一 先生 (東北大学総長,岩手県立大学長,首都大学東京学長)
  比較的若手なら,村井純 先生 (慶應大学教授)
 なんてどうだろうか?

 食品安全担当は,IT担当とは別けて,バイオ系や疫学に強い人,科学政策についても判る人がよさそうな気がする.
  林 正男 先生(お茶の水大学)
 はどうだろう?


追記:
 この話しに関係する話題は, 5/18 の blog にもあります.
コメント (4)
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