Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

Jason's Library ソフトウェア開発のプロとは

2005-03-31 | Software
 私は,主に機械工学分野の技術者として教育を受けた.また,大学や大学院では,建築や電気系の講義も受講した.学生時代に受けた,情報,ソフトウェア関連の講義はほんのわずかしかないので,これまでに学んだ,情報,ソフトウェア関連のことは,実のところその殆どが独学である.
 修士課程を終了し,ソフトウェア開発や情報システムの構築を生業とするようになって20年がすぎたが,仕事としてプログラミングをするようになってから,いつも私の頭を離れないのは,
 ・ソフトウェア工学と,他の工学分野(機械工学,建築工学,電気/電子工学等)の違いはなにか?
 ・プロのソフトウェア開発者とはどういうものか?
ということだ.

 このような視点と,これまでのソフトウェア・エンジニアリングの問題点をふまえ,「今日的なプロのソフトウェア開発者」について論じている,「ソフトウェア開発プロフェッショナル」は,プロのソフトウェア開発者を目指す人,プロのソフトウェア開発者を自認しているが,ソフトウェア工学の専門的な学習をしてこなかった人,あるいは,プロのソフトウェア開発者を指導/育成すべき立場にいる人に,推薦したい一冊である.
 筆者のスティーブ・マコネル(Steve McConnell)は, IEEE においいて,ソフトウェア工学の学会誌"IEEE Software"の編集長やソフトウェア工学のハンドブック SWEBOK の委員も等も務め,1998年には,ソフトウェア会開発者向けの雑誌"Software Development"の読者投票で,「ソフトウェア業界で最も影響力がある3人」(あとの二人は,ビル・ゲイツとリーナス・トーバルズ)に選ばれている,コンサルタントである.

ソフトウエア開発プロフェッショナル

日経BP社

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もし,戦時中に日本も原爆の開発に成功していたら...

2005-03-31 | Weblog
 3/29のテレビのニュース番組で,ラスベガスにある 原爆博物館(ATOMIC TESTING MUSEUM) についてのコーナーがあった.元新聞記者で,海外特派員でもあった,メインキャスターの主旨は,「米国民の視点では,核兵器に関わる歴史的な事実を展示するだけでなく,原爆実験について,賛成派,反対派について両方の意見がみられるようになっていることが,好感をもって受け止められているが,そこには核兵器の被害者(ここでは被爆国日本)の視点が欠けている.」というものだった.この番組をみて,ちょっと違和感を感じた.

 ここは,ちょっと別の視点で考えてみよう.
 日本でも,1935~40年ごろから, 仁科芳雄博士 率いる,理化学研究所の仁科研や,京都大学の荒勝研において,量子力学の研究されていた.それらの研究を背景として,軍部でも 原爆製造計画 が進められていた.
 米国が戦時中に原爆を完成できたのは,原材料,設備面の充実だけでなく,ヨーロッパからの多くのユダヤ系亡命科学者の貢献が大であった.それに対して我国では,ウラン鉱石の入手,研究設備,研究者の層の厚み,研究者同士の情報交換等の面で遅れており,その開発は間に合わなかった.
 そして,結果的に,米国は戦時中に原爆を完成し実戦で使用した.歴史的にみれば,長崎,広島への投下だけが,実戦での大気中の核爆弾使用例となった.

 「歴史にifは禁物」というが,もし,仁科研でも原爆の開発に成功していたら,我々の祖父の世代の先人達は,その実戦での使用を思いとどまっただろうか?誤解をおそれずに言えば,多少のリスクや事後の影響への科学的な不安があろうとも,もし原爆が出来ていれば,日本の軍部あるいは政府も,きっと原爆を実戦に供し,米英軍あるいは,中国軍に対して使用していたと思う.
 神経ガス,細菌兵器,人間魚雷,神風特攻と,様々な「非人道的」な兵器や作戦を使った参謀達が,原爆を使うのをためらったとは到底信じられない.

 そのように考えてみると,ことあるごとに「被爆国日本」という「記号」をワイルドカードのように用いるのは,そろそろもうやめた方が良いのではないかと思う.
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Jason's Library 環境ホルモン 2冊目の参考書

2005-03-30 | Environment
 ちょっとした弾みで,化学物質関連の参考書を色々と読みあさっている.
 東北大学大学院環境化学研究科の 彼谷邦光(かや くにみつ)先生 は,環境に関わる化学が専門で,色々な本を出している(「アオコ」がらみの本が有名).その中でも,一番新しいものが,昨年の11月に裳華房から出版された「環境ホルモンとダイオキシン」である.
 本書では,内分泌攪乱物質の性質とその危険性(生物への影響)について,非常に明解に記述されている.まず,「ホルモンとはなにか」という基本の説明からはいって,主な性ホルモンの組成図入りで詳しく説明している.他の化学物質についても,言及しているものは,ほとんど組成図入りである.天然有機化合物からもダイオキシンができるという話し等もちゃんと記述されている.参考文献,参考Webのリストも親切である.一部の原稿は,既刊の「環境の中の毒」を加筆修正したものだが,2004年の前半ぐらいまでの情報が含まれている.
 環境ホルモンについて,「2冊目の参考書」として,広く推薦できる1冊.ただし,読みこなすには,理工系大学1-2年レベルの化学の知識が必要.

環境ホルモンとダイオキシン―人間と自然生態系の共存のために

裳華房

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Jason's Library 化学物質過敏症

2005-03-28 | Environment
 化学物質過敏症について色々本をさがすと,一番沢山出てくるのは,北里大学名誉教授,北里研究所病院・臨床医学センター長で,1995年には臨床環境医学会のノーベル賞ともいわれる「ジョナサン・フォアマン賞」を日本人として初めて受賞した,石川哲先生の著作であろう.
 一般には,シックハウスの専門家,あるいは,オウムのサリン事件のときに活躍した先生として知られている.
 その石川先生の著作でも,文春新書の「化学物質過敏症」(共著)は,この分野の入門書として,特にオススメの一冊である.
 「化学物質過敏症」の英語の用語が,"Multipule Chemical Sensitivity" であることや,その用語から「化学」というキーワードを取り除こうとする「力」があることも解説されている.
 どうして,眼科の先生が,臨床環境医学の研究者なのか不思議に思っていたが,「目はヒトを外からみてその自律神経の状態を観察できる唯一の部分」という説明があった.また,有機リン系の物質が目に様々なダメージを与えることも解説されていた.なるほどと思った.
 

化学物質過敏症

文芸春秋

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Jason's Library 環境ホルモン復習

2005-03-27 | Environment
 最近,知人に触発されて,環境ホルモンや化学物質過敏症について,少し勉強しなおしている.
 京都大学地球環境学の松井三郎教授らの「内分泌攪乱物質の環境リスク」研究チームの先生方による,「環境ホルモンの最前線」は,2002年なかごろまでの最新の知見がコンパクトにまとめられている.松井先生は,この分野の第一人者だそうで「さすが!」という感じ.図表やも豊富でわかりやすい.特に,色々な注意すべき化学物質の,分子組成(構造)が,ちゃんと図でてているのが良いとおもう.化学は,分子組成をみると色々なことが判る.(もちろん,多少は化学や生物学の知識は必要)参考文献のリスト,も充実している.理工系出身で,化学物質問題に興味がある人にはオススメの一冊.
 2004年度までの最近の知見をまとめた,続編の出版を是非お願いしたい.


環境ホルモンの最前線

有斐閣

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「長野県栄村にみる通信と放送の融合」 ICPFセミナーのお知らせ

2005-03-24 | Weblog
 情報通信の政策に関する民間シンクタンクをめざしている 情報通信政策フォーラム からセミナーのお知らせが届きました.
 ちょうど,ライブドアがらみで,話題の「通信と放送の融合」に関わるテーマです.

-----------------------------------------------------------------------

有志でつくる 「情報通信政策フォーラム」(ICPF) では、4月から定期的にセミナー
を行うことになりました。その第1回として、次のような会を開きます。


ICPFセミナー 第1回「長野県栄村にみる通信と放送の融合」

長野県の山間部にある栄村で、全国の放送関係者の注目する実験が行われていま
す。地上波のテレビ放送をADSLで再送信し、家庭のテレビやパソコンで見られる
ようにするものです。栄村では、民放4局を見られる家庭が約1割と難視聴世帯が
多いため、民放の番組をIP配信しているのです。画質的にも、普通のテレビと変
わりはありません。

しかし、この実験の商用化はできません。テレビ局が地上波番組のIP配信を認め
ないからです。これを認めたら、栄村だけではなく、全国にADSLで番組が配信で
き、現在の県域免許制が崩れてしまう「蟻の一穴」となることを恐れているので
す。今回は、この実験を行ってこられた佐藤さんをまねき、その現状を紹介する
とともに「通信と放送の融合」はどうすれば実現するのか、を考えます。

講師:佐藤千明(長野県協同電算ネットワーク部長)
司会:林紘一郎(情報セキュリティ大学院大学副学長)

日時:4月21日(木)19:00-21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分

入場料:無料
   ただし、席に限りがありますので、先着順に受け付けます。希望者は次の
   アドレスまでお申し込みください。問い合わせも、ここにどうぞ。
   info@icpf.jp
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食品の安全 まずコンピニのおにぎりサンドイッチから再点検!!

2005-03-22 | Environment
 数日前の,知人の blog で, 子供のうつ病と農薬の関連 がとりあげられていた.
------
アエラ2005年3月7日号の37ページに、こんな見出しがあった。
「無人ヘリによる有機リン農薬散布で、神経・精神障害が起きている。サリンに近い有機リン剤は年のビルや学校、公園などにもまかれている。近年目立つ鬱症状や年少者の異常行動には関係ないのだろうか。」
もちろん、「関係ある」から記事にしたのだ。ここで紹介されている北関東の個人病院では、無人ヘリコプターによる農薬の空中散布が始まった1995年以来、農薬が原因と考えられる慢性有機リン中毒患者が発生、ほぼ共通する症状として記憶障害と鬱があるという。公開されている事例の中には小学生から高校生までの子供の例も3件ある。
------
 
 また, 食物に含まれる化学物質についての情報 を公開している人もいる.
------
またコンビニの弁当のご飯やおにぎりは、しばらく陳列しているのにまったく乾きません、普通に自宅で作るおにぎりは置いておくと多少なり乾燥します、不思議には感じませんか? これは表面に化学物質である保湿剤を吹きかけている為なんです、この保湿剤に関してはかなり毒性のある物です。
※最近は化学物質の危険性の認知度が高まった為、コンビニの弁当などでも、こういった化学物質の使用を避ける、もしくは極力使わない会社もあるようです
------
 
 私の住む埼玉の東京近郊や東京の都心で「有機リン農薬散布」はあまり行われていないと思う.しかし,私の周りにも,精神的に不安定なティーンエージャーが少なからずみうけられる.参考のために,娘に,上記のことを説明して,友人の食生活についてたずねてみると「うつ的な傾向のある友人に共通するのは,魚介類をよく食べること」だとはっきり言われた.
 近海ものなら土壌から川に流れ出す農薬の影響かもしれない.近海ものでなければ,やはり金属イオン系の科学物質の影響だろうか?

 最近,コンピニのお弁当は「食品添加物」について,注意を払っている旨の表示があるが,注意できるものは悪影響が公式に顕在化しているものだけだと思う.いまや,外食産業の一番のライバルはコンビニのお弁当である.
 米国輸入牛肉問題の前に,コンピニのおにぎりとサンドイッチだけでも,悪影響が危惧される有機化合物や金属化合物の残留濃度などを再検査をすべきではないだろうか?
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「プロのコミュニティ」としての学会と花粉症

2005-03-21 | Weblog
 金曜日の午後から土曜日にかけて, 日本機械学会関東支部 の, 第11回 総会後援会 に参加した.久しぶりの学会参加である.

 開催場所は東京都立大であった.八王子のはずれの南大沢にひっこしてから,初めて,都立大にいった.広くてとても立派なキャンパスだが,ちょっと田舎に引っ込みすぎたのではないか?という気もする.自然の多いのどかな環境はいいが,どうしてこれほど奥まったところに移転しなければならなかったのだろうか?最近は,郊外にキャンパスをもつ大学でも,都心に出店的なキャンパスをお持つところが増えている.都市の大学には,自然よりも,都会独特の雰囲気や緊張感が重要であると思うのは私だけではないと思う.

 自分が研究発表しない場合でも,学会で色々な人の話し,特に自分の専門とは少し違う分野の先生の話しを聞くととても勉強になる.金曜日の最後の特別講演は,都立大人文学部で心理学の 市原茂 教授 で,「視覚の不思議」と題して,視覚と聴覚の相互作用についての興味深いお話だった.
 金曜日の夕方は,講演会の後に懇親会があった.普段は教科書や論文でお名前を拝見するだけの著名な先生と,みじかにお話する機会があることも,学会ならではの重要メリットであると思う.

 土曜日は,朝から,私が所属する埼玉ブロックの企画で,「企業にとって魅力ある日本機械学会とは」というパネルセッションがあり,私もパネラーとして参加した.このところ色々いそがしかったので,プレゼンテーション用のパワーポイントのシートができたのは,当日の午前4:00近くであった.三菱重工,東芝といった日本を代表する世界的な大メーカーの諸先輩と並んで発表することになってやや緊張したが,普段から自分が考えていることを発表した.
 日本機械学会にしても,情報処理学会にしても,工学系の大きな学会では,この数年,会員の減少が問題になっているところが少なくないようだ.「学会」は「Academic Society」の訳語だと思うが,特に工学系の場合には,大学の先生方だけでなく,広い意味でのその工学的産業分野に関わる「プロのエンジニア」の同業者同士の「交流の場」であると思う.実際,機械にしても,情報にしても,その産業従事者の技術者人口は100万人以上のオーダーであるが,そのうち各学会の正会員は2-3%程度のオーダーにすぎない.しかし,その2-3%の大半は,各業界,会社,部署,プロジェクト等における技術的な意思決定に関わる人すなわち,キーパーソン,あるいはその予備軍である.このことは,役員名簿や会員名簿をみればすぐにわかる.つまり,学会の会員にはその業界のプロとして「ロールモデル」となるような人が沢山いるといえる.その意味で,「本当のプロのエンジニア」をめざす若い世代の人にこそ,学会に入会して勉強してほしいと思う.
 土曜日の夕方,学会のあと,指導教授や博士論文の審査をしていただいた先生方と食事をご一緒して色々なお話をうかがい,また勉強になった.

 それにしても,南大沢は東京都でも花粉の密度がとても高い地域であるようだ.金曜日の懇親会での今年度の関東支部長であり,振動工学の権威である都立大の 鈴木浩平 教授 の挨拶でも,「晴天にめぐまれたが花粉が多くて...」と言及されていた.(鈴木先生には,土曜日のパネルセッションでもお話する機会を得た.) まわりの先生方にも,マスクをしていたり鼻をかんだりしている人が沢山いた.私は,目薬や鼻炎用の薬も用意して適宜使用していたが,懇親会が終わるころには,目が酷く充血していた.少なくとも 杉や檜の花粉については林業に対する政策的失敗 であることは歴史的に明白だと承知しているが,政府はなにか対策をしているのだろうか?
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生活の中の電磁波

2005-03-15 | Environment
 最近,知り合いが「生活の中の電磁波」について気にしている.彼の blog によると, 「新幹線のぞみでは,窓側の電磁波が多い」 らしい.
 500系の「のぞみ」は,16両編成のすべてが動力車で,各車両の前後の台車の上に2個づつ計4個の285kWの強力なモーターが搭載されているので,車両の長手方向では,車輪の上付近よりは,車体の中央部の方が電磁波が少ないはずだ.もちろん,系や編成によっては,16両編成でも4両が動力車ではないというものもある.
 新幹線の電磁波については, 「食品とくらしの安全」のバックナンバー に記事が出ているが,工学的にちゃんとした情報は以外と少ないように思う.知人は「系や編成,路線ごとに,計測しなおしてみようかな?」などといっている.もし,最新の新幹線の電磁波のリークが多いとすると,それは,モーターの高出力化と軽量化の結果によるものだろう.
 現在の新幹線ではなく,いわゆる「リニア新幹線」に反対するある人は,反対理由の一つとして,その 電磁波の影響 について,大きくクローズアップしている.上海で運行されている430km/hのリニアモーターカーの車内での電磁波の密度はどれくらいだろう?日本のメーカーのだれかが,こっそり測定していないのだろうか?

 最近は,「電磁波過敏症」 が問題になっていて,その症状について blog に書いている人もいる.また,「電磁波の健康影響に関する基礎講座」というのを,webで公開している人もいる.少し調べてみると, 電磁波の生体影響を論議する専門の国際学会 もある.600人ほどの小さな学会だが,会誌は一流どころの John Wiley & Sons から出版されていて,理事には,東大,都立大,弘前大などの日本の大学の先生も名を連ねている.

 私自身は,仕事がら,いつも電磁波にさらされていて「電磁波過敏症」ではない.しかし,自宅でオーディオを真剣に聞くときにはコンピュータは止めるようにしている.また,防音と防電磁波を兼ねて窓際には鉛のシートをたてているし,オーディオをおいている部屋の照明は白熱電球にしている.電磁波の影響は目で見る事はできないが,オーディオマニアなら「耳」で聞き分けることができる.
 ブラウン管式のディスプレイのからの電磁波の放射が多いことはよく知らせているが,液晶のディスプレイからも相当の電磁波が出ている.測定器が手元になくても,ノートパソコンなどのそばで,小型のラジオのスイッチをONにすれば,その電磁波の影響は,だれにでもはっきりと聞き取れるはずだ.



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経験不足?「未来」のビジネスのために必要なものは?

2005-03-14 | Business
 ライブドア/ニッポン放送/フジテレビに関わる報道で,自宅で購読している 産経新聞 フジサンケイ ビジネスアイ(日本工業新聞刊) の,バランスを欠いた報道は,ちょっと目を覆うばかりである.

 3/11のサンケイビジネスアイのある作家のコラムなどは,「片側にえこひいきしていると見られるから心外...」などといいながら,ライブドアの堀江氏に関して「...社会に出てやな上司にいびられたと,世の中が自分の思い通りにはゆかなくて忍耐をしいられるといった,修羅場を経ていない経験不足」と書いていた.この作家は,彼が今回のニッポン放送の件の前に,プロ野球への参入を楽天の三木谷氏と争って「思い通りにはゆかなかった」事実を忘れているのかな?いずれにしても,このタイミングで,こんなコラムを出してしまうとは,ちょっとセンスないと思う.

 確かに,堀江氏は学生時代に自分の会社を作ったので,日本的な企業での「サラリーマンの経験」はないだろう.私の周りにも,若くして創業社長となって「サラリーマンの経験」が少ないことが,人事や組織運営などの判断の面で,経営者としての弱点になっていると感じられる社長さんもいる.
 今回の件も「ニッポン放送の従業員の気持ち」については,あまり考えられていないかもしれない.しかし,M&Aに限らず,企業の事業拡大のための大きな投資の判断には「従業員の気持ち」以外にも考慮すべき項目が沢山あるはずだ.将来,人事や組織面については,その道の専門家を役員クラスとして雇い入れるということもできよう.
 企業のM&Aに関する経営者としての「経験」という意味では,堀江氏は,実績からみて,フジテレビやニッポン放送の幹部のだれよるも多くの経験をもっているはずだ.産経やビジネスアイでは,その「経験」の差をどう評価するのだろうか?
 また,普通のビジネスでも,科学技術でも,ITでも,新しいことをやる場合には,「経験」あまり訳に立たないことがある.過去の「経験」に頼りすぎると,「新しい状況」では正しい判断ができないこともある.往々にして,過去の成功「経験」に頼りすぎると,未来には対応できない.

 日本では「経験」に多くの価値をおきすぎるのではないだろうか?それに「新しいことに挑戦する若者(経験不足と見えるもの)を,もり立ててやろう」という風土が少ないように思う.どうしても,「生意気な若造」は「出る杭」として,まわりから打たれることが多い.
 もちろん「人間相手」の問題については,「歴史」に学ぶことは非常に重要だ.堀江氏は経営やビジネス全般に関して歴史も含めて相当勉強していると思う.ただ「運がいい」だけでは,ライブドアはここまで急激に大きくはならない.

 この件に関しては,自宅へ届けられる新聞の報道があまりに偏っているので,昨日(3/12)は,オフィスに出る途中で, 日経 の朝刊 を買った.日経の報道は,非常にニュートラルに感じられた.
 一昔前は,日本工業新聞は日経産業新聞にない情報がある重要なメディアだと考えていた.しかし,今回の一連の報道で,フジサンケ イビジネスアイの購読をやめて日経に変えることを検討することにした.
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ニッポン放送,誰のため,何ための増資か?

2005-03-12 | Business
ニッポン放送のフジテレビへの新株予約権発行(第三者割り当て増資の予約)に対する, ライブドアからの差し止め請求仮処分  がみとめられた.
今回の仮処分決定の「新株予約権発行が現経営陣の支配権維持を主要な目的としている場合は、発行を正当化する特段の事情がなければ、商法の不公正発行にあたり違法」,「企業価値の著しい棄損が明らかであるとは言えず、新株予約権発行は正当化できない」は,全くまともな裁定である.
このような状況においては,「ライブドアが大株主になったら,ニッポン放送の企業価値を著しく棄損する」かどうかの,証明責任はニッポン放送側にあることは,少しでも法律を知っていれば,中学生でも判る話しだ.また,それは,明らかに「未来への予測」にすぎないので,原理的に証明できるとは考えられない.ニッポン放送の亀渕社長は,「社員一同の気持ちが否定され、とても残念だ」と述べたと伝えられているが,商法違反の新株予約権発効かどうかの議論は「気持ち」の問題ではないはずだ.もし,外部の大株主の影響を避けたいのであれば,ニッポン放送は上場すべきではなかったのだ.
もちろん,ライブドアの堀江社長が主張するほど,ライブドアがニッポン放送の大株主になることによる,ライブドアとニッポン放送のビジネスの相乗効果が大きいかどうかも未知数だ.しかし,ここでは,ライブドア側はそれが「明らかにうまくいく」ことを証明する必要はない.
それは,今後,ライブドアやニッポン放送の株主等が自分の責任で判断することであろう.
米国のAOLとタイム・ワーナーの場合は,失敗だったとされているが,ライブドアにはがんばってもらいたいものだ.

一方,フジテレビによるニッポン放送株TOBの代理人である大和証券SMBCに対して, フジテレビの元個人筆頭株主である鹿内夫妻から調査申請書が提出されている.
普通の常識では,大規模なTOBの準備には相当の時間を必要とするので,大和証券が鹿内夫妻からニッポン放送の株式をゆずりうける時点で,当然,フジのTOBの計画を知っていた可能性は非常に高いといえよう.
米国であれば,大和証券SMBCが鹿内夫妻から取得していたニッポン放送株を,TOBに応じる形でフジテレビ売却した時点で,インサイダー取引として問題になっている状況であると思う.
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株価の下落?上場廃止?株の含み損リスクは平等!

2005-03-10 | Business
 3/9 のFuji Sankei Business i. の一面での,ニッポン放送の株式に関する報道には,ちょっと呆れた.長い間,サンケイや日本工業新聞を愛読しているが,普段は「正論」の会社でも,「身内」のことでは,そうはいかないらしい.
 「フジテレビがニッポン放送の株式を36.47%取得したことによって,ニッポン放送株が東京証券取引所の情報廃止基準に抵触することが濃厚となった」と報じている.その記事の中で,ニッポン放送株の下落や上場廃止に近づいていることが,さも,ライブドアにだけ,一方的に「多額の含み損を抱える」リスクが増大しているかのごとく述べられている.
 しかし,少し考えれば(フジサンケイの関係者以外なら?)だれにでも判ることだが,もしニッポン放送の株式の40数%あるいは50%近くを取得したライブドアが,その株で「多くの含み損」を抱えるなら,同じ会社の株を30%以上取得したフジテレビも,全く同様に「多くの含み損」を抱えているはずだ.その差は,概ね取得株式の比率に比例するので,多めにみても,10:7程度の差でしかない.
 いずれにしても,ニッポン放送の株の価値が下がったり流通性が損なわれれば,その「損」の影響を受けるのは,基本的にどの株主も同じである.
 ライブドアのやり方を「マネーゲーム」と批判しながら,「体面」のために自らそのゲームに加わって,結果的に「マネーゲーム」に大金を使っているのはフジテレビの方ではないだろうか?新株発効での増資が認められれば,その株式引き受けの分の資金も投入される.これまのニッポン放送株式のTOBの分とあわせれば1000億円は軽く超える金額であろう.つまり,「ライブドアの土俵で勝負させられている」ということになるのではないか?
 ライブドアの堀江社長は同社の圧倒的な大株主であり,また,ライブドアの大半の一般の株主は堀江氏自身に投資していると感じているだろう.しかし,多くのフジテレビの一般株主が,日枝氏と同様に「ニッポン放送のためにフジテレビが1000億円以上も投資する価値がある」と考えているとはとても思えない.米国なら,フジテレビ経営陣は,一部の株主から訴訟を起こされることは間違いないだろう.
 それにしても,サンケイ新聞の幹部は,これだけ偏った論調では,普段の「正論」が色あせるとは考えないのだろうか?
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並列・分散処理時代の常識 -グーグル・データセンターの秘密-

2005-03-07 | IT
 2005/3/4のCNET-Japanに 「いま明かされる、グーグル・データセンターの秘密」という,ちょっと興味をひくタイトルの記事がでていた.そのポイントは「...その洞察とは「PCはクラッシュする」というものだ。 」,「...ハードウェアのコストを検討していた同社のエンジニアが、強力なプロセッサを8基以上搭載するようなハイエンドサーバを数台購入するのに比べ、もっと簡単なつくりの「コモディティ」サーバを何十台も購入するほうが、はるかに安上がりなことに気付いたからだ。」ということだが,これら,私にとっては,特に目新しい話しではない.しかし,独自のファイルシステム,データの冗長化,障害対策ソフトウェアなどの話しは「さすがGoogle」と思わせるものである.
 PCの並列処理による大規模システムは,PCのCPUが32bit仕様のものになってからは,一部では「当たり前のこと」として認識されていたことだ.私のように,その昔,本来なら大型計算機でやらせるようなシミュレーションをPCや小型のWSでやってきた人間からみると,「将来,必ずPCの並列分散処理で,大型機を超える計算ができるようになるはずだ」というのは「歴史的な必然」であったといえよう.
 特に,この数年は,ネットワークの高速化,オープンソースの並列処理支援のミドルウェア,PC用の64bitCPUなどのおかげで,一昔まえなら,20-40億円のスーパーコンピュータがなければできなかった処理が,PCを数台ネットワークでつないで並列処理させるだけで簡単にできるようになった.事実, スーパーコンピュータの計算速度ランキングのTop20のうちの7つまでは,市販のPCサーバーを沢山並列に接続したシステムによるものだ.
 しかし,日本のSI業界,特に業務システムの構築の世界では,これらの「技術的な常識」はあまり知られていないし,本来はHWの性能や信頼性の議論にアプリケーションの分野は関係ないはずなのに,技術計算での最新技術やノウハウは業務システムとは関係ない話しと考えられている.(たぶん,日本のSEやそのマネージャの半分以上が所謂「文系」の出で,ハードウェア,基本ソフトウェア,技術計算等の世界に疎いことが少なからず関係していると思う.).また,いまだに,ブランドで,物理的な安心や性能が担保されると考えているビジネスマンも多い.
 その意味で,この記事は,普段「日経コンピュータ」を主な情報源にしているような,情報システム担当の部長,事業部長クラスの人に,是非一読していただきたい内容であると思う.
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Jason's Library -最新のプロジェクト管理手法-

2005-03-05 | Software
 最近,色々な業務分野で,プロジェクト管理が話題になっている.特にITの業界では,ビジネスや技術の環境が急激に変化しており,在来の手法では,現実のプロジェクトに適応できないことも多い.amazon.co.jp の和書で「プロジェクト管理」を検索すると500冊以上の本がヒットする.それだけ,指針を求める「悩めるプロジェクト管理者」が多いということだろう.
 元来,プロジェクト管理の技法は,軍事,建築/土木,プラント,造船などの技術分野から発展したものであり,情報システム開発におけるプロジェクト管理は他の工学的領域に比べると,歴史の浅さなどから管理技法として必ずしも確立しているとはいえない.特にこの10-15年ぐらいのあいだに,色々な手法が提案されているが,どれも「決め手」に欠ける感がある.
 そういう中で,今年のはじめに,出版された「実践アジャイル ソフトウェア開発法とプロジェクト管理」は,ソフトウェア開発に関わる最新の「アジャイル開発」といわれるプロジェクト管理法に属する様々な手法の特徴とツボ,在来の方法論との差異について,コンパクトにまとめられた,新しい参考書である.筆者は,経験豊富な,オブジェクト指向技術,モデリング,プロジェクト管理などのコンサルタントであり,本文中の参考文献をみるだけでもその守備範囲の広さには感心させられる.
 IT関連のプロジェクト管理に携わるすべての人に推薦できる一冊である.

実践アジャイル―ソフトウェア開発法とプロジェクト管理

ソフト・リサーチ・センター

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Jason's Library -職業的Javaプログラミング-

2005-03-05 | Software
 最近,私の周りでは,いわゆる普通のアプリケーションシステムは,Javaで記述されることが多い.多くの大学の情報工学科でも,Javaの教育に一番力をいれているようだ.(もちろん,依然としてほとんどの基本ソフトウェアはC言語で記述されているので,プロは当然C言語もでいないとマズイ.)
 Javaの参考書はとても多くて,amazon.co.jpの和書で「Java」を検索すると,なんと900冊以上の本がヒットする.(もちろん,そのすべてがプログラミング言語Javaの本ではない.JavaScriptやその他の"Java"を含む本が含まれている.)
 これらのJavaの本の大半は入門書か特定分野の参考書で,仕事でJavaプログラミングをする人向けの実践的なノウハウを簡潔にまとめた参考書は少ない.そういうなかで,最近出版された「稼げるJava!」は,実践的な職業プログラマ向けの指南書として,最も推薦できるものである.筆者らは15年から20年の経験のあるプロ集団で,本書の中の多くのコラムに,NeXTSTEPやJava上での長年のオブジェクト指向開発のノウハウが感じられる.
 Javaプログラミングと実践的なオブジェクト指向技術の「プロ」をめざす若手エンジニアに特に推薦したい1冊である.

稼げるJava!―今より楽するコーディング

技術評論社

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